「深海×バイオハザード」
そんなの面白いに決まってる。ハズれるわけない。
発売時期はすでにサターンが終わりかけてた頃なので知名度は低いです。
当時サターンを持っていた僕は、ゲーム誌「サターンマガジン」で本作の紹介をちらっと見たけど扱いが小さいので購入はスルーしました。
でもずっと頭の片隅に引っかかってたんですよねーこれ。
なので20年の時を経てようやくプレイ。
プレイする前の僕のように、
「時期が悪くて知名度は低いけど、実は神ゲーなんでしょ?」
と気になっている方は当記事が参考になるかもしれません。
結論を先に言うと、たしかに舞台は良いけどバイオハザードに比べて粗さが目立ちます。
良い部分の魅力を、粗さによるストレスがはるかに上回ってくる。
1998年夏発売(バイオ1から3年、バイオ2発売後)にしてはさすがに一周遅れという印象です。
当記事ではまず本作のシステムと全体的な難点を紹介し、その難点により悶絶したプレイレポートに移ります。
メインディッシュはもちろん後者ですが、ネタバレ多めなのでプレイする気なんてさらさら無い方だけご覧ください。
もくじ
深海×バイオハザードのシステム紹介
システムは全体的にバイオハザードと似ています。
具体的には、
・ラジコン操作+固定カメラ。
・固定視点で2Dマップ。カメラ切替え&ラジコン操作
・Rで構え、Aで射撃
・ドアで暗転、読み込み
・敵は未知のウィルスに寄生された人や動物。動きもゾンビっぽい
・「~の報告書」「~の手紙」を入手してファイルに閉じる
このようにバイオと共通点が多いので、バイオに慣れている方は違和感なくプレイできるはず。
水中に入ることがあるけど動きが遅くなるだけです。普通に走り回れます。
舞台は「深海の閉鎖空間」。
地上とは違い空気という貴重なリソースが消費され続けるので、その場で助けを待っているわけにはいきません。よって自分から行動する必然性があります。
その閉鎖空間の中で繰り広げられる凝ったストーリーも魅力。
ハリウッドアクション映画ばりのコテコテな展開があります。
しかし凝っていることで、かえって登場キャラや設定の描写不足が目立つような気が。
色々とドラマがあるみたいだけど、どうにも感情移入できません。
結果、ストーリーなんてあってないような「バイオハザード」のジルやクリスの方に愛着を感じてしまうのが不思議なところ。
ゲームは「映画っぽくすりゃ良い」ってものでは無いんですね。たぶん。
粗い
最初に「バイオに慣れている方は違和感なくプレイできる」と言いましたが、それは「何をするゲームなのかがすぐわかる」という意味。
バイオ風のシステムで違和感なく遊べるからといって、面白いわけではありません。
むしろバイオと似ていることで、出来の違いが浮き彫りになっちゃう。
結果的に、バイオがいかに優れたゲームなのかを実感することになります。
「システムをマネすりゃ良いってもんじゃない。ゲーム作りはそんなに甘くない」
そんな教訓を得ることができました。
粗いマップデザイン
マップデザインが粗いんです。
まず、見た目に特徴が無い。
自分がどの区画にいるのか見分けがつきません。倉庫、研究室、などの部屋もぱっと見全部同じ。
「そういえば、バイオは同じ洋館でもフロアや部屋ごとに色味や雰囲気を変えてたなー」
とまた1つバイオの良さに気づくことになります。
見た目だけでなく、構造に特徴がないのも問題。
ドッキングエリアB1が典型的。四方全てが同じデザインで扉のデザインも同じ。
アパートメントエリアなんて四方だけでなく2F・3Fのデザインが同じ。
一応、見づらいナンバーが壁に書いてあるけど、行き先とナンバーを自分で紐付けて覚えろということでしょうか。
それはあまりにもプレイヤーにぶん投げすぎだと思います。
その他、以下のような問題点があります。どれをとっても「粗い」の一言につきる。
・遠くに行くとカメラが追ってくれず、敵で視界が塞がれる
・携帯マップは現在地&自分の向きがわからないので使い物にならない
・カメラが切り替わるたびにCD読み込みで一瞬フリーズ
そのカメラワークが1、2歩で切り替わるほど細切れ。お使いで同じ場所を何度も往復するため半端ではないストレス。
・エリア移行がただのロード画面と化している
エリアの区切りと敵配置が噛み合っていないので、バイオのドアのような「この先はいったいどうなっているんだろう…」というエリア移行のドキドキ感がありません。
・扉が背景と同化している
一見行き止まりでもA連打しながら方向キーをグルグルしてたら先に進めることも。
・重要アイテム、オブジェクトも背景と同化
視点で誘ったり、キラっと光らせるというような配慮がありません。
アイテムはポリゴンモデルを作る手間を惜しんだのか姿形も無い。
そのため「この辺に何かありそう、この死体が何か持っていそう」と手当たり次第Aボタンでチェックしていくハメになります。
・扉やハシゴがなぜかカメラに対して垂直方向なので見づらい
ポリゴンキャラと背景の位置関係が判別しにくいので、扉に入ろうしても位置がズレます。
垂直方向ではせっかくの扉の文字やマークも見えません。見えても画像が粗すぎて判別困難という二重苦。
ハシゴは両側から触れられるのに、アクセスできるのは片方のみなのもややこしい。
上記のように、山のような問題点があるにも関わらずスタート直後から自由度が高いから戸惑います。
マップを覚える前にいきなり離れた場所に行かされる。
しかも全編通じて謎解き要素がほぼ無くて、基本は頼まれごとをこなす「お使い」の繰り返しです。そのため探索してる感が薄い。
「恐る恐る探索して謎を解きながらプレイヤー自身もステップアップしていき、少しずつ探索範囲を広げていく」
というバイオのゲームデザインがいかに優れているかを痛感します。
雑な敵配置
マップデザインだけでなく、敵配置も雑。
バイオの敵は、視点切り替えとの相乗効果で緊張感を演出するように配置されています。
対して本作の敵はただの障害物。とりあえず雑に置いて、物量で自キャラを消耗させるだけ。
雑な敵配置に合わせて、「回復・弾薬補充・セーブ回数が無限」という作り手側がデザインを練る手間を省いた、作り手の頭に優しい仕様になっています。
当然単調なので遊ぶ方にとってはたまったもんじゃない。
敵の形と動きもイライラポイントが高いです。
複数の敵が同じリズムで動くのがマヌケ。
力を合わせて扉の前に立ち塞がったり手を伸ばして通せんぼ。「ディーフェンス!ディーフェンス!」
どいつもこいつも触手的なパーツが飛び出しているので引っかかりやすい。
マスクをつけいる間や、ハシゴを降りている間も襲ってくるのが腹立ちます。
恐怖とかではなく、普通に腹が立つ。
構えが「トグル式」
操作はバイオと似ているのですんなり遊べるけど、トグル式(押すたびに切り替え)の銃構え操作だけは混乱しました。
構えモーションが異様に鈍いため、間違えて切り替えるとモタモタしてしまう。
構え中はドアやハシゴにアクセスできずアイテムも拾えません。
いったん構えるのをやめてアクセスし、また構えることになるのでモタモタ。
いざ撃ってみると、ヒットしているかどうかがわかりずらいのが難点。
敵のリアクションが乏しく、出血エフェクトがあったりなかったり。
特にボス戦ではダメージが入っているのかわからないので不安になります。しかも実際、粗い当たり・食らい判定によりダメージが入ってなかったりするから困る。
自動照準オフだと驚くほど弾が当たらないので、オプション「ENEMY SEARCH」をオンにして自動照準(Lボタン)にします。
これが高性能で、自キャラから見える敵は画面外でもスナイプするほど。
しかし「自キャラから見える」というのが曲者で、見た目より大きいオブジェクト判定に邪魔されたり、角度次第で反応しなかったりでイライラ。
バイオのように上下に撃ち分けることはできないので、ヘッドショットやダウン追い討ちのようなゲーム性はありません。
面倒臭いエアゲージ
本作の最も特徴的な要素がエアゲージ。
舞台は深海なので空気の残量が問題。
なので、HP(黄色ゲージ)の上にあるAIR(青色ゲージ)の残量にも気をつけながら行動する必要があります。
室内のエア残量がゼロになるとエアゲージが減り始め、ゲージがゼロになると窒息死。ゲームオーバー。
各所のエアシステム、圧縮空気入りの手榴弾(エアグレネード)で室内の空気を補充します。
一見、緊張感あふれる良いシステムのように見えますが、エアシステムで毎回補給すればいいだけなので緊張感は薄い。
エアシステムはセーブポイントを兼ねているのでついでにセーブもできます。
エアグレネードを投げても大回復するのでエア残量にはかなり余裕があります。
プレイ中、エアーを気にすることはほとんど無かったような。
ところで、ゆっくりとエアマスクをつけている間も敵は接近してきます。
1回行って先の様子がわかってるんだからマスクつけてから部屋に入れと主人公に言いたい。
では本作のシステムと「粗さ」についてわかっていただけたところで、いよいよプレイ開始します。
思惑と謎がうずまく深海へ潜っていきましょう!
DISK1:思惑が交錯する海底へ
SF大作映画のようなカッコイイOP。
これは期待できそう!なんつって。
全編にわたって頻繁に力作ムービーが挿入されます。
豪華ではあるけど、探索のテンポを損ねているような気も。
その点、バイオハザードはムービーの使い所を抑えて効果的に使っていますよね。
おっと、またバイオの話をしてしまいました。
気を抜くとすぐバイオの話になってしまう不思議なゲームです。
CCD→NAVY→DOCKING
主人公が脇役顔でなんだかしっくりこない。
映画に出てきそうでリアルだけど、ゲームのキャラとしては物足りないという感じ。
ゲーム開始してすぐ、分かりづらいマップと、調子乗りの賑やかしキャラ・ムーキーにイラつきます。
謎の女、怪物、ミサイル暴発など立て続けにイベントが続き、状況がよくわからないまま核ミサイル発射阻止に向けて行動開始。
SEA FOX
ボス1「ダラス艦長」
序盤なのにメチャ強い!
1発で3割、掴まれると即死。
弾薬フルに撃ち込んでやっと倒せるぐらい硬い。
ここでゲームを投げてもOKです(笑
ハシゴを軸にして追いかけっこのヒット&アウェイで倒しましょう。
グレネードがあると楽。
ボス戦後の制限時間イベントは、シーフォックス転覆で上下左右が反転します。
ルートを間違えるとほぼアウトのわからん殺し。
MI~JUNK
賑やかしキャラ・ムーキーが早くも死亡。
こういう奴って映画なら最後まで残るパターンが多いので、さっそくの退場は予想外でした。
あんな奴だけどいなくなると寂しいです。
もはや原型が何なのかわからない犬型(?)クリーチャーが強い。
全員タイミングをあわせての反復横跳びで進路をふさいできます。
この辺から、「無限補充した回復と弾薬を、ひたすら同じエリアを往復させて消耗させる」という作り手の意図をひしひしと感じます。
APARTMENT~AIR UNIT
なんやかんやとお使いをこなしてトーチを入手。
この辺りで何のために何をやっているのかわからなくなってきました。
CCDに戻ったらひたすらイベント消化。
うーん、ダルい。
AIR UNITエリア制御室の死体を2回調べるとスタングレネードが手に入ります。
本作はこの「2回調べ」が基本。
キーアイテムも2回調べたり話しかける必要があるので厄介。
本作のそういうところがダメだと思うんです。
プレイヤー目線で客観的に考えれば、作り手側の都合でしかない「2回調べ」なんて仕様にはならないはず。
テキトーなマップデザイン、雑な敵配置、リソースの無限補給などにも、作り手側の「甘え」を感じてしまいます。
一方でバイオハザードは、プレイヤー目線で作り、プレイヤーの体験をデザインしているのがわかる。
この意識の差が、両者の決定的な違いだと思うのです。
ボス2「ネズミ型クリーチャー」
やっぱり硬い。しかもすばしっこい。
スタングレネードでひたすら撃ち込むか、グレネードを上手い具合に当てます。
ボスの死体を2回調べないとキーアイテムが出ないので注意!
しかも制限時間つき。気づかないと詰みます。
DISK2:ポストマンと化す主人公
CCD~APARTMENT~SEA FARM
後半はさらに酷いお使いゲー。
NPCのアンナに「みんなのポストマンやってんのかい?」と言われる始末。
いや、僕だって好きでポストマンやってるわけじゃないんですよ。
イベント後、クランシーに再び話しかけて重要アイテム「ショットガン-A用ウェポンカード」取得。
ここも「イベント後再び話しかける」という流れが不自然すぎます。
その後、敵もいないような複数エリアをまたいでガスボンベを取りに行くお使いへ。当然、往復でダルい。
この辺でエレベーターのデモをカットできることに気づきました。
もっと早く気づけばムダな時間をカットできたので悔しいっす。
DN~NAVY
DNエリアに着いたらまたしても山ほどエリアをまたいでお使い。やっぱり往復なのです。
NAVYからDNエリアに戻ったら、また何の意味があるのか謎な3F→2Fの行ったり来たりでもうウンザリ。早くクリアしたい。
DN ~SEA BED TUNNEL
自キャラもドアも見えない!
ここはゲーム中屈指の難所です。
何回も通らせることで消耗させようという作り手の狙いが見え見え。
誘導に失敗すると囲まれ、上手く抜けてもドアに入れず囲まれてボコボコにされます。
まあ片っ端から倒せば良いのですが。
もっさり移動で進み、魚につつかれながら空気を奪われるだけの「CONNENTION PARKエリア」を抜けて次のエリアへ。
ボス3「アンナ」
ダラス艦長と同じでやっぱり硬くてダルい。
てか今考えてもやっぱりダラス艦長は強すぎでしょ。後半のボスと大差ないやん。
SEA FARM~NAVY
ここまでくると敵はウザいだけ。
「シァーシァー!」と常にうるさくて、攻撃は回避困難。怖さの欠片もありません。
いいからそこをどきやがれ!
ムービーがキモい!
ようやくラスボス戦です。
ラスボス・シャロン。
別名「キャベツ」。
最後の最後に強すぎる!
基本的にはひたすら連射で怯ませてゴリ押しするしかない。
武器選択を間違えると弾薬フルでも詰みます。
硬いというより判定がおかしい。
撃ってもリアクションが無く、密着して銃がめり込むと当たりません。
また、スタングレ食らっても変なポーズで固まるだけ。どういう状態なのこれ?
真ん中のオブジェクトの判定が見た目より大きく、邪魔になって自動照準が効かないのもイラつきます。
攻撃も強力。
自キャラの動きの鈍さなんてお構いなしの超スピードで猛攻を仕掛けてきます。
回避困難な上にやたら攻撃力が高くて、2連撃で体力半分持っていかれる。応急キットの回復量では間に合わずジリ貧です。
緑フラッシュで行動不能にさせられてからのダッシュ攻撃は回避不能。
一応、グレネード投げモーションの無敵時間を利用して切り抜けることは可能(エアグレでも可)。
リロード中には無敵時間があるので、敵の攻撃が上手く重なれば無傷で済むこともあります。
そういう小技を上手く使ってなんとかしてください。(←投げやり)
ラスボス撃破後、制限時間イベントでまた往復させられます。
最後の最後まで尺稼ぎ。
元凶の猿ともども全てを海に葬り、主人公は無事救出されましたとさ。
一緒に乗り込んだブルドッグが感染してるんじゃないか、という一抹の不安を残しながら…
続編作る気マンマンやないか。
まとめ
プレイするとバイオハザードの偉大さに気づける作品。
ストーリーや舞台設定に見どころはあるけど、
・粗いマップデザイン&お使い感の強い攻略ルート
・アイテム無限補給による雑なバランス調整
など難点が多いです。
そのうちゲーム中の敵ではなくゲーム自体が敵に思えてきます。
忍耐力のある方はぜひチャレンジしてみてください。きっと話のネタになりますよ。
セガハードが誇るもう一つのバイオハザードもどき↓