「慟哭 そして…」ってどんなゲーム?
「慟哭 そして…」は、脱出ゲーム・サスペンス・R18アドベンチャーを融合した作品です。
ちなみに慟哭の意味は「声をあげて激しく嘆き泣くこと」。
PCゲーム移植っぽいけど意外とサターンオリジナルソフトです。
サターンの豊富なR18アドベンチャーゲームの中でも、サターン後期(1998/2/26)ならではの高い完成度を誇ります。
オープニングの緊張感が凄い。既に名作の臭い。
■あらすじ
謎の学生失踪事件が相次ぐある日、主人公は密かに想いを寄せる幼馴染の笹本梨代と一緒に下校する。
梨代、先生、怪しげな老人と一緒に乗ったバスは山道で乗用車と衝突して主人公は気を失う。
目覚めると見知らぬ廃屋の一室に監禁状態。なんとかして外に出ると、バスに同乗した3人も廃屋にいた。
別の場所から迷い込んできた者の姿も。
幾多の罠が待ち受ける中、主人公達は廃屋からの脱出を目指す。
その過程で事件の真相やキャラクターの素性が明かされる。
クォータービューのマップで廃屋を探索し、室内やイベント時はクリック型アドベンチャー。『サクラ大戦』みたいな感じ。
室内では怪しい場所をクリックします。
推理というより総当たりのクリック連打が基本。
引き出しを開けたり絨毯をひっぺがしたりでアイテムを入手・使用しながら探索を進めます。
脱出の過程で美少女と親密に。
この危機的状況の中、なんだか変な気分になってきます。
もう何もかも忘れて目の前の女に逃避したい。
ダークな世界でヒロイン達と深淵に落ちていくような、妖艶な雰囲気がたまりません。
妖艶な雰囲気が成立するファンタジー世界。
ヒロイン達は死体発見後もどこかお気楽で緊張感が無い。
謎の廃屋で女の子が入浴したり、スカートが短くてパンツ丸見えだったり、下着姿になったり。
さっきまで一緒にいた人が死んでも無反応・ノーリアクション。相変わらず各々が自由行動します。
キャラクターデザイン・原画は横田守。
オリジナル版の絵は今でもイケます。
絵に瞬きあり。(リマスター版は口パクつき)
豪華声優陣のフルボイス。
状況を生々しく描写するテキストも魅力です。
廃屋で行動を共にする、個性的なキャラ達を紹介。
幼馴染の笹本梨代。メインヒロインらしく優しい性格。
学校の先生、椎名真理絵。27歳でこの貫禄。
羽鳥いつみ (画面左)。
初対面で失礼なヤンチャ娘。
青木千砂 (右)。
物静かで凛とした弓道の天才少女。
俺の嫁に決定。ロングも良いけどポニテも可愛い。
神田川国昭。こんな状況すらスケベに楽しむスケベジジイ。
ノーマ・ウェンディ (左)。
変な関西弁の太眉パツキン美少女。
白川子鈴 (右)。
ノーマの屋敷に仕えるメイド。知らない屋敷のメイド服も見事に着こなす。
柴田桂。20歳、大学1年生でこの貫禄。
田辺浩之。31歳、職業不明。
気が弱くて挙動不審。人づきあいが下手。
悲しいかな、最も感情移入できます。
ストーリーが分岐するマルチエンド。
謎の真相がわかるのは特定ヒロインのグッド(黄金)エンドのみ。それも断片的な情報なので周回必須です。
分岐のフラグ管理は非常にシビア。
ノーヒントで全員救出は至難の業です。
「TDSシステム」(トラップ・ディパージェント・ストーリー)で行動に応じてゲーム内部の時間が経過し、時間が進むと手遅れになります。
選択肢1ミスで詰み。
前触れもなく入る救出パート時、フラグアイテムが無いと詰み。
「使えそうなもの取ってくるわ」とその場を立ち去るとたいてい詰みます。
殺人は前触れもなく瞬殺です。そのため初見プレイ時の緊張感が凄い。
初見で私は誰も助けられず1人で脱出しました。
プレイ時間は初見で6時間、2周目からは2時間ほど。
まとめ
いつやられるかわからない緊張感、いつでもヤりたい妖艶な雰囲気に没頭できます。
この頭おかしくなりそうな板挟みは本作ならでは。
絵、ボイス、テキストの質が高い。
移動パートと凝った仕掛けのアドベンチャーパートにより他のR18アドベンチャーゲームより“遊んでる感”があるのも特徴です。オススメ。