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ゴジラ&キングシーサーと超火力メカゴジラの死闘
■あらすじ
富士山から出現したゴジラは、友であるはずのアンギラスをボコボコにしてしまう。
ゴジラは石油コンビナートを襲撃。
そこに、もう1頭のゴジラが出現。激闘を繰り広げる2体のゴジラ。一方の皮膚が破けて金属部分が露出。その正体はメカゴジラだった。
事件の裏に宇宙人の陰謀があり、ヒントは沖縄の鍾乳洞で拾ったスペースチタニウムだと思った宮島博士はその場所へ行くが、宇宙人に捕まってしまう。そしてメカゴジラの修理を強制される。
同じく沖縄に向かった首里大学の考古学者、金城らの活躍によりキングシーサーが復活。ゴジラ、メカゴジラも沖縄に集結。
ゴジラ&キングシーサー vsメカゴジラの2対1バトルが始まった。
一方、宇宙人のコントロール室では、宮島博士とインターポールの南原がコントロールマシンを破壊するべく、形勢逆転の機会をうかがっていた。
はたして人間とゴジラは、ブラックホール第3惑星人の陰謀を阻止できるのだろうか。
公開:1974年/3/21
「ゴジラ対メカゴジラ」は沖縄を舞台にして、ゴジラ&キングシーサーと超火力を持つメカゴジラの死闘を描きます。
まず極限の低予算で女優すら登場しなかった前作に比べキャストが格段に豪華なのが嬉しい。
・ヒロインの金城冴子(田島令子)
・伝統歌謡を踊る国頭那美(ベルベラ・リーン)
・宮島郁子(松下ひろみ)
と目移りするような綺麗どころが揃っています。
他にも、
・宮島秀人(平田昭彦)
・和倉博士(小泉博)
と渋い名優が揃っているのも嬉しいところ。
ちなみに、宮島博士は身内のためにメカゴジラを直すという、かなりの大罪を犯します。
でも直した後に人的被害は出てないっぽいし、命を賭してコントロール装置を破壊したから良しとしましょう。
ヒロインの田島令子さんが可愛くて、服装もなんか今風な感じで良かったです。当時の流行りは細眉だったのかな?
やっぱりゴジラ映画のヒロインは外れ無いですねー。
返還された沖縄の観光アピール
沖縄返還に合わせて制作されたということで、沖縄の観光アピールが強い。
オープンニングは沖縄の名所スライド。ここだけ観ると何の映画かわかりません。
そして途中、意味もなく主人公達が沖縄・本土を2往復します。
飛行機で本土に戻り、次はフェリーに乗ってディナーまで楽しんでいる描写を入れて沖縄へ。
ご丁寧に、沖縄へ行くには飛行機とフェリーが使えることがわかりますが、石油コンビナートで大きな戦いがあった後お気楽なBGMで沖縄に渡ったりと展開はグダグダです。
やたら鍾乳洞に入り、戦い、鍾乳洞のつららをポキっと折るとスイッチが出てきたり、謎の鍾乳洞推しも気になる。
沖縄の美しい海岸をバックにしたシーサーの曲「ミヤラビの祈り」フルコーラスで歌うのは笑う。もう完全に観光ビデオ。
よく聴いたら歌詞がシーサーと関係ないじゃないか(笑
敵アジトの安っぽいセットと、猿の惑星みたいな敵はクオリティ低め。
人間とブラックホール第3惑星人で展開される戦いも、捕まったり逃げたり捕まったりでグダグダ。
第3惑星人がシーサーの置物を狙っているのは謎です。
既に予言とキングシーサー復活の謎を解いているということでしょうか。
処刑方法がサウナなのも謎です。
真っ赤な画面と「キュー」と、やかんが沸騰したような効果音がいかにも暑そう。
公開が1974/3/21と寒い時期なので「本土は寒いけど沖縄は暖かい」アピールなのかも。
インターポール(国際警察)の南原が汗だくすぎるのもそのせいですかね。
ちなみに、ゴジラ映画においてインターポールは超有能です。
総じて、このグダグダ展開には沖縄の観光アピールに重きを置いた弊害が出ている気がします。
■余談
修学旅行で行きましたねー沖縄。
海でナマコ踏んだり、足ヒレ無くして大変でしたよ。僕は元々海沿いの田舎育ちなので感動は無かったです。
田舎の高校なのにわざわざ田舎に行くなと言いたい。
沖縄のメッセージ性
沖縄返還に合わせた作品なので沖縄のメッセージ性も強い。
被害者意識がかいま見えたり、沖縄に配慮して軍が一切登場しないのは残念。
地元の歌姫の娘とジジイが出てくるのですが、ジジイがずっと本土へ恨み言を言っています。
「ゴジラよ、安住王族を滅ぼそうとした大和人をわしにかわってやっつけろ」
「コレも全部あんたらのせいじゃ。置物さえそっとしておいてくれれば置物もナミもこんな目に合わなくてぇ」
と本土に対する恨み言ばっかり。
でも娘のナミさんはそんなジジイを冷めた目で見ているので、政治的なバランスは取れています。
メカゴジラ史上最強の火力&イケメン
このように人間ドラマ部分は緊張感に欠けますが怪獣バトルは迫力満点!
工場地帯の戦闘シーンや、メカゴジラのど派手な攻撃は見ごたえあります。
前3作に比べて格段に豪華。前作は行く所まで行ってましたからね(笑
昭和メカゴジラが格好いい!
平成メカゴジラや機龍より断然格好いいと思います。
全身武器庫みたいな火力が圧倒的。やりすぎじゃないかと思うほどの爆炎でメカゴジラ自身も見えません。
またゴジラとシーサーのリアクションで攻撃の1つ1つがめっちゃ痛そうなんですよ。ゴジラなんて痛々しく流血してます。
平成メカゴジラも強いけど、攻撃特化の格好良さはやはり昭和メカゴジラですね。
関節部分が弱いのも弱点ですが、負けたのはコントロールしてるマヌケなブラックホール第3惑星人のせいです。
劇中音楽は佐藤勝氏が担当。
ジャズ調の軽快なメカゴジラのテーマは、少し聴くだけでメカゴジラの威圧感が伝わる名曲です。
ゴジラとニセゴジラの演じ分けも見どころ。石油コンビナートのゴジラ対決は見応えあります。
メカゴジラが偽装した偽ゴジラによって、またしてもアンギラスが犠牲者になりました。
地面に叩きつけられ、アゴを外され流血。酷い有様です。
今後、ゴジラ映画に一切登場しないので偽ゴジラとの戦闘で死亡した説が有力。
最初から期待させて散々引っ張って登場したキングシーサー
沖縄名物シーサーがモチーフ。
プリズムアイでレーザーを反射するのでレーザー光線には強いです。
ジジイの言う「ゴジラを倒せるのはキングシーサーだけじゃ」というのは偽ゴジラのことを言っていたわけですね。
でも実弾にはめっぽう弱いし格闘戦はいまいちでした。
正直、期待外れ。まあシーサーが強すぎるとゴジラの出番が無くなるので仕方ないですね。
まとめ
強すぎる沖縄色が邪魔に感じました。これでは「ゴジラ対沖縄」じゃないですか。
沖縄の印象だけが残るため、せっかく格好いいメカゴジラが魅力半減。
とはいえ、前作に比べれば格段に豪華で大人向けの作りになっているので安心して楽しめます。
久しぶりにゴジラ映画が復活したな!という感じ。
次作はメカゴジラが復活し、シリアスになったストーリーとさらに豪華な特撮が楽しめる傑作です。