アクション PS2

ANUBIS ZOE:M∀RS【評価/感想】はいだらー!がピーク

投稿日:2019-02-09 更新日:

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「ANUBIS Z.O.E M∀RS」ってどんなゲーム?

ANUBISは、SFロボット3Dアクション「ZONE OF THE ENDERS(Z.O.E.)」 の続編。PS2版は2003/2/13発売。

前作と同じく、メタルギアシリーズを手がける小島秀夫氏プロデュース。

 

ロボット兵器「オービタルフレーム(OF)」を駆り、常時浮遊しながら多種多様な攻撃を撃ちまくるハイスピードアクションが楽しめます。

前作はグラフィック、BGM、アクションで高評価を受ける一方、冗長なストーリーと少ないボリュームが不評でした。

続編となる本作はその不満点を解消し、良い部分をパワーアップした傑作です。

ANUBISといえば神オープニング。
プロモーション映像を本編の3割増に仕上げる、小島秀夫氏の持ち味が存分に発揮されています。

神曲「Beyond the Bounds」をフルで使用。
フィンランド語のスキャット(早口)部分をバックに展開するアクションシーンで鳥肌が止まりません。
圧倒的なスピード感で7分が一瞬に感じます。

 

本編中デモシーンもスロー、止め、残像といった表現手法を活かしたメタルギアばりの豪華演出で見応えがあります。アニメムービーとシームレスにつながるのも凄い。

 

「M∀RS」はPS4版。
内容は、PS3のHDリマスター版「ZONE OF THE ENDERS HD EDITION」を4K解像度&VR対応にしたもの。

PS3版はリリース直後に出来の悪さで話題になり、9ヵ月後のパッチで神修正されて再び話題になりました。

PS4版は修正後ベースなのでご安心を。

 

以下、少々長めのあらすじ。

■あらすじ

(前作)

22世紀、人類はエネルギー源の鉱物「メタトロン」の発見により木星圏まで居住域を広げた。人々は自分より外の宙域に住む人間を「エンダー(田舎者)」と呼んで差別し始める。

その風潮が地球圏を中心とする「連合宇宙軍」と、火星を中心にする軍事組織「バフラム」の紛争へ発展。
バフラムは戦力に優る連合軍に対抗するため新型機動兵器「オービタルフレーム(OF)」を開発した。

連合軍の旧式兵器「LEV(レヴ)」はOFにまるで歯が立たない。
劣勢を強いられる連合軍は木星圏のコロニー・アンティリアを武装占拠し、バフラムの新型OF「アヌビス」「ジェフティ」の2機を奪取する。

2機はバフラムの指導者・ノウマン大佐が進める「アーマーン計画」の要になる機体。
バフラムは奪回部隊を派遣し、アンティリア全域を巻き込んだ戦闘になる。

アヌビスはバフラムに奪回される一方、ジェフティは偶然乗り込んだ民間人の少年・レオの活躍でジェフアンティリアを脱出。連合軍の手に残った。

連合軍の狙いは独立型戦闘支援ユニット「ADA(エイダ)」に自爆プログラムを書き込み、アーマーンに送り込んで内部から破壊すること。
しかし火星圏はバフラムの支配下なので侵入は不可能と判断。ジェフティを木星圏に向けて投棄し隠した。

(ここから本作)

2年後、木星衛星・カリスト。

元バフラム軍人の採掘作業員・ディンゴはカリストの地表で妙なメタトロン反応を探知する。そこにはジェフティがあった。

直後にバフラムの無差別攻撃を受けたディンゴは、仲間を守るためジェフティに乗り込む。

アヌビスとジェフティ、ノウマンとディンゴ。火星圏を舞台に最後の戦いが始まる。

 

ややこしそうな設定と裏腹に、ストーリーはわかりやすいしテンポが良い。

前作主人公との対決・共闘や恩師ロイドとの再開など、アニメ的な「お約束」を踏まえた熱血路線です。

最後は、30歳過ぎてから涙もろくなった私がウルっときました。

 

キャラはいずれも個性豊か、ワイプからはみ出そうなほどアク強めで人気があります。

中でも人気なのがケン・マリネリスとADA。

 

「ケン・マリネリス」

ナイスバディーでときにムチャをするおてんばヒロイン。

胸を強調するために作られたようなパイロットスーツは、背面も恥ずかしいことになっています。

 

人気の理由は見た目だけではありません。

ディンゴ「そこを通せ!」
ケン「はいだらー!」

この謎セリフが有名です。

「やらせるかー!」なノリで唐突に発せられる意味不明な造語。
しかも冒頭シーンなので、プレイ開始すぐ「???」となったプレイヤーは数知れず。

本作といえばまっさきに「はいだらー!」が思い浮かぶほどの強い印象を残しました。

調べたところ、特に意味はないらしい。
脚本家の村田周陽氏いわく、気がつけば脳内でケンが「はいだらー!」と叫んでいたのだとか。

 

「ADA」

ジェフティ搭載のAI。

秘書の女性のように冷静な一方、ときにユニークな返しがあり親しみが湧きます。

 

ディンゴ「戦闘用コンピューターか。LEVのナビゲーターよりは頼りになりそうだな」
ADA「一緒にしないでください」

ディンゴ「お前は惚れた男に合わせるタイプだな」
ADA「理解不能です」

 

唯一無二のハイスピードアクション

デザイン、グラフィック、操作、システム、カメラワーク。
全ての要素が見事に統合されて生まれる、唯一無二のハイスピードアクションを体験できます。

 

目にも留まらぬ高速機動、グリグリと大胆に動くカメラ。
絶え間なく飛び交う、2D表現を取り入れた「Z.O.E.シェード」で描かれるホーミングレーザーや爆煙エフェクト。

物量も凄い。
「荒野乱戦」では41機の味方と共に1000機近い敵OF集団を突破します。

 

メカニックデザインは「メタルギアソリッド」でおなじみの新川洋司氏。
河森正治、カトキハジメ系とも違うスタイリッシュなデザインです。

メタルギアRAYを彷彿とさせる複雑なパーツの重なり、幾何学的なモールドが特徴的。
一方、ファンネルや極太ビームなど武装ギミックは昔ながらの王道で格好いい。

 

ゲストとして「悪魔絵師」こと金子一馬氏が参加。
担当した疑似OF「インヘルト」はロボット、生身、悪魔がミックスされたような独特のデザイン。

 

「未確認浮遊快感」を謳うアクション。

ダッシュ、上下移動、ロックオンで3D空間を立体的に動きまくる!

攻撃手段は、斬る、掴む、投げる、エネルギー弾、レーザーなど豊富。
操作は近・遠距離攻撃が自動切り替えで簡単。テキトー連打でもそれっぽい動きになりテンション上がる。

さらに、ストーリー進行に応じて10種類以上の豊富なサブウェポンを入手します。
選択肢がありつつ、気に入ったものだけ使えばOKなバランスなのが嬉しい。
私はひたすらガントレット連打スタイル。

終盤入手する「ゼロシフト」で相手の背後に瞬間移動!
消費エネルギー無しで使い放題のトンデモ性能。

入手後はアヌビスと互角に戦えます。
「ジェフティとアヌビスは同等」と言われながらずっと負けイベントでボコられ続け「どこが同等やねん!」と言いたい気分なので終盤の逆転は爽快です。

 

総じて、これ本当に元はPS2のゲーム?
と驚きます。
今でもここまで突き抜けたロボゲーは他に思いつきません。

 

気になる点:はいだらー!がピーク

前述の通り、唯一無二のハイスピードアクションを体験できる傑作です。

 

難点は、体験できない時間が長いこと。

縛りが強くて不自由なプレイを強いられるステージが多い。
初見、難易度ノーマルで約6時間でクリアしました。その内5時間は不自由だった印象です。

 

狭い場所の探索や、防衛・運搬ステージがハイスピードバトル前提の挙動と相性が悪くてイライラ。

レバーちょん押しでカメラはグルンと動くし、挙動はガクガクで細かい調整が難しい。

防衛ステージはロックオンの仕様が厄介。
ターゲットを狙おうにもなかなかロックできない。ピコピコピコとSEが鳴るばかりでイライラ。
ロックはともかく、味方まで攻撃しちゃダメだろ。エイダは敵・味方の認識もできないのか?

 

戦闘の合間に入る移動パートもダルい。
攻撃・回避はハイスピードだけど、実は移動速度と手動のカメラ操作は異様にもっさり。ダッシュも遅い。

やはり、開放的な空間で敵をなぎ倒してナンボのゲームです。

 

あと、魅力的なグラフィックに対してSEが物足りない。迫力が無い。
攻撃を当てた実感が薄く、一方で自分のHPはゴリゴリ減ってて焦る。

 

「エアーズクリフ」は悪評で必ず名前があがるステージ。
ケンの指示がテンポが遅すぎてイライラ。

 

ボス戦は特殊な攻略必須の初見殺しばかり。

決められたチャンスタイムまで耐える受け身の戦いで爽快感が薄い。
例えば「物陰に隠れる、オブジェクトを掴んでガード、左・右・ガード」とかやらされます。
戦いというよりQTE。

ネフティス戦は毎回なんらかの仕掛けがあり、最後は目押しを4回連続で成功させる必要があります。
1回失敗すると長ーい行動パターンをもう1回でダルい。

ゼロシフト入手前のアヌビス戦は全て負けイベントです。
最終戦は遠距離攻撃が一切通じません。ライバルなんだから正々堂々戦いたい。

 

結局は序盤のアージェイト戦、はいだらー!が楽しさのピークでした。

ストーリーにも気になることが。

ノウマンはなぜケンを泳がせたのだろう。
結果的に宿敵ジェフティに攻め込まれただけ。ノウマンにとってメリットが無い。

ケンの裏切りに気づかなかったのならマヌケすぎる。
2ヶ月もかけてディンゴを蘇生し、ジェフティに乗せるケンの立ち回りはガバガバ。

 

「荒野乱戦」前のデモも引っかかる。
あれだけ反抗的だった連邦軍がディンゴの熱いセリフで「よしジェフティに続けー!」と態度が急変します。
超展開すぎて、その後の熱戦でノリきれません。

 

まとめ

ロボ好きの夢を具現化したゲームです。

熱く駆け抜けるシナリオ、格好いいグラフィック、唯一無二のハイスピードアクション。

元は2003年のゲームなのに完全新作をプレイしている気分になりました。これは驚異的なことだと思います。

難点は、縛りの強いステージ構成。
探索、運搬、防衛、ステルスを強いられる場面はハイスピード戦闘に特化した操作性と相性が悪い。
そのため2週目をやる気になれません。

とはいえ、1周クリアまでの体験で十分元が取れます。
ロボゲー好きで未プレイなら今からでも手に取る価値があるのでぜひ。

 

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