発売当時に買って、数年後にまた買い直した覚えがある名作。
PS2最初のエスコン
美しいグラフィックと爽快な戦闘が楽しめる人気シリーズ。その四作目、PS2第一作。
フライトシミュレータではなく「フライトシューティング」。リアルを追求しながらも、ゲームとしての面白さを重視。
1機がミサイル60発+特殊兵器を搭載し、燃料は無制限。この現実離れした攻撃力と簡単操作がエスコンの醍醐味。単機で戦場を制圧し戦局を覆す爽快感。
さらに補給でダメージ全快・全弾補給。着艦・離陸操作があるけどオートでも可能。
前作「3」PS1の性能を極限まで引き出した力作だったが、あまりにも尖ったSF設定が賛否両論。
本作は「2」以前の傭兵っぽいテイストに戻った。以降発売されたタイトルは同じ架空世界「Strangereal(ストレンジリアル)」を舞台にしている。(X2,AH,IF以外)
PS2発売からたった1年半後、2001/9/13発売でこの完成度。
「3」までは武装グラフィックが無かった。本作から機体下部の武装が確認できる。ステルス機はウェポンベイ開閉まで再現。
BGMは作曲担当の小林啓樹が初参加。エスコンらしいギターとシンセサイザーの激しいロック調にオーケストラの壮大な表現が加わり、本作から5,0,6,AHまで数多くの名曲が生まれた。
SEも素晴らしい。エンジン音は航空自衛隊百里基地の協力を得て実機から録音。位相の変化などによる音の違いを捉えるため、一つの音につき数十回のリテイクするこだわりよう。
全18ミッション。6時間ぐらいでクリア可能。ボリューム少なめだが、隠し要素のために周回するとちょうどいい。
機体も21機と少なめだがカラーが3種類。機体それぞれに条件がありコンプするのはけっこう大変。
X-02カラー3の条件は「Expert以上で全ステージSランククリア」。相当なやり込みが必要。
ちなみに難易度EASYまでは地表にかすってもノーダメ。HARDからは攻撃頻度とミサイル追尾性能が上がり、ACEだとミサイル1発で即死。
三位一体の演出
「俺つえー」なストーリー、叙情的なサイドストーリー、それをつなぐ無線。この3つが想像の余地を残して絶妙なバランスで補い合う。
■ブリーフィング
ミッションの目的と内容を説明するブリーフィングの演出効果も大きい。
リアルタイム感を重視した表現なので、実際に作戦を遂行してる気分になる。
ミッション後は作戦の影響と戦況の経過を説明するデブリーフィングで作戦の影響がわかる。
サイドストーリー
主人公「メビウス1」は何も語らない。RPGでいう無言主人公。僚機もいないのでひたすら淡々と戦果を上げていく。
この無機的な展開を補完するのがサイドストーリー。ミッションとは対照的な少年時代を思い出す叙情的な話。ミッションの合間にセル画調の紙芝居方式で挿入される。制作はSTODIO4℃。
紙芝居は低予算で作るためのアイデア。三位一体となった演出効果も偶然の賜物だったらしい。
主な登場人物は、戦争で家族を失った少年、エルジアのエース飛行部隊「黄色中隊」隊長「黄色の13」、その右腕の女性パイロット「黄色の4」、酒場の主人の娘。
敵国側の視点から戦局の変化を眺めることで、視点が相対化されて世界観が広がる。主人公の活躍と絡んでストーリーが進行するので実際に展開に関わっている気分になる。
少年と黄色13の因縁、酒場の少女への恋心、身寄りのない寂しさ。その行き着く先は・・・。
無線
無線の演出効果が凄い。実際に作戦に参加しているような臨場感。
混線している設定なので味方はもちろん敵の無線まで聞こえる。敵機をロックすれば「くそ、敵に狙われてる!」と敵の台詞が流れ、自分が攻撃されると「ミサイルだ!急旋回しろ!」と味方から警告。ワードパターンは3000に及ぶ。
無線にはプレイヤーの想像力でストーリーを補完する効果もある。
ミッションが進むにつれて主人公「メビウス1」の名声が敵味方に知れ渡っていき、無線の内容に反映されるので主人公が英雄になっていく様を体感できる。
「メビウス1が来ていると言っとけ!嘘でもいい!」などと期待され、敵軍からは「リボン付きの飛行機だ。あいつは死神だ」と死神呼ばわりされる。気分はアムロ。黄色13はシャア。
黄色中隊との対戦で味方から「大丈夫だ。こちらのエースはやつらより速い!」と 言われたときは鳥肌モノ。
無双できるミッション
今作から加わった「時間内に~ポイント達成」が成功条件のミッションが多い。全体的に地上目標が多め。バリエーションに乏しい反面、面倒な条件がないので純粋に戦闘を楽しめる。
敵の配置が絶妙なのでSランク狙いのスコアアタックが熱い。武装の選択、補給のタイミングやルートを練って攻略を組み立てるのが面白い。
シリーズ1熱い空戦を楽しめると評判のミッション「ソラノカケラ」。
すべての敵が戦闘機なので空戦オンリー。ミッション内容、シチュエーション、BGM「Comona」、無線が相まってテンションが上がる。
昔のトラウマ、ラストのトンネルくぐり。当時は何度も失敗して悶絶した。
狭い通路をまっすぐ進むだけなのだが、4回繰り返す必要があり1発勝負なので緊張感がパンパない。その分、クリアしたときは気持ちいい。
■機体
機体と武装の買・売値は同額なので型遅れはすぐ売って高性能な機体に乗り替えていけばいい。
時間制限つきミッションが多く、目標物が多すぎて弾が足りない。補給の時間を節約するために弾数・スピード重視で選ぶと楽。F-16C、F-14A 、EF-2000、F-15Eあたりが優秀。
■武装
クリアするだけなら長距離(LASM)か高機能空対空ミサイル(XMAA, XLAA)が楽。
Sランクを狙う場合、S-37+QAMMか高性機+爆撃。対地ミサイルはすぐ弾がなくなるので使わない。
まとめ
エスコンをPS2のフライトゲー1強に押し上げた名作。
あっさりしながらも味わい深い演出、無双を楽しめるミッション、手頃なボリュームで遊びやすい。