ゴジラ

ゴジラvsメカゴジラ【感想/評価】平成シリーズ最高傑作!

投稿日:2019-08-03 更新日:

ゴジラVSメカゴジラ <東宝Blu-ray名作セレクション>
東宝 (2019-05-22)
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平成シリーズ最高傑作

■あらすじ

ゴジラに対抗するため、国連はG対策センターと対ゴジラ部隊Gフォースを筑波に設置。

G対策センターは海底からメカキングギドラを引き揚げ、23世紀のテクノロジーを分析して得た技術を元に究極の対ゴジラ兵器メカゴジラを完成させた。

一方、古生物学者を中心とした調査隊はアドノア島で孵化していない卵を発見した。
そこに巨大翼竜ラドンが姿を現す。海からはゴジラが出現しラドンと戦い始める。
調査員たちは卵と共に島を脱出。京都に卵を持ち込んだ。

卵からベビーゴジラが誕生。この卵はゴジラザウルスのものであり、翼竜の巣に托卵されていた。

同族であるベビーゴジラを探してゴジラが日本に上陸。
Gフォースはメカゴジラの出撃させ、あと一歩のところまでゴジラを追い詰める。しかしトラブルが発生して機能停止してしまう。

ゴジラはベビーのいる京都まで進撃。しかし場所を特定することができず諦めて大阪湾へ去った。

ゴジラがベビーゴジラを求めていることを知ったGフォースは、ベビーを囮にしてゴジラをおびき出す作戦を発動。

幕張の地で空前絶後の激闘が始まる。

公開:1993/12/11

 

「ゴジラvsメカゴジラ」はメカゴジラとゴジラがガチンコ勝負を繰り広げる、シンプルな構成です。

・現代人が作った平成版メカゴジラ
・ベビーゴジラ
・ラドン
が登場します。
ラドンの登場は「怪獣総進撃」以来で久しぶり。

まず重厚感のあるメインテーマ「メカゴジラのテーマ」が格好いい!
体重15万トン、身長120mのズシリとしたメカゴジラに相応しい。
ゴジラとの壮絶な戦いを期待させる名曲です。

 

その内容は平成シリーズ最高傑作といえる出来!

その理由を大まかにいうと、

・特撮が豪華!
・究極の対ゴジラ兵器、メカゴジラが強い!
・すっきりと観やすい人間ドラマ

の3点です。詳しく説明します。

 

特撮が豪華!

特撮が豪華です。

なんでも、VSシリーズは当初本作で終わる予定だったらしいので出し惜しみなし!
幕張の巨大ミニチュアセットにシリーズ中最大の火薬量。

 

特筆すべきは冒頭のメカゴジラ格納庫セット。
このシーンが超兵器の存在に説得力を持たせています。

放電は合成ではなく実際の放電というから驚き。
アームとメカゴジラのスーツ双方に電極を付け、高圧電流を流した本物の放電を使っています。

同じ超兵器でもスーパーX、メカキングギドラ、モゲラにここまで凝った描写はありません。

 

昼間のゴジラ京都横断も良いですね。
京都タワーを吹っ飛ばし、清水寺を背景に町家を蹴散らしていく様がたまりません。

 

戦闘中、パイロットが流暢な英語で話すのも妙な臨場感があります。キャストは本作のために英語を練習したのかな?
ちなみにゴジラ映画で、パイロットが戦闘中に英語で喋るのは本作だけ。

世界各国の研究者やパイロットが混ざっており英語を使用しているのには理由があります。
強力な未来の技術を日本に独占させないよう、各国の思惑で国連組織であるGフォースで建造・運営されているとのこと。

 

これまでの平成シリーズ4作は、怪獣バトルについては肩透かし感がありました。
なので本作のガチンコバトルと豪華な特撮は気持ちが良いです。

 

 

平成メカゴジラといえば生頼範義さんが描いたポスター。
劇中の曲線的でシンプルなデザインとまるで違います。

大ボス感、スターウォーズ並のスケール感は強烈。腕から垂れ下がるケーブルとかたまらん。

このポスター版デザインに魅了された人は多く、なんと公開から20年後に立体化されました。
1枚の絵でこれほどの影響を残した生頼範義さんの画力は偉大。

思えば僕が絵を描くようになったのも生頼範義さんの影響だった気がします。

 

究極の対ゴジラ兵器、メカゴジラが強い!

現代人の作った対ゴジラ兵器、メカゴジラが強い!
人間の作った兵器がここまで強いと爽快です。

1戦目なんてトラブルが起きるまではゴジラに何もさせずボロ勝ち。

23世紀の人間が作ったメカキングギドラより明らかに強いじゃないですか。
いくら23世紀の研究したといっても、はたして20世紀の人間にそれ以上の兵器が作れるのか。この点は小学生だった当時から疑問でした(笑

 

平成メカゴジラの具体的な性能は、

・ガルーダ無しでもマッハ1で飛べる
・ホバー移動可能
・口レーザーはゴジラの熱線と10秒互角に撃ち合える
・特殊装甲で熱線に対して防御力が高い
・一撃必殺!プラズマ・グレネイド

特に必殺技「プラズマ・グレネイド」の威力が絶大。

全身のダイヤモンド・コーティングによりゴジラの熱線を吸収、プラズマエネルギーに変換して収束・増幅して腹部から発射!
これを喰らえばファイヤーラドンは瀕死、ゴジラも一撃でダウン。
まさに究極の対ゴジラ兵器です。

光線系ならなんでも吸収できるようで、ファイヤーラドンのウラニウム熱線も吸収しました。

 

相手が弱ったらGクラッシャーを撃ち込んで高電圧放射。
さらに三枝未希の力でゴジラの腰にある「第二の脳」の位置を特定し粉砕。エグい!

 

圧倒的な火力は昭和ゴジラの特徴と同じですが、違うのは防御力。

ダイヤモンド・コーティングとプラズマ・グレネイドの組み合わせにより、熱線が効かないどころか受ければ逆にチャンスタイム。
コーティングが剥がれても何度か熱線に耐えます。

機動性が低く、格闘戦が苦手なのはホバー移動で補う。

 

ガルーダと合体してスーパーメカゴジラになると火力・機動力が倍増でもう無敵。

このように圧倒的なスペックを誇る平成メカゴジラ。
この強敵をゴジラがどうやって倒すのかが見ものです。

ちなみに平成シリーズおなじみの三枝未希は今回、パイロットになってメカゴジラに乗り込んでいます。

 

すっきりと観やすい人間ドラマ

人間ドラマ部分はすっきりと観やすい構成。

平成シリーズでは珍しく余計な人間ドラマがありません。
押しつけがましいメッセージも無いので怪獣の対決に集中できます。

 

セリフの1つ1つがいちいち熱い!
まずメインパイロットの原田大二郎さん。

「ヤツもゴジラ並か…」
「何をやってもムダだ。奴を止めることはできん!」
「いいところに来てくれるじゃねぇか恐竜坊や。俺はまた黙って休暇にでも行ったのかと思ったぜ」

 

指揮官の中尾彬さんまで熱い。

「ゴジラは生きて二度と立ち上がることはないでしょう」
「見たかメカゴジラの力を。お前の熱線を幾倍にも増幅して撃ち返すことができるんだ」

このときの中尾さんの自慢げなニヤつき顔が面白すぎ。

 

いかにもアイドルな顔立ちの五条梓(佐野量子)がベビーゴジラとマッチしており良いコンビですね。

コンテナの中に入ったベビーと五条梓はラドンに振り回されて激しくシェイクされたように見えたけど無事でした!

 

ちなみにベビーはゴジラザウルスの幼体であってゴジラの息子ではありません。

ゴジラは同族の臭いを感じるベビーを追っています。
しかしジュニアはゴジラなんて化け物のことは知らないので、ゴジラと合流しても仲間意識を持たずにおびえます。そりゃそうだ、ゴジラザウルスと全然違うやないか。

それでもなんとか通じ合ったようで、ゴジラと共に南太平洋のバース島へ渡りました。

 

総じて、メカゴジラとゴジラの対決に焦点を絞った構成はすっきりと観やすく、力作の特撮部分が引き立っており完成度が高いです。

 

とはいえ、やはりゴジラ映画ですから多少のムリはあります。

特に主人公、青木一馬(高嶋政宏)がやりたい放題で問題児すぎ!

全員マジメに仕事している登場人物と対比させる演出だと思いますが、主人公の性格だけ軽すぎ。任務そっちのけでナンパ。軍人とは思えません。

なんでこの人が精鋭集団に選ばれたのか謎。他にも候補生が沢山いるように見えますが…

しかも途中で「あとはよろしく」と言い残して任務を放棄します。
これには原田大二郎さんも「おい、どこへいく!おい!」とお怒り。敵前逃亡は重罪ですよ。

そもそも、最初のゴジラ出現時に無断で外出して任務放棄しています。駐車場への左遷で済んでラッキーだ。

 

でも技師としては天才的。
メカゴジラにガルーダを合体させるアイデアを開発責任者に直談判して復帰します。

要するに元々合体する予定じゃないものを無理やりくっつけて「スーパーメカゴジラ」とか言ってるんです。それにしては完成度が高すぎる(笑

青木と入れ替わりで飛ばされたガルーダパイロットのジェンソンは可愛そうです。せっかくトレーニングしてきたのにこんな奴のせいで。

まあ主人公が軽いからこそ、他のマジメな軍人が引き立っているわけで。
多少のやりたい放題は仕方がないのかも。

 

オマケ

「日本に大被害が出たのはアドノア島調査団が卵を日本へ持ち帰ったせいだろ」
という気がしないでもない。

大前博士がテキトーなんですよ。

博士率いる調査団がアドノア島で卵を発見して持ち帰ろうとしたときラドンが現れます。
そのとき、

博士「核の影響かなにかで、ゴジラと同じことがプレラノドンにも起こったんだ」
助手「そういや、この辺は使用済み核燃料の墓場ですよ!」

核の影響かなにかで、ってテキトーか!
そういえば、って調査不足か!

 

で、こんなことがありながらも卵を日本で最重要といえる都市、京都に持っていっちゃいます。
何がヤバいって、

「卵を島から運び出そうとしたとき赤くなった。あれは怯えだよ。怯えや不安を感じると卵が赤くなる」
「卵は殻の中でじっと耳を澄ませて自分を守ってくれる母性というか母親を探しているんだ」

という大前博士の台詞。
つまり博士は、ラドンかゴジラが卵を奪いにくる可能性に気づいているんですよ。
登場人物の中でこの人が一番ヤバいと思います。

 

ゴジラは最後、超能力の誘導で帰っていきます。
「もうずっと超能力で追い返せば良くね?」とかヤボなこと言っちゃいけません。

あと最後にメカゴジラのパイロット達が、

「勝負を決めたのは結局命だったな」
「命あるものとないものの差よ」
「奴にはなんとしても守らなければならないものがあったんだ」

と言って綺麗に締めくくっていますが
「あんたらには守るべき命が無いんかい!何億人といるやないかい!」
と突っ込みたくなります。
でも映画が面白かったから我慢しておきます。

 

まとめ

・シリーズ最高の特撮
・最強vs最強のガチンコ勝負
・ムダの無い人間ドラマ

どれをとっても平成シリーズ最高傑作といえる作品。

本作が平成シリーズ最後の作品になるはずでしたが、エメリッヒ版ゴジラの公開延期の影響で次作「ゴジラvsスペースゴジラ」が制作されます。







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