ゴジラ

ゴジラ対メガロ【感想/評価】ゴジラ映画はここまできた

投稿日:2019-08-01 更新日:

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ゴジラ映画はここまできた

■あらすじ

197X年、アリューシャン列島の核実験は太平洋の大部分に影響を与えた。
怪獣島ではゴジラが目覚め、シートピア海底王国は環境被害を受ける。

シートピア人は地上人に報復するため、海底王国の守護神メガロを使い地上攻撃を開始。
さらに地上のシートピア人が等身大ロボット・ジェットジャガーを強奪する。

良心回路を発動したジェットジャガーは人間の味方となる。
ジェットジャガーはゴジラに共闘をもちかけ、自身は巨大化してメガロに立ち向かう。
対するシートピア人はガイガンを呼び寄せる。

ゴジラとジャガー、メガロとガイガン。
世紀の怪獣タッグマッチが始まる。

公開:1973/3/17

 

「ゴジラ対メガロ」は低予算臭が目立つ後期昭和ゴジラ作品の中でも、極限の低予算で作られた作品です。
ついにゴジラ映画はここまできました。

 

全体的に画が寂しい。地味でスカスカ。

登場人物はほぼ3人です。
オッサンと子供が湖で遊んだり、カーチェイスしたり。

ヒロインはいません。
子供向けの作品はまず綺麗どころの女優が削られます。大人としては寂しいです。

シナリオもめちゃくちゃ。

冒頭の島破壊シーンはさっそく過去作の使い回し。
ここは使い回しに気づくオタクな自分が悪いと割り切っても、直後の湖シーンが耐えられません。

「地震だ~!」と叫ぶけど、岩がまばらに落ちるだけ。全く地震に見えません。
そんな中、どう見てもミニチュアのイルカボートが水洗トイレのように湖へ吸い込まれます。

これが観客を引きつける序盤の見せ場です。
特撮ファン以外は最初の8分間で離脱するでしょう。

 

そんな大災害で死にかけた主人公ら3人は何事もなかったかのように帰宅します。
夕焼けをバックに車を走らせ、他人事のように環境問題について話すのがシュールです。

自宅に帰るとすぐ強盗(シートピア人)に襲われ、カーチェイスが始まります。

街中ではなく、いかにも特撮の撮影現場な荒野です。
こんなだだっ広い場所でカーチェイスする意味があるのか?と疑問すぎてチェイスに集中できません。

ちなみに、後でまた荒野のカーチェイスがあります。
なぜ逃げているのか、追われてるのかは完全に忘れました。

 

自宅で襲われた後日。
犯人が捕まっていないのに子供が無警戒に1人で外出します。この緊張感の無さ。
案の定、子供は誘拐され、他2人は誘い出されて3人とも捕まってしまう。

拉致され、乗せられたのは汚ったないトラックにコンテナ。シートピア人、貧乏か?

人質を見張るシートピア人(銃装備)は、椅子に座る人質にタイマンで負けます。
その後トラックで逃げたシートピア人(銃装備)は、一般人の運転手にトラックから蹴落とされます。シートピア人、弱すぎ!

見張りのシートピア人は、人質に逃げられた後もなぜか主人公の家に居座ります。
主人公達や警察が来るのが予期できないのでしょうか。シートピア人、バカすぎ!

 

シートピア海底王国はセットがしょぼすぎて『キングコング対ゴジラ』の頃が懐かしくなります。外人をムリヤリ使った感も安さに拍車をかけます。

なんやかんやで、特に説明もなく雑にメガロ復活!

 

初見では結局、

・ジェットジャガーの正体
・主人公達が敵に捕まった経緯
・そもそも誰と戦っているのか

など、肝心な内容を何も覚えていませんでした。

全体の流れを理解するなら3回は観る必要があるでしょう。

 

低予算が前面に出た特撮

人間ドラマ部分で予算を絞った分を突っ込んで豪華な特撮を実現した…わけない。

特撮は人間ドラマ部分より低予算が前面に出てます。

 

使い回しが目立つ

特撮は使い回しが目立ちます。

漁村の避難シーンは『モスラ対ゴジラ』の使い回し。
画質が違うし、脈絡なく漁村なので不自然です。

新撮部分は雑で、ワイヤーの宙吊りが丸見え。

 

バトルはプロレス風味。

カーチェイスは荒野、怪獣の対戦も荒野(夜間処理)です。

また荒野か…とウンザリする中、蹴る殴る投げるなど同じカットを2~4回繰り返します。

特に酷いのが、ガイガンの4連続体当たり。
ゴジラの2連続水平飛行ドロップキックもヤバい。
モーションが不自然すぎて「俺はいったい何を見せられているんだ」感があります。

 

本作の特撮はダム崩壊シーンの1点豪華主義。ここは見応えあります。
壊した張本人のメガロが棒立ちで流されるのは笑う。
その後、凄い勢いで殴り飛ばされたコンテナから2人生還するのも笑う。

 

ジェットジャガーの存在が意味不明

顔がアントニオ猪木風の謎ロボット・ジェットジャガー。
これは青年科学者・伊吹吾郎が独力で作ったものです。
なぜこんなものを作るのか&作れるのか、全く説明がありません。

自衛隊はなぜか伊吹を信用してジェットジャガーを使う作戦に乗ります。伊吹吾郎、一体何者なんだ?

 

シートピア人がジェットジャガーを狙うのも謎です。
元はただの等身大ロボット(ただし飛行速度マッハ3.5)。こんなの必要ないでしょ。

良心回路を発動したジェットジャガーは命令関係なく自分の意思で行動します。
手旗信号のような動きでゴジラと対話し、なぜか巨大化。
これらの超常現象に全く説明なし。

それを見た子供、
「ジェットジャガーがあんなに…」
リアクション薄っ

 

メガロがかわいそう

メガロ自体は良キャラです。
相方のガイガンに引けを取らない格好良さ。

しかし低予算の割を食って魅力半減です。

メガロの街破壊シーンはキングギドラの使い回し。エフェクトがただの引力光線なので個性が無いです。
メガロの顔アップと使い回しカットが交互に映るのでわかりやすい。

口から爆弾(地熱ナパーム弾)吐いたり両手ドリルを合体したり、攻撃方法は面白いのに演出がショボくて印象に残りません。

メガロの対戦相手が主にジェットジャガーなのも残念。
ゴジラが登場する頃にはスタミナ切れで劣勢になり良いとこ無しです。
せっかく良キャラなのにかわいそう。

 

ゴジラ登場シーンの低予算感も凄い。
どこからか歩いてやってきて、どこかへ歩いて帰っていきます。
最後は主題歌「ゴジラとジェットジャガーでパンチ・パンチ・パンチ!」で残るなんともいえない余韻。

 

まとめ:

ゴジラ映画レギュラー入りするかに思えたジェットジャガーは本作限りになりました。

メガロ&ガイガンのタッグは格好いいです。ドリル&ノコギリ!
しかし低予算の割を食ったメガロも本作限りになりました。

作を重ねてチープな怪獣プロレス、低予算化が進んだゴジラ映画もここまできたかと感慨深いです。
極限の低予算でなんとか作品を作ろうとする健気な工夫に笑ってしまう。

悪いとは言い切れない、愛嬌がある作品です。







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