ゴジラVSスペースゴジラ <東宝Blu-ray名作セレクション>
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前作:ゴジラvsメカゴジラ
次作:ゴジラvsデストロイア
最強!スペースゴジラvsゴジラ親子&モゲラ
あらすじ
メカゴジラの戦いから1年後、国連G対策センターでは2つのゴジラ対策プロジェクトが進行していた。
・対ゴジラ兵器、モゲラによる「Mプロジェクト」
・テレパシーでゴジラを制御する「Tプロジェクト」
である。
Tプロジェクトのためバース島を訪れた新城功二と佐藤清志は、Gフォースのはみだし隊員、結城晃に出会う。結城はリトルゴジラに懐かれつつも独自の対ゴジラ作戦を準備していた。
モゲラが完成した頃、宇宙怪獣スペースゴジラが地球へ接近していた。モゲラが宇宙へ迎撃に出るが歯が立たない。
三枝未希が参加したバース島のTプロジェクトは失敗。
その後、スペースゴジラがバース島に降り立つ。
スペースゴジラはゴジラを倒しリトルをさらい、日本各地を襲撃して福岡に上陸する。
強化されたモゲラはスペースゴジラ迎撃に出撃。
ゴジラは九州を北上して福岡を目指す。
三者が、福岡で激突する。
公開:1994/12/10
「スペースゴジラという強大な敵に、子供を奪われたゴジラとゴジラを憎む人間が力を合わせて立ち向かう」
というハートフルなストーリーになっています。
ついにヒロインになった三枝未希
対ビオランテから平成シリーズ続投中の超能力少女、三枝未希がいよいよヒロインに躍り出ました。気合を入れてショートカットです。
バース島に降り立った三枝さんの服装が1人だけ真オレンジなのは笑う。バカンス気分か!
途中、小高恵美さんのグラビア海外ロケみたいになってるのはどういう気分で見たらいいのでしょうか。
綺麗な海をバックに三枝未希が立っているシーンは「俺は一体何を見せられているんだ」感があります。
ヒロインになったのは良いのですが、三枝未希の言ってることがムチャすぎて全く共感できません。
「ゴジラを操ろうなんて人間の思い上がりです」
って、あんたがそれを言うか。前作でゴジラ達を操って海に返したじゃないか。
「話してもわからないと思うわ。なんでも戦いで解決しようとする人たちには」
自分はテレパシーで会話できるからって上から目線で腹立ちます。
「そんな考えしかできないからゴジラを好きになれないのよ!」
「大切なのは相手を理解すること、心を通わせることでしょ?」
と言うのですが、ムリでしょ。
あんな巨大生物とどうやって共存するんだと。台風や震災を好きになれと言ってるようなものです。
「私は残ります!心配なんですゴジラとベビーが」
心配なら島を出たほうが良くね?もう島には親子どちらもいないんだし。
その三枝未希を見て「結城さん、俺達残ります」といって島に残る自衛官2人も疑問です。自分で勝手に決めていいのか?
ベッドで空中浮遊する三枝未希は画がチープすぎます。
モゲラに乗るのはモゲラ初心者3人
モゲラは単独で宇宙に出てスペースゴジラを迎撃し、帰還。前作のメカゴジラを超える性能を持っています。
しかしパイロットに問題あり。
前作メカゴジラにも問題児が1人混じっていましたが、今回はバース島に飛ばされた落ちこぼれと問題児だけが乗っています。
しかもこの3人、初めてモゲラに乗るモゲラ初心者。
最初に宇宙で戦ったパイロット達で良いでしょうに。経験者だし。
三枝未希、奪還作戦もこの3人でやりました。人材不足か!
そのせいで出撃に遅刻。本当にどうしよもない3人です。
この3人はモゲラ初心者というだけでなく、初めてチームを組むため連携が取れていません。
なんと途中で結城晃(柄本明)が暴走!
膨大な国費を使った兵器を自分の都合で暴走です。とんでもない事態ですよこれ。
暴走した結城は「失礼します」と手刀で気絶させられ、落ちこぼれ2人でスペースゴジラに挑むことに。
で、やっぱり腕が悪いのかボコボコにされます。でも「モゲラよ、だらしねーな!」とモゲラのせいにする。この3人じゃダメだー
メカゴジラと違い、麻生孝昭(中尾彬)含む司令部のカットが全く入らないのも不自然。
上から何の指令もなく、終始3人の独断で勝手なことをやってます。
こんな感じなので、せっかくメカゴジラ以上の超兵器モゲラが全力を出せていないように見えます。
前作で流暢な英語を使ってた原田大二郎さんと精鋭の外人パイロット、覇気があるころの麻生を呼んでこい!
ちなみにモゲラを私物化した結城晃は権藤吾郎の親友。
そうです「vsビオランテ」で抗核バクテリアを追って大活躍、最後は「薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん!」といって壮絶な最後を遂げたあの権藤さんです。
結城は親友の仇討ちのため独自の対ゴジラ作戦を立てているのですが、そんな対人用の銃では倒せないでしょ。
血液凝固剤なんぞでゴジラを倒せたら、火山に誘導したり抗核バクテリアで撃退してきた今までの苦労は何だったんだと。
その結城ははみ出し者になぜかエース扱いで、麻生のゴリ押しでモゲラパイロットに任命されます。
麻生が制服にめっちゃ勲章つけてて笑う。首周りが勲章まみれ。
調べたけど、こんな勲章まみれな自衛官は見つかりませんでした(笑
最強なのにキャラが立ってないスペースゴジラ
ラスボス感ありすぎなスペースゴジラ。
「G細胞がブラックホールに飲み込まれホワイトホールから放出され、急速な進化の中で結晶生物を取り込み、さらに恒星の爆発による超エネルギーを浴び、想像を絶する恐るべき怪獣が誕生した、ということです」
という権堂(妹)によるスペースゴジラが生まれた経緯のゴリ押し説明はめちゃくちゃすぎて笑います。
その能力はゴジラ史上最強!
・結晶体エリアでは宇宙エネルギーを無限供給して無敵
・ビームは放射熱線を上回る威力を持つ上、光線を曲げて死角から攻撃できる
さらに重力操作で色んなことが可能。
・大気圏外・内で飛行可能(速度→宇宙空間:亜光速、大気圏内:マッハ3)
・結晶体を飛ばす、ゴジラを宙に浮かせる
このようにインチキな能力を持っています。
しかし肩の結晶体からエネルギーを得るため、そこを壊されると弱体化し最後には絶命するのが致命的な弱点。
このスペースゴジラ、強いのは良いのですがキャラとしてはちょっと盛りすぎな気がします。
見た目・能力が完全にゴジラ上位互換。万能すぎて逆に特徴が無いので魅力に欠けます。
しかも強いはずなのになぜか強い印象が無い。
その理由は、
・モゲラが強く見えない。
・三枝未希に尺をとられた
・特撮が手抜き
の3点だと思います。以下詳しく説明します。
■モゲラが強く見えない
ドラゴンボールみたいな少年漫画と同じで、強さを表現するには対戦相手の強さを強調するのが効果的です。
本作でスペースゴジラの相手をするのは主にモゲラですが、このモゲラがパイロットのゴタゴタで強く見えないのが問題。
そのせいでスペースゴジラも強く見えません。
■三枝未希に尺取られすぎ
三枝未希の無理やりな和解路線とロマンス描写に尺をとられて、肝心のスペースゴジラが影薄いです。最初、バース島にクリスタルが落ちた時点で誰か気づいてやれよ。
■特撮が手抜き
前作に比べると特撮が物足りないです。
熊本城など各名所を壊していくのですが、肝心の城破壊シーンが無い!
つまりミニチュア無しで、遠景のゴジラと近景を合成してるだけです。
前作はちゃんと京都タワーを破壊していました。
モゲラの格納庫セットも前作メカゴジラに比べて簡素。
宇宙の画が安っぽい!
まるでスケール感がありません。
宇宙では空気遠近法などの表現で誤魔化せないため、造形の作り込みだけがモノを言います。
「2001年宇宙の旅」「スターウォーズ」にスケール感があるのは宇宙船とかの作り込みが半端じゃないから。
しかし本作のスペースゴジラ、モゲラ、岩石はまるで1000円で売ってるオモチャです。
総じて、
圧倒的な強さを表現するには設定を盛ったり、相手を圧倒するだけではダメってことがよくわかります。
まとめ
平成シリーズ1の駄作。
柄本明さんがちゃんと演技してるからまだ観れるけど、この役まで棒読みタレントにされてたらより大惨事になっていた可能性が高い。
三枝未希のロマンスも今さらって感じで誰得。
とはいえ、どこかで三枝未希のキャラを消化する必要があったわけで。
それを描いたのが「vsメカゴジラ」「vsデストロイア」の合間でちょっと気の抜けた本作で良かったなという気もします。
次作でロマンスなんぞ無かったことになりますが。