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サイバードール【感想/評価】忍耐力を試すサイバーパンクRPG

投稿日:2019-09-03 更新日:

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サイバードールってどんなゲーム?

サイバードールとは、1996年にセガサターンで発売されたRPG。

ダーク&ハードボイルドでサイバーパンク※な世界観が特徴です。

 

ちなみに『サイバーパンク2077』とは一切関係ありません。

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「思ってたゲームと違うわ」と帰るのはもう少しお待ちください。
本作はサイバーパンク2077以上にサイバーパンクを表現したかもしれない、一読する価値がある作品です。

サイバーパンクの大まかな特徴は次の2点。

①サイボーグ
肉体・意識を機械的に拡張する。

②インターネット
サイボーグ化により個人や集団がより大きな構造に取り込まれる。そのためディストピア感が強い。

 

代表的な作品は、『未来世紀ブラジル』『ブレードランナー』『攻殻機動隊』など。

スマホやネットが当たり前になり①②は普遍化しました。
よって近年の作品がサイバーパンクの枠で語られることは少ないです。

 

サイバーパンク黎明期、80年代のダーク&ハードボイルドなテイストで描きます。

主人公は荒廃した世界でサイボーグの体をカスタムし、ときには薬物に逃避しながら復讐を目指します。

操作するのは主人公1人のみ。
サイバーパンクに仲間は必要ないのです。(女は必要)

 

独特な世界観を感じるために、あらすじをご覧ください。

■あらすじ

A.D.1997、人類はAIDSを克服した。

A.D.1999、ノストラダムスの予言が的中するかのように新種の病が蔓延した。

その病とは「筋弛緩症 (Musculer Loosening Disease:MLD) 」。
MLD感染者は筋肉が委縮し植物人間になる。

 

A.D.2002、MLDに対抗するため感染者をサイボーグ化する「人間機械化計画 (Human Mechanical Project:HMP)」が提唱された。

ところが、HMPで不老不死を実現できると考えた人々はMLD対策を外れてサイボーグ化を進め始める。

計画責任者Dr.ライリウスの死後、後のHMPはDrの脳を移植したコンピュータ「MARIA」に委ねられた。

 

A.D.2034、HMPが40%台を越えるとMLDは突然消え始め3年間で消滅。
HMPは中止され、人々は生身の肉体を取り戻そうとしていた。

A.D.2039、突如現れた機械生命体「闇の来訪者 (Dark Visitor:DV)」が人類を襲撃する。

HMP中止の後、都市管理を担うMARIAはDVに対抗するため「対DV用特殊部隊:DEBUGGER」を結成。

そして今、DEBUGGER入隊を済ませた1人の男がいた。

ね、独特でしょ?

ローカライズに失敗した洋ゲーっぽいけど日本製です。

 

80年代サイバーパンクな空気が匂い立つグラフィック。

スーファミ時代に逆戻りしたようなドット絵ならではの味です。いい意味で古臭いこの味は3Dだと出ないでしょう。
ロックな戦闘BGMも秀逸。

 

ところで、サイバーパンクってグロテスクですよね。
人体改造されたり目玉飛び出たり。

その点、本作はグロく感じません。
古臭いドット絵が良い感じにグロさを中和します。

振り切った世界観も要因。
相手はサイボーグすぎてもはやモンスターです。倒してもボコォと壊れるだけでグロさも罪悪感もない。

『北斗の拳』や『グラップラー刃牙』が一周回ってグロくないのと同じ現象起きてます。

 

ゲームの流れ

全16章。章ごとに舞台が変わります。

ストーリーにはあまり期待しない方がいいかと。

終盤までおつかいミッションが続き、終盤に急展開。
苦労してたどり着いたラスボス戦は負けイベント、エンディングは投げっぱなしで消化不良。

ファンタジーRPGのような開放感や起伏のある展開はサイバーパンクに必要ないのです。

息が詰まりそうな世界を、行間を読んで自分なりに楽しむ作り。

 

各章のパターンは次のどちらか。

・町エリアで情報収集
・いきなりダンジョンから始まる

最後に待ち構えるボスを倒すと次の章へ。

舞台は町2つと代わり映えしないダンジョンのみ。使い回しが目立ちます。
しかもワールドマップが無い上、決められたエリアから出れない。
全体的に閉塞感が強いです。

例えるなら、サガフロンティアのレッド編。

 

プレイ時間の約半分は街で右往左往です。

進行フラグはほぼノーヒント。街を総当たりで調べ回ります。

 

この街マップがやたらと広い上、建物の外見が紛らわしいため迷いやすい。

何回探索しても全体像がつかめません。
こんなややこしい街マップは初めてです。

しかもランダムエンカウントで頻繁に足止めされてテンポ良く進めない。

街の右往左往に耐えられない方は脱落必至です。

 

戦闘・育成システム

戦闘と育成システムで特徴的なのは、

・距離に応じた武器
・部位パーツ換装
・部位破壊

以下、詳しく紹介します。

 

■距離に応じた武器

戦闘画面はベルトスクロールアクション風。

普通のコマンド式です。
アクション要素もリアルタイム性も無い。

では横画面の意味は何かというと、距離(画面下のバー)を表現しています。

自分の強みと敵の弱みを考え、移動で間合いを詰めたり離れたりして有利な距離を取るのが重要。

 

距離は「ロング・ミドル・ショート」の3つ。

武器は距離3種類と特性3種類「ピンポイント/各部位ランダム/全体攻撃」の組み合わせで全9カテゴリー。

この3距離×9武器の相性を、ベルトスクロール風戦闘画面で判断します。

お気に入り武器はショットガン (ショート・全体攻撃)。

ショート距離は全体攻撃が可能かつ敵の攻撃が弱めなので、たいてい有利に戦えます。

全体攻撃は合計ダメージがケタ違い。
中でもショットガンは命中率が高くて重宝します。

ただ、ショットガン1本だと対応できない相手が現れてたまに詰む。やはり距離に応じた3種揃えたいです。

 

■部位パーツ換装

レベルの概念は無い。パーツ換装で育成します。

一見ややこしそうだけど「敵を倒す→ステータスアップ」の流れはシンプル※。すんなり馴染めるはず。

敵を倒すと未破壊部位パーツをランダムで2つ落とします。

自分・敵ともに部位は5ヵ所(頭・身体・右腕・左腕・脚)。

脚パーツを換装するには脚パーツが必要です。
欲しい部位が落ちなくて「また腕かよ」とかありがち。

 

■部位破壊

各パーツは独立したHPと機能があり、壊れると機能不全になります。

運次第で致命的なデメリットを負うのでスリル満点。

 

具体的には、

左腕:武器が使えない
右腕:パンチ、サポートウェポンが使えない
脚:移動できない
頭・身体:本体撃破で終了

 

上記により簡単に詰むのが恐いところ。
例えば、

・攻撃が頭に集中して即壊される→終了
・遠距離武器を持っていないときに遠距離で脚壊される→詰み
・左腕壊れて攻撃力激減→ほぼ詰み

頭・脚の耐久値が低いのも恐い。ときにはザコの攻撃1発で壊れます。

 

大事なパーツが壊れてコントローラーぶん投げ、いったん頭を冷やしてプレイ再開。そしてまたぶん投げ。

そんな、やみつきになるスリルが味わえます。

 

難点

ここまで語ってきた通り魅力的な作品です。

ただ、長所を打ち消し足を引っ張る部分が多すぎ。
令和にプレイすると相当な忍耐力が必要です。

 

戦闘のテンポが悪すぎる

戦闘のテンポが悪すぎ。

ロード待ちのような間と、もっさりアニメーションでとにかくテンポが悪いです。

例えるなら旧スパロボの戦闘シーン。
モーションカット機能がほしい。

 

ときには敵2体が2回行動し、1ターンに同モーションを4回見せられます。

5秒×4で20秒間、相手の攻撃をぼーっと眺めるだけ。

しかも敵が硬い。1体倒すのに最低3ターンはかかります。
20秒×3ターン、ぼーっと眺めるだけ。

クモみたいに垂れ下がる間抜けな動きを3回連続で見せられたときは心折れそうになりました。

全体魔法で速攻、とかムリです。
こちらは最後まで1回行動&単体攻撃。

パワーバランスも変わらずで敵が硬い。

最後までもっさりなテンポが続きます。

 

街中のランダムエンカウント

ダンジョンはともかく、街中のランダムエンカウントがツラい。

エンカウント率が高すぎます。

サイバーパンクな世界には安全・危険エリアの区別が無く、全ての場所でエンカウント。

やたらとマップが広いのと相まってなかなか先に進めません。
少ないエリアを使い回してプレイ時間を稼ぐ狙いが見えます。

フラグ立て自体は1章5分で終わるボリュームなのに、ランダムエンカ×旧スパロボ戦闘により90分かかります。
プレイ時間のほとんどは戦闘を眺める時間。

ネットの攻略情報が無ければ間違いなく投げていました。

 

テキスト、UIが見づらい

テキストの読みづらさがゲーム史上最強クラス。

専門用語、アルファベット、カタカナが入り混じってわけわからん。

繰り返しになりますがローカライズの失敗ではありません。日本製です。

 

UI(ユーザーインターフェース)デザインも見づらい。

ステータス表記が何から何まで見づらい。
武器屋のラインナップを見てもどれが良いのかピンとこない。

銃の種類毎に弾薬(マガジン)があるのも無駄にややこしい。
たいして消耗しないし安いのでわざわざ買わせる意味が無い。

 

実は遊びやすい作品なんです。

複数キャラを管理しなくて良いし、
パーツ換装でシンプルにキャラを強化できるし、
戦闘もシンプル。

それだけにテンポの悪さと見づらいデザインで無駄にハードルが高いのが惜しいです。

 

顔グラフィックが無い

顔グラフィックが欲しいです。

会話シーンで、拡大した全身ドット絵を見せられても困ります。
キャラの顔がイメージできない。

てか、ただのクラウドです。

顔グラがあれば世界観の広がりが全然違ったはず。

 

まとめ

80年代風のダークなサイバーパンク全開の作風が魅力的。
独特な戦闘と育成も楽しい。

テンポが悪すぎて令和の常人にはプレイ困難なのが惜しいです。

強烈な魅力はあるので、難点を乗り越えて遊べる方はぜひ。

 

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