「ニーアオートマタって何でこんなに評価高いの?」
と気になる未プレイの方へ向けて、全9回のプレイ記事を作り終えた私が本作の魅力を紹介します。
ネタバレ(ほぼ)無し。安心してご覧ください。
もくじ
ニーア オートマタってどんなゲーム?
ニーア オートマタは、スクウェア・エニックスがプロデュース、プラチナゲームズ開発のアクションRPG。
『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』(2010年発売)の後継作品です。
舞台はゲシュタルト/レプリカントから数千年後。
異星人の侵略により人類が地球から月へと追われた未来。
地球奪還のために人類側が作ったアンドロイドと、異星人が作った兵器・機械生命体との戦いを描きます。
シリーズ未プレイでも楽しめました。
本気でストーリー考察するなら他作品もプレイする必要がありそうだけど、個人的には本作だけで満足です。
操作キャラはパッケージに描かれた2B、9S、A2の3名。
キャラクター後方からの三人称視点(TPS)アクションが基本です。
ときにはSTGになったり真横視点の2Dアクションになったり、TPSの枠にとらわれない演出があります。
フィールドはいくつかのマップがシームレスにつながった形で、ロードなしで自由に移動可能。
マップには沢山のサブクエがあり、メインシナリオ以外のボリュームも十分です。
特徴的なのはマルチエンディング。
A~Z、全26種類のエンディングがあります。
F~Zはちょっとしたボタンのかけ違いでたどり着くバッドエンド。
周回を前提にしたネタもあり、SF作品らしいメタフィクション※が楽しめます。
※メタフィクションとは
作品内の虚構に、プレイヤーが存在する現実を巻き込む=「第四の壁」(観客と舞台を仕切る壁)の打破。
例:デッドプール、古畑任三郎の一人語り、など
初週国内売上20万本を記録した後、一定量が売れ続ける特異なジワ売れを続け、2019年5月には世界400万本を突破する大ヒットになりました。
プレイヤーから非常に高い評価を受け、何年経っても中古の値段が下がらない名作です。
プレイするならネタバレ無しで遊ぶのがおすすめ。
完全ネタバレつきのプレイ日記はこちら。未プレイの方は観ないでください(汗
最高の作品になり得る
10代の心に刺さる
結論からいうと、自分にはあまりハマらない作品でした。
というのもオタク臭の強さ、10代が好きそう※1なノリに引いてしまう。
エヴァっぽい鬱展開※2が盛り込まれています。
主人公の2Bは、エヴァが発明したといわれる無機質ヒロイン(綾波レイ)を踏襲。
9Sは碇シンジ、終盤の展開は人類補完計画に見えてきます(←ムリヤリ)
※1
「10代が好きそう」の10代は、30~40代の中にある10代の感性。
本作が実際の10代には響くかは謎です。
※2
エヴァっぽい鬱展開とは
鬱不可避な背景があり、闇、不安、絶望が海のように広がる。
主人公達が頑張って泳いでもムダ。眼の前の任務や感情が動く出来事は大筋に影響を与えず、鬱展開に引き戻される。
積み重なった鬱を最後にひっくり返してカタルシス効果を生む。
私は中学生でエヴァを観たエヴァど真ん中世代。
当時も今もエヴァはあまり好きではないです。
エヴァが好きかどうかが、好みにハマる・ハマらないの判断基準になる気がします。
好みにはハマらなかったけど、ハマれば最高の作品になり得るのは理解できました。
メタフィクションネタ
プレイヤーが操作する“ゲーム”ならではのメタフィクションネタは、小説や映画では味わえないもの。
メタフィクションの1つである周回 (ループ)要素は、本作のテーマ「これは呪いか。それとも罰か。」と見事に関連しています。
1周目は普通に遊ばせて、2周目で裏側を描いて物語に厚みをもたせ、3周目は怒涛の展開。最後は他人に語りたくなる余韻を残します。
シナリオは緻密に組んである一方、背景設定は物語から逆算したようで矛盾を感じ部分も…… ヨルハ計画なんて本当に必要?
真エンドまで観ても結局よくわからない部分も多いです。
アダムとイブの存在意義、9Sの欲望とか。
秀逸なキャラデザ
2Bのデザインは本当に素晴らしい。
プレイ前は「眼帯美少女がワンピースで日本刀?だから和ゲーは!」と思っていました。
プレイして印象が一変。なるほど、これは必要なデザインだ。
顔の中でもとりわけ重要な眼を、しかも両目を隠するのはキャラデザインとしてリスキーです。
眼を隠せば感情を読み取りづらくなり、キャラの魅力半減するのが普通でしょう。
でも本作の場合、元々感情が読み取れないアンドロイドだから目隠しの違和感がすっと魅力に変わる。
不気味の谷が見えないから魅力が増幅する、想像が膨らむ、2Bのイメージが広がる。
例えば、目隠しをした人間の心眼キャラではこれほどの魅力は出ないでしょう。
黒を基調にしたワンピース+レオタードは、目隠しで無機質な中にかいまみえる人間らしい動きを効果的に見せます。
本作のキャラデザはアンドロイドをモチーフにした作品と一体となり、作品の魅力を引き上げるデザインとして機能しています。
まあこんな話は全て後付けの理屈だけど、2Bから特筆すべき魅力が出ているのはたしか。
気になる点
ゲーム全体を通した体験が売りの作品なので、個々の要素について難点を取り上げる意味は薄いです。
とはいえ、せっかくなので取り上げます。
アクションが大ざっぱ
アクションは大ざっぱな感じ。
というのも、
・武器種の性能差を感じない
武器の種類は多いし、ダンスのようなモーションでザクザク斬ってどこでも連続回避でキャンセルできるのは楽しいです。
しかしどの武器を使ってもザクザク斬るだけで使用感が大差ない。
武器種なんぞよりLV補正の影響が圧倒的に大きいことに気づくとアクションを頑張る気がなくなります。
やる気が無くなると、目が悪くなりそうなエフェクトと点滅で疲れる。
・敵の攻撃に納得感がない
画面が見づらく判定もよくわからない。被弾したときに納得感が無いです。
・敵の種類が少ない
敵はメカだけ。かつ「小型、中型、大型、飛行」ぐらいの違いで種類が少ないです。ボスはだいたい玉。
上記のように大味な上で、視覚・操作の快適さを犠牲にした演出が入るためコントローラーを投げたくなる場面も。
例えば、横スクロールになる場面ではカメラが引きすぎて何をやっているのか見えません。
しかも敵は全スルーでOKのガバ仕様。
そのうち、肝心のアクション部分がオマケのように感じます。
私は中盤からアクション要素多めのRPGだと思って遊びました。
フィールドが簡素
フィールドは「リソースに限界がある和ゲーだなー」と感じました。
オブジェクトが少なく簡素。ムダにだだっ広い。
広さの割に特にやることがなく、アンドロイドの高速走りでズガガガガーと駆け抜けるのみ。
簡素さを誤魔化すためか不自然に迷路状態です。
イヤらしく配置された見えない&見える壁。
絶妙に届かない段差。
地形が反映されないミニマップ(画面右下)もイライラ度高い。
そんな場所を、お使いイベントで何度も往復したり、周回で再び訪れたりでとことん使い回します。
周回前提のシナリオは、限られた制作リソースを誤魔化す手法としても効果絶大。
STG(シューティング)要素
STG (シューティング)になる場面が多い。
演出、オマケにしてはあまりにも多い。
縦、横、奥スクロールと、視点をグルグル変えながら頻繁にやらされます。
今の時代、STGは玄人好みのジャンル。だから相当配慮されており、シンプル&低難度な作りです。
敵のパターンは最初から最後まで変化なし。スコアやアイテムも無し。
その割り切った作りのせいでSTGの良さが一切出ておらず、凡作STGの1面をずっとやらされているようで退屈です。
視認&動かしづらいのも難点。
背景と同化して見づらい&謎の当たり判定で、斜めにパースがつ場面はさらに謎判定になります。
総じて、演出の一部として仕方なくやってる感じ。
自分で状況を打破する実感がありません。
演出・戦闘で多用するハッキングもSTG。
ハッキングでは、仮想空間でSTGとパズルが合体したミニゲームをやらされます。
こちらも退屈。
簡単すぎる消化試合が多く、パターンが少ないので飽きます。
しかも使う機会が多すぎてテンポが悪い。
ハッキングはイベントの他、戦闘でも大活躍します。硬い敵をゴリゴリ削る最強技だから使うしかない。
STG・ハッキングともに演出としての必要性はわかるけど“やらされてる感”が強いです。
楽しむには、ストーリーと世界観をまったり楽しむ心の余裕が必要でしょう。
まとめ:プレイする価値はある
「ニーアオートマタって何でこんなに評価高いの?」
と問われると返答に困ります。
グラフィックが特別凄いわけでもない。
アクションがめちゃ面白いわけでもない。
画期的なシステムがあるわけでもない。
本作の凄さは、全ての要素をあの手この手で積み重ねて重ねて「10代の心に刺さるトンガッた世界」を表現しきったところだと思います。
ずば抜けた要素は特に無いけど最後には圧倒的な説得力になっている。いわばブランディングの勝利。
真エンディングまで遊べば、好みにハマらなくても名作と言うしかない。
記憶を消してもう一度プレイしたい作品になりました。
演出やシナリオは話のネタにもなるしプレイする価値はあります。
未プレイの方はプレイ動画やネタバレ記事は見ずに、さっそく買ってプレイしましょう。