ヤギゲームブログ

30代自称在宅イラストレーター男がちょっと深掘りして紹介する最新ゲーム&思い出のレトロゲーム

SS アドベンチャー

エネミー・ゼロ【評価/レビュー】飯野賢治さんがやらかした事件が有名な激難ゲー

投稿日:






プレイしたことが無い方も名前だけは聞いたことがあるはず。

発売にまつわるエピソードが有名な一方、ゲームの内容についてはあまり語られることが無い作品です。
というのもこのゲーム、難しすぎてまともにプレイできた人が少ない

 

そんな作品を難易度ノーマルで最後までプレイしました。
通常版ノーマルは廉価版のハードに相当します。

クリアするまでに様々な苦難を味わいましたので、
本作がいかク○ゲーか、もとい難しいかを説明します。



見えないエネミーとの戦いを描くインタラクティブムービー

「Dの食卓」で有名な飯野賢治さんの作品

企画・脚本・監督は、ゲームソフト開発会社のワープ(W.A.R.P.)代表取締役であり「Dの食卓」(以下D食)作者として有名な飯野賢治さん。

飯野賢治さんといえば、熱気バサラの「俺の歌を聴けー!」ならぬ「俺の作品を遊んでみろー!」的なクリエイター。

 

パッケージを開けた時点で並のゲームとは違うことがわかります。

なんとディスク4枚組。
そのうち1枚は「オープニング+体験版」という驚きの仕様。

まず注目すべきは取説。凄く凝ったデザインです。
反面、画像と文字情報が入り乱れて非常に見づらい。てかもう情報見せる気ない。

ご丁寧に、取説を読んでもわからなかった人のためのガイドも入っています。
ですが、これがまた見づらい。
「ブンブンブンブン」とか擬音で表現されても…プレイして慣れるしかないです。

 

本作の取説にもD食の取説で見た、飯野さんの自画自賛コメントが健在。

以下、取説のコメントより抜粋。

「(前略)この作品で、僕は従来のゲームソフトには無かった、素晴らしいドラマが描けたと思っています。
(中略)きっと感動してくれると思います。もしかしたら、初めて涙を流すゲームになるかもしれません。その感動のために、どうか頑張ってプレイしてください。」

 

ちなみに、
本作の設定・ストーリーは完全にリドリースコット監督の映画「エイリアン」です。
見えない敵は「プレデター」に似ていますが、飯野さんいわく「エイリアンやプレデターを知らなかった」らしいのです。
事実なら飯野さんはとんでもない鬼才ですね。

 

■あらすじ

宇宙を航行する貨物宇宙船「ヴィークル・ジ・アキ」に非常事態が発生。乗組員は強制的にコールドスリープを解かれてしまう。
乗組員は次々に謎の透明エネミーに殺されていく。
乗組員の1人、ローラはエネミー探知機「VPS」を頼りに状況を把握するため船内の探索を始める。

エイリアンにそっくりなのはたぶん気のせい。

 

エネミーゼロ事件

このゲーム、ゲーム自体より発売にまつわる「事件」の方が有名です。

本作は元々PSのキラータイトルとして開発されていました。
ところが新作PS用ソフト「エネミー・ゼロ」完成発表会見で突然、PS版開発中止とサターン版の発売を発表。
しかもPSのロゴがモーフィングでサターンのロゴに変わるムービーを流す挑発的な演出つき。

 

この出来事あまりにも衝撃的だったため「エネミーゼロ事件」として後世に語り継がれています。

SCE にPS版「Dの食卓」出荷本数を減らされたことに対する意趣返しの意味があるらしいのですが真相は不明。

 

飯野さんがコラムを書いていた「ゲーム批評」で本作が酷評され、飯野さんが連載を取りやめたエピソードも有名です。

 

探索パート+戦闘パート

飯野さんの話はこの辺で切り上げて、そろそろゲーム内容の話に移ります。

ホラーゲームといえばバイオハザードを連想しますが、本作はバイオと別物。
ジャンルとしてはD食と同じ「インタラクティブ・ムービー」。

「Dの食卓」のような探索パート7割+FPSの戦闘パート3割という感じ。

 

室内の探索シーンはD食のように全てムービーで描かれます。
室内の移動や何かを調べるたびにもっさりムービー。

 

一方、戦闘パートの舞台となる通路・フロアはリアルタイムレンダリングの3DCGで描写。

目印になるものが無く、迷路のように入り組んでいます。
女神転生のようなミニマップが無いので自分の方向感覚だけが頼り。
右往左往しているうち、移動に合わせて上下に揺れるので激しく3D酔いします。

 

後述するように難点は多々ありますが、D食からの進化を感じることができます。

・探索パートのムービーは美しく進化。
・FPSのような戦闘パートが楽しめる。
・ムリヤリかつどこかで見たような展開の連続だけど、本格的なSFストーリーは泣かせる場面もあったりして見ごたえあり。

ひたすら洋館を探索してキテレツな話が展開するだけだったD食とは一味違います。

 

もっさりでノーヒントな探索パート

ムービーで描く探索パートは、D食の難点をそのまま引き継いでいます。

 

「Dの食卓」の難点がそのまま

チェックできる場所と進むルートがわかりにくい。

キーを入れた方向とズレた場所にグルンと移動し、調べたい場所を向いてくれません。

位置ごとにチェックできる場所が限られているのも相変わらず。
例えば死体が見えていても、チェックするには特定の位置まで移動する必要があります。
死体は100%キーアイテムを持っているので、チェックできることに気づかないと詰み。

 

何かするたびにもっさりなムービーを挟むのでレスポンス最悪。

何かを調べるたびにローラがもっさりなリアクションを取ります。
何度同じことをやっても同じリアクションでカット不可。ローラは何回も同じ鍵穴をしつこく調べるし、同じ死体で驚きます。いや、それさっき見たやないかと。

例えば、銃の充電器を普通に調べると「この装置はいったい何に使うのかしら」みたいなリアクションを長々と見せられます。銃持ってるのに。
充電するにはアイテム欄を開いて銃を選択する必要があります。

鍵を使う、ディスクを使うなど何をするにもこんな具合。

 

総じて、探索パートなのに調べるのが嫌になります。
人によっては苦行に感じるはず。僕にとっては苦行でした。

 

同じムービーで移動する形式でも「デスピリア」のスフィアシステムがいかに優れているかを実感できます。

 

進行フラグがノーヒント

進行フラグがノーヒントなので片っ端から調べるハメになります。
前述のように何かするたびにもっさりなムービーを挟むのでストレスが半端じゃない。

 

なんか色々やらされますが、何のために何をやっているのか全然わかりません。
脱出するために移動しているのか、仲間と合流するためなのか。
よくわからないまま危険地帯を命がけで探索します。

そうしてやっと他の乗組員に出会っても、勝手な行動をとるだけでチームワークの欠片も無いです。
脱出に向けて動き出すわけでもなく、話が何も進みません。

 

そんな中、
脈絡もなく死体の指を拾ったり、「写真を見る」みたいなどーでもいいことがフラグだったり。
「引き出しから鍵ゲット→その鍵でロッカーを開けたら鍵ゲット」といった嫌がらせ的な探索の繰り返し。

最初から最後まで、意味もわからず右往左往している感じです。

 

ノーヒントゆえに気づかないと詰むポイントが多いです。

・エネミーに追われる場面で通路の左右2択を間違えると詰み。
その先で上を向く(Cボタン)操作に気づかないとダクト前で詰み。ちなみにCボタンは二度と使わない。

・ジョージのスペルを覚えていないと詰み。
そもそもジョージのロッカーであることに気づかないと詰み。

・モニターに映るキンバリーの通ったルートを覚えていないと詰み

・階数などの操作が2進数

などなど。
難しいというよりどこまでも不親切。攻略情報なしにプレイすると心折れます。

 

マゾすぎる戦闘パート

探索パートのもっさりムービーでストレスを溜めた後、マゾすぎる戦闘パートでさらにストレスが溜まります。

 

探知機が頼りにならない

敵は透明なので見えません。
そこで、音で敵の位置を知らせるソナーのようなエイリアン探知機「VPS」を使います。

VPSの音は、
・プレイヤーに対するエネミーの位置によって高・中・低音
・距離によってテンポが早くなる
という性質があります。

ちなみにゲーム開始直後、引き出しからVPSとセーブ用アイテムを取り忘れると詰み。もちろんこれもノーヒント。

 

VPSの音のみを頼りに敵の位置を推測するのですが、この探知機がまるで頼りになりません。
音の区別は「前・横・後」の3方向のみで、左右の区別無し。
音が似通ってるしエネミーが複数いると音が混ざります。
慣れないうちは「ヤツが近くにいる・いない」ぐらいしかわかりません。

そして、とにかくピコピコうるさい。
警告音に絶え間なくさらされるので不愉快です。エネミーが複数いるとピコピコ音が重なって頭がおかしくなりそう。
船内でエネミーから逃げるローラの気持ちとシンクロしている感はありますが。

 

初見では頼りにならない以前にそもそも意味がわかりません。
不愉快な警告音が鳴る中いきなりゲームオーバーになって「このク○ゲーがぁー!」と投げたくなること間違いなし。

そこからシステムを理解し、ゲームを続行した時点であなたは選ばれしプレイヤーです。

 

銃が弱い

武器はエネルギー銃。
ボタン長押しでエネルギーを溜め、離すと発射。
命中すれば一撃でエネミーを倒せます。

 

この銃がゲーム史上最弱といえる性能。

・射程が短すぎてもはや近接武器
・溜め必須なので外すと致命的
・銃によっては装弾数1発

エネミーに接触すれば即死するため、銃を1発外すとほぼ即死というシビアさです。

 

射程が短すぎるので至近距離に引きつけて撃つ必要があります。
「ギャーオ!」とエネミーの叫び声が聞こえてもまだ遠い。最後の警告音「ファーン!ファーン!ファーン!」が鳴ったら撃ち時。剣持ってたら斬れる距離です。

溜めが長すぎても短すぎても不発になるので溜め始めるタイミングも考える必要があります。

装弾数が少ないのもツラいところ。
マップの各所にある「ガン・チャージャー」で弾を補充しますが、チャージャーの設置場所が少ないので撃っては戻りを何度も繰り返すことになります。

 

前半の難所、ダクトで使う銃の装弾数はノーマルで1発のみ。

そのため「一匹撃破→充電に戻る→バリケード前の一匹撃破→充電に戻る→バリケード撃破」と何度も往復させられます。
充電のたびに探索エリアで「ダクトから出る→充電→ダクトに登る」とムービーを3回見るハメに。

しかもバリケード前の敵を倒すとVPSが反応しないので、迷路のようなダクトでバリケードに戻るのも一苦労。
赤く点滅するダクト内を数十分さまよって気分が悪くなりました。

 

常に警告音にさらされながら敵の接近を待ち、ようやく一体倒したと思ったら弾切れで遠くの充電器まで引き返すマゾい戦い。

VPSの頼りなさと銃の弱さが相まって、「制作側としては本当にこれで良かったのか?」と疑問に思うほど不親切に感じます。

 

最初の戦闘で何度か失敗してゲームオーバーになった後、なんとか一匹倒すことに成功。
「よし、1体仕留めた!銃の使い方がわかったぜ!」と思った直後のイベントでその銃を落とします。

せっかくやる気が出てきたプレイヤーを再び突き放す。これが飯野流。

 

終盤の難所では見える敵が出現。
「敵が見えない」というコンセプトが揺らぎます。

 

セーブ・ロードが有限

上記のように簡単にゲームオーバーになるのに、セーブ・ロードが有限です。

セーブ・ロードするたびにセーブ用アイテムのバッテリーを消費。
ゲームオーバーまたはリセット→ロードでも消費するので前半に使いすぎると終盤の難所で詰みます。

 

まとめ

グラフィックとゲーム性にD食からの進化を感じることはできました。

しかしこのゲーム、難しいというよりとにかく不親切です。

 

探索パートはDの食卓の難点がそのまま。

・ノーヒントで脈絡がないフラグ立て。
・チェックできる場所と進むルートがわからない。
・何かするたびにもっさりモーションを見せつけられてテンポ最悪。

 

戦闘パートはマゾすぎる。

・音で知らせる探知機が頼りにならない上、常に不愉快な警告音にさらされる。
・至近距離まで敵を引きつける必要があり、1発1発に即死のリスクが伴うのにセーブ・ロードが有限。
・弾数が少ない難易度ノーマルでプレイすると、撃っては充電の往復作業を強いられるので非常にダルい。

 

この探索パートと戦闘パートが交互に挟まれるため、両方の不愉快がかけ算状態。

初見で攻略情報が無いとたぶんゲーム開始直後に心折れます。
普通の人は最初の銃入手まで行けないかと。それまでにゲームを投げるのが常人の正常な感覚です。

 

これから本作をプレイするチャレンジャーな方へ。
序盤で投げ出すぐらいなら攻略を見た方がマシだと思うので、攻略情報を手元に置いてプレイすることをおすすめします。
あと、難易度イージーにしましょう。イージーがノーマル仕様です。






スポンサーリンク




スポンサーリンク

スポンサーリンク




-SS, アドベンチャー

執筆者:

関連記事

【花組対戦コラムス】レビュー/評価/攻略:コラムスは楽しいし、さくらちゃんは可愛いし、満足

もくじ1 はじめに2 モード3 システム4 おわりに はじめに 「サクラ大戦」をモチーフにした対戦形式の「コラムス」。 「サクラ2」発売前なので時系列は「1」。 本編:【サクラ大戦1&2】 ・コラムス …

【機動戦士ガンダム外伝1 戦慄のブルー】攻略/感想/レビュー:ザクがライバル ハイゴックとドムは格上 ブルーデスティニーはモンスター

次作→【蒼を受け継ぐ者】 【裁かれし者】 ダムゲーリンク→【シリーズ別リンク】 もくじ1 伝説の三部作2 量より質3 全5ステージを30分でクリア3.1 STAGE1「月下の出撃」3.2 STAGE2 …

【サイレントヒル 】攻略/感想/レビュー:バイオとは似て非なる「静的」ホラー

もくじ1 サイレントヒルとは1.1 あらすじ2 攻略2.1 スタート~2.2 MidwichElementarySchool(学校)2.3 ALCHEMILLA HOSPITAL(病院)2.4 ~下水 …

【STCC セガツーリングカーチャンピオンシップ】レビュー/評価/攻略:触ってすぐにわかる「あ、これパッドで無理なやつだ」感 移植で大幅劣化

画像は全てSS版。 もくじ1 はじめに1.1 アーケードに現れた「本物」のレースゲー2 サターン版は色んな意味で難易度アップ3 おわりに はじめに 元は「MODEL2」基板のアーケードゲーム。 手がけ …

【ダイナマイト刑事】攻略/感想/レビュー:ダイハード風ベルトスクロール 見た目はネタ、難易度はガチ

今回プレイしたのはサターン版。 アーケード版がサターン互換基盤「ST-V」を使用しているため、ロード時間長い以外は完全移植。 「SEGA AGES 2500 シリーズ Vol.26 ダイナマイト刑事」 …