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PS1 アドベンチャー

センチメンタルグラフティ【評価/レビュー】発売前のメディアミックスで上げた期待値をゲームで叩き落とす

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ギャルゲーに興味がなくても、タイトルは「なんか聞いたことがある」ぐらい知名度は高い。

評判は知らないけどショップでふと眼に止まり衝動買い。帰ってさっそく開封。
イラストつきカレンダーが12枚入ってる!

描かれたヒロインを眺めながらどの娘にしようかなーとワクワク。
オーソドックスにいくか、それともちょっと冒険してみるか…
甲斐智久さんのイラストが美しすぎてずっと観ていられる。

期待値がマックスに上がったところでサターンにCDを放り込みプレイ開始。
5分後…「なんだこれ」

結論:歴史に残るガッカリゲーです。



セングラってどんなゲーム?

ギャルゲーブームの終焉を告げる作品

恋愛シミュレーションゲーム。いわゆるギャルゲー。
通称「センチ」「セングラ」(本記事ではセングラ)。
1998/1/22発売。

発売前のメディアミックスでギャルゲーブームを頂点まで引き上げ、ゲームの出来で叩き落としたといわれる作品です。

 

実際は、ゲーム画面が公開された時点でイメージイラストとかけ離れた仕上がりにファンはがく然。発売前に期待値が下がったらしい。

たしかに甲斐智久さんのイメージイラストと、ゲーム内の絵が違う。
あの透き通るような透明感が無い。ヒロインによってはイラストの原型すらありません。

 

「暗黒太極拳」「暗黒舞踏会」と呼ばれるオープニングムービーでさっそく度肝を抜かれました。

不気味な踊りはともかく、なんで背景が真っ黒なんでしょうか。
爽やかな曲とのミスマッチ具合も最高です。
アニメーターはどういう気分で描いてたんだろう。

 

ギャルゲーブームとは

1992年頃、「同級生」「卒業」「プリンセスメーカー」でPCにギャルゲーブームが到来。

一方、家庭用ハードはロムカセットを使うスーファミが主力。
ギャルゲーを作るには表現力が足りないのでブームは波及しませんでした。

PS・サターン発売で、家庭用は大容量のCDメディアを使う次世代ハードに移行。
容量の力関係は逆転し、ソフトの価格はPCより安い。そのためギャルゲーの主戦場はPCから家庭用ハードへ移ります。

1995年発売のPS版「ときめきメモリアル」の大ヒット以降、良作・駄作が乱発。
12タイトルが十万本以上の売上げを記録。
中でも「ときメモ」はマルチで100万本、「サクラ大戦」はサターンのみで50万本超え。

アニメ・音楽・小説・ラジオなど、メディアミックス展開がセットになっているのもブームの特徴。
あらゆるメディアを総動員したテンションの高さは当時の人間にしかわからないものがあります。

そして、1998年。
センチメンタルグラフティは発売前にメディアミックスを展開し人気が爆発。ギャルゲーブームは頂点を迎えました。

しかしゲーム発売後、あまりの出来にファンは落胆。同時にギャルゲーブームは衰退していきます。

こうして、ギャルゲーブームは3年ほどで終わりました。

この年、「サクラ大戦2」「慟哭、そして……」「やるドラ」などゲーム史に残る良作を残し、技術的・発想的に出し尽くしたギャルゲー。
セングラは確かにきっかけになったかもしれませんが、この時期にブームが衰退するのは必然だったといえます。


 

1999年以降、ギャルゲーの発売タイトル数・売上げは急降下。
「サクラ大戦3」なんてシリーズ最高の出来なのに売上は半減しています。
PS2など次世代機に移行した後もギャルゲーは出来・売上ともに低下の一途をたどり、ほとんどのシリーズが打ち切り。

 

ただ、メディアミックスを模索しやり尽くした結果が、現在の声優コンテンツなどにつながっています。
また、恋愛要素はあらゆるジャンルに導入されました。
ギャルゲーブームが後世に与えた影響は大きいです。

 

ゲームの流れ

■あらすじ

高校三年生の春休み、主人公の元に「あなたに会いたい」と書かれた差出人不明の手紙が届く。

小学四年生から中学卒業までの5年半で、日本全国12都市へ転校した主人公。
それぞれの転校先で仲良くなった12人の女の子を思い出し、「その12人の女の子の内の誰かに違いない!!」と確信。

日本全国12都市を周り12人と再会し、手紙の差出人を探し出す旅に出る。

 

札幌から長崎までの12都市に、土地の風土に合った雰囲気のヒロインを配置。

それぞれの都市で観光気分を味わえます。

 

僕が学生のとき住んでいた懐かしの京都に来てみました。

行ける場所は河原町、祇園など東側に偏っています。
京都に住んでいた人間としては、平安神宮、嵐山、上賀茂神社なども欲しいところ。

よく見ると…新京極の位置おかしくね?
河原町通りと寺町通りの間のはずだけど河原町の西側にある。
たぶん西京極と間違えてます。

 

ヒロインの家を訪問したらいきなり弓矢で撃たれた翌日。
街でヒロインと偶然出会い、鴨川デートが始まりました。

自分も学生のとき行きましたよ鴨川デート。いい思い出です。

 

って鴨川デートのシーンないんかい!そこ映さんのかい!

12都市分のデートスポットを描写するのは大変なようで、デートは単調な数パターンの繰り返し。
選択肢もほぼ無い一本道。味気ない。

 

セングラの何がダメなのか

ムリがありすぎる設定

「全国の12都市にヒロインがいる」というコンセプトから逆算した、ムリがありすぎる設定。
主人公の行動は常軌を逸しており、やることなすこと全てが意味不明です。

 

まず主人公の経歴が波乱万丈すぎます。

・小学四年生から中学卒業までの5年半で、日本全国12都市へ転校
・それぞれの転校先で仲良くなった女の子が12人

この時点で笑うしかない。
でもさらに凄いのはここからで、

いかにも怪しい手紙だけで「差出人はそこで知り合った女の子の1人に違いない」と断定。
「あなたに……会いたい」の一文を頼りに旅に出発します。

プレイ開始から5分、主人公の超人的な行動力に自分の頭がついていけません。


こんな手紙、普通に考えれば悪質なイタズラです。
会いたければ手紙に電話番号とか住所を書くべきでしょう。
てかこっちの住所知ってるならお前が会いに来いと言いたい。

主人公も全国周る前にやることがあるはず。消印調べるとか、電話番号を調べてアポとるとか。

ヒロインと会ったとき、手紙のことを一切聞かないのも謎。
答えを1年間引き伸ばす意味がわからない。

 

各地に散らばる12人に会うため北海道から長崎まで全国を渡り歩き、旅先でバイトしながらときには野宿。
テレビ番組の企画みたいなタフすぎる旅です。

電話が使えるのは東京の自宅のみ。
ヒロインと会うには、アポを取るために数百km離れた東京に帰るか、偶然出会うのを期待して現地をさまよい歩くハメになります。

 

しかも期間は高3の3月から一年間。
手紙一通を頼りに、高3の大事な時間を全てつぎ込み女を追いかける主人公。正気とは思えません。
手紙の差出人を見つけてうまく恋人になれたとして、その後の生活はどうするんだろう。

 

ストーカー vs メンヘラ

簡単にいうと、

主人公=ストーカー
ヒロイン=メンヘラ

どちらも狂ってます。感情移入できません。

 

キャッチコピーは「忘れかけてた恋を探す旅物語」。
主人公は高校3年生なのに恋の記憶をほぼ忘れている。

そんな曖昧な記憶で東京から日本各地へはるばるやってきた主人公。
アポ無しでいきなりヒロインの家を訪問するか偶然街で出会うのですが、
ヒロインも主人公のことを忘れている。

でも「僕のこと覚えてるかな?」と問い詰めると「もしかしてあなた…~じゃない?」と意気投合。電話番号を渡され「また誘ってね!」と初日から親密な関係に。
あまりにも不自然な展開で違和感がありすぎます。

 

ヒロインによっては小学生以来の再開だったりするのに、すぐ思い出して親しくなれるのが不思議。
高3にもなれば、小学生の頃に仲良くした男の子なんてどーでも良いのでは。

リアルに考えると「小学生のとき一緒だった僕だよ」みたいな男が来たら恐い

 

主人公はもちろん狂ってるけど、ヒロインも狂ってる。

長期間連絡を取らなかったり会わなかったりしてヒロインを放置すると、ヒロインの「せつなさ度」が上昇。
一定ラインを超えて「せつなさ炸裂」状態になるとヒロインが無言電話をしたり、消息を絶ちます。

センチメンタルというよりメンヘラをこじらせてる。恐い。

 

ちなみに、ギャルゲーとしては珍しくヒロインを振ることができます。
付き合ってもいないのに諦めきれず東京の自宅に来たヒロインを「恨みっこなしだよ、惚れた君が悪いのさ」と突っぱねる、「ストーカーvsメンヘラ」の地獄のような絡みが繰り広げられます。

 

ベストエンドには浮気必須

エンディングは以下の3種類。

・ベストエンド:女の子から告白される
・グッドエンド:主人公から告白し成功する
・バッドエンド:告白が失敗

手紙の送り主はベストエンドのヒロインになります。
グッド・バッドエンドだと手紙の送り主が判明しないまま。

 

ベストエンドを迎えるためには12人全員を登場させ、最低でも6人のイベントを進める必要があります。
そのため、手紙を出した1人のヒロインを探すのが目的なのに、探すためには片手で数えきれない人数と浮気必須。

手紙とか関係なしに片っ端から股をかけることになり、もはや何のために全国を周っているのかわかりません。

 

股をかけるには細かいスケジューリングが必要。
イベントのフラグ立てに他ヒロインのイベントが絡み、そのイベントフラグにまた別イベントが絡み~と忙しい。
せつなさ度も絶えずチェックし、全国各地に飛び回ってヒロインのご機嫌をとる作業。

この作業的なプレイにはセンチメンタルの欠片も無いです。

 

まとめ

12都市のご当地ネタは面白いけど、つじつま合わせような設定にムリがありすぎます。

最大の問題点である設定部分を抜きにしても出来が悪い。
ゲーム中の絵がいまいち、デートシーンは味気なく、スケジュール管理は作業的でしんどい。

本作がギャルゲーブーム終焉の引き金になったかどうかは定かではありません。
ですが、発売前のメディアミックスで盛り上がったテンションがだだ下がりするのは間違いないと思える内容です。

ソフトに同梱された、甲斐智久さんのイラストが美しいカレンダーのために買うのはアリかもしれません。






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