日本史
日本史で読み解く日本人
▼紹介
「逆説の日本史24」の一冊で僕は早くも井沢ファンになったので読みました。
日本人は無宗教どころか、むしろ世界にはない独自の宗教観を持っているという話。
▼メモ
■ 話し合いで決める「十七条憲法」は宗教
・第一条、「和を以て貴しとなす」
意味を簡単にいうと「話し合えば道理にかなう、成功する」。
逆にいうと、話し合わないとか1人で決めると上手くいかない。
根拠がないから宗教。
でも日本人はそれを昔から今に至るまで信じている。1人で決めるのは(十七条)憲法違反だと思っている。
だから織田信長は最後にああなる。
十七条憲法で和が生まれたわけではない。聖徳太子依然も神話で和を重んじている。
神話はただの作り話ではなく現実を投影している。
・話し合いの恐怖
十七条憲法では、誰でも仏になれることを前提にしているため、身分などに関係なく無条件に話し合いに応じろと言っている。
だから頭がおかしな奴とも無条件に話し合うハメになる。これが「話し合いの強迫観念=恐怖」を生む。
話し合いの恐怖のせいで日本は稟議書(りんぎしょ)社会になる。
話し合ってる体を作るため、確認のはんこを押しまくる。
ペルー事件でマスコミは「犯人と話し合え」という。
海外でいうM&Aは戦争だが、日本は交渉という。
この「和」は日本独自の文化。
仏教では、凡夫が集まって話し合えば上手くいくなんて言っていない。
儒教でもない。自分の家族より和を優先するとかありえん。
・話し合いの弊害
満州事変は軍部が勝手に動いたから「事変」という。だから真珠湾事変とはいわない。
軍は省庁のひとつに過ぎないので、社長に内緒で平社員が勝手に動いているようなもの。
話し合い重視で絶対的リーダーがいないため統率をとれないからこうなる。
普通の国には最高権力者がいるから「事変」はありえない。
■汚れと穢れ
日本の差別は「作られた差別」。
外国の差別は、肌の色や宗教とか明確な違いがある。日本だけ理由がない。
日本には「穢れ」の概念があるからこうなる。
他人に自分の箸やコップを使われると、食器を洗ってもなんか汚れている気がする。これは汚れとは違う、穢れ。
箸など、食器を自分専用に分けるのは日本人だけ。
だから放射能とかも科学そっちのけでめちゃ気にする。
結果、なんとなくの「穢れ」のイメージで理由がない差別が作られる。
穢れを落とす唯一の方法は「禊」。
莫大なコストがかかるにも関わらず、天皇が1代ごとに遷都したのは死の穢れを避けるため。
こんなことやってるのは日本だけ。普通は権力者が代替わりしても首都は変わらない。
「穢れがない=きれい=正しい」となる。
死=血であるから、血も穢れとして避けられる。
天皇は何よりも穢れていない存在でいたいので、平安時代に一時的に平和になったら軍を廃してしまった。
当然、治安がメチャクチャになり、仕方ないので自分で自分を守るために武器を取ったのが武士。つまり武士の始まりは私設部隊。
朝廷が幕府に軍・警察権を委任するのは、天皇と穢れを分けるため。
穢れを引き受けた武士は差別されていた。戦国時代までは仕事だからやってたけど、江戸時代になると武士は首を斬るのも嫌がる。
元寇は正面から武力で撃退した。
しかしそれでは穢れが平和を守ったことになる。それが嫌な勢力が「神風」のおかげだと推す。
■言霊(ことだま)
日本人は言霊を信じている。
そんなつもりはなくても無意識に信じている。
見たくない事実は見ない。
北朝鮮を「労働者の天国」、日本国憲法を「平和憲法」と言う。
▼感想
日本人の平和ボケ癖は、戦後の洗脳とかそんな浅い話ではないんだなと思いました。根深い。
日本は昔からそういう文化だった。
頭おかしい奴とも話し合い、穢れを避け、言霊を信じる。
これを現代でも極端にやってるのが左翼なのかなと。
だから穢れを引き受ける自衛隊を嫌う。
教科書でも元寇は「神風」ばかり書いていますよね。軍事的な見方を完全に無視してる。
「日本を覆うドリーマーたちの「自己陶酔」」(著:高橋洋一、門田隆将)で、
「今対立しているのは「左右」ではなく「DR」=ドリーマー・リアリスト」という話がありました。
本書を読んで、左はまさにドリーマーなんだなとしっくりきました。
決定版 属国 日本論
▼感想
刺激的なタイトルにつられて読みました。
属国なのは薄々感づいていたので、そんなにはっきり言われると「ぐぬぬ…」としか言えません。
▼メモ
■日本はアメリカの属国である
いくら経済成長しようが、国際的には日本はアメリカの属国扱い。
現状を直視しろ。どう見てもアメリカと対等ではない。
5万人の米軍に守られているのに反戦、護憲もへったくれもない。
国民に情報を伏せてとりあえずの経済成長を優先した結果、日本国民は日本がアメリカの属国であることを忘れている。知らない。
よって日本の政治家は隠蔽グセがついている。
世界から見ると「なぜ日本人の政治家は本当のことを言わないんだ?」と不思議。
今の日本人は天動説を信じているようなもの。そんな人に地動説を言っても信じない。
・例)日航機墜落事故
いち早く現場の状況を知ったのは米軍。
日本の空は米軍が守っている。自衛隊は補助的役割にすぎない。
隔壁が問題だと言ってるのにボーイング社に請求できない。
(本当のことをいっちゃうと、アメリカ攻撃練習機のミサイル誤射で撃墜した)
エイズ訴訟も同様。アメリカのメーカーを訴えられない。
■アメリカの考え方を知る
・「ビンの栓」理論
米軍基地を設置する理由「アジアの平和のために~」は事実だが建前でもある。
「日本人は何をしでかすかわからないから、常駐して栓をしておこう」が本音。
アメリカの日本人への見方はペリーから変わっていない。つまり「日本人は楽天的でちょっとアホ」。
「あんな石垣、黒船で1発やで。いつ気づくんやろ」とずっと観察している。
アメリカは「ネオコン」と「リバタリアン」に分かれる。
ネオコンはアメリカが世界を支配する系。リバタリアンは各国の自由に任せる系。
ネオコンは他国を属国にしたいので、属国である事実を言って「ノーと言える日本」とか主張する石原慎太郎みたいな人が現れると「ウルトラナショナリスト」扱いして潰しにくる。
戦後日本を統治したGHQはネオコンであり、ニューディーラー(社会主義思想)。
つまり戦後日本は社会主義に基づく試作モデル。世界はそれを知っているので、日本は主権国家だと思われていない。
■視点を広げ、世界基準で考える
・安保は日本だけの問題ではない
東アジアはぼぼ全ての国がアメリカと安保関係がある。
だから日本だけの都合で憲法が~日米関係が~安倍が~とか言っても意味ない。
大きい視点で国際関係を見ろ。
・佐藤栄作がノーベル平和賞を取った本当の理由
世界基準では「沖縄返還で平和な時代だ~わーい」なんて甘い話は無い。
アメリカは沖縄返還と同時に、中国向け核ミサイルを撤去した。
それによりアメリカ・中国の距離が近くなりソ連包囲が固まった。
つまり佐藤栄作の功績とは、冷戦終結のきっかけを作ったことである。
佐藤本人も気づいていないかもしれない。
■戦前も見直せ
日本人はなんでも国内の力で成し遂げたと思いたがるが、そうではない。
例えば、明治維新は武器商人グラバーの力が大きい。
騎兵隊が勝ったのは武器のおかげであり、薩長同盟も武器の都合。
つまりイギリスの思惑に乗っただけ。
▼感想
アメリカのメーカーを訴えられないのは、福島原発事故も同じ。
日本の事情にあわせず、ハリケーン対策したアメリカ式原発をそのまま作ったから地下に非常電源があり、それが津波で水没したから大変なことになった。
日本人はここで気づくべきなんですよね。「あれ?ハリケーン対策っておかしくね?」って。
でも話が「原発停止」「汚染水」とかそっちの方で盛り上がってしまう。
原発停止により毎年4兆円の損失が出ているのに、その現実も見ない。「なーんだ、原発がなくても平気やん」とボケてしまう。
これも戦後「政治家は国民に現実を見せない。国民は現実を見ない」クセがついているせいだと思うんです。
今後どうすればいいのかはわかりませんが、まず現状を把握することから始める必要があることはわかりました。
「日本は属国状態」という認識は、実は右左の意見が一致するところなんですよね。
この認識を土台にすると、右左の話が噛み合うかもしれません。
「日本国紀」の副読本
「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史 (産経セレクト S 13)
産経新聞出版
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▼紹介
「日本国紀」は未読だけど副読本を読みました。
内容は副読本単体でも成立しているので、僕のような「日本国紀」未読も方もぜひ。
▼メモ
■民衆の反乱が始まった
「アメリカの教科書を読めば子供はみんなアメリカを好きになる」
という話をケントギルバートさんに聞いてはっとし、日本を好きになれる通史を書こうと思った。
歴史に負の側面があるのは当然。どの国でもある。
歴史は全てを書けない。だから「何を書いて何を書かないか」という配分が問題。
日本の教科書は「負」からゴリ押すのが異常。
これはアメリカの歴史をインディアン虐殺から教えるようなもの。
アメリカの、というか常識的な教育の真逆をやっている。これでは自分の国を好きになれるわけがない。
「この国」と外から自分の国を語る、マスコミ・学者のエリート気取り上から目線に国民はもうウンザリしている。
日本国紀への大きな反応・大ヒットは「私たちの国」を取り戻す、民衆の反乱といえる。
■教科書が狂ってる
WGIP、近隣諸国条項の影響で、中韓国のフェイクを教科書にそのまま書いてしまう。
・世界三大提督に、日露戦争で世界的インパクトを与えた東郷平八郎に並べて、存在自体が怪しい亀甲船の李瞬臣をあげてバランスを取る。
・南京大虐殺が確定しているかのように書く。
・「独立マンセー」が日本の教科書にデカデカと載る。日本の教科書なのに漢字をハングル読みさせる。
一方で、外敵から国を守った元寇や敗戦など自国の一大事は数行で終わらせる。
結果、世にも奇妙な教科書になる。
嘘を勝手に事実みたいに書いてるのに、間違いを指摘すると「歴史修正主義者」とレッテルを貼られてしまう。
■団塊の世代が狂ってる
戦後に「戦犯の名誉回復」のような揺り戻しがあったし、戦争を知る世代は戦後も中国を支那と呼んでいた。
しかし、1975年あたりで団塊の世代が教壇に立つと状況が一変。戦争を知る世代叩きが始まる。
つまり、戦争を知る世代は戦後教育に洗脳されなかったが、子供は完全にやられてしまった。ヒトラーユーゲントみたいなもの。
■日本に必要な教育とは
自分の人生を考える上で自分史が必要なように、国にも通史が必要。
教科書は20人共著だったりする。それでは因果関係が見えない。
歴史は年表のような「平面」で覚えても意味がない。
「私たちの国」として考えるには「立体」で捉えるのが重要で、そのために物語が必要。
日本の学者は「I」を消す。アカデミズムとリスク回避のため、自分の意見や感想を消す。よって物語が死ぬ。
だから生き生きとした躍動感ある物語が書ける作家の出番。
全体を俯瞰で考察する「逆説の日本史」でおなじみの井沢さんとも違う仕事。
作家でもこれと逆のことをやってるのが村上春樹。
個人の属性を「そんなやついねーだろ」ってところまで希薄にし、自分の小さな世界に入っていく。
日本の文壇も村上春樹お得意の例え・比喩が大好きで、それが難しいほど高尚なものとして評価する。
■日本人の特性
真面目、性善説ゆえかすぐ平和ボケし、追い詰められると底力を発揮する。中間がない。
戦国時代は国内の鉄砲保有数がヨーロッパを上回っていた。その強さがあるから鎖国できた。
鎖国中にすっかり平和ボケして技術革新が進まず、そのうち黒船がやってくる。
ペリーが来るのがわかってるのに、平和ボケだから「ペリーはこなければいいなぁー」と拝んでしまう。
本当に追い詰められてから慌てて近代化し、日露戦争に勝つまでになる。
こんなことを繰り返しているのが日本。
■韓国は全てが狂ってる
(韓国の狂っている点は多すぎるので割愛。本の半分が韓国で埋まっている。)
▼感想
戦後教育をモロに食らったのが、当時子供だった団塊世代というのが辛いですね。
その子供が1980年頃に権力側になって日本をめちゃくちゃにするわけだ。
日本人の生真面目さ・性善説という世界的に見て特異な性質により、WGIPの効果が想定を超えてしまったのだと思います。
まさか臨時で作った憲法を後生大事に守り続けるなんてアメリカ人も思っていなかったはず。
「日本国紀」のような一貫した通史を作家が手がける意味がわかった気がします。
金も知名度もあり、公演に出れば本なんぞより稼げる百田さんが、月200時間・8ヶ月かけて「日本国紀」を書き上げたのもその使命感ゆえなのでしょう。
ただ、本書は全体的に韓国についての記述が多くて僕はちょっとウンザリしてしまいました。亀甲船の話とかもうアホらしくて直視できない。
韓国の話題はもう見るのも嫌です…
逆説の日本史24: 明治躍進編 帝国憲法と日清開戦の謎
小学館
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▼紹介
井沢元彦さんの大ヒットシリーズ。時代背景を深く考察する通史的考察の重要性がシリーズ全体のテーマだそうです。
計500万部突破もうなずける面白さでした。
▼メモ
■日本の歴史学には3つの問題点がある
①史料絶対主義
学者は「一次資料=古文書が読める」優越感にひたっている。
一次資料が読めることが学者の存在意義になっているので、史料に書いてあることは絶対。
「Aは悪い奴」と書かれていたら、そのままAは悪い奴ってことになる。
古文書が読めない人に何を言われても「一次資料が読めないクセに」と思考停止。
史料だけでは本質が見えない。「アントニーの法則※」によってときに180°見謝る。(※著者が名付けた)
アントニーの法則=「前任者は悪いことばかりが言い伝えられる」。
例えば徳川綱吉。
バカ殿みたいに言われているが、実際は人間を含めた生類をむやみに殺さないという意識改革を進めた名君。
殺すのが当たり前、犬刈り・辻斬りが武士の自慢話になる時代にそれを実行するのがどれだけ大変か。
そういった時代背景を学者は無視する。
②宗教的、呪術的側面の軽視
宗教的、呪術的側面を軽視するから時代の区分けが変になる。
③「学者は間違いを犯さない」という間違ったプライド
②によって明らかに間違って歴史を区分しているが、学者はそれに気づきながらも直そうとしない。
例えば、
・飛鳥時代
飛鳥じゃないときもある。
首都固定・首都流転時代でくくった方が本質がみえる。
・安土桃山時代
桃山城なんて無いだろ。学者はひっそり「織豊時代」と言い換えてる。
現代においても同様に間違いを直そうとしないため、学者のプライドがミスリードの原因となる。
例えば、北朝鮮を「楽園」としたマスコミは拉致問題が明るみになっても北朝鮮だけ「北朝鮮民主主義人民共和国」とフルネームと呼ぶ特別扱い。
そのマスコミ、権威づけした学者・藤原彰は今も間違いを認めない。
■大日本帝国憲法と明治天皇
明治天皇は東アジアで最も優れた君主。
東アジアで支配的だった朱子学の影響を廃し、西洋的近代化を進めた。
これは世界史から客観的に見て、どう考えても優れている。骨の髄まで朱子学に染まった中韓なんぞ比較にもならん。
大日本帝国憲法も同様に良い憲法だった。
例えば憲法とセットになっている教育勅語。
今日ではよく左翼に文句を言われるが、そいつらはアントニーの法則どおりで時代背景がわかっていない。
当時、東アジアは朱子学の影響下。
中韓を支配している儒教(朱子学は儒教の一派)に公の概念はない。
朱子学は激しい男女差別と身分制度があり、上の人間は自分さえ良ければいいから平民を教育なんてしない。だから韓国は日本統治時代までハングルを教えなかった。
対して教育勅語に男女差別は一切ない。
身分制度が無くなり、国民みんなが勉強できるようになったからこそ「学べ」と言っている。
「天皇のために~」は当時「公」の概念が無かったのだからそう書くしかない。
教育勅語のおかげで日本人は公の概念を身につけることができた。
日清戦争は文明の対決、文明と野蛮の戦い。そういう大きな流れがある。
軍人を政治から外すために、軍人勅語と教育勅語は別になっている。それが当初の理念。
実際、大日本帝国憲法は日露戦争までうまくいっていた。というか、うまくいきすぎた。
破綻したのは制度が悪いのではなく、勘違いした人の運用で後に当初の理念をむちゃくちゃにされたから。
つまり今日における日本人の民度の高さは、大日本帝国憲法と明治天皇の恩恵。
敗戦で反省したからとか、ましてGHQのおかげではない。
▼感想
この密度で24冊って、井沢元彦さん凄すぎ。
書いてあることは表層にすぎず、裏にはさらに膨大な研究があるのがわかる。一冊で満腹になりました。
「怪しい戦国史」でもわかるとおり文献が全てで、科学的というか当時のリアリティを検証しないのはダメよね。
例えば現代の文献としてインタビュー記事や新聞だけを読んでも実際のところは何もわからない。学者は新聞を読むのが仕事ではないでしょう。
本書でいわれているように時代の区分けが全体理解の妨げになっている。
場所でいわれても意味がわからない。飛鳥とか安土ってどこやねんっていう。
いち地域を名前にするのがそもそも変じゃないかと。
例えばヨーロッパ史でイタリアが重要なときを「イタリア時代」って言うかって話。他を無視すなと。
そんな、色々な気づきがある一冊です。
オススメ度:★★★★
あわせて読みたい:「怪しい戦国史」
怪しい戦国史
いやいやマジかと。
学校で学んだ歴史は勝った側が盛りに盛っている史料が第一で、こんなにも軍事的な視点が欠けているのかと驚いた。
例えば、
源平の合戦では、戦国時代と人口変わらず動員力は低いのに桁違いの20万人が戦ったという謎。
他にも、
軍事的には「兵が3割減ったら壊滅的」が定説なのに、15000兵のうち10000人死んだとか。
15000兵に3000兵の奇襲作戦で勝ったとか。
いやいや、それはおかしいだろうと。
あとは上杉謙信の「車懸かり」。
たしかに一般的な説明を聞いても何でこの戦法が強いのか腑に落ちないんだよなー
でも「信長の野望」だと鬼のように強い(笑
本書いわく、車懸かりは台風のように回転するとかトリッキーなものではなく、当時は混合が当たり前だった部隊編成を兵種単位にしたものだった可能性が高い。
他の話も読んでいるうち「逆に日本史で正しくわかっていることなんてあるの?」と思えてくる。
日本史が軍事的にテキトーなのは、戦後に軍事の話そのものがタブー視されたのも原因なんだとか。
大東亜戦争の前後だけでなく、もっとさかのぼって歴史を見直さないといけないなーと感じた一冊。
・実用性:★★★
・オススメ度:★★★
百田尚樹『日本国紀』の真実
なかなか胸くそ悪い本を発見。
ご丁寧に日本国紀の隣に置いてあった。
なんでも百田さんは素人で、内容は偏っており根拠も論理もない。参考文献・引用が不透明。
内容はパクりだらけで粗く専門家が批評する価値はないのだとか。
例えば「南京大虐殺は無かった」という主張は右に偏ってるから中立的な調査が必要だという。
僕は「だったら早くやれよ!」と思った。
専門家がふがいないから、何十年も日本が世界中でボロカスいわれて国益を損ない続けてるんでしょ。
だから百田さん達「素人」が頑張るハメになってる。
百田さんの揚げ足とるだけの専門家と、人気YouTuberにコメ欄で難くせつける暇人は一体何が違うんだ?
と頭にきた。
裁判でしどろもどろ、右勢力にもいずれ捨てられる、朝生で袋叩き…そんなことどーでもいいわ。
本書にはこの言葉を送りたい。
「批評家になるな、いつも批判される側にいろ」(伊藤善太郎)
・実用性:★★★
・オススメ度:★
世界史
知略の本質 戦史に学ぶ逆転と勝利
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 4,914
▼紹介
第二次大戦からベトナム戦争、湾岸戦争までカバーして「戦略」について語る本。
僕はゲームでおなじみの独ソ、独英戦に注目して読んだ。
▼メモ
■ドイツvsソ連
ドイツは石油がないため電撃戦で一気にカタをつけるしかない。
補助的役割だった戦車の活用によって電撃戦を実現し、一気にフランスまで陥落させた。
ソ連戦でもナポレオン遠征の60万をはるかに超える360万の大群を用いた電撃戦でモスクワ陥落間近までいった。
ソ連は極東方面軍まで西に動員。だから日ソ中立条約を結んだ。
ヒトラーよりスターリンのほうが優秀、なんて話はプロパガンダ。
どちらも細かく指示を出して足を引っ張っている。どちらも優秀ではない。
勝敗を分けたのは補給。
たしかに雪は問題になったが、雪なんて時間の問題だしお互い様。
ソ連は鉄道網が使えたのがデカい。
アーリア人にこだわるドイツと、民族ごちゃまぜで片っ端から動員するソ連では人員の補給にも差がつく。
■ドイツvsイギリス
イギリスは国民が軍備に抵抗していたので防空体制が遅れていた。
ドイツに攻められたら一国で立ち向かうのはムリだとわかっていた。
アメリカ参戦を促すため、戦う意思を見せるのが重要だった。
アメリカ参戦まで耐えたら勝ち。
そんなときにのんびり政治をやっている暇はない。
チャーチルは独裁。
文民統制、憲法の範囲内で独断ではない体を保ちつつ、権力を政府に集中。国民に一致犠牲を求める。
新技術・レーダーが防空の要。
プラグマティズム※で実戦投入が間に合った。
※
第一に良い案→完璧は実現しない
第二→間に合わない
だから第三を選ぶ。
空が使えないから物資の輸送を海に頼るイギリスにとって、ドイツのUボートが脅威。
ここで登場するのが暗号解読機・エニグマ。
▼感想
日ソ中立条約は友好とかではなく戦略上のリアルなバランス。
世界は感情ではなく戦略で動いているわけだ。
ドイツが歩兵の補助だった戦車を活用した電撃戦を仕掛ける一方で、日本は戦艦の補助だった航空機を活用して電撃戦を仕掛けた。
石油が無い2国が違う形で同じ戦略になってるのが面白い。
当時のイギリスの状況は今の日本と被る気がする。
チャーチルが独裁を振るわなければイギリスはどうなっていたか…
日本もちんたらやってる暇なんてないし、戦う意思を見せるために準備しないと。
やる気なければそりゃアメリカも参戦しないわ。
「24のキーワード」でまるわかり! 最速で身につく世界史
アスコム
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▼紹介
24のキーワードで世界史の美味しい所をいただいてしまおう!って本。
なんとなく色んなことに興味を持つにはいいかも。
ただし内容は薄く軽く、ときには間違っているので本書だけ読んで満足するのはマズい。
▼メモ
■宗教とは「思い込み」
好きという思い込みで、無償の愛ささげる。アーティストのファンクラブ同じ。
ユダヤ、イスラム、キリスト教の3つは、ユダヤ教が元であり元をたどれば同じ神を崇拝している。
モーゼ、ムハンマド、キリストと、やはり同じような預言者が出てくる。
「そっちの神は間違ってる」というより、崇拝の仕方が違うことを問題にしている。
■一神教と多神教
多神教:森など沢山の動物がいる場所→他者への感謝=アニミズム
一神教:何もない場所→自分で決断してから動くしかない。だから自分の中にいる唯一神に従う
■中華思想
根本は儒教の年功序列。
4000年(最近は5000)の歴史を持つ自分達が一番偉い。
■産業革命
「食うために働く」だった人間の生活が「働くために食う」に変化。
機械を使った労働には知識や技術が必要で、準備期間が必要になった。
それにより働ける大人未満の存在「子供」という概念が誕生し、学校システムが整備された。
■国の種類
主権者によって分かれる。
王国:神に選ばれた王様
帝国:複数の国を皇帝(王)が納める
共和国:人民に選ばれた大統領
社会主義:会議自体が最高権力(例:ソビエト)
■その他
・ギリシャ哲学(アリストテレス、ソクラテス、プラトン)は、市民15に対して奴隷10という極端な貧富の差に支えられた生活の余裕が生んだ。
・馬+車=最強 (メソポタミア)
当時の文明レベルではちょっとした組み合わせの妙が歴史を動かす力になる。
▼感想
中華思想ってなんつー都合いい解釈なんだ。
中国が今のような一党独裁体制になったのは70年前だろ。(1949/10/1)
建国200年のアメリカより歴史浅い。儒教なら一番下っぱじゃねーかと。そして日本が一番上だ。
文明が継続してるなんて言い出したら、日本は縄文から数えて16,000年である。
近代史の、特に日本に関しては「ん?」と疑問に思う箇所がある。
明治維新は革命じゃないだろ。
上流階級である武士が自分の立場を脅かしてまで自国のために立ち上がった明治維新は、他国の市民革命とは全く違う。
「日本は戦争仕掛けて失敗したから、紛争の解決手段として武力は有効でないと知り、放棄した。
紛争を起こさないためには、間違ったプライド・野望を持たないこと。」
意訳すると、上記のようなことも書いてある。
最終的には「自分で学ぶのが重要」と絶妙に濁してるけど、やっぱり戦後のアカデミックな見方だなと。
まず「日本が戦争を仕掛けた」というのが一方的な見方だし、抑止力としての武力を無視してる。
今どき武力による領土拡大なんて野望持ってるのは中国だけだろう。
本書は、反面教師として「自分で学ぶのが重要」と教えているのかもしれない。
・実用性:★★★
・オススメ度:★★
一冊でわかるドイツ史
河出書房新社
売り上げランキング: 7,853
▼紹介
一冊でドイツ史の大まかな流れがわかります。
しかし難をいえば、「そのころ日本では?」をヨーロッパ史とリンクさせてほしかった気が。
全然関係ないこと(のように)書いてあるから。
▼メモ・感想
■今のドイツは第四帝国
ドイツは「ドイツ」になってからたったの200年。
・神聖ローマ帝国
・ビスマルク
・ナチス
・現在
3回潰され、3回復興している。
そういう意味では、日本はまだ第二帝国か。
■ヨーロッパの歴史は弱肉強食
平和ボケするたび、隙をうかがっている革命児に潰される繰り返し。
第一次大戦以前からずっとゴチャゴチャ揉めてる。
こんな場所で「みんなで仲良く」とか言ってられないわ。
オーストリアが永世中立とか言ってる理由もわかる。
ローマ崩壊後ずっと内政グダグダ頼りなく、戦っても弱くて一瞬で負けるからもう諦めたんだな。平和を目指して、とかじゃなく処世術だ。
ドイツが、責任を全部ナチスに押し付けるのも処世術。
■ナポレオン
900年続く神聖ローマ帝国をぶっ潰したカリスマ。
本書を読むまでナポレオンが何をした人か知らなかった。
しかしロシアに手を出したのが運の尽き。
ヒトラーといい、ロシアに手を出すとロクなことがない。
■鉄血宰相ビスマルク
フランス革命の影響で、ドイツの内政もグダクタになったから鉄血で収めたのがビスマルク。
ヒトラーといい、強権リーダーか生まれるのには理由がある。
一方、日本では明治維新。
岩倉使節団がヨーロッパを視察し、君主制と天皇制の相性がいいドイツの憲法を取り入れたんだとか。
ヨーロッパの情勢を見て「こりゃチンタラしてらんねーな」と思っただろうな~
■ヴェルサイユ条約
ヴェルサイユ条約の負担がデカすぎて、経済を立て直すため紙幣刷りまくってハイパーインフレ。
レンテンマルク(マルクの1兆分の1)を発行して奇跡的にインフレを収束させた。
しかしアメリカ発の世界恐慌でトドメを刺され、もうやってられん!と不満が高まったところに登場したのがナチス。
■ドイツ東西分断
二次大戦後のドイツ東西分断を見ると、日本が東西分断させられなくて本当によかったなと思う。
名古屋の前後で関東・関西分断されるみたいなもんだ。
冷戦の最前線に立たされてドイツ同士敵になるなんて最悪じゃないか。
特に貧困極まる東ドイツにされた方はたまらんぜ。
しかし日本も無事ではない。
分断されるかわりに、政治・マスコミ・学者にそっち系の人間が入り込んでるのが厄介。
内部から分断されているともいえる。
・実用性:★★★★
・オススメ度:★★★★
その他
世界から戦争がなくならない本当の理由
タイトルから何かが透けて見えることで、今までは捉えどころがなかった池上さんの姿がはっきり見えた。
いわゆる「池上ファンタジー」をはっきり感じた。
内容を極端に意訳すると「世界から戦争がなくならない本当の理由は日本人の反省が足りないから」ってことになる。
はっきりとは書いていない、でもそんな印象になる。
なぜそんな印象になるかというと、肝心の「本当の理由」をはっきりさせないまま次第に「日本人が自らを省みて反省しなければいけない」って方向に話が流れていくから。
まず序盤、ソ連の章で「平和憲法」という言葉がさらっと出てくる。
こんなレッテル貼り、今どきまともな人は使わない。
メディアで言葉を使う人なら正しく「日本国憲法(第9条)」と言うべきだろう。
これが気になってもう序盤から話が頭に入らなくなった。
ドイツの章では意訳すると、
「日本は東京裁判で裁かれた。つまり反省を他人任せにした。一方ドイツは自分で(ナチスに政権を渡したことを)徹底的に反省した。」
とある。
いやいや、ちょっと待ってくれ。ドイツは「徹底的にナチスへ責任転嫁した」の間違いだろう。
ナチス以外に責任を求めたら言論弾圧されるドイツを見習うことなんてできない。反省したら怒られるんだから。
日本はときの総理や主権者である天皇のせいになんてしていない。一人ひとりがまともに反省したからこの有様だ。
こんな調子でファンタジーな話が続き、最後には「バックミラー(自分の)反省が足りない」って話になり、ネトウヨ批判が入って終わる。
結局これが言いたかったんかい。「ネトウヨ」もレッテル貼りだからもうウンザリ。
てか、いくら日本が反省しても中国みたいなのが一方的に絡んでくるから関係ないだろ。
「イジメはイジメられている奴が悪い」と言っているようなもの。
どうせなら同じタイトルで「中国の反省が足りない」って趣旨の本を作ってあっちの国に送ってくれよ。
あるいは、まさかとは思うが池上さんは、70年前の日本が必要もないのにノリノリで侵略戦争を仕掛けたと思っているのか?
そもそも、現代は平和ではなく既に戦争が始まっていると見るべきだろう。
既に領土・領海・領空を犯されている。これは国際的には戦争状態にあたる。
かつサイバーや経済、文化で激しい攻撃を受けている。
ようするに、昔とは戦争の姿が変わったから見えていないだけ。
歴史を学んだ結果、現代のことが見えなくなったら本末転倒だ。
総じて本書は、僕でもわかるレベルの池上ファンタジーが炸裂している。
つまり「都合よく編集された二次情報」の最たるものだと思った。
「その池上本を元にした中田敦彦のYouTube動画なんて、もう三次情報だから何も残ってないんじゃないか?」
とも思った。
歴史とは靴である 17歳の特別教室
▼紹介
歴史が靴?と、タイトルと真っ黄色な表紙が気になって読みました。
▼メモ
歴史を知ると安全に世のなかを歩ける。歴史は実用品、いわば靴である。
似たような前例から思考すれば成功パターンがわかるから成功しやすい。
歴史は実験できないから再現性がない。だから後知恵になりがち。
しかし、どの時代でも共通する人間の習性・特性ってのはある。
それをみつけると原理原則として教訓になる。
■人間だけが歴史を使える
他人事を自分ごとに変換=抽象化し、抽象的概念を表現=象徴化できるのは人間だけ。
歴史を使うのは人間ならではの知恵。
典型的な象徴は、カミ・クニ・カネの「3K」
人間は石器時代から象徴を使っている。
例)
左右対称の石器を作る。
道具つくるための道具を作る。
ビーズのような装飾を作る。
■「使える歴史」は人それぞれ
「使える歴史」は人それぞれ異なる。
史料の組み合わせ次第で、人それぞれの歴史を作れる。人それぞれの歴史があっていい。
教科書とは、「一般化した日本人」として重要な国の原因・結果を書いたもの。
それだけが歴史ではないし、今の教科書・常識もいずれ変わる。
全てに歴史がある。ブタにもトイレにも。それら全てが史料になる。
例えば、コンビニの監視カメラは現代の史料になる。
権威ある史料だけが歴史ではない。
一次史料が書かれた年代は識字率が低いため、文献のような史料を残せる人は限られている。
だから切り取られた情報になる。
しかも「今はとりあえず建前を書いたけど、後だから本音が書ける」場合もある。
二次史料は手が入っているから当然疑う必要がある。
■教養とは「ムダ」である
知識を増やすことが教養ではない。
実際、知識はほとんど忘れる。でも「なんとなく触れたことがある感じ」が残る。これが重要。
例えば、落語を観ても内容はほとんど忘れる。でも落語のことはなんか知ってる感じになる。
この「触れたことがある・なんか知ってる」がつながって視野が広がる。
基礎研究にも同じことがいえる。
戦時中、日本は直線的に頑張り、既にジャンルとして存在するものの最先端である大和や零戦を作った。
一方、アメリカでは色んな基礎研究がつながって大型爆撃機・B29を作った。
日本の直線的なやり方では、既にあるモノの改良はできても、戦略のパワーバランスを一変させる大型爆撃機のような兵器は作れない。
教養・基礎研究の有る・無しではこういう差がつく。
今後は工場労働が終わり「発想の結合」で価値を作る時代になる。
興味あるものを組み合わせて「いいね」と共感を得て価値になる。
だから直線的な勉強だけでなく、視野を広げるのが重要。
▼感想
「まず教科書があり、それを覚えるのが勉強」ではないことがわかりました。
自分なりに史料を集め、組み合わせ、実用的な形にする。
これが靴として使える歴史。
また「教養」についてヒントが出てきました。
「メンタルの強化書」(著:佐藤優)には「教養=立ち止まる力」とありました。
本書と合わせると「教養とはムダであり、立ち止まる力である」になります。
教養の正体が見えてきました。
ようするに、
「教養をビジネスに活かす、教養がないと生き残れない」
みたいな、ビジネス本にありがちなメッセージは直線的な捉え方であり本質とは違うってこと。
ニュータウンの社会史
青弓社
売り上げランキング: 40,398
▼紹介
ニュータウン、中でも日本最大の多摩ニュータウンだけを掘り下げた、そしてなぜか最後まで読んでしまった本。
面白いけどこんな本売れないだろ(笑
図書館とか大学が買うのかな。
▼メモ・感想
1898年にイギリスのエベネザー・ハワードが提唱した「田園都市」からニュータウンの構想がスタートしたんだとか。
産業革命が進行したイギリスではいち早く必要性に迫られてたわけだ。
コンセプトは「都市と農村の結婚」。
都市の経済的利点と、農村の優れた生活環境を組み合わせたハイブリッドな生活を提案。
しかし、職場が郊外に移転した例は少なく、結局はただのベッドタウンになってしまった。
田園都市は机上の空論だったわけで、それスタートで作られたニュータウンも歪みを抱えていたわけだ。
多摩ニュータウンの30万人都市も開発前はただの農村。
その開発前の写真を見るとなんともいえない気分になる。
多摩ニュータウンはさらにインフラ開発が遅れたことで陸の孤島になっちゃった。
本の最後では「ニュータウンはタウンになったのだ」と締め括られている。
ニュータウンがニューといいながら古臭い象徴になってるのが物悲しい。
逆の意味になったのは「文化住宅」も同じ。
昔は憧れの意味で呼んでいた。文化的だから文化住宅だった。
それが今では文化的ではないものの象徴になっている。
だから幸福、平和とか耳障りの良い言葉をゴリ押ししてきたら怪しいと思った方が良いかも。
気がついたら逆の意味になってるかもしれない。
実用性:★
オススメ度:★★
サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福
サピエンス全史(上) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福
売り上げランキング: 354
▼紹介
「人類は狩猟から農耕に移行して安定した生活を手に入れた」
なんて学校で習いますよね。それは本当か?と思う上下2冊。
噛みごたえあるけど、分厚いし読みづらい。
僕は歴史の基礎知識が少ないので、ガッツリ読もうとすると集中力出ません(汗
興味出る部分からざっくり読みましょう。
▼メモ
■狩猟生活は幸せだった
狩猟生活でも大人の寿命は長く、食事は農耕より豊かで、労働時間は短い。
人間は雑食なので農作物中心の食生活は健康に悪い。
また本来は狩猟に向いた体なので、農耕によりヘルニアになる。
伝染病は農耕が原因。
たしかに農耕により一時的に定住が可能になったが、人口が増えればジリ貧。
ローンで家を買うようなもの。
数世代これでやってきたから今さら狩猟には戻れない。
これはいわば詐欺だ。
農耕で得をしたのは小麦・稲・ジャガイモといった穀類。
人類はまんまとハメられた形。本当の被害者は家畜。
■虚構に支配された農耕民族
農耕民族は貧しいが、定住により未来を考えることが可能になり不安がつのる。
だから神、信仰=「虚構」を作り組織を保つ。
現代の虚構は、国や会社。最大の虚構は貨幣。
国の力は弱まり、エリート層がグローバルという名で虚構を支配している。
虚構から逃れる術はない。
虚構を抜け出すにはより大きな虚構が必要というジレンマ。
会社を潰すには法律を、法律を潰すなら国を、国を潰すなら世界の力が必要。
▼感想
縄文人の生活は食事もバリエーションに富み、豊かだったという話を聞いたことがあります。
詐欺で農耕民族になってしまったとしたら悲劇。
まんまと穀物にハメられたか、あるいは穀物を与えた宇宙人の企みか。
どちらにしろ人類は道を間違ってしまったのかも。
農耕生活はサラリーマンと似てます。
わりに合わない仕事を強いられても社会という虚構から逃れられない。
最近のビジネス本のトレンドはつまり、
「詐欺の農耕生活から脱し、働きたいだけ働く、稼ぎたいだけ稼ぐ狩猟生活に移行しよう」
ってことです。
仮想通貨っていうけど、通貨がそもそも仮想・虚構なんですよね。
調べると、海外では仮想通貨(Virtual currency)ではなく、暗号通貨(Cryptocurrency、クリプトカレンシー)と呼ばれることの方が多いのだとか。
たしかに暗号通貨の方が的を得てる。
・実用性:★★★
・オススメ度:★★★★★
サピエンス全史(下)
河出書房新社
売り上げランキング: 252
▼メモ
歴史は、「どうやって」には答えられるけど「なぜ」には答えられない。
必然性はない。最もらしい説明は後知恵である。
残った文明より滅びた文明が劣っていたわけではない。そもそも優劣の判断基準がない。
だから歴史を学ぶのは未来を予測するためではない、現在に色んな可能性あることを知るため。
仏教・キリスト教・イスラムなどどんな宗教でも教義において世界の全ては明らかである。
世界をわからない「無知」として研究を始めたのが科学革命。いわば無知の発明。
科学革命によりヨーロッパが力をつけたのは18世紀中ごろ。つい最近。
それまでははるか昔の黄金時代からずっと停滞しており、中国インドが世界の経済で支配的だった。
科学革命がヨーロッパで起きたのは別に人種が優れていたのではなく、価値観・社会制度がたまたま科学革命に合っていたから。
資本主義の仕組みはネズミ講と同じ。
成長を前提に、信用で貨幣を複製している。
信用で複製、それで加速・成長してまた信用で~のループ。
▼感想
「歴史を知れば未来がわかる」なんて言う人がいるけどデタラメ。野球のダメ解説者と同じ。
NHKの番組みたいにもっともらしく説明しているのは要注意ってことですね。
とはいえ「やっぱりなんか必然性あるんじゃないの?」
と腑に落ちない気も。
例えば、日本がアジアでいち早く先進国になったのは「たまたま、明治維新から西洋の文化を急速に取り入れたから」と書いてあるけど、いやいやその前の積み重ねがあるでしょうに。そっちの方が重要でしょうに。
この辺は自分の読み込みが浅くて本質を捉えていない気がするので、また時間を置いて読みます。
仕組みだけ見ると「資本主義って大丈夫?」と疑問に感じます。
成長を前提にしてるから、いつまでも続く仕組みとは思えないんですけど。
僕は資本主義の中にいるけど資本主義のことは何も知らない。考えてみれば変な話です。
資本主義でどう生きるか、なんて学校で習った記憶はありません。
だからそれを知ってる親がいると子供は金持ちになる。逆もしかり。
ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来
河出書房新社 (2018-09-05)
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▼紹介
サピエンス全史の続編にあたる本。
中盤から完全に話についていけませんでした。レベル高いなこれ。
時間を置いてまた読みます。
▼メモ
■人間は飢餓・疫病・戦争をという生存競争を乗り越えた
・飢餓
肥満が原因で死亡する人数は飢餓の3倍。(肥満300万人、100万人)
「恵まれない人」は実は少なく、グローバル化により世界全体が中間層になりつつある。
・疫病
世界的な蔓延は防げる体制がほぼ完成している。
・戦争
大国同士の戦争は無い。もう得しないから。
テロの被害者数は8000人弱で、主に発展途上国。
被害者数だけでいえばテロよりコカ・コーラの方が圧倒的脅威。
テロは恐怖に対する我々の反応の問題。
大型動物の割合は「人間:家畜:野生=3:7:1」
人間は地球を支配した。
家畜=7割の大型動物は生き物らしい欲求を抑えられ、ただ生きるだけ。非人道的ならぬ「非動物的」な生を強いられている。
狩猟生活ではこうならない。農耕によって生まれた状況。
■生存競争を乗り越えた人間はこの先、神を目指す
神=不老不死を目指す
可能性を制限する肉体の超越が目標。
方法は以下の3つ
・生物学遺伝子操作
・サイボーグ
・無機生物
▼感想
僕は最近、犬好きになったんです。
可愛くて汚れのないパピヨンちゃんを見ていると「地球上から人間だけ消滅すれば良いのに」と思ったりします。
でも、もうムリなんですよね。
一度禁断の果実を食べたら神になる道を歩み続けるしかない。もう後戻りはできないわけです。
僕が生きてるうちに実現するかは謎だし、実現してもまずは金持ちから実践することになるでしょう。
僕もあと50年ぐらい後に生まれて神になりたかったな~