まともに遊べそうな作品を厳選して紹介します。
ドラゴンボールゲームの歴史
まずドラゴンボール(DB)ゲーの大まかな流れを説明します。
DBゲーはザックリとPS2「Z1」以前・以後に分けることができます。
Z1以前は作りが粗い、原作人気で売り込むだけのキャラゲーでした。
SFCでは「超武闘伝2」という名作を生んだものの、次世代機PS/SSに移行してからは良いとこ無し。
「偉大なるドラゴンボール伝説」
「ファイナルバウト」
が典型的な粗いキャラゲーです。
それから6年経ってPS2で登場した「Z1」以後は、システムをじっくりと熟成し正当進化させて名作「スパーキングメテオ」を生み出すに至ります。
でもその後はやはりキャラゲー、バンナムゲー。
PS3ハードに移行してもPS2水準を一歩も超える気がなく、マンネリ感をごまかすためにアレンジという名の劣化を繰り返します。
その殻をようやく破ったのがPS4の「ゼノバース」。
最大3対3のチーム戦となり、アバター(オリジナルキャラ)を中心に原作再現ではないパラレルワールドを描きます。
良い悪いはともかく、DBゲーが新たなステージに踏み出しました。
SFC
ドラゴンボールZ 超サイヤ伝説
ドラゴンボールZ 超武闘伝1~3
SS/PS
ドラゴンボールZ Ultimate Battle 22
ドラゴンボールZ 偉大なるドラゴンボール伝説
「偉大なるドラゴンボール伝説」は、3対3の最大6人が入り乱れる多人数バトルが楽しめます。
さっそく残念なお知らせですが、本作は出来の良いゲームではありません。
フィールドは3D、キャラは2D。
どちらも粗い、スーファミより粗い。
オリジナルBGMにはアニメ版のような熱さ・緊張感がない。印象が薄くて盛り上がりに欠けます。
操作性も悪い。
アニメ枚数が少なくて動きがぎこちなく、ゲーム性は2Dなのに上下で前後移動というのがしっくりきません。
戦闘システムが非常に大味。
攻撃方法は「殴る、気弾」の2種類のみ。
なんと通常攻撃ではダメージが一切入りません。頑張ってボコボコ殴り続けてメーターを傾け、自動発動の必殺技を数発当てて倒します。ええ、単調です。
この必殺技デモがずっとフリーズしてんのかってぐらい長いのもツラい。
実は本作において真に画期的なのは多人数バトルではなく、バトル中にセレクトを押したときの画面なのです。
なんとオートで戦ってくれます。この画面で放置すれば全員オートでクリア可能。これが本当のムービーゲー。
この間、控えに回ったキャラが原作に沿った台詞をダラダラと喋ってくれます。
今の時代、本作レベルの作品がフルプライスで発売されたら軽い事件になるでしょう。
とはいえ、メインモード「Zキャンペーンモード」は原作再現という意味で見どころがあるので、1人で遊んでも数時間は楽しめるかもしれません。
ちなみに、SS版の方が背景、アニメ枚数、SEなど微妙に出来が良いらしいです。どうせ買うならSS版がおすすめ。
ドラゴンボール FINAL BOUT
「ドラゴンボール ファイナルバウト」は、ドラゴンボールゲーム初のフル3Dポリゴンが売りです。
その出来は、仮に「DBゲーで一番のク◯ゲーはどれ?」とアンケートを取ったら上位を争うレベル。
当時、セガサターンだけ持っていた僕としては「セガサターン派で良かったぁ~」と思える作品です。
ゲームを始めてみると、まずストーリーモードがありません。
キャラは計18人と少なめ。しかも半分は悟空とトランクスで作りはほぼコンパチという手抜きぶり。
いざ対戦が始めるとグラフィックが非常に粗くて面食らいます。
顔にも造形にもドラゴンボールらしさがない。悟空の顔はもはやルフィ。
そして動かすと一瞬でわかる操作フィーリングの悪さ。
すべての動作がラグくて遅い。その上でハメ技のバーゲンセール状態。
ちなみに、CPU戦ではセルのグランドスライダーがお手軽にハマるので便利です。
好きなキャラを育成して最強戦士を目指す「BUILD UPモード」が売りだけど、これもまた粗い。
LV補正が極端すぎるのと、ハメ続ければ延々と経験値を稼げる仕様が相まって作業感が凄いです。
つまり本作は、
悟空風にいえば「オラこんなクソゲーはじめてだぞ!」
ベジータ風に言えば「これは…スーパークソゲーだ!」
な作品。
僕のように当時、PSを持っていなくて本作を遊べず悔しい思いをした方はプレイしておきましょう。
思い残すことがなくなってスッキリしますよ。
PS2
ドラゴンボールZ
「ドラゴンボールZ」は、あのクソゲーと名高い「FINAL BOUT」から6年ぶりのDBゲー。
Z2,3→Sparkingシリーズへと続き大ヒットを連発する、PS2・DBシリーズの初作。
PS2初作ということでボリューム不足、対戦は大味な感があります。
ストーリーモード・登場キャラはセル編まで。
基本的にはボコボコ殴るだけ。なんだか地味。
キャラの個性が薄いのも物足りない。
次作「Z2」でトゥーンレンダリングを導入する前なので、グラフィックが粘土みたいな質感でのっぺりしているのも気になるところ。
一方で、デモの原作再現度は高いです。むしろデモがメインみたいな作り。
アニメ完全再現なデモ演出の充実度は後のDBゲーをはるかに上回っています。
原作再現の一周目をクリアすると、原作とは違うパラレルな展開が楽しめる「ifストーリー」が遊べるようになります。
本作は原作アレンジ、オリジナル展開、新キャラを解禁して、その後のDB再ブームのきっかけを作った偉大な作品といえます。
正直、今プレイするとツラい内容。
でも後の作品に引き継がれた要素は多く、PS2・DBゲーの土台になっているのは間違いない。
DBゲーの進化を確認するという意味で、今から本作をプレイする価値はあります。
ドラゴンボールZ2
「ドラゴンボールZ2」は、前作「Z1」の続編にあたる作品です。
セル編までの収録だった前作から、本作ではついに原作の最後・魔人ブウ編までをカバーしました。
それに応じてフュージョン、ポタラ、吸収など戦闘中の形態変化が多彩になっています。
グラフィック面では、トゥーンレンダリング(ポリゴンモデルをアニメチックに加工する技術)を新たに導入。
いかにもポリゴンでのっぺりしていた前作から雰囲気が格段に良くなっています。
このグラフィックが成功したことで、トゥーンレンダリングはDBゲーだけでなくキャラゲーのスタンダードになります。
問題は、キャラを作る手間が3倍になるというトゥーンレンダリングに開発リソースを食われた影響が出ちゃってる点。
メインモード「ドラゴンワールドモード」が酷い出来。
戦略性の欠片もないボードゲームをやらされます。
2Dマップを何枚か作って、コマを配置し、会話パターンを乗せるだけ。
キャラはアドベンチャーゲームのような対面画面で絡むのでイベントシーンも作らなくていい。
よって「究極のコストカット」といえるモードに仕上がっています。
「キャラを作るのに開発リソースを使い切ってしまったので、他はこれで我慢してくれ」
と言われているような気がしました。
キャラ数・グラフィック・システムは次作「Z3」が上位互換なので、現在あえて本作を選ぶ意味は無いです。
ただ、DBゲーにおけるグラフィックの基礎を作った意義は大きいといえます。
ドラゴンボールZ3
「ドラゴンボールZ3」は、PS2のドラゴンボールシリーズ第3作目。
Z1で対戦システムの基礎を作り、
Z2でグラフィックの基礎を作り、
Z3でようやくゲームがまとまりました。
グラフィックは階調が増え、境界がくっきりして前作より豪華な印象です。
キャラが増えて、変身・合体抜きでも38体。充実のラインナップ。
特に劇場版・GTのキャラ追加が嬉しいです。バーダック、クウラ、ブロリーというアニメ版屈指の人気キャラが使えます。
バトルシステムは前作を引き継いだ上で、多数の改良点と追加要素が入っています。
中でも目立つのは強化形態になる「ハイパーモード」と、ド派手なジャンケンが始まる「ドラゴンラッシュ」。
メインモード「ドラゴンユニバース」は箱庭型の3Dマップを自由に飛び回れます。
こんな表現はドラゴンボールゲーム史上初。メインモードがスゴロクだった前作とは力の入れ方が違う。
シナリオ中の行動による分岐があり、全て遊ぼうとすると大ボリューム。
隠されたアイテム・イベントを見つけるやり込み要素があります。
総じて、DBゲーが進化し次世代に突入した感があります。
ディンプス開発のPS2ドラゴンボールゲーム(Z1~3・IF)の中で本作が最高傑作なのは間違いないでしょう。
ただ、ドラゴンラッシュの演出が長すぎるのが気になります。
対戦のテンポを著しく悪化させており、個人的には致命的。
だから対戦ツールとして1本残すなら、僕はドラゴンラッシュが無い「インフィニットワールド」(IF)を選ぶかな。
超ドラゴンボールZ
超ドラゴンボールZは、アーケード移植の格ゲー。
Z1~Z3・スパーキングのはっちゃけた作風とは違う、PS2ドラゴンボール(DB)ゲームの中でも異色な100円を入れて真面目に戦う感じに仕上がっています。
「ストリートファイターシリーズ」でおなじみの船水紀孝・西谷亮氏が開発スタッフということで、見た目は完全3Dだけど2D格ゲーっぽいフィーリング。
攻撃は弱・強の2ボタン。組み合わせでコンボが出ます。
気弾などの固有技は昔ながらのコマンド入力。例えば、かめはめ波は波動拳。
一方でガード・ジャンプはボタン操作なので少々とっつきにくい。
舞空術のホバーみたいな挙動も戸惑います。
グラフィックの原作再現度はPS2・DBゲーの中で一番。
マットな質感と落ち着いた色味でコピックイラストの味が出ています。
背景にはハッチング(線を重ねて質感を出す表現)のディティールが入り、遠景まで緻密に描写。
このように原作再現のグラフィックでガチ対人戦が楽しめる、見どころの多い作品です。
でも「なんだか地味」と感じてしまうのがもったいないところ。
Pセルや魔人ベジータ達が普通に2D格ゲーしていると「なんだかなぁ~」って印象。
当時のゲーマーはZ1~3ではっちゃけたゲームに慣れてしまったため、真面目な作りの本作は賛否両論。というか主に否が多く、中古の値段はすぐガタ落ちしたそうです。
アーケードでも受けは悪かったらしい。
対戦ツールとして割り切った作りなので、キャラゲーとして物足りないのも地味な印象になる要因です。
まずストーリーモードが無いし、キャラは18人とZ3の38体から半減しています。
なので1人で遊ぶと「Z3やスパーキングシリーズの方が派手で楽しい」って感想になりがち。
でも本作は決してクソゲーではありません。
本作ならではの戦闘システムやグラフィックには堅実な作り込みを感じます。
対戦相手がいる方はその作り込みを存分に楽しめるはず。対人戦を楽しむ地味ゲー、いや「するめゲー」。
ドラゴンボールZ Sparking! METEOR
「ドラゴンボールZ スパーキングメテオ」はスパーキングシリーズ3作目で、シリーズ最終作。
3D空間を飛び回る迫力でドラゴンボールファンの心をわしづかみにしたスパーキングシリーズ、その集大成といえる作品です。
・DBゲー史上最高のグラフィック&BGM
・DBゲー史上最高の超スピードバトル!
・DBゲー史上最高の圧倒的ボリュームと作り込み
このように、DBゲー史上最高が3つ揃っちゃいました。
「これぞドラゴンボール!」というグラフィックで、眼が追いつかないほどの超スピードで広大なフィールドを飛び回る!
本作のグラフィックと比べれば、PS3・PS4作品の後続作品はトゥーンレンダリングとリアル調の中途半端で、むしろ劣化しているように感じます。
BGMが原作そのままなのも嬉しすぎ。
普通に「ソリテッドスカウター」(バータックのテーマ曲)とか流してくれます。
よくわかんないポップなオリジナルBGMが流れる近年の作品とは大違い。
キャラ数は現在でもDBゲー史上最多の161体という大ボリューム。
出てくる敵キャラが被らないから豪華に感じるし、主役を引き立てる賑やかしキャラがゲーム内に存在するだけで嬉しいものです。
一体一体の作り込みも妥協はありません。
トランクスやジャネンバ、コルド大王は剣を使い、ベジットは手を使わずナメプしてくれます。あとDr.ウィローがしっかりキモい。
とってつけたようなモードしかないのが難点ですが、ゲーム1本にこれ以上を望むのは酷というものでしょう。
PS2黄金期に作品を重ねて正統進化してきたDBゲー系譜の頂点。
間違いなくDBゲー史上最高傑作のひとつです。
ドラゴンボールZ インフィニットワールド
「インフィニットワールド」は、PS2ハードのドラゴンボール最終作。
あの「スパーキングメテオ」の1年後、2008年11月4日発売。
しかしぱっと見が「ドラゴンボールZ3」と全く同じで、立ち位置がよくわからない作品です。
その内容は、Z3の使い回しどころかZ3劣化版。
というのも、メインモード「ドラゴンミッション」が酷いことになっているのです。
具体的な難点は次の3つ。
・ミニゲームがドつまらん上に難しい
操作性の悪い探索やリズムゲー、フリーザに気円斬、気功砲でセルを足止めするなど、色んなミニゲームをやらされます。
それらミニゲームのどれもがドつまらん上に難しい。
・敵が強すぎてバトルが楽しめない
本作の難易度はなぜか「とてもやさしい=難しい」仕様になっています。最低ラインが高くてツラい。
・ショップUIが不便すぎる
ようするに、
「ドラゴンボールゲーなら何でも売れるし、せっかくだから手持ちの素材を使ってもう一本作っとこう。もしコケてもファンはこりずに次も買うからノーリスク」
そんなスケベ心が見え見えです。
しかも当時のPVやCMでは「ドラゴンボールゲームの最高傑作、集大成、究極」などと謳っていたらしい。
そりゃ評価が低くなって当然だわ。
唯一評価できるのは、Z3で対戦のテンポを悪化させていたシステム「ドラゴンラッシュ」が無くなったこと。
キャラもZ3から多少増えているので、対戦ツールとしてはZ3よりオススメです。
PS3
PS4
ドラゴンボール ゼノバース2
「ゼノバース2」は、3D空間で複数のキャラが入り乱れるチーム戦が楽しめます。
ドラゴンボール世界を詰め込んだ箱庭「コントン都」が舞台。
アバター(オリジナルキャラ)を操作して、原作を改変する謎の存在と戦っていきます。
特筆すべきは、キャラゲーらしからぬ大ボリューム。
見渡す限り広がる箱庭マップには、オモチャ箱のようにドラゴンボール世界が詰め込まれています。
同じ箱庭マップでも、だだっ広い大陸だった「ドラゴンボールZ3」とは比較になりません。ここには確かにZ3から12年分の進化があります。
その箱庭世界に散りばめられたイベントとやり込み要素の多さも、間違いなく歴代DBゲーム中トップ。
よって1人で遊んでも満足できる作品です。
ただ気になる点もあります。
・3対3の6体が入り乱れる対戦画面がカオスで見づらい
囲まれたらボコボコにされすぎて、自キャラがビリヤードやバレーボールの玉みたいになります。
・余計な演出とロードでテンポが悪い
・一部のPQ・EMが難しいを超えて理不尽
これらの難点は、1年たって買い戻した後も慣れることができませんでした。
とはいえ、じっくり遊べばDBゲー随一の満足感を味わえる作品です。
とにかくまったりDBゲーを遊びたいときは本作を選べば間違いなし。