「7」発売で盛り上がってるときにあえての「2」。
はじめに
それまでの主流だったシミュレーター系とは違う、爽快感重視の「フライトシューティング」として登場した前作。そのコンセプトはそのままに様々な面でパワーアップ。
売上約110万本の大ヒット。
■あらすじ
ユージア大陸の各国の将校によって編成されたクーデター軍が、各国首脳が国を離れた隙を突き各地の重要施設を制圧。正規軍を人員・装備を取り込み勢力を拡大した。
機能不全に陥った統合軍は傭兵部隊「スカーフェイス」の出撃を決定。
プレイヤーはスカーフェイス1としてミッションを遂行する。
正当進化
豊富な火力でドッグファイト、低空の対地攻撃といったゲームバランス部分はそのままに、様々な面で前作から見違えるほどの進化を遂げた。
グラフィック
技術の進歩が直で見映えに影響する時代ならではの劇的進化。
遠くの地形までしっかり描画。モデルの造形が複雑になりテクスチャもきめ細かい。
前作の問題点だった地形が生える、高度がわからないといったゲーム性の難点を解消。
空気遠近法の表現で滑らかに現れる遠景。スケール感、臨場感が前作とは段違い。
前作の問題点だったレーダーも進化。
ミサイル、機体の向き、TGT・非TGTの情報を追加。
レーダーを見て背後を取れそうな敵を追う、みたいな複数の敵機と絡むドッグファイトならではの面白さがアップ。
後方視点にもレーダーを表示。計器類も充実。
美しい夜景。
地上ターゲットの種類が表示されるようになったのも嬉しいところ。
近くで見てもしっかり描き込まれてる。
美しい太陽光。
光が照り返す水面の表現も素晴らしい。
雲の上にターゲットが!
機体もリアル。厚木の航空ショーを取材した成果が反映されてるらしい。
ノーマルカラーがデフォになった。戦闘機はやっぱこれでしょ!
モデルビューア追加で敵機体も隅々まで堪能できる。
ただ出現条件はかなり厳しい(全勲章入手)。
操作性
前作より扱いやすい、かつリアリティーが増した挙動。
アナログ対応になったこともあり以降のシリーズと比べても遜色ない快適さ。
前作は上を向くとすぐストールして落下、修正しようにも方向感覚を失うグラフィックのせいでグルグル回っちゃってどうしようもなかった。
それに比べて上下に動かしたときの安定感がまるで違う。機体によっては宙返りやコブラ機動のような動きも可能。立体的な機動戦を楽しめる。
サウンド
通信の頻度は相変わらずだが、音量低下に加え内容のバリエーションが増えたので同じフレーズを連呼されることが減り賑やかしにちょうどいい具合になった。
通信が控えめになったせいかノリの良いロック調BGMが際立つ。ミッションの雰囲気に合わせて気分を盛り上げてくれる。
「高度が低い!」だけは納得いかない。この射程の短さだと仕方ないじゃないか。
ボリュームアップ
機体
前作の16機から24機に増加。
おなじみのF-14やF-16から、試作機のX-29、YF-23、F-15S/MTDといったマニアックな機体まで揃う。
ジャケットの主役機は新登場のSu-35。
機動戦のイメージが強いためか、以降のシリーズでもフランカー系列が優遇されてる。
シリーズおなじみ「架空機」が初登場。本作に登場する2機はシリーズ中でも人気が高い。
「XFA-27」
斜めに生えたカナード&可変後退翼が特徴的。安定性以外が全MAXの圧倒的性能。本作唯一の4連装ミサイル。
「ADF-01 Z.O.E.」
それまでに登場した全ての戦闘用AI「Z.O.E.」搭乗機を倒すと最終ミッションに登場。敵専用。
次に登場するのは「エースコンバット5」の「ADF-01 FALKEN」で、こちらは使用可能。
ミッション
前作の約2倍、30種類。この数は以降のシリーズと比べても多い。
ミッション選択はワールドマップで選択するタイプから1本道進行になった。
中盤のミッション14~17で「アルファヴィル作戦」「ベリッシマ作戦」に分かれる大きな分岐があり、ミッション19で3種類のエンディングに分岐。
さらに隠し条件の追加ミッションが5つある。
■エンディング分岐
ミッション19「KINGPIN」
Z.O.E.を撃墜:ミッション20発生
撃墜しない:ノーマルエンド
↓
20「LAST RESORT 」
LSBMを撃墜:ミッション21発生
撃墜失敗:バットエンド
↓
21「FIGHTER’S HONOR」
クリアでボーナスエンド
前作と同じくターゲット撃破でテンポ良くクリアできるミッションがほとんど。スピード重視なら1時間ぐらいでエンディングまでいける。
それでいてシチュエーションの種類が豊富なので飽きない。
谷間を越える、ビルの間をすり抜ける、起伏の多い地形に潜む地上ターゲットを爆撃、シリーズ恒例のトンネルくぐり等々。
時間帯による強調された色味の変化とあいまって様々なカッコイイ状況を味わえる。
前作から敵の量が増加。ミサイル80発でも足りないぐらいの戦力を相手に乱戦状態。
空・地のターゲットを片っ端から殲滅する大規模な戦いが楽しめる。
前作より敵のミサイル誘導が弱いので簡単に回避可能。
一方、敵機の行動パターンに手が入っておりしつこくケツに張りつくので完全に無視するわけにもいかなくなった。
上下に動きやすくなったことで複雑な地形を活かしたミッションが登場。
グランドキャニオンみたいな渓谷で降下・上昇を繰り返して攻撃できる角度を探したり、本格的に狭くなったトンネルをくぐったり。
グラフィックの進化により目視で得られる情報が増えたことで、シリーズおなじみのジャミングによるレーダー妨害ミッションが実現。
一部のミッションにクリア後の着陸操作を追加。失敗してもクリア扱いになる。
前作と違い撃墜・墜落しても機体は残るので安心。(修理費がかかる)
機銃は相変わらず不遇で地上ターゲットにも使えないような性能。射程が短い、判定がシビア、攻撃力が低い。
機銃の使用を強いられる海上レーダー、巡航ミサイル破壊ミッションは苦労する。
やりこみ要素も充実。
・ネームド機が初登場。倒すと勲章が貰える。
・撃破した敵の数に応じて階級が上がる。最高階級を目指して敵全滅を狙うのが熱い。
・各難易度で最速クリアタイムが記録される。タイムアタックも熱い。
・エクストラモード:使用可能機体の一部が入れ替わる。1周クリアで選択可能。
・フリーミッション:前作でも一応ミッションを自由に選ぶことはできたが、ちゃんと項目が追加された。
おわりに
前作の基本はそのままにグラフィック・システムの進化で難点を解消。ボリュームアップで遊びごたえも増した。
なんかもうエスコンはこれ1本あれば良いと思ってしまうほどの完成度。
ミッションのサクサク感はPS2以降のシリーズとは違う魅力。
シリーズ最高傑作とも評される作品。オススメ。
PS全盛期の本作(97/5/30発売)や最近プレイした【バイオハザード2】(98/1/21)を鑑みると「そりゃサターンはPSに勝てないわ」としみじみ感じる。
当時サターンだけ持ってた自分としては「パンツァードラグーン」とか【サクラ大戦】も決して見劣りしない神ゲーだと思うけど、結局のところ恋愛ADVや奥スクロールSTGといった前世代型のパワーアップ版なわけで。次世代ゲームの魅力を明確に見せつけるPSのヒット作とは間口の広さが違うんだよなー。