もくじ
12年ぶりのナンバリング
フライトシューティング「エースコンバット」シリーズ待望のナンバリング作品が12年ぶりに登場。
テーマは「空の革新」。
複雑な天候をリアルタイムで描写。太陽光と大気が生み出す景色が美しい。
雲の形状が豊か。時間帯との相乗効果で様々な表情を見せてくれる。
天候の変化は見た目だけでなく操縦に影響する。
・雲、砂嵐、霧:視界悪化、ミサイルの誘導性能低下
・水滴、着氷:キャノピーに水滴がついて視界悪化。着氷すると機体性能低下
・落雷:計器類が狂う&制御が乱れる
・気流:風にあおられて流される
シナリオ担当は「4」「5」の脚本、映画「この世界の片隅に」の監督を務めた片渕須直氏。
ユージア大陸を舞台に軌道エレベータと無人兵器を巡る戦争を描く。
マクロスプラスのオマージュ?
ポーズ、BGM、構図が完全に一致。無人機が物語のキーになってる辺りはゴーストX9を思い出す。
雲・天候は楽しめる
雲・気流・水滴・凍結・雷といったプレイヤーの操作を邪魔する新要素盛りだくさん。
個人的には賑やかしにちょうど良い具合でストレスは無かった。
問題は時間制限ミッション。
制限時間内に一定スコアを稼ぐミッションはちんたらやってるヒマが無い。
失敗条件つきのミッションも厳しく、ターゲット出現の通信を聞いたら最速で行かないと間に合わない。
エスコンらしい爽快シューティング
難易度は高くない。弾は余るし攻撃の回避も簡単。
ミサイルは高性能機なら150発以上搭載。相応に敵の数が多いので存分にドンパチできる。
■攻略のコツ
・ブリーフィング画面でターゲットの種類(画面右上)を確認して適した機体を用意。
・ミサイルはレーダをみてタイミングをはかり、画面の攻撃方向表示に対して側面を向けるように動くと回避しやすい。
・こまめにターゲット変更すれば効率的に攻撃できる。
ただロックの仕様が不安定で、眼の前のターゲットをスルーして変なところにロックが飛んでいく。
・キャンペーン限定でダメージ回復パーツが使える。耐久力50%まで回復するので後半は重宝。
チュドーン!
SE、画面の揺れで伝わる爆発の衝撃が気持ち良い。
エスコンらしい簡単操作で爽快に動かせる。
アナログスティックで旋回、トリガーでスピード調節。
新登場の急旋回「ハイGターン」(LR2同時)で鋭い機動が可能。
シリーズおなじみ渓谷くぐり。
こちらもおなじみトンネルくぐり。
夜景を堪能。
巨大兵器「アーセナルバード」。初代ラスボスっぽい。
無人機といえばやはりこの機体。
使用できる最強の架空機といえばこれ「X-02S ストライクワイバーン」。
ストーリー・演出に難あり
間が長い
1ミッション15分ぐらい。ずっと空を飛ぶ15分はかなり長く感じる。
長くて5分だったPS1時代に比べて内容が濃くなってるかといえばそうでもなく、シリーズを重ねるごとに間をとる演出が大げさになり台詞待ち、識別待ち、味方の移動待ちみたいな何もすることが無い時間が長い。
ミッションクリア後も会話が1分続く。もう終わったんだからハンガーに戻してくれー。
マップが無駄に広い。何も無いエリアと敵が密集した激戦区の両極端。
スケール感はあるけど、ただ移動するだけの時間がヒマ。
この間、自分はR2だけ押してボーっとしてる。
[(移動)→ターゲット撃破→(会話待ち)→遠くに増援出現→(移動)→撃破→(会話)~ミッションクリア(会話)]
カッコ部分を省くとプレイ時間3分の1になりそう。
まあ今の時代、ミッション20個通して1時間でクリアできる「2」のような作りだとボリューム不足とか言われるから時間稼ぎは仕方ないのかもしれない。
ちなみに自分は8時間でクリア。
ムービーはスキップできるがプレイ中のヒマな時間はどうしようもない。
周回や高ランクを狙ったやり込みで繰り返し遊ぶ上でこれは致命的。2回目をやる気になれない。
時間がかかるだけに一応チェックポイントはある。しかし間隔が大ざっぱすぎる。10分前に戻されるとか当たり前。
一部ミッションの納得感ゼロな失敗条件と初見殺しが理不尽なだけにツラい。
15分ひたすらスコアを稼ぐ掃討戦はチェックポイントが無いので後半に集中力切れて墜落するともうやってられない。
エース感が薄い
片渕須直氏のシナリオということで当然期待するが・・・
不満を超えて「なんでこうなっちゃったんだろう」という疑問が残る。
別視点を取り入れ、敵味方のドラマで1つの出来事を多角的に描くのが狙いのムービーシーン。
主な登場人物は、
スクラップクイーン(整備士)、無人機の設計者、王女、敵エースのおじいちゃん、姉妹。
どのキャラも魅力が薄くて誰にも興味を持てない。
スクラップクイーンの長い1人語りがひたすら続く。
斜に構えた態度でエラそうで口が悪い。好きになれる要素が無い。
この人に限らず、本作の登場人物は斜に構えた奴が多くてウンザリしてくる。
最初は「ムービーの物語とプレイヤー(トリガー1)がどうつながっていくんだろう」とワクワクするが、これが結局つながらない。つながってるような気がしない。
自分の行動が物語に反映されてないようで萎える。
しかもスクラップクイーン&王女の立ち回りが終盤ぶっとんでて超展開。全く感情移入できない。
キャッチコピーの「願い、救い、痛み、恐怖、空はひとつにつながらない。」はその通りだった。
ムービーの人達が目立つせいもあり主人公が所属する部隊のメンバーは「アンタ誰だっけ?」状態。
どいつもこいつも全員ふざけすぎで切迫した命のやり取りをするシビアな雰囲気がない。そのため戦争自体がなんだかテキトーなものに見える。
名前も忘れたような隊長がプレイヤーと同列のエース扱いなのも気になる。
2人合わせて「2つ頭」と呼ばれ、しまいには「俺たちにはエースがいるからな」→「いや、この戦争を生き残ったんだ。全員がエース級だ」と言われてせっかくの気分がぶち壊し。
見た目は大規模な集団戦だが実際は1対多。
味方NPCに指示できないし、NPCの攻撃ではダメージが入らない。そのためメンバーと共闘してる感がない。
巨大兵器&無数のUAVとも結局プレイヤーひとりで戦う。さみしい。
「4」「5」は主人公が敵編隊・エースを倒して絶対的エースに成り上がっていくのが燃えた。
しかし本作の主な相手は最初から最後まで無人機。そんなのをいくら落としてもエース気分にはなれない。
またボス以外の無人機はただの物量作戦で、ミサイル1発で落ちる紙飛行機がわんさか飛んでるだけ。
3回ほど乱入してくる敵エースのおじいちゃんは途中リタイア。
無人機のデータを取るためのテストパイロットなのでエース感が薄い。
終盤、いつの間にか「無人機を倒せば戦争が終わる」みたいな話で両軍が力を合わせる展開に。
今まで戦いは一体なんだったんだ。
核、隕石といった物理的な大破壊ならまだ「俺が止めてやるぜ!」って気持ちになる。しかしドローンのプログラムが広まってなんかヤバいことになると言われても実感が無いのでやる気が出ない。
しかもラスボスは人格が無いAI。敵軍エースと対峙するような熱さがないし、変態機動すぎてフェアな勝負とも思えない。
気になる点
グラフィックはもう一歩。景色、機体ともにぼんやり。
雲とか視界を妨げる要素が多いからあまり気にならないけど、地表を近くで見るとかなり粗い。
機体のもっさり感はまるで「6」の使い回し。
地表や空より雲を見てることが多い。
力作の雲を見せるためか不自然なほど分厚い雲がたちこめてる。
豊かな雲の表情が見どころとはいえ、空の開放感というより閉塞感が強い。
雲に囲まれてるせいかスピード感が無い。マッハ2でも止まってるように見える。
また雲に覆われてることが多いのでステージごとのロケーションの違いがわかりにくい。
その分、分厚い雲を抜けて視界が広がったときの開放感は格別。雲メインで楽しむ作品。雲ゲー。
開発ツリーが見づらい。
途中道に迷ってF35からフランカーに浮気、だいぶ無駄遣いした。
大まかな分岐がわかる全体マップと、目当ての位置から逆引きでルート表示する機能が欲しい。
マルチ対戦はストイック
動くと当たらないだろ!
PVP(対人)専用はストイックすぎる。
CPUと違って背後から撃つだけでは当たらないシビアなバトル。
UAVや地上ターゲットの撃破スコアを競うとか、対巨大兵器で共闘するとか種類が増えないと続けるのは厳しい。
よほどのやり込み派以外の人はすぐ辞めてしまいそう。
1戦約10分弱でMRP10万近く貰えるから稼ぎ効率は悪くない。
でもすぐ人いなくなってマッチングに時間かかりそう…。
まとめ
エスコンらしい安定の面白さ。
地上戦力の掃討戦、敵機が山のように出てくる空中戦、そこに天候の表現が絡む。
接敵までのテンポは悪いが、戦闘が始まれば存分に「空の革新」を楽しめる。
もっちゃりしたストーリー、納得感ゼロの失敗条件も気になるが、全体的には期待を裏切らない出来。
とはいえ全体的にPS2時代の延長線上といった感じで、
劇的進化で驚いた「2」、色んな意味で限界を追求した「3」、新たなスタンダードを作った「4」といった作品に比べると開発に時間をかけたわりにパワーダウンしてる感はある。