中学生の頃、攻略本片手に何周も遊んだ作品。
やり込みがいのある本作の魅力を紹介します。
今回はPSP版でプレイしました。
PSP版の変更点
・イベント、PAフルボイス
・PA、EDの追加
・OP、イベントにアニメ追加。一部CGムービー削除
・キャラクターの立ち絵、声優を一新
・バトル周りを色々調整
追加要素に賛否両論な点もありますが、PSP版を買っておけば間違いないです。
もくじ
SFファンタジーRPG
まずはあらすじからご覧ください。
■あらすじ
主人公、クロード・C・ケニー少尉。
連邦軍の英雄である父ロニキスと共に惑星ミロキニアへ調査に向かう。
親の七光りにコンプレックスを持つクロードは、父の忠告にも耳を貸さず未知の機械に触れ見知らぬ場所、エクスペルへ飛ばされる。
もう1人の主人公、レナ・ランフォード。
未開惑星エクスペルの辺境に住む少女。謎の「癒やしの力」を持つ。
森で魔物に襲われて、ワープしてきたクロードに助けられる。
連邦軍の武器「フェイズガン」をおとぎ話の光の剣だと勘違いし、クロードを村へ招く。
エクスペルは謎の隕石「ソーサリーグローブ」落下以来、魔物の凶暴化や自然災害が多発しているらしい。
その隕石が宇宙っぽいから唯一の手がかりだと思ったクロードは、自分が勇者じゃないことをしつこく説明しつつ父の元へ戻る手段を探すため旅立つ。レナも自分が何者かを知るために旅に同行。
事故で未開惑星にやってきた主人公が未開の地で様々なトラブルに遭遇し、やがて宇宙規模の災厄を招く敵と対峙する。
というSFモノの王道です。
「ダブルヒーローシステム」
主人公をクロード・レナの2人から選択。
選択しなかった方も序盤で仲間になるので大筋の変化はありません。
仲間になるキャラは全12人。
パーティーメンバーは主人公2人含めて8人まで。
文字通り背中に二匹の龍を背負うアシュトンなど、個性的なキャラが揃っています。
主人公2人以外の仲間の加入は任意、さらに主人公を戦闘メンバーから外せるので編成の自由度が高い。
途中離脱はできない上、二者択一の場合もあります。誰を仲間にするかが嬉しい悩みどころ。
キャラ数が多いと使わないキャラが空気になりがちですが、本作はイベント中の会話で絡んできたり個別イベントもあるので控えメンバーも存在感があります。
プリレンダCG背景が力作。
ドット絵のキャラと完全に浮いていますが、この時代のRPG特有の味で僕は好きです。
街が多く、それぞれ店名つきの特色ある店や宿があり、RPGの旅気分を存分に堪能できます。
ダンジョンもプリレンダCGで描写。
描き込みと枚数が凄い。イベント1カットだけの背景も多くて贅沢。
寄ったり引いたりパースつけたり。色々な魅せ方が楽しいです。
一方、フィールドマップは3Dポリゴン 。
このFF7~9みたいな古臭い感じが懐かしくて僕は好きです。(結局なんでも好き)
当時のゲームとしてはロードが早い方ですが、イベント台詞で妙なウェイトがかかるのでテンポが悪いです。周回推奨の内容なのにイベントを見るのが苦痛。
台詞が連続するOPイベントからツラい。初戦闘までに20分かかります。
ゲームオーバーになるとボス戦前の長い掛け合いを再び見るハメに。
イベント自体も長く、プレイ時間の3割はイベントに費やされます。
このテンポにじっくり付き合える方にのみオススメしたい作品。
凝ったシステムでやり込む
スキル・特技
スキルは全46種類。様々な効果があります。
・戦闘に直接関わるもの
・アイテムクリエーション(IC)で強力な装備を作る
・料理の効果を上げる
・音楽を演奏して様々なメリットを得る
など効果は多彩。
これに「スキルポイント(SP)」を自由に振り分けてスキルレベルを上げ、効果を強化していきます。
育成の自由度が高く、やり込みがいは抜群。
とはいえ、攻略情報なしではツラい。
要素が多く複雑、にも関わらず自由すぎて初見では意味不明です。
「装備製作に必要なスキルはこれとこれで→レア鉱石も必要だから錬金も覚えないと→錬金に必要なのは…」と条件が面倒。
このスキルを覚えると何ができるようになって、それによってどういうメリットを得られるかがピンとこないです。
しかもスキルレベルを上げるためのSPが貰えるのはLVアップ、タレント開花したときだけなので限りがあります。
中途半端に取っても無意味なスキルが多いため下手にSPを使うと取り返しがつきません。
また、特技はアイテムを消費するため、持ってなかったり残量が無くなると買いに戻るハメに。
モノによってはどこに売ってるかわからず右往左往。
ブラックスミスなどの「スーパー特技」は条件に複数キャラの特技LVが絡んでより複雑です。攻略情報なしで強力なアイテム製作までたどり着くのはまずムリ。
このように、スキルシステムが複雑。
なので攻略情報なしの初見では強敵にぶち当たったとき「は?敵強すぎて全然勝てねーんだけど」とつまずきます。
難所を乗り越えるには計画的なスキル育成が必要。
本気で遊びこむなら攻略本やネット情報を頼らざるを得ないでしょう。
リアルタイムバトル
奥行のある擬似3Dフィールドで2Dキャラが動き回るリアルタイムバトル。
テイルズシリーズが奥行きのある3Dフィールドになった感じ。
相手が強敵だと、ダメージを与えるより行動させないことが重要なので忙しいです。
位置取りが重要。直線上に固まってると瞬殺されることもあります。
ほとんどの敵は正面から攻撃すると弾かれるので挟み撃ちにしましょう。
パーティーは最大4人で、そのうち1人を手動操作。
方向キーで移動を直接操作しリアルタイムで行動を入力。
キャラは戦士、術士の2タイプ。
戦士は事前にセットした必殺技をワンボタンで撃てます。
実際プレイすると、通常攻撃が強いのでボコボコ殴るだけになりがち。
しかも通常攻撃の鈍い手応えが一番気持ちいい。
攻撃術は弱く、演出が長い上にカット不可なので余計に使いたくないです。
PSP版は攻撃術の演出が30秒→10秒以下に改善。しかし通常攻撃が3連になったので物理で殴る優位がさらに進みました。
ボス戦は対策必須の「初見殺し」の傾向が強いです。
しかも硬いし、ダメージが見づらいのでどれだけ削ってるのかわかりません。4000ダメージを連発して良い調子♪と思ってたら400、0が重なっててガッカリとか。
そんな中、ボス戦に負けイベントが混ざっているのがややこしい。
特別な武器を入手するまでの「十賢者」戦は全て負けイベントで、進行は1分経過が条件だったり。知らないと絶対1分も持たず、瞬殺されます。
vs「ミカエル&ハニエル」
終盤、プレイヤーにトラウマを植えつける最強ダッグ。
開幕、ミカエルの火属性全体攻撃で全滅。火軽減装備で挑むと今度はハニエルの石化攻撃でボロボロに。
あまりにもキツいので負けイベントだと思った人も多いのだとか。
プライベートアクション(PA)
サブイベントを抜き出して別にまとめたようなシステム。
□ボタンで町に入ると、パーティーメンバーが町で分散行動。その間、仲間と会話できます。
これによってメインストーリーは一切変化しませんし、強いアイテムがもらえるわけでもないです。キャラと仲良くなるためだけのシステム。
エンディングが変化するだけで、仲良くなるメリットは特に無し。
イベントの数が多く、かなりシビアな期間限定や、フラグを立てると別のPAイベントが発生したりでやはり攻略情報必須。
隠しダンジョン「試練の洞窟」
①ラストダンジョン最後のセーブポイントでセーブ
②特定NPCに話し掛ける
③砂漠の遺跡へ
というゲーム中で一切説明がない手順を踏んで隠しダンジョンへ。
・凶悪なザコ・ボスが多数登場
・全階に何かしらの仕掛けつき
・ダンジョン内でセーブ不可
13階のダンジョンを潜るだけですが、攻略には本編以上の時間がかかるほどの厳しい道のり。
各階のボスはラスボスをはるかに超える強さ。
本作はフリーズが多いです。戦闘終了後にボタン連打するだけでフリーズすることも。
そのため、セーブ不可である「試練の洞窟」最大の試練はフリーズといわれています。
vs「イセリア・クイーン」
最強ボス。本作からトライエース作品定番の裏ボスになります。
正面に立つと瞬殺される凄まじい火力と石化攻撃。HP300万なので長期戦。
装備を整え、消費アイテムを使いまくってなんとか撃破しました。
ちなみに特定条件を満たすことでラスボスが「真・ガブリエル」になります。その強さはイセリア以上。
SF感が無い&雑なシナリオ
SF感が薄い。
SFっぽいのはオープニングデモだけといっても過言ではないです。
話は壮大なのにやってることは終始地味。
銀河連邦は本筋にはほぼ関わりません。登場するSFっぽい宇宙船は戦艦カルナスだけで、それに乗るのもほんの一時。
ストーリーは田舎っぽい未開惑星エクスペルと、超文明エナジーネーデだけで完結します。
前半の冒険の舞台、惑星エクスペル。
紋章術(魔法)が発達している一方、科学技術の水準は低め。
星の人口が10億人らしいのですが、全くそう思えないスケール感。全部合わせても200人ぐらいに感じます。
後半の舞台、人工惑星エナジーネーデ。
地球を遥かに上回る文明ですが雰囲気はエクスペルと変わりません。
むしろ活気がない分、文明レベルが低いようにも見えます。
いくら進化をやめたとはいえ、これでは超技術の説得力に欠ける気が。
こちらも人口数億人らしいのですが、やはりそうは思えないです。
凄まじいご都合主義なストーリーが展開します。
昔、攻略本見ながら何度もプレイしたのにストーリーについては何も覚えていません。それほど印象が薄い。
どんな問題が起きても解決手段が都合よく用意されており、主人公達は指示に従うだけ。「城とか街に行く→困りごとを聞く→洞窟へ」みたいなおつかいの繰り返しになります。
「なぜそうなる」「なぜそこで納得する」
みたいな展開の連続。
なぜかクロードが武具大会に参加、気がつけば大量破壊兵器の製造に加担し、軍の先発隊になり魔物との戦争にガッツリ身を投じます。
ソーサリーグローブの調査がしたいだけなのになんでこうなった。
永遠の別れのように演出したのに、この後たった2時間で帰ってくるクロード。
十賢者には重要な背景設定がありますが、それが本編で全く明かされません。
「宇宙征服を企む悪の10人組」みたいな浅い話で終わってます。
後半はさらにご都合主義が加速。
エナジーネーデとかいう未知の土地に飛ばされたのに、クロード達の飲み込みが異様に早いのでついていけません。
ネーデ人の指導者、ナールさん。
前代未聞の事態になってるのにこちらも話が早い。
後半はナールさんの指示に従うだけですが、この指示がテキトーすぎます。
内容がよくわからないのにとりあえず4つの試練に行けと言うナールさん。
そもそも自分達に十賢者を倒す力が無いからって、なんでクロード達に丸投げなんでしょうか。
ネーデの因果を自らの手で断ち切るとか、宇宙を守る責任感とか無いの?
4つの試練ではRPGにありがちな回想も入りますが、クロード自身が言うように力を手に入れた気がしません。入手した宝珠を使うこともない。
にも関わらず、クロード達が4つの力を入手すると同時に、さっそく明日から決戦に踏み切るナールさん。見切り発車すぎます。
しかも待っているのは負けイベント。ナールさん!話が違うよ!
結局は武器の問題だったらしい。
てかその武器を最初から出せ!アンタのせいで凄い被害出てるじゃないか。
で、研究施設へ武器を取りに行くのですが、これがまたテキトーなんです。
ナールさんも初めて見るビデオを観る
→たまたま見た最後の場面からアクセスコードをゲット
→設計図を入手したが内容がよくわからない
→この町に天才がいるから大丈夫
っておい!計画がガバガバすぎ!
この後、天才がたった3日で星を破壊するような武器を作成してくれます。
その間、クロード達はアミューズメント施設の戦闘シミュレーターでのんびり調整。どうも緊迫感がない。
その武器を手にした途端、「あと8人!、あと6人!」みたいにトントン拍子で十賢者を倒していくクロード達。
マジで勇者とか友情とか関係なく、武器の問題だったんです。
ラスボス戦直前、ガブリエルがフィリア(レナの実母)の名前を口に出しますが、2人の関係について全く説明がないので意味不明です。
あと、味方の誰かが「宇宙を崩壊させるだけならこんな回りくどいことする必要ないはず」とか言ってたけど、明らかに崩壊させようとしてません?
最後は主人公達だけ助かってエクスペル復活という、なんとも強引なご都合主義。
タイムパラドックスとか色々問題ありそうだし、かなり無理がある気が。
てかナールさん達の独断でエナジーネーデ崩壊させちゃって良いのか?
独裁すぎます。星に住んでいる数億人の意見はどうなる。
結局、
クロードの冒険のきっかけになった惑星ミロキニアの謎が最後までほったらかし。
何故エクスペルに飛ばされたのか、あの遺跡は何だったのか。何も明かされない。
古文書の内容、レオンの両親の生死などの伏線が回収されるのは特定EDのみ。
シナリオについては粗いというしかないです。
まとめ
大ボリュームと凝ったシステムでガッツリやり込むRPG。
豊富なプリレンダCGや3D表現を活かしたバトルも見応えあり。
ただし攻略情報は必須かと。
SF感が無く粗いシナリオは、まあそういうものだと割り切ればOK。
では今回は以上です。
本作が気になる方へ、次にオススメするのは同じトライエース開発の名作↓