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「刀剣の鉄人」を観た感想:「殺せるね♪」が欲しい

投稿日:2021-04-09 更新日:

「刀剣の鉄人」とは「料理の鉄人」の刀剣版

予選では4人の刀剣職人が与えられた鍛冶場でナイフを作り出来を競う。
2人脱落した後の決勝は、指定された伝統武器を自前の工房で作る。

「火事場へようこそ」
「これは、殺せるね♪」
「胴を貫き、骨を砕き、内蔵をズタズタに引き裂いてくれぇ」
など日常や日本のテレビでは絶対に聞けない名言が飛び出すイカした番組だ。

ヒストリーチャンネル無料体験でシーズン3まで全部観た。

この番組は観続けるほど知識が積み上がって面白くなる。
だから無料で観れる第1話※と低評価レビューをチラ見するだけで見限らないでほしい。
(※第1話は伝統武器が日本刀なこともあり日本人の反感を買っている)

刃だけでなく鍔や柄を含めたデザイン、機能性も重視しているのが面白い。
そこが「評価基準が曖昧」と言われがちなんだけど、番組を観続けると基準がわかってくるのよ。

それにシーズン2からは、各自の素材をくじ引きで決めたり製法を指定されたりで完全に不公平だから逆に気にならなくなる。

 

個性的な挑戦者の他、なんだか挑戦者より熱い審査員のイケメンおじさん3人が良い味を出している。

「あぁもうダメだぁ!早く焼入れするんだ!突っ込め!」
「諦めるな!どんな形でも、これが俺のブレードだ!と言ってやればいいんだ!」
「幻のような作品と言っても良い。それを目にした者には死が訪れるかのような凄みを備えている」
「ここの臓物が飛び出してきたよ!」

中でも印象的なのはダグの「殺せるね♪」。
物騒な台詞と爽やかな笑顔がシュールすぎる。

シーズン3はコンプラの関係か、ダグが「殺せるね♪」と言わなくなった。寂しい。
「良いね」「切れるね」じゃダメなのよ。殺せるね♪が欲しい。

俺はてっきりダグがコンプラを気にして台詞を変えたと思っていたけど、ダグはちゃんと「kill」と言っている。

吹き替えの台詞を変えた奴ふざけんな!

 

たまに課題条件を完全無視する人が現れるのも見どころ。

33cm以内つってんのに54cmの大型武器作っちゃって修正しても45cmだったり、ホロウエッジにしろつってんのにコンペックスにしたり。なんでそうなる。

一番ヤバいのが、鍛造せず削っただけの刃を出した人。
当然敗けて「安全策をとったのが間違いだった」と言い放った。いやいや違うから、それただの鉄片だから。

エポキシミスが多いのも笑う。

 

観続けてわかるのは、ルール次第の運ゲーに見えるけどしっかり実力差が出るってこと。

たまに出てくる「名匠」と呼ばれる実力者は、まるで工芸品のような完成度高い作品を仕上げてくる。

また1ミス即敗退みたいなレベルの高い勝負は稀で、鍛造さえそれなりなら後のミスは挽回できる。実力者なら。

例えばトラビスは経験のない鋳造を強いられて大ミスしたけど、刃とデザインの完成度でカバーして勝ち上がった。

工具製作で生計を立てていたトラビスはチャンピオン大会を見事優勝し、スピンオフ番組「刀剣の鉄人 死のラウンド」の司会に抜擢された。
刀剣制作の腕と、抜群のルックスとひょうきんなキャラで活躍している。
刀剣制作には夢がある!

 

対して、第1ラウンドで落ちるような敗者には共通点がある。

・条件を聞いていない。あるいは知ってて無視
・段取りが悪い。時間が無い
・「機械は使わない」的な、独りよがりなこだわり

課題違反はまぬがれても、

・やたらとデカい、重い
・刃が取り回しにくい
・柄が持ちにくい

など、いい加減さが技術以前の難点として作品に出る。

 

実際、チャンピオン大会と敗者復活戦では戦いのレベルに歴然の差がある。

同じ限定条件下でこの差。
「もの作りは奥が深いなー」と思った。

俺が若いときにこの番組を観たら、鉄製造関係の職に就こうと思っただろう。
工業系の学生は必見の番組だ。NHKのゴールデンタイムに放送しよう。もちろん「殺せるね♪」はそのままで。

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