ゴジラ ファイナル ウォーズ <東宝Blu-ray名作セレクション>
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もくじ
「怪獣総進撃+怪獣大戦争」な作風
あらすじ
西暦20XX年。戦争、科学実験を繰り返した結果、怪獣たちが目覚めて人類に牙を剥いた。
これに対抗するため、国連は地球防衛軍を結成し、超人類による部隊「M機関」を組織。
人類の最大の敵、ゴジラはM機関と轟天号の活躍によって南極の氷塊へ封じ込められた。
それから20年後、世界中に多数の怪獣が同時に出現。
苦戦する地球防衛軍だが、突如怪獣が消滅する。そして巨大UFOが東京上空に出現。中から宇宙人「X星人」が現れ、友好の証として怪獣を消滅させたと言う。
X星人の友好に疑問を持つM機関の尾崎は仲間とともにX星人の企みを看破していく。
友好の裏を暴かれたX星人は地球の武力制圧を宣言。怪獣たちが再び姿を現し地球は崩壊の危機を迎える。
人類に残された最後にして最強の武器は、ゴジラだった。
公開:2004/12/4
人間ドラマ部分がメイン
「ゴジラ FINAL WARS」の作風は簡単にいうと「怪獣総進撃+怪獣大戦争」です。
昭和の2作品ともタイトルに「ゴジラ」が入っていないのを見てわかる通り、ゴジラの存在感が薄い作品。
それを元にした本作もゴジラが薄く、人間ドラマ部分がメインになっています。
まず前半の1時間、冒頭以外で全くゴジラが出ないのが賛否分かれるところ。その分しっかりタメてから登場するゴジラの活躍は気持ち良いのですが。
高い期待値で登場した分、落胆が大きい
ゴジラ最終作という話題性、力の入り方は「歴代最高のゴジラ」を期待させるものでした。
例えば、
・ゴジラ生誕50周年作品
・公開直前にゴジラがハリウッドの「ウォーク・オブ・フェイム」に殿堂入り(日本のキャラ初)
・「これ以上のゴジラは作れない」という作品にするため著名なクリエイターが参加
・制作はゴジラ映画史上最大規模。撮影は史上初の4班体制
・「とっとこハム太郎」との併映ではなく単独作品として公開。シリーズ最長の125分
など期待値を上げる要素が揃っています。
公開前は「ついにミレニアムゴジラのモヤモヤ感を払拭する作品が観れるのか」とワクワクしました。
しかし、観客動員数は歴代ゴジラワースト3位の100万人。
すぐ目の前に見えていた「シリーズ観客総動員数1億人」にも届かず。
本作がコケたのが、その後「シン・ゴジラ」まで12年間ゴジラを制作できなかった原因の1つなのは間違いないかと。
本作の内容は、後期昭和ゴジラの現代版と考えれば納得できるものです。昭和の子供が観たら喜びそう。
頭空っぽにして観ると楽しめないこともないのですが、マジメに観るとキツい。
「最後・最高のゴジラ」を期待した観客の求めるものとズレっぱなし。むしろ真逆を行ってます。
平成シリーズの最終作「vsデストロイア」のようなシリアスさを期待するとなおさら肩透かしを食らう。
制作側にこの作風を推す勢力がいたのでしょうか…
北村一輝の怪演だけが光る人間ドラマ
人間ドラマ部分は北村一輝の怪演だけが光ります。
僕は菊川怜さんが好きではない(正直、嫌い)のでヒロインで楽しめないのが痛い。
ヒロインが怪獣大戦争の沢井桂子様なら個人的に評価爆上がりしますね。
瞬きをしないX星人の演技をする宝田明さんや水野久美さんを見るとなんだか悲しくなります。
吹き替えのドン・フライも変だし。水野美紀とドン・フライのロマンスは誰得。
あと、ケイン・コスギの演技がウザい(笑
「質より量」の怪獣15体!だが肝心のゴジラが格好悪い
怪獣が過去最多の15体登場!
質より量を重視しています。そのため、
・CGが安っぽい
・都市破壊シーンがほぼ無い。山or廃墟
・画面にフィルタがかかってるせいで特撮までCG臭い。特撮の面白味が無い
・アクションがチープ
・力が抜けるシンセサイザー調BGMが格好悪い
と質は最低クラス。
登場する15体の中でも
・寺田克也デザインのモンスターX
・韮沢靖デザインのガイガン
は見応えあります。
しかし肝心のゴジラが格好悪い。
「戦うゴジラを描く」ということで軽量化された着ぐるみなのですが、オモチャみたいな下アゴをなんとかしてほしい。
冒頭でゴジラが出てくるのですが、顔・プロポーションともに格好悪くていきなり萎えます。直後、かっこ悪いテーマソングが流れてまた萎えます。
人によってはこの段階でリタイアでしょう。
そんな見た目はともかく、歴代最強といわれる強いゴジラが観れるのは良いですね。
アンギラス、キングシーサー、ラドンの3対1でも圧勝。
でもラスボス戦がイマイチなので印象は薄いです。最後は松岡君のパワーで倒すし。
カイザーギドラは首が太短くてプロポーションが格好悪い。
ずんぐり体型すぎて全然動けないため、固定砲台みたいな戦いしかできません。
あと細かいことをいうと、モスラは味方側なのにキングシーサーが敵なのは違和感あります。モスラと同じく祈りで復活する良い怪獣なのに。
めっちゃ機敏な動きでアンギラスサッカーしてゴジラから1点取りますが、「対メカゴジラ」のシーサーはこんなキャラじゃない。プリズムアイはどうした。
まとめ:真逆をいくセンスはある意味凄い
ミレニアムシリーズは常に観客をガッカリさせてきました。
その最後に来た本作は、それらをはるかに上回る歴代最大のガッカリ作品。
観客の求めるものと真逆をいくセンスはある意味凄い。
良くも悪くも振り切っているので、期待値ゼロで観れば「意外と面白かった」ぐらいの感想は持てるかも。
最後に余談を。
オープニングで「田中友幸・本田猪四郎・円谷英二に捧ぐ」というメッセージが出るのですが「まず観客に捧げろよ」と思うのは自分だけ?