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シェンムー 1章 横須賀【評価/攻略】開発費70億円でフォークリフトバイトの日々を表現

投稿日:2018-09-17 更新日:






ドリームキャストが残した生ける伝説。

よくあるオープンワールドや、アニメ調の女の子ばかり出てくる和ゲーに飽きた人が増え、再び注目度が上がっている作品です。

2015年6月、E3で「シェンムーⅢ」制作が発表されました!
FF7リメイクを超える会場の盛り上がりは記憶に新しいですね。

「Ⅲ」は2019年発売予定。
「Ⅲ」を100%楽しむなら前2作の「一章」「Ⅱ」はプレイ必須!

そこで、
発売当時に「一章」をプレイした思い出と、今再びプレイした感想を交えながら、伝説のゲームの魅力を紹介します。



シェンムー1章横須賀とは

セガ発、大作RPGになるはずだった

■シェンムーが完成するまでのいきさつ

ときは「バーチャファイター3」開発が終了した頃。

セガはRPGのビッグタイトルを作ろうとしたが、誰もやる人がいなかった。

そこで白羽の矢が立ったのが、バーチャファイターなどでアーケードのヒット作を連発した鈴木裕氏。

アーケードゲームは3分ほどの短時間でユーザーを楽しませるのが目的だが、家庭用ゲームには時間制限がないので勝手が違う。

家庭用ゲームの経験が乏しい鈴木氏は当時のゲームをリサーチ。
経験がないからこそ気になる「家庭用ゲームお決まりの作法」を洗い出し、新しいRPGについて考えた。

それを元にバーチャのアキラを使った「バーチャファイターRPG」としてフルCGのRPG制作がスタート。

当初はサターン向けに開発していたが、途中で次世代機向けに移行。
次世代機ならニュータイトルの方が有利ということでタイトルも変更。

優位に立つPSに対抗するためプロジェクトの大作化が進み、想定プレイ時間が増加。
ハード性能が上がったことで作り込みの作業量も膨れ上がった。

こうして1999年の終わり、
開発費70億円のギネス級ゲームが誕生した。

当時のNHKの制作ドキュメントで、体育館のような広いオフィスに300人が集まって制作している様は圧巻ですよ!

 

これが1999年発売ってのがありえない。

外側(ガワ)だけなら2010年からタイムスリップしてきたようなゲーム。
これがPS2本体発売の3ヶ月前に出てるのだから驚き。

グラフィックの精細さではPS3以降のハードには及びませんが、圧倒的な作り込みは今でもずば抜けています。
箱庭の「濃さ」でいえばいまだに最強なのでは。

 

建築デザイナーを起用し、隅々まで現実に合わせて設計した町並み。
圧倒的な作り込みによってそこに世界があるように感じます。

マップは自宅、田舎道、狭い商店街、だだっ広い港。
旅立つ前のプロローグにあたる「一章」はこのしみったれた風景で完結。

この作り込みが凄いです。
雨の日のしみったれた雰囲気がリアルすぎてテンションが下がるほど。

 

背後カメラが動く、今でいうTPS。
移動中も自分でカメラを動かせます。

当時のRPGといえば、

・旧バイオやFF8みたいな固定カメラ
・グランディアのような見下ろし
・女神転生のような限られた範囲を描写する3Dダンジョン

が主流ので画期的。
劇的にゲームを進化させました。

 

仕事現場の雰囲気もリアルに表現。

僕は工事現場で半年ほど働いたことがあるので、思い出してまたテンションが下がります。

ところで、
なんでこういう現場ってみんな集まって飯食うんでしょうね。休憩できないやん。

 

申し訳程度の青春要素あり。

ヒロイン「原崎望」(CV:安めぐみ)の棒読みがあどけなくて良い味。

 

開発費70億円の日常シミュレーター

もはや手段が目的化した作り込み。

あらゆる要素がゲームの進行と無関係。
NPCとの他愛もない会話や、コンビニで日用品を買ったりして寄り道したり。
ゲームクリアには関係ないことを楽しめます。

 

しかし、アイテムなどの報酬つきのサブクエに相当するものはありません。

「あっちも見に行きたい」
「この雰囲気にひたりたい」

みたいなプレイヤーのモチベーションのみで遊びます。

ゲームというよりはまるで日常シミュレーター。

普通の「ゲーム」を遊びたい人はついていけない領域に振り切ってるので、プレイヤーを選びます。

 

室内の端々まで鬼のような作り込み。

どこでも主観視点にすることが可能なので、この作り込みを存分に堪能できます。
さらに視点を動かすと小物にフォーカスし、多くのアイテムを手に取れるから驚き。

引き出しや冷蔵庫を開けると、これまた驚きの光景が広がります。
見えない部分にも手を入れたという黒沢映画を彷彿とさせる作り込み。

 

リアルタイムで時間経過。
現実の5分で1時間。時間帯に応じて景色が変化。

 

「マジックウェザー」と呼ばれるプログラムで天候を調整。
時間に合わせて天候も刻々と変化します。

雨が降ればNPCは傘をさす。
時間が経つとやがて雨がやみ、NPCは傘を持たなくなる。

時間帯と天候の組み合わせで様々な景色が現れ、その背景で会話やイベントが展開されます。
だからプレイするたびに違う体験ができるというわけ。

 

300人に及ぶNPCは「生活習慣プログラム」でそれぞれが日々の生活を営んでいます。

ぶらぶら散歩するだけで、

「この作業着の人は昼休憩で食事っぽいな」
「このオバサンは晩ごはんの買い出しかな」
「このサラリーマンはこの時間に帰宅か」

みたいな発見があり、
試しに1人をストーカーするとちゃんと生活していることがわかります。

膨大なモーションキャプチャーによるリアルな挙動も見どころ。

 

本編と関係ないようなNPCまでフルボイス。
しかも話しかけるたびに内容が変わります。
何度も話しかけることで情報を引き出せることも。

 

壮大なストーリーのプロローグ

■「一章」のあらすじ

1986年11月29日。
横須賀の郊外にある柔術道場「芭月武館」

道場主の息子、芭月涼が自宅に戻ると異変が起きていた。
割られた道場の看板、玄関先で倒れ込むお手伝いさんの稲さん、道場の扉をブチ破って弾き出される門下生の福さん。

道場の中では師範である父、芭月巌とベルベットグリーンの中華服を着た謎の男、藍帝(らんてい)がにらみ合っていた。

「鏡をよこせ」という藍帝の要求を断る巌。
しかし藍帝の圧倒的な力の前に為す術なく、助けに入ろうとした涼も一撃でダウン。

涼を殺すと脅された巌はしかたなく鏡のありかを答えるが、人殺しの汚名を着せられトドメを刺されてしまう。

藍帝は「鏡」を手にその場を去る。

ダメージが回復した涼は周りに反対されながらも復讐を誓う。
「鏡が狙われている。陳大人を頼れ。」という香港から届いた手紙だけを頼りに、情報を探し始めるのだった。

 

 

プロの脚本家や映画監督達と協力して作成したというストーリー。

「起承転結」をベースにした構成になっています。

起:「悲しみ」
父の死。「一章」で描く。

承:「旅立ち」
中国へ。続編の「Ⅱ」で描く。

転:「戦い」
藍帝との決着。

結:「新たなる旅立ち」
目的をなくした主人公は友とともに旅立つ。

 

全11章 (16章説はデマ)。4作で完結する予定だったとのこと。

「一章」は1章のみ、「Ⅱ」は6章までなので、シェンムーのストーリーは未完どころか起承転結の承で止まっています。

 

よくある意見への個人的な見解

失敗作?

国内売上約60万本。
開発費70億円に対して商業的には失敗といわれています。

「一章」発売後は注目度も下がり、続編「II」の売上は15万本。
「一章」はやったけど「Ⅱ」はやってない人が多いため、余計に失敗作のイメージが強いです。

その後、「シェンムーオンライン」「シェンムーⅢ」等が企画されましたが、いずれも発売には至らず。
ソシャゲとして配信された「シェンムー 街」は約1年でサービス終了。

 

自分の印象では当時の注目度もあまり高くなかったです。
ゲームに興味ある高校の同級生でも知ってる人が少ないぐらい。

時期も悪かったと思います。

1999年12月29日発売。
1999年は2月にFF8がバカ売れしてPS優勢でハード戦争が一段落した年。そしてPS2本体発売の3ヶ月前。

嵐の前の静けさというか、何をやっても波風が立たない時期でした。

 

今でこそ選ばれしファンだけが絶賛しているため高評価が目立ちますが、当時は大作RPGを期待したユーザーの想像を斜めに飛び越えた内容に対する評価も良くなかったです。

 

特に海外の評価が高く、世界各国で賞を受賞しスピルバーグ監督も絶賛。
しかしその海外でもそんなに売れてないわけで。

要するにコアなファンだけが手にとってるから評価が高いのは必然。
当時、多くの人がよくわからないままプレイした日本とはわけが違います。

 

オープンワールドの元祖?

よくオープンワールドの元祖みたいに言われるけど、これが腑に落ちません。
全然違うくね?

シェンムーに影響されて「GTA3」ができたとか言われるけど、作り込みの方向が逆じゃないかと。

・シェンムーは血の通ったガチガチに何もできない世界
・GTAは血の通ってない何でもできる世界

シェンムーは「内」に掘り進んだ作品で、GTAは「外」へ押し広げた作品だと思います。

オープンワールドというより「ヘビーレイン」のようなADVの方が近い印象。

 

オープンワールドならGTA系よりTESが近いかと↓

 

新ジャンル「FREE」のシステム

実はお使いゲー

わざわざ名付けたジャンル名「FREE」とのギャップが凄い。

実際はNPCに話しかけたり、オブジェクトを調べたりして情報収集する3Dアドベンチャー。
つまりお使いゲーです。

 

手がかりはメモとして残るので安心。
メモが増えたときのSE「ピコン」が合図。

進行グラグと関係ないメモも多いです。
フラグを綺麗に回収して、まんべんなくメモを埋めるのが通の楽しみ方。

 

QTEゲーの元祖

「クイック・タイマー・イベント」
略してQTE。元祖であり名付けたのはシェンムーです。

インタラクティブな映画とゲームの融合と言えば聞こえは良いのですが、システム自体は昔のLDゲームと同じ。
元々、低いハード性能で表現力を補うためにゲーム性を簡略化したシステム。

デモシーンとゲームプレイを結びつけたのが画期的なところ。
当時は「イベント途中でダイナミックに発生!画期的!」みたいに宣伝されていました。

 

シェンムーのQTEは要所で効果的に使われていますが、後にQTEを安易に使ったゲームが量産されるきっかけになりましたね。
これに関してはシェンムー負の遺産といえます。

 

トラウマ級のQTE「バイオハザード6」↓

 

ミニゲームが楽しい

空き時間のヒマ潰しといえばガチャガチャ。
目指せアイテムコンプ!

 

ミニゲームが異様なまでの作り込み。

そのため本作はよく、
「70億円かけて作ったガチャゲー」
「社運をかけたフォークリフトゲー」
といわれます。

 


シェンムーといえばフォークリフト!

シナリオ進行に必須なので毎日乗って働きます。
毎日働いて日給を貰う。日雇労働を味わえる画期的なゲーム。

操作性が良いので意外と楽しいです。ノルマを達成すると報酬アップ。

 

難点

シナリオが薄い

練りに練ったシナリオという触れ込みですが、
11章中の1章で終わるので良い悪いの判断もできません。

 

「元々こんな大作になる予定じゃなかった」感はあります。

「一章」の内容は、旅立つ前の導入部分を当初の3倍のボリュームに膨らませたものらしい。
そのため、映画でいえば最初の30分を20時間に引き伸ばしたような薄味。

ひたすら「情報を知っていそうな人物の情報」を追う繰り返し。
時間がかかるだけでほとんど話が進みません。

 

「これから面白くなるはずだ」と思って我慢して進めたらそのまま終わります。
残るのはフラグ立ての作業感だけ。

 

涼のホームタウンの横須賀をじっくり描くことで、旅立つ余韻や、舞台が移った続編「Ⅱ」でホームシックのような寂しさを感じることができます。
そのため、続編「Ⅱ」までプレイすれば薄味の引き伸ばしにも意味はある。

反面、「一章」でリアル路線をじっくりやりすぎたことでシナリオ全体のバランス感がチグハグになりました。
「一章」と「Ⅱ」終盤のファンタジー展開が同じ世界とは思えません。

旅立つ前に時間をかけすぎたことで、涼の高校生としての側面がほとんど描かれないのが不自然に感じます。

 

殺人事件が起きてるのに警察が動いていません。
それ以前に、犯罪多発地域なのに警察が1人もいない。

町も港も治安が悪すぎ。

・寝てるところを起こすといきなりナイフで襲われる
・旅行店で当たり前のようにぼったくられる
・マジメに港で仕事してるのにギャングに絡まれる

86年の日本ってこんなに治安悪かったのでしょうか。
横須賀が例外?

 

日本を去る大ボス、藍帝。

巌が鏡を2枚持ってることに気づかない時点で相当抜けてます。

 

舞台が最初から最後まで地味

マップはどこも昭和っぽいしみったれた雰囲気で代わり映えしません。

その上見づらいです。

地図が持ち歩けないので序盤はマップを覚えるのに苦労します。

桜ヶ丘は文字でいうと「H」のような構造で方向感覚がマヒ。
そんな中で小さな表札を頼りに「~さん家」を探すことに。

商店街は両端の景色が似通ってるので、一本道なのに進行方向がわからなくなります。
脇道の飲み屋街はゴミゴミしており、店の看板がある角度では見えなかったり、隠し通路のような場所があるのも厄介。

時間帯が遅かったり天候が悪いとやたら暗いのでなおさらです。

 

慣れないうちは自宅で迷います。

日本家屋ってこんなにややこしい作りでしたっけ?
ちなみに自宅のふすまは全部開けられるし、室内も作り込みがエグいです。

 

ディスク3の舞台はずっと港。
同じような倉庫とコンテナに囲まれて毎日フォークリフトでバイトの日々。

特に面白味のある建物があるわけでもなく、だだっ広くて移動に時間がかかります。
倉庫の外見が同じなので第◯倉庫を探すのに右往左往。

 

時間限定イベントまでヒマ

時間スキップ不可

一日1、2つぐらいのペースでイベントが配置されているため、クリアフラグだけ回収する場合とんでもなくヒマ。
簡単なお使いも遅々として進まず、薄いシナリオがさらに薄まります。

例えば、「朝に情報収集してバーに行くフラグを立てる→バー開店時間の17時」まで6時間(リアル30分)待ち。
この間、シナリオは一切進行しないので待つしかありません。

これはまだマシな方で「翌日来い」とか言われると20時就寝までずっとヒマ。

 

この仕様はやはり不評だったのか、「Ⅱ」では時間スキップ可能になりました。

 

イベント発生時間までやることありません。

その間、NPCと他愛もない会話を楽しんだり、ミニゲームでもやって時間を潰します。

ようやくイベントを消化したと思ったらまた時間指定されて次のヒマ潰し。

この「間」を楽しめない人はたぶんやってられません。

 

フォークリフトバイトの日々

よくフォークリフトゲーとかいわれる本作。

理由はミニゲームの出来の良さというより、

「ゲームらしいゲームがこれしか無い」
「ゲーム中で一番面白いのがこれ」

という事情があります。

毎朝強制のフォークレースは、何の見返りも無いのにたっぷり3周。
仕方なくやるけど、気がついたら上手くなってるのが嬉しくもあり悲しい。

 

毎朝バイト、休憩時間にダーツでヒマ潰し、バイトが終わったらクタクタで帰って寝るだけ。

退屈な日常を完全再現するなんて凄い!

 

「バーチャ3」をベースにした、広いフィールドで1対多を実現したバトル 。

技が非常に豊富で、技集め・熟練度のようなやり込み要素もあります。

 

一見、面白そうな1対多のシステムなのですが、何もかも中途半端。
惜しい、残念な出来。

そもそも、バトルの機会が非常に少ないです。
港に行くまでは片手で数えるほど。

バトルにゲーム性のようなものがありません。連打が一番強い。
ボスみたいな奴も避けからの連打で終わるため、せっかく技を集めて鍛錬しても恩恵が無い。

カス当たりみたいなフィーリングで爽快感も無い。

「バーチャ3」みたいな戦闘は期待しない方が良いかと。

 

一方、QTE戦闘は妙に判定がシビアで難しいです。
失敗するとやり直し。たった1回ボタンを入力するために長いデモを見るハメに。

 

仕草がいちいちリアルでカット不可。

玄関を出るだけでも毎回「段差を降りる→靴を履く→ドアを開ける」。
ガチャガチャ、くじ引きまで毎回じっくり見せられます。

デモシーンを待つ
会話を待つ
時刻表に合わせてバスを待つ
休憩時間が終わるのを待つ
涼のモーションを待つ

何をするにもとにかく「待つ」ゲーム。

これをリアルと捉えるかテンポが悪いと捉えるか。
後者だとクリアまでの道のりはまさに苦行となります。

 

まとめ

ゲームというより日常シミュレーター

プレイ動画だと神ゲーに見えますが、プレイすると人によっては苦行。

ガチガチのゲーム好きではなく、普段ゲームをやらないような人に向いているかもしれません。

実際、発売当時にプレイしてる画面を脇で見てた母が「話の続き見せてー」と言っていました。

 

今プレイした感想としては「プレイしない方が身のため」と言いたくなってしまうのですが、百聞は一見にしかず。
気になる方は2018/11/22発売の「シェンムーⅠ&Ⅱ」で伝説のゲームを体験しましょう。






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