映画「ロッキー」全6作を鑑賞し、作中の描写を自分なりに考察して「歴代ライバル5人の強さランキング」を作りました。
全作のネタバレを含むので、全作観た方向けの記事です。
ライバルの候補はこちら
・アポロ・クリード (ロッキー1) (2)
・クラバー・ラング (3)
・イワン・ドラゴ (4)
・トミー・ガン (5)
・メイソン・ディクソン (FINAL)
それではランキングの発表です!
もくじ
強さランキング (上から強い順)
アポロ・クリード (ロッキー1)
アポロ・クリードはロッキー1、2のライバル。
ボクシング世界ヘビー級チャンピオン。戦績は46戦全勝。
メイウェザーの50戦50勝無敗に匹敵する凄まじい強さです。
ロッキーとの初戦第1ラウンドのダウンが人生初ダウン。まさに無敵でした。
ロッキーは「1」の時点で全盛期を過ぎており、作品を重ねるほど消耗し衰えます。そのためアポロ1戦目が基礎体力のピーク。
・失うものが無い捨て身の精神力
・シリーズ中最高の体力
を持つロッキーに勝った「1」アポロが最強だと思います。
■ロッキーの体について
「3」「4」ロッキーの筋肉はナチュラルな印象の「1」「2」を上回ります。
バルクアップした上で脂肪が落ちた体はボディビルダーのよう。
「FINAL」の58歳ロッキーも肉体は衰え知らず。
肉体を観る限りロッキーは衰えるのが超人的に遅い人といえるのかも。
もちろんスタローンの努力の賜物ですが。
アポロ・クリード (ロッキー2)
ロッキー2のアポロは最初からガチ。
アンクル・サムの格好で「I want you」を連呼するパフォーマンスを披露した前作と違います。
おふざけ無しの真剣な表情で入場。
ロッキーを完膚なきまでに叩きのめし、強さを誇示するため気合十分です。
しかし、利き腕スイッチ作戦とニワトリを追いかける練習でスピードを身につけたロッキーに敗北しました。
やる気がある分「2」アポロは「1」アポロより強いはずですが…
ロッキーは、ミッキーの老いぼれパンチすらかわせない右目のハンデに加え、試合間際までやる気がなくて完全に調整遅れ。
このロッキーに負けた「2」アポロには強い印象が持てません。
前作で自信を失った影響があるのでは。
気合と調整は前作以上でも、オーラを感じるのは「1」アポロです。
どこか必死で不安げな「2」アポロより、自信を持ちオーラがある「1」アポロの方が強いと思います。
戦いにおいて自信は大事だと思います。自信が無いと実力の半分も出せません。
私は格ゲーで自信の大切さを痛感します。
自信を失うと相手がはるか格上に見えて何をすりゃ良いのかわからなくなり、ボコボコにされます。
イワン・ドラゴ (ロッキー4)
イワン・ドラゴはロッキー4のライバル。
アマチュア世界チャンピオン、オリンピック金メダリストを経てプロに転向。
国の統制の元、最新設備で科学的トレーニングを積み、違反薬物らしきものを使用します。
そのビルドアップされた巨体とイカつい顔から繰り出されるパンチ力は並のボクサーの2倍以上。
マネージャーいわく「ドラゴが殴ったものはどんなものでも、破壊される」。
肉体的には最強でしょう。
強さの描写も圧倒的。あのアポロを一方的に葬ります。
ロッキーにはPTSD(死の恐怖)を植え付け、「5」で現役引退する要因になりました。
総じて、ドラゴはぶっちぎり最強に見えます。
ロッキーはドラゴを倒したことで「リングで戦争した男」と呼ばれ、レジェンドになります。
それほど強大な、シリーズにおけるラスボス的存在。
でもその強さを冷静に考えると怪しい。
まず、ドラゴが葬ったアポロの強さが怪しい。
アポロは全盛期過ぎて5年ぶりの試合。
・体は全盛期並でコンディションは良さそう
・「これはアメリカとソ連の戦いだ。遊びじゃない」とロッキーに返すほど真剣
このように外見は仕上がっています。
でも実態は怪しい。
・5年ぶりの不安、自信の無さを強気で誤魔化す
・相手をアマチュアだといって対策を怠る
・フットワークでスリップするなどカンが戻っていない
この復帰アポロの強さは、全盛期の6割以下なのでは。
インフレするバトル系漫画でよくある「前ライバルがかませ犬になる」現象が起きています。
アポロはまるで「ドラゴンボール」のメカフリーザ。
また、ロッキーもピークを過ぎています。
体力はもちろん、精神も「3」でグラバーを倒したときに燃え尽きました。
ロッキーの目的は「親友の仇を討つ」「国の軋轢を超える」という立派なもの。
とはいえ、個人的なうっぷんをエネルギーとして爆発させていた過去作に比べると戦いに向かうモチベーションが弱い気がします。
トレーニングシーンの肉体的・技術的パワーアップはありません。
自分と向き合う「修行」に近いです。
ランニング、丸太を切る、大きな岩を動かすといった基礎的な体作りばかり。
今さら劇的に肉体が進化するわけもないので、肉体と精神を研ぎ澄ます過程といえます。
ドラゴ対策をする様子もありません。相手はソ連のプレッシャーという感じ。
ようするに、ドラゴはロッキーがその時点の実力を発揮すれば倒せる相手だったということでしょう。
試合中の描写では、
ドラゴはロッキー得意のボディ連打に耐えるほど打たれ強い。
でも最後はロッキーの「右フック→左フック」で倒れます。
実はアゴが弱いのかも。
長身で頭部を殴られた経験が少ないため弱点が目立たなかったのでは。
顔を切っただけで動揺する、経験不足による精神面の脆さもあります。
総じていうと、ドラゴはめちゃくちゃ強いアマチュアという感じ。
全盛期アポロがちゃんと相手を分析し、対策を立てて戦いに挑めばスピードとテクニックでドラゴを翻弄する画が見えます。
クラバー・ラング (ロッキー3)
クラバー・ラングはロッキー3のライバル。
ロッキーが失ったハングリー精神、虎の目を持つ男。
「ブォン!」と強烈な風切り音が鳴る、大ぶりの殺人パンチが武器。
ロッキーを倒してチャンピオンの座についた後、「史上最強チャンピオン」と呼ばれます。
顔の恐さも史上最強。
しかし…
クラバーが強いというよりロッキーが弱体化しすぎ。
まず精神力が過去最弱。
勝ち確の格下と戦い10連続防衛中のロッキーは精神が腑抜けと化しています。
コーチのミッキーが倒れた動揺を引きずったままリングに上りさらに弱体化。
劣勢になるとすぐ「ミッキーはどこだ?殺されちまう!」とわめく惨めな姿をさらします。
ロッキーの体力面も過去最低。
アポロの指導でトレーニングを始めたロッキーは、何をやっても現役引退アポロについていけません。ジムの下っ端より動けてない。
エイドリアンに檄を飛ばされ奮起してからアポロ流トレーニングで徹底的に鍛え直し、リズミカルな動きや素早いジャブとストレートなどの新スキルを習得します。
それを見て思うのは「体力もスキルも無いのに今までよく戦っていたな」ってこと。
しかも精神が腑抜けでは、相手が誰であろうと勝てるわけない。グラバーの強さとか関係ない。
再戦グラバーのふがいなさも目立ちます。
ロッキーはセコンドの指示を無視して舐めプを続けます。
その挑発に乗って大ぶりパンチで体力を消耗し、3ラウンドKO負け。
グラバーのハングリー精神は諸刃の剣で脆い。
パワーにまかせた早期決着ばかりなのでスタミナ面もおそらく弱い。
これでは全盛期アポロに勝てないし、同じパワー型ならドラゴが上でしょう。
映画は、ロッキーとアポロのクロスカウンターで終わります。
この演出の意味は、クラバーを倒したロッキーと引退アポロが同格ってこと。
つまり、
全盛期アポロ=ロッキー(1)(2)≧ロッキー(4)>ドラゴ>引退アポロ=ロッキー(3)>クラバー>腑抜けロッキー
この力関係が導き出せます。
「3」の腑抜け状態から間もなく「4」で全盛期の強さを持ってきたロッキーはやはり超人です。
メイソン・ディクソン (FINAL)
メイソン・ディクソンは「ロッキーFINAL」の対戦相手。
戦績は33勝無敗30KO。無敗の王者。
なのに、
・秒殺の連続で「試合がつまらない」と嫌われる
・フルラウンド戦ったことがないので専門家に実力を疑問視される
・シミュレーターで現役時代ロッキーに敗北
このように扱いが踏んだり蹴ったりなので強い印象が無いです。
対するロッキーは58歳。コーチいわく「全身の関節がさび付き、スピードも失われて、スパーリングもまともにできない」。
そんなロッキーはディクソンと互角に戦います。
ジョージ・フォアマン、バーナード・ホプキンスといった50歳手前でチャンピオンになった選手は実在するけど、58歳でチャンピオンと互角は異常です。
・ロッキーが常人離れしている
・ディクソンの油断
・試合中の負傷
上記を加味しても、ディクソンが物足りないチャンピオンなのは間違いないかと。
ロッキー戦後、本物の戦士になったディクソンが経験を積めば最強クラスになる可能性はあります。
トミー・ガン (ロッキー5)
トミー・ガンは「ロッキー5」の対戦相手。
ロッキーの指導の下、連戦連勝であっという間にチャンピオンになります。
ボクシングスタイルはロッキーに近く、闘志とパンチ力が武器。
アマチュアで45勝1敗、プロで23勝0敗と戦績も立派です。
色々あって、ロッキーとストリートファイトで対戦。
ロッキーは現役引退してトレーニングはしておらず、タバコ・酒を始めてアスリートとしてはコンディション最悪。
そのロッキーを1度ダウンさせたものの敗北。なぜかトミーだけ警察に連行されました。
トミーは世界タイトル戦を戦ってから数時間後なので疲労があります。
まがりなりにもチャンピオンですから強いです。
ただ精神面が脆すぎ。
歴代ライバルの誰にも勝てる気がしません。
キャリアを積めば最強クラスのボクサーになれる逸材。
しかしエイドリアンに「トミーには心がない」と言われるように心の何かが欠けており、ダークサイドに落ちるのは必然でした。
トミーは映画の中盤まで普通に良い奴です。周りを気遣う配慮もあります。
なのに後半、急に人が変わったようにゲス野郎になってしまう。
「クリード」のように良い師弟関係を築けそうだったので残念です。
トミーのモデルはおそらく、ドン・キングのプロモートを受けて全盛期が終わったマイク・タイソン。
まとめ
シリーズ化した作品は「作品を重ねるほど演出がインフレする」現象がありがちで、後に登場した相手ほど強く見えるものです。
ロッキーシリーズも例にもれず、印象ならインフレがピークに達したドラゴが最強。
その印象を差し引いて実態を考察した結果、私は「1」アポロ最強を推します。
Amazonプライム・ビデオではロッキー全作観れます。
ライバル達の強さを確認するために全作観よう。
ロッキーの次はゴジラをどうぞ↓