はじめに
選択肢により展開が分岐するオーソドックスなアドベンチャー。
キナ臭い噂が絶えない病院でアダルトなことがありつつ事件の真相を探る。
売上30万本以上。SSソフト売上トップ20以内に入る大ヒット作。
サターンユーザー大丈夫か?
妖艶な魅力:【慟哭 そして…】
PCアダルトゲーの移植。X指定 (18禁。18才推奨より厳しい)
PC版から大幅にカットされてるとはいえ、上半身裸ありでコンシューマー作品としてはかなり攻めてる。
あからさまな言語表現の方が過激。こちらは規制無し。
ハレンチな制服を着こなすハレンチな容姿のナース達。
現実なら即問題になりそうなセクハラ発言も華麗にかわす。
あらすじ
主人公は自称天才私立探偵、海原琢磨呂。
過去に数々の難事件を解決した手腕を持つが、強引な捜査と卑猥な言動のせいで現在は落ちぶれてる。
ある日、バイク事故で足を骨折。野々村病院へ搬送される。
病院では一週間前に院長が怪死する事件が起きていた。院内の人間にこの件に関する話を聞いても口をつぐむばかり。
不審に思っていると当然、どう見ても怪しい院長夫人に呼び出され「院長が自殺でないことを証明して欲しい」と依頼を受ける。
こうして琢磨呂の捜査が始まった。
システム
ストーリー分岐はツリー状の枝分かれ型ではなく、複数のフラグで管理。
次に進むにはそれまでにフラグAとBを両方立てておく必要がある、といった具合。
フラグを立てるチャンスは何回かあるが、手遅れになると後にどう頑張ってもバッドエンド確定。
ヒント機能つき。ゲームオーバー時、原因と回避方法を教えてくれる。
主人公が卑猥
発言の卑猥さ、社会不適合者っぷりが半端ではない。
終始、主人公の視点で描写されるのでテキストがいちいちユニーク。
ただ卑猥なだけではない、鋼の意思を持つ男。
どんな危機的状況、半裸のヒロインを前にしても調子を崩さない。
探偵としての実力は本物なのでやるときはやる。ルパンとか冴羽獠タイプ。
最初は院内の人間にも嫌われ邪険に扱われるが、次第に信頼を得て相手の態度が変わっていくのが痛快。
裏表がない性格なので、裏表だらけのこの病院で信頼感が際立つ。
不満点
これだけの台詞量・分岐を破綻無くまとめるのは凄いが、ストーリー自体はいたって普通。
膨大なテキストを読んでるうちに事件自体どうでも良くなってしまった。
オチも意外性・驚きに欠ける。真犯人の動機が薄く納得感が無い。報われないので後味も悪い。
そもそも主人公が勝手に首突っ込んでるだけなので事件解決のモチベーションが湧かない。
主に捜査する場所の順番でフラグが立つが、脈絡がないのでセーブポイントからしらみつぶしに色んなパターンを試すのみ。
プレイヤーが推理するシーンもあるが、間違いを選んでもまた選びなおすだけだったり全部選ぶと次に進むので無意味。
マルチエンドといっても、本編から唐突にバットエンドに分岐するだけ。
バットルートでも展開が様々に変化していく「かま夜」に比べるとあまりにも単調。
※本作のPC版発売は1994年。SFC「かまいたちの夜」は同年の少し後に登場した。
おわりに
ストーリーは普通のサスペンス物。
自殺か他殺か、注射器がどうのこうのといった話。特に面白味はない。
ゲームとしてもイマイチ。
フラグ管理は順番の総当たり。謎解き要素は無い。
マルチエンドといってもほぼ1本道。
主人公の卑猥な言動だけが印象に残る。