ヤギゲームブログ

30代自称在宅イラストレーター男がちょっと深掘りして紹介する最新ゲーム&思い出のレトロゲーム

PS1 アドベンチャー

ダブルキャスト【評価/レビュー】記憶喪失のボクっ娘美少女と同棲ラブコメ&サスペンス!

投稿日:






アクションゲームやマルチ対戦のようにせわしない操作のゲームをやってると、真逆のアドベンチャーゲーム(以下、ADV)にどっぷり浸かりたくなります。

「シュタゲ」のようなヒット作もありますが、2D絵のADVは「ライフイズストレンジ」のようなフル3D・ADVや「龍が如く」「ラスアズ」のようにドラマ重視のゲームに吸収されて日陰の存在になりました。
最近は昔ながらのADV作品をあまり見かけないので、過去の名作を調べているうちにたどり着いたのが本作。

このゲーム、ぱっと見ではギャルゲーなのか何なのかよくわからない。
パッケージは女の子と青空で爽やか、なのにサスペンス物らしい。

一体どういうゲームなんだ?と不安を抱きながらプレイしました。

 

記事はネタバレ最小限にしたつもりです。多少の漏れはあるけど、タイトル「ダブルキャスト」で既にネタバレしているので気にしない。
ちなみにダブルキャストの一般的な意味は「一人二役」。

PSP版でプレイ。内容はPS版とほぼ同じ。



ダブルキャストってどんなゲーム?

「やるドラ」シリーズ第一弾

■あらすじ

主人公は映画研究会に所属する大学生。
飲み会で泥酔して街をさまよっていたとき、赤坂美月という少女に出会う。

記憶が無いという美月は行くあてもないのでしばらく主人公と同居することに。

そんな中、映研で自主制作映画を作ることになり、主人公が推薦した美月がヒロインに起用される。
それ以降、美月の周辺に不穏な空気が漂い始める。

 

「見るドラマからやるドラマへ」がキャッチフレーズの「やるドラ」シリーズ第一弾。1998/6/25発売。

「かまいたちの夜」のように、選択肢で展開が変化してマルチエンドに分岐するADV。
内容はラブコメ×サスペンスホラー

 

「やるドラ」の特徴は、普通のギャルゲー型アドベンチャーの「立ち絵+会話ウィンドウ」ではなく、フルアニメーションで動くこと。

プロダクションIG制作で作画が良い。台詞はもちろんフルボイス。
初見1周じっくり遊んで1時間半ぐらい。アドベンチャーゲームとしてのボリュームもしっかりあります。

大容量が売りのCD-ROMメディアならではのゲームです。

 

「やるドラ」シリーズは、
ダブルキャスト / 季節を抱きしめて / サンパギータ/雪割りの花 / スキャンダル / BLOOD THE LAST VAMPIRE
と続きます。

雪割りの花までは4部作で、四季がモチーフ。
本作は春夏秋冬の「夏」がテーマ。春夏秋冬の「夏」が第一弾なのは、本作の方が「万人向け」だと判断されたからなんだとか。

4部作は元々「記憶喪失」をテーマにした4編のオムニバス形式だったので、4部作のヒロインはみんな記憶喪失。

 

グッドエンド・ノーマルエンド・バッドエンドの3種類がそれぞれ複数。
バッドは未解決クリア、ノーマルエンドは番外編にあたります。

グッドエンドに必要なフラグ数に対して情報が少なすぎるため、初見はたぶんバットエンド直行です。

ヒロインの美月と2人仲良く終わってグッドに見えるエンドも、真実がわからないままだとバット扱い。
その意味はグッドエンドを見ればわかります。

ヒロインを大事にしないと当然バットエンドになるけど、かといって大事にする選択肢を選べば良いってものでもないのがミソ。

 

バッドエンドになると筋肉キャラがヒントを教えてくれます。
でも内容が大ざっぱ。2人いるけど1人は「うむ、その通り!」しか言ってくれないのがもどかしい。

「信頼できる者の協力が不可欠」はまだわかるとして、「世の中そんなに甘くない」といわれても「?」。
「世の中、いきなり美少女と同棲できるほど甘くない」ってことでしょうか。

 

バッドエンドを2回見るとグッドエンドのフラグが立つ選択肢に印がつくヒント機能が登場。
印がついた選択肢を選ぶだけの味気ないプレイになるので、もう少しさり気なく教えてほしいです。
ヒントでたどり着くのはベストエンドの次にあたるグッドエンド2だけなので、他は自力で探す必要があります。

 

ボクッ娘ヒロイン

ヒロインの美月は記憶喪失だけど元気な「ボクッ娘」。(一人称がボク)

ギャルゲーで必ず1人はいるタイプだけど、メインヒロインとしては斬新。
「ボクッ娘」設定は、物語上の伏線になっています。

僕はこの手のタイプに馴染みがないので、最初は「男が転生した人」だと勘違い。「ダブルキャストってそういう意味なのか?」と戸惑いました。

 

キャラデザインは「機動戦艦ナデシコ」で有名な後藤圭二さん。
だからこの可愛さ。こんなに可愛かったらそりゃ悪い男も寄ってくるだろうと。

食事の栄養も気にしてくれる良い娘。家事もしっかりこなす。
キャベツの千切りとか上手いし、もう完璧なのですが…

 

「ボクは~」と喋るのに体型と服装はおもいっきり美少女なのがアンバランスでたまらんっす。
この丈の短さで、キュロットではなくスカートという神ファッション!

ちなみにプレステはセガサターンに比べてアダルト描写の規制が厳しいのでパンチラ禁止。でも本作は完全にパンチラしてます。

 

トラウマゲー?

本作はトラウマゲーとして有名です。
画像検索したらエグいのばかり出てくる。

(ネタバレするからプレイ予定の方は検索しない方が良いです)

でも実際のところ、トラウマ要素は終盤の特定ルートのみ。
怖いだけではなく、楽しい中に怖さが見え隠れする感じです。

 

序盤の、いきなり同棲生活が始まる展開で面食らいました。
ラノベなら「俺と記憶喪失の美少女が同棲できるはずがない!」みたいなタイトルになりそう。

冷静に考えると、身分証明どうするんだとか気になります。
そもそも、実際にこんな娘が寄ってきたら新手のぼったくりだと思うので僕なら無視して逃げる。

でもゲームなので細かいことは気にせず、前半はラブコメっぽい楽しい雰囲気で進行。

ヒロインが明るいし可愛いから、油断すると本作がサスペンス物であることを忘れます。
美少女と仲良くなって楽しい青春生活を送るようになれば、記憶喪失のことすら忘れそう。

 

そんな楽しいラブコメ生活だけど、よく見ると妙に包丁が強調されてたりしてどこか不穏な空気が漂っています。
そういう伏線が所々に仕込んであるし、実は主人公が美月と親密になることが真犯人出現の鍵なのでラブコメにも意味があります。

 

中盤からシリアスなサスペンス調に移行。
ここまで来ると次に何が起こるのか予想できない緊張感があり、プレイ画面に釘付け。

後半はバイオレンス&ショッキングな展開になります。
ラブコメっぽい序盤とのギャップで、類似する作品が思いつかないほど陰と陽のコントラストが激しい
そのため後半のインパクトは強烈。たぶん一生忘れられない思い出になります。

 

フルアニメーションの弊害

制作リソースが足りない?

序盤の明るいノリから中盤以降のシリアスな方向に転換していく流れは引き込まれます。

でも後半が急展開。インパクトは強烈だけど、雑な気がします。
終わり方もあっさりで、「これで終わり?」みたいな感じ。

 

「急展開だからこそインパクトがある」ともいえるし、急展開はサスペンス物には必要な演出だと思います。

でも本作の場合、主人公が急に覚醒して独り歩きし始める。急展開というより超展開。

いつの間にか主人公の推理が始まり、他のキャラは主人公に全面的に協力。
この展開についていけないので、プレイヤーの分身だった主人公が遠くにいってしまい没入感が無くなります。

主人公が急に覚醒したように見えるのは、中盤→後半をつなぐ主人公の心情変化の描写が抜けているため。
「昔の美月を知る人が現れる→過去を探る→もしや…」みたいなシーンが無いので、それまで戸惑っていただけの主人公がいきなり覚醒してぶっ飛んだ推理を展開しているように見えます。

 

プレイヤー自身が推理して3択から選ぶ。そして主人公がぶっ飛んだ推理で真犯人を暴き出す展開は「かまいたちの夜」を彷彿とさせます。
でも、かまいたちの夜とは状況が違う。

かまいたちの夜は、吹雪の山荘という閉鎖的状況に殺人犯がいるという「この中から犯人を選べ」といわんばかりの状況。
いつやられるかわからない危機感もあるので、多少ムチャをしてでも犯人を特定する必要がある。
だから主人公が推理を始める展開にも妙な説得力があります。

対して本作の場合、推理の前にやるべきことが色々ある気がする。
「とりあえず警察に届けるべきでは?」「まず病院で診断を」とか思ってしまう。
犯人を特定すれば良いってものでもない複雑な事情なので、解決までのハードルも高い。

それら気になる点をすっ飛ばして主人公が推理を始め、みんなで大規模な仕掛けまで用意するからついていけません。

 

殺人未遂事件が起こっているのに、「最後どうなったか」「その後、どうやって普通の生活に戻っていったのか」は数行のテキストで終わり。
これでは消化不良で物足りないです。

ネタバレになるので詳しく書きませんが、そんな簡単に解決する問題とは思えません。
また事件が起きるような気がします。

 

ちゃんと読み込めば深いシナリオです。
それは詳しく解説してる他サイトを見ればわかる。

でもゲーム中の描写が足りないので、シナリオをちゃんと理解するには急展開の合間を考察で補う必要があります。

 

記憶喪失の少女とすぐ同棲が始まる導入部分や後半の急展開は、
普通のADVなら順を追って丹念に描くところが簡略化・カットされている印象です。
フルアニメの関係で制作リソースが足りなかったのだと思います。

一枚絵&テキストで済むところをフルアニメにしてるから、そりゃ制作は大変。
一枚絵&テキストなら最悪一人でも作れるけど、アニメを作る手間は桁違い。しかもこのクオリティなので展開を端々まで描くのはムリです。シナリオの総量も限られるから分岐も減ります。

 

フルアニメとADVゲームの相性

ダブルキャストは名作です。
でも現在、同じようなフルアニメのゲームは主流ではありません。

理由は前述した制作リソースの問題が大きいと思います。
さらに、プレイするとわかりますがフルアニメと、周回プレイ前提のADVの相性がいまいち。
アニメを作る労力と効果が見合っていません。

エンディング分岐を探って達成率を上げる過程は、選択肢の総当たりで選んでいく作業。
2周目以降はボイス・アニメをスキップする人がほとんどだと思います。

結果、フルアニメを満喫できるのはバットエンド直行の初見プレイだけ。
そのわりに、制作リソースの限界で分岐とシナリオは減ってしまう。

総じてフルアニメの導入は、ゲームとしてはデメリットの方が大きいと思いました。

 

まとめ:一周1時間半に盛りすぎ

フルボイス・フルアニメ。
記憶喪失のボクっ娘美少女と同棲。
ラブコメにサスペンス、ときにバイオレンス。

一周1時間半に盛りすぎな作品。

ADVとしてはフルアニメが足かせになっている面もあります。
でも美味しい要素を詰め込んだ迫力で、たぶん一生記憶に残るゲームです。






スポンサーリンク




スポンサーリンク

スポンサーリンク




-PS1, アドベンチャー

執筆者:

関連記事

【野々村病院の人々】レビュー/評価/攻略:主人公の卑猥な言動だけが印象に残る

もくじ1 はじめに1.1 あらすじ1.2 システム2 主人公が卑猥3 不満点4 おわりに はじめに 選択肢により展開が分岐するオーソドックスなアドベンチャー。 キナ臭い噂が絶えない病院でアダルトなこと …

アインハンダー【評価/レビュー】コナミとスクウェアの技術が融合したハイブリッドなSTG

こんにちは。FF13LR以来スクウェアの新しいゲームをスルーしているヤギです。 今回紹介するのは… あのスクウェアがSTGを作ったことで話題になった「アインハンダー」です!   STGといえ …

エースコンバット3 エレクトロスフィア【レビュー/評価】ぶっ飛んだSFストーリー×極限の作り込み→傭兵に戻りたい

評判を聞けば賛否両論。 シリーズの異端児で比較対象も無いから、話を聞くだけでは良作なのか駄作なのかイマイチはっきりしない作品。 実際のところが知りたい、そしてウワサの架空機に乗りたいので真エンディング …

【ドラゴンクエストIV 導かれし者たち】攻略/感想/評価: 宿敵ピサロと一緒に黒幕を倒す ロト3部作から一新 オムニバス形式

ドラクエシリーズのレビュー 【ドラゴンクエストIII そして伝説へ…】 【ドラゴンクエストVI 幻の大地】 もくじ1 ドラゴンクエストIVとは2 真ボスまでのざっくりとした感想2.1 序章2.2 第1 …

スターオーシャン セカンドストーリー【レビュー/評価/攻略】凝ったシステムと粗いシナリオの両極端

中学生の頃、攻略本片手に何周も遊んだ作品。 やり込みがいのある本作の魅力を紹介します。   今回はPSP版でプレイしました。 PSP版の変更点 ・イベント、PAフルボイス ・PA、EDの追加 …