ゴジラVSキングギドラ <東宝Blu-ray名作セレクション>
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前作:ゴジラvsビオランテ
次作:ゴジラvsモスラ
ゴジラ映画史上初、キングギドラとタイマン!
■あらすじ
1992年7月、東京上空に巨大なUFOが飛来。中から23世紀の未来人が姿を現した。
彼らは「ゴジラに変異する恐竜=ゴジラザウルスを核実験に遭遇する前に移動させ、ゴジラの存在を抹殺する」という計画を提案する。
日本政府はこれを受諾。
タイムスリップした1944年のマーシャル諸島・ラゴス島のゴジラザウルスは、米軍に襲いかかるが艦砲射撃で倒れた。
その瀕死のゴジラザウルスをベーリング海に転送して計画は成功。ゴジラは歴史から完全に抹殺されたものと思われた。
しかし、改変された1992年の日本には、新たにキングギドラが出現。
一方、移動させたゴジラザウルスは不法遺棄された核燃料の影響でゴジラへ変異していた。
復活したゴジラは北海道の原野でキングギドラと戦闘を開始する。
公開:1991/12/14
「ゴジラvsキングギドラ」ではついに2大怪獣のガチンコバトルが実現しました!
ゴジラとキングギドラはライバルのイメージがありますが、実は昭和シリーズでタイマンで戦ったことはありません。
いつもゴジラ側が数的有利か、タッグ戦です。
そんな2体のタイマン戦が観られるのは本作だけ!(後にミレニアムシリーズのGMK)
残念なのはこのキングギドラ、首の動きが硬い。
「三大怪獣」「大戦争」のキングギドラのクネクネ感と比べると物足りません。
とはいえ、リアルな世界観では昭和の首はクネクネしすぎなので、これぐらいが適当かも。
F15vsキングギドラとか燃えますね。やっぱりキングギドラは華がある怪獣です。
「ゴジラサウルスvs1945年の米軍」も楽しめます。
命を助けられた新堂とゴジラの再会。本作の見どころはここ!
新宿決戦シーンの都庁セットは東宝特撮史上最大の石膏ビル。
ただ、このときのメカキングギドラの戦い方がイマイチです。
遠隔操作のキングギドラはゴジラを圧倒してたのに、人が乗り込んだメカキングギドラは防御力低い・飛ばない・その場から動きません。固定砲台です。しかも引力光線のエイムがテキトー。
そもそも、なぜ人が乗っているのかが謎。
ゴジラは都庁のデカさに合わせて前作の80mから100mに巨大化しています。
「現代の核が復活させたとしたら、ビキニ環礁とは比べ物になりません」
とシリーズおなじみのゴリ押し説明が入るのが笑う。
特筆すべきは復活した伊福部昭サウンド。
メインテーマ「ゴジラVSキングギドラ」の格好良さといったら!
オープニング、おどろおどろしい曲の入りでキングギドラを映し、サビをUFO襲来のシーンに持ってくるセンスも素晴らしい。
最初からテンションマックス!
「84」「vsビオランテ」の音楽が悪いって意味じゃないですよ。さすが伊福部先生ってことです。
アメリカSF映画へのオマージュ全部乗せ!
未知との遭遇、ターミネーター、バックトゥザフューチャー。
UFO、サイボーグ、東宝特撮史上初のタイムトラベル&タイムパラドックス。
これが1本の作品に全部詰まってます。
アンドロイドの走り方がチープすぎて笑う。
「フューン」というまぬけな効果音で早回しの水平移動してます。
開始15分で未来人に遭遇するのですが、
「わかりました23世紀の方々。それでご用件は?」と理解が早い藤岡琢磨も面白い。
このように色々詰め込まれて楽しい作品ですが、
タイムパラドックスは東宝とって荷が重いテーマだったようで以下のように気になる部分が多すぎます。
タイムパラドックスがめちゃくちゃ!
「ゴジラvsキングギドラ」のストーリーはゴジラ史上最もめちゃくちゃです。
「怪獣大戦争」みたいに宇宙に行くとかそういうムチャじゃなくて、タイムパラドックスはどうなってんだ的な。
魅せたい画から逆算したムリヤリ設定となっています。
過去から帰って来ると、なぜかキングギドラが出現しています。
このときの会話が混乱せざるを得ない。
「確かにゴジラは日本海沖より姿を消した。だが同時に太平洋上にキングギドラが出現した」
「同時に?」
「ゴジラが消えたことと何か関係が?」
この人達はどういう視点で世界を観察しているのでしょうか。リアルタイムで改変を観察するとか神の視点じゃないか。
改変前もゴジラは日本海沖にいたわけですが、23世紀まで日本を襲わずおとなしくしてたってことになります。優しいなゴジラ。
しかも改変後のゴジラは80m→100mに巨大化しちゃってる。
ゴジラにしないためにゴジラザウルスを移動させたのに、ゴジラがさらに巨大化して現れるというハチャメチャ展開。
「どこにでも核物質が投棄されてるから当然だ」って説明されるのですが、そんなバカな。もう核実験とか関係ないのかよ。
ゴジラ消滅させたけどキングギドラ作って、なぜかゴジラも復活して、またキングギドラ復活って、もう何がしたいんですか。
怪獣増やしただけじゃないか。
後にもっと強力な核物質の投棄場になると知らずにオホーツクにゴジラザウルスを移動させる未来人、マヌケか!
てかトドメ刺すとか消滅させれば良くね?
トラッドの大きさでキングギドラになるなら、どんな動物でも怪獣化して地球は怪獣まみれになりますよ。
うーん、全体的に意味わかりません。
そもそも、未来の日本は世界覇者として君臨してるのか滅ぼされたのか。それすらわかりません。
おそらく、
・改変前:23世紀までゴジラが出ず、世界最強国家になっている
・改変後:繁栄に溺れて怪獣に滅ぼされた
・ラストバトル後:不明。私達の行い次第
ってことなのかな?
しかし、日本がゴジラに滅ぼされる世界線なら1992年に滅びるので繁栄に溺れるヒマなんてなかったはずですが…
改変後、日本が滅びた未来に飛んできてエミさんはさぞ残念だったでしょうね。
ラストバトル、なぜかギリギリのタイミングでタイムワープしてくるメカキングギドラ。
てか、もっと前に戻って未来人の陰謀を止めろ!
全体的に矛盾が多すぎて、ここまでくると突っ込む方が野暮ってものです。
むしろ、よくこの案でいこうと思ったなと感心します。
メカキングギドラは、劇中では強く見えません。
固定砲台みたいな立ち回りで少々ガッカリ。
でもよく考えると「改造前より強い」なんて誰も言ってませんよね。
バイオテクで再生させる暇もなく遠隔操作も実装できない、とりあえずクロー撃って海に落とせばいい的なギリギリの状態なのかも。
日本が世界制覇するという夢物語
バブル時代の日本に警鐘を鳴らす物語です。
「将来、日本が世界を征服する」という設定が今観ると夢物語。
エミさんいわく、
「日本は21世紀になってさらに巨大な経済国となり、赤字国の国土まで買収し始めるの。南アメリカ、アフリカ。とうとう22世紀の終わりにはアメリカ、ソビエト、中国以上の国土を持つ地球一の国に」と日本が世界制服することになっています。
1991年といえば既にバブル弾けてたはずなのですが、情報が一般まで降りていないのか「日本が世界征服」するというのんきな世界観になっています。この後「失われた30年」が始まるというのに。
生まれたときから不況不況と言われ続けた現在30代の僕には、設定に全くリアリティを感じません。
世界が豊かになる中、日本だけ30年間GDPが伸びなかったことをタイムスリップして映画スタッフに教えたくなります。
エミさんはどういうつもりで計画に加担したんだろう。
「キングギドラをコントロールするなんて聞いてない」
「私達がしようとしたのは警告よ」
って言うのですがそもそも何をするつもりだったのか謎。
アンタの祖先の母国だろ?何人の日本人を犠牲にするつもりだったんだ?
まとめ
タイムパラドックス設定や未来人の行動がめちゃくちゃで誰でも違和感があるシナリオですが、平成シリーズは映画として一定のクオリティを保っているので楽しめます。
色んな要素てんこ盛りでテンポも良いので、頭空っぽにして観たら面白いですよ!
あと、三枝未希は良いよなー。ストーリーと関係ないのに毎回ゴジラ映画に出れて。
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