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サイコブレイク【評価/感想】怖いゲームなのか、ムズいゲームなのか

投稿日:2018-06-29 更新日:

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サイコブレイクってどんなゲーム?

サイコブレイクとは、“バイオハザードの生みの親”といわれる三上真司氏が手がけたサバイバルホラー。2014年10月発売。

原点回帰の「純粋なるサバイバルホラー」を目指した作品です。

 

三上氏がディレクターを務めるのは『バイオ4』以来9年ぶり。
オリジナル新作は『ディノクライシス』以来15年ぶり。

バイオシリーズのサバイバル感が次第に薄れて『6』(2012年)で硬派なバイオファンが落胆する中、原点回帰を謳う本作が真のバイオハザードになると注目を集めました。

 

真のバイオといってもカプコン製ではなく、三上氏が設立したスタジオ「タンゴゲームワークス」開発。
スタジオ設立からたった4年で大作規模の作品を完成させました。

 

精神世界

テーマは、現実と精神世界の区別がつかない世界

三上氏いわく「どこか壊れている、狂ったような世界をイメージしたタイトル」。

進行はバイオ4のようなステージクリア形式で、精神世界を反映してチャプターごとに舞台がガラリと変わります。

舞台は廃工場、病院、廃村、洋館などホラーゲーのいいとこ取り。
プレイヤーに息つく暇を与えません。

 

全体的にホラーゲーのいいとこ取り。特に『サイレントヒル』の影響が色濃いです。
現実と精神世界が曖昧だったり、三角頭みたいな奴に襲われたり。
赤い服をはおった看護婦タティアナさんは明らかに初代サイレントヒルのオマージュ。

 

グラフィック

狂った世界を描き出すのはモノクロ調の美しいグラフィック。

映画フィルム風のポストエフェクト※山盛りなのが特徴的です。


AA、ブラー、ブルーム、レンズフレアなど、3Dモデルを描画した後の処理。
豪華に効果を使いすぎて、場面によってはPS4版でもフレームレートが不安定。

 

ノイズ混じりでやたらと暗い上、

・近すぎるFOV(カメラ位置)
・レターボックス(画面上下の黒帯)※

よって非常に視界が悪い。

現実感のない世界と相まって、ホラー映画の中に入ったような没入感があります。

 


黒帯は発売当時に批判され、後のアプデで表示/非表示を選択可能になりました。
私は開発者の意図を汲んで黒帯あり派。

 

サバイバル

誤魔化しが効かない緻密なレベルデザイン。

サバイバルなリソース管理を強いられます。

ザコ敵は硬い上に武器を使う強敵です。

弾薬数が強制的に制限される仕様※により、正面から戦うと弾が足りません。
(※所持弾薬が多いと入手できず不足すれば入手しやすい)

よって、

・ヘッドショットを狙う
・誘導して範囲攻撃でまとめて倒す
・ステージに配置されたトラップを活用する
・不必要な戦闘は避ける

など工夫する必要があります。

弾を含むリソース節約の奥が深い。
ピースを組み合わせてパズルのように攻略を組み立てる感じ。

アクションやエイム力がモノを言うゲームとは一味違うサバイバルが楽しめます。

 

重要なアイテムを紹介します。

 

・マッチ

敵を倒した後、マッチで燃やすと復活を防げます。

マッチは攻撃としても強力。
燃料なしでボゥと燃え上がり、倒れた相手に使うと1撃。
上手く使えば複数をまとめ焼きして効率良く倒せます。

 

・アガニクロスボウ

本作を代表する武器。

多種多様な矢を作成できます。

爆発、目くらまし、サンダー、フリーズなど、矢の効果は強力。
矢によって攻略パターンが大きく変わります。

限られたリソースで何の矢を作るかは自由。やり込みがいのある武器です。

使用感も独特で、射撃戦に絶妙なアクセントを加えています。
銃とは違う山なりの弾道が面白い。

 

リソース不足の他、主人公が弱いのも敵が強く感じる要因です。

主人公のセバスチャンは優秀かつ経験豊富な刑事。

にも関わらず驚くほどスタミナが無い。
射撃が下手で格闘も弱い。

ダッシュは3秒で息切れ。瀕死だとダッシュ不可。
エイムはやたらとブレる。

TPS史上屈指の弱さを誇る自キャラが、敵やトラップを脅威に感じさせます。

 

難点

前述の通り、リソース管理のサバイバル感はあります。

しかしセバス(主人公)が生きるか死ぬかの緊張感やホラー感は薄い。

なぜなら、初見殺しの即死トラップが多すぎるから。

ボタンを押したら串刺し。
捕まったら即死。
インサートされて即死。

曲がり角にトラバサミ、扉を開けたら爆弾など初見で対応困難なトラップも多いです。

ボス戦まで初見殺し系が多く、弱点以外への攻撃無効や即死攻撃が当たり前。

 

「さーて、お次はどんな罠かな」→即死
→「はいはいその感じね」

恐る恐る進んでもどうせ何回か死ぬし、即死するので体力がどうでも良くなる。

とりあえず難所に突っ込んだ後に対策を考える『IQ Intelligent Qube』みたいなパズルゲーをやっている気分になり、緊張感が薄いです。

何が一番怖いって、ロード画面が怖い。
リトライのロード時間が長い(15秒)。
同じ場所で数十回とリトライする場合もあるだけにツラいです。

 

最初がダルいと見限られやすい昨今の事情に合わせた仕様か、最初から遊びごたえがあります。
これもホラーを味わうヒマが無い要因。

「コイツをこう倒して、次にアレ取って~」と攻略するのに精一杯で怖さを感じるヒマがありません。

慣れないうちに危険なゾンビ&トラップ満載のフィールドに放り込まれ、チャプター2で早くも心折れかけます。

チャプター3はゲーム全体通しても難所。
暗すぎ、広すぎ、敵多すぎ。ウロウロして40分経過。

 

怖いゲームなのか、ムズいゲームなのか。立ち位置が中途半端な印象です。

 

■その他の難点

・全体的に疑惑の当たり判定
攻撃の振りかぶり~振り終わりまで判定がありやたらと引っかかります。

・味方NPCの挙動
勝手に突っ込んで死亡し、ゲームオーバーになります。指示不可。
特に高難度では死活問題。

 

まとめ

「真のバイオハザード」を期待すると違う印象を受けます。

精神世界との境界が曖昧で夢のようにもやもや。
加えて、最後まで何者かの手のひらの上で踊らされてる感が強い。
生き残るためにサバイバルしている気がしません。

私はチャプター3が緊張感と面白さのピークでした。
先へ進むほど無くなる緊張感、増していく作業感。

とはいえ、そういうゲームだと割り切って遊べば良作です。
美しい画、緻密なレベルデザインが楽しめます。

ひたすら酷い目にあうセバスチャンを見てテンションが上がるドMな方におすすめ。






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