発売当時、買おうか迷って買わなかった作品。
判断は正解でした。
アウトモデリスタってどんなゲーム?
アウトモデリスタとは、カプコンが2003年に発売したPS2のレースゲーム。
最大の特徴はトゥーンレンダリングを使ったアニメ調グラフィックです。
たぶん同社「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風」で得たノウハウの使い回し。
このグラフィック、最初は「おおっ良いじゃん」とテンション上がります。
しかし眼が慣れると2002年発売のゲームとは思えないハリボテ感に気づてしまう。そしてスカスカに見えてしまう。
情報量を削ぎ落としたせいでコースが見づらいのも難点です。特に市街地コースがツラい。
粗いガードレールの重なりからいきなりコーナーが現れます。角度も距離もしっくりきません。
マフラーから出る爆煙、コーナリング時の砂煙もアニメっぽいエフェクトで格好良いけどこれまた飽きが早い。
飽きる上に、集中線とバキバキした色味でとにかく眼が疲れます。
全体のノリはリッジレーサーに近い感じ。
リッジはPS1の「R4」でここまでやりました。
比べるとグラフィック・サウンド・操作感、全てにおいて見劣りが…
リッジも翌年の2003年発売「R:RACING EVOLUTION」でコケたけど。
難点:全体的に出来が悪い
出来の悪い部分が多いです。
多すぎて「全体的に出来が悪い」と言うしかない。
発売日が近いレースゲームを見ると、
・首都高バトル0 (2001/3/15)
・グランツーリスモ3 A-spec (2001/4/28)
・グランツーリスモ コンセプト 2001 TOKYO (2002/01/01)
・アウトモデリスタ (2002/8/22)
・首都高バトル01 (2003/7/24)
以上のように、もはや作り込みの甘えが許されない時期。
この時期にこの出来では酷評されて当然です。
発売前は斬新なグラフィックで注目を集めたのに、発売後はたいして話題にならず消えたのも納得。
以下、出来の悪さが目立つ順に紹介します。
ガムテープデスマッチ
挙動を一言でいうとガムテープデスマッチ。
なんだかとっても曲がらない。あまりにも曲がらないのでハンドル切っても切っている気がしません。
まるでガムテープで手とハンドルを縛られて舵角を制限されているかのようです。
「ばっか野郎、車は荷重移動で曲げるんだよ!イニシャルD読め!」
と思ったそこのアナタ、本作に荷重なんて存在しません!
荷重というか、重力が無い。
そのため勝手に坂を上り、ダウンヒルとヒルクライムでほぼ同タイムが出ます。
「曲がらなきゃ滑らせるんだよ!イニシャルD読め!」
と思ったそこのアナタ、本作はドリフトができません。
リッジとの差別化を狙ったと思われる、地面に貼り付いたような不自然なグリップ。
ドリフトを試みてもパワースライドするだけです。
「サイドを引いてきっかけを作るんだな!」
と思ってサイドを引くと即スピンします。
ドリフト失敗してインにぶつかるとオモチャのように1回転。やはり重力が無い。
立て直すのが難しいのでレースをやり直そうとすると、
・リトライがないのでメニューに戻る
・メニュー表示が重いのでレスポンスが悪い
とダメな部分しか見当たりません。
雨天時はさらに意味不明な挙動。
「滑らないけど滑る」
というもはや言葉では表現できない違和感があります。
ボリューム不足
ボリューム不足です。グラフィック以上にスカスカです。
通信対戦メインの作りだから仕方ない?
しかしアナログ回線専用で1分13円課金→1時間1000円超え。
通信対戦がメインコンテンツというのは無理があります。
マシンのラインナップは、目玉の光岡大蛇を含めてそれなり。
でも挙動が前述の通りなので乗る楽しみが無いです。
エアロ以外のカスタムは、名前だけ実在メーカーで外見・性能が全く同じ。前代未聞の手抜きです。
エアロパーツは各ヶ所にたったの3種類。
ゲームを進めて増えるのが1種類だけというやり込みがいの無さ。
コースは以下の全7種類。
・峠2種(六甲、赤城)
・新宿2種
・高速道路
・サーキット(鈴鹿)
・オマケ
このように数・バリエーションが少ない。
内容も悪いです。
峠は前述の挙動でめちゃくちゃ走りにくい。
新宿は直線→コーナーの繰り返しでレイアウトが単調。
高速はアクセルボタンを5分間押す作業。
つまり、まともに遊べるのは鈴鹿だけ。
敵車のインチキ補正により、どのコースを走ってもまともにレースできません。
敵車は直線が遅くコーナリングが異様に速いため、どのコースを走っても直線で抜きコーナーで抜かれるのみ。
タイムと無関係に最終コーナーでもつれて勝敗が分かれるため、3周レースなら2周半は頑張る意味ないです。
その上、ハチャメチャAI搭載。
コーナリング中にインチキ加速ミサイルアタックを食らうわ左右から挟まれるわで嫌になります。
阪神高速環状線はコーナー勝負が無いので圧勝です。加速全振りでも関係なし。
開始数秒で勝負が見えるので、3周2レースで6周グルグルしながら強烈な睡魔に襲われます。
見づらい、使いづらいUI
オシャレ感を優先したUIがゴチャゴチャで非常に見づらい。
「R4」という偉大な先輩のスッキリしたUIを見習ってほしいです。
・車を選ぶたびにナンバープレートを入力
・チューンするたびチューン状態の確認画面
・終了してもサブガレージへの登録を促される
・レース終了後は毎回ネームエントリーが必要
このように、何をするにも煩わしい。
メニューの並び順も使いづらい。一番上をレースにしてくれ!
メニューを出している間、インターレスのようなフィルタが入るのでせっかくの車が台無し。見た目の出来も悪い。
サウンドもいまいち
サウンドもいまいちです。
・エンジン音などのSEがショボい。鳴ってることすら気づかない
・印象に残らないBGM
・レース中の「oh~slow~」みたいな煽りコールがリッジの丸パクり
まとめ
当時、定価で買った人が気の毒です。
最初の10分ぐらいは面白いし、挙動のクセに慣れてクリアするまで2時間ぐらいは遊べます。
中古200円ならやってみるのもアリかも。
調べたところ、本作は20万本以上売れています。
2020年水準なら超大作級の売上です。例えば「グランツーリスモSPORT」の国内売上が発売後2ヶ月で20万本。
でも当時としては大コケで、カプコンの経営が傾いたというから驚きです。
販売予定では40万本を見込んでたらしい。この内容で40万て、どんだけ強気なの。
国内メーカーにとっては良い時代でしたね。
本作のようなノリが好みの方には傑作「R4」がおすすめ↓