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ワンダと巨像 (PS4)【感想/評価】クソゲー要素を詰め合わせて神ゲーを作る実験

投稿日:2020-03-10 更新日:






あの「ワンダと巨像」が2020年3月のフリープレイになったということで、やってみました。



ワンダと巨像とは:巨像を倒すゲーム

「ワンダと巨像」とは、主人公の少年・ワンダを操作し、広大なフィールドに点在する巨像を探し出して倒すゲーム。

この「巨像を探し出して倒す」以外の要素を極限まで削ぎ落とした、トンガッた作品です。

 

本作でやることは、大ざっぱには次の2つだけ。

①巨像の居場所に向かう

まず、広大なフィールドを探索して巨像の居場所に向かいます。

剣の光で方向を確認し、指定された巨像の場所までひたすら馬(アグロ)で走る。

道中でやることはありません。
せいぜい果物やトカゲを捕食して体力・握力を上げるぐらい。

パラメータは体力・握力のみ。武器やアイテムはクリア後のやり込み要素以外なし。

 

②到着したら巨像が現れるから戦う

巨像の居場所に到着したら、特に何の説明もなく巨像が現れるので倒します。

巨像は充実の16体。
地を駆ける、空を飛ぶ、水中を潜る奴。めっちゃ巨大な奴からそんなにデカくない奴までいろんな巨像を楽しめます。

巨像との戦いは謎解き要素が強く、「アクション要素ありのパズル」って感じ。
基本的には、地形ギミックを活用しながら主人公の超人的握力で取り付き、弱点に攻撃します。

謎解き要素が強いので、一度クリアして解法がわかった後は初見の手探り感が味わえません。
なので、最初にプレイ動画や攻略サイトを見てしまうと初見プレイの楽しみが台無しになります。

 

オリジナルのPS2版は、PS3発売(2006年11月11日)の1年前というPS2最熟成期の作品。

そのため、グラフィック・演出はハード性能を限界まで引き出していました。

探索の舞台となるフィールド「いにしえの地」はとてつもなく広大。
場所によって砂漠や湿原、谷川や古代遺跡など特色があり、全エリアがロード無しのシームレスにつながっています。

そして、「PS2でよくこんなの作ろうと思ったな」と目の前の現実が信じられない気持ちになる巨像戦。

重量感、スケール感が凄まじい。例えば、モンハンやダークソウルなどとも全く違う、異質な迫力です。

 

そのリマスターにあたるPS4版。

よくある「解像度を上げてテクスチャを張り替えただけのリマスターだろ」と期待値低めで、グラフィックの変わり具合を確認するだけのつもりでプレイ開始しました。

ところが、グラフィックが想像以上にヤバいことになってます。完全にPS4水準。
ハード性能を限界まで引き出していたPS2版の記憶が吹っ飛ぶほどの別物に生まれ変わっている。

調べたところ、PS4版は1から作り直したフルリメイクにあたるらしいです。

なんでも、新しい描画エンジンを採用し、コンセプトアートまでさかのぼって3Dモデルを作り直したのだとか。
そのため、いわゆるHDリマスターのPS3版とはまるで違います。

ゲーム自体は忠実移植なので「フルリメイクで作ったリマスター」って感じ。
結果、もはや最初からPS4向けに作ったとしか思えない仕上がりです。

ちなみに当記事の画像は全てモーションブラーをオフにしたもの。
僕はあのブレブレ感が苦手です。

 

各ハードの発売日は、

PS2版:2005年10月27日
PS3版 (HDリマスター):2011年9月22日
PS4版:2018年2月8日

名作すぎて約6年おきにリマスターされています。

挑戦的な作品:PS2版は途中で投げた

本作は割り切った&トンガッた作風がヒットし、世界中で高い評価を受けました。

中でも、

・日本初、Best Game of The Year受賞
・米タイム誌「歴史上最も偉大なビデオゲーム100本」に選出

この2つは歴史的偉業。
よって本作はPS2史上1、2を争う名作といわれています。

 

でも僕は昔、PS2でプレイしたときは途中で投げちゃいました。
楽しさよりイライラが勝って、もうやってらんない。

だって本作って、普通に考えるとクソゲー要素の詰め合わせなんです。

 

例えば、フィールド。

景色は平原と岩場が90%。
FF10でいうとナギ平原が延々と続いてるような感じです。

攻略ルートの自由度は皆無。
目的地は決まっており、指示された巨像へ行くのみ。
勝手に別方向へ走り続けたところで、隠しアイテムやダンジョンみたいなものは一切なし。

フィールドの広さに対して移動速度が遅すぎる上、道中には何もありません。
ザコ戦なし、成長要素なし、アイテム無しの三拍子揃っている。
巨像までの移動時間にやることは「観光」だけ。

巨像の場所へのヒントになる「剣の光」でわかるのは大ざっぱな方向のみ。
移動速度が遅いだけに、行っては戻るのルート確認作業にいちいち膨大な時間がかかります。
ファストトラベルなんてもちろん無い。

巨像の居場所まで行くと、なんの説明もなく戦いが始まります。

倒すと拠点(?)に戻されて、次の巨像へ。

この割り切った仕様に最初遊んだときは「こんなのアリかよ」と戸惑いました。

 

そして、操作性。

あえて操作性を悪くしています。

主人公の移動速度が遅い、挙動がヨロヨロ。リアル挙動の馬は小回りが効かない。

しかも「良い画」を撮るためにカメラが勝手に動く上、カメラが地形にめり込むのを防ぐためかカメラ操作が不自由です。(これでもPS2版から改善)
その影響か、レバーの入力方向と動作が一致しないように感じます。あらぬ方向に飛び移って足場から落下してイライラ。

巨像戦では「えっ、うっ、おぅ」とあえぐだけで動いてくれない時間が長い。
特にヤバいのが足場が上にいって宙ぶらりん状態になったとき。
こうなるともう一切動けないので、巨像が位置を変えるまでただつかみ続けるしかない。

このように、並のアクションゲーム感覚で遊ぶと恐ろしく操作性が悪く感じるのでまた戸惑います。

 

馬の挙動は最後までイライラしました。

あえて不自由にすることで「生き物を相手にしている」感を出そうとする意図はわかります。わかった上でイライラ。

カメラワークの難点が相まって入力方向の逆に走ったり、小回りが効かないからターンできず壁にぶつかって「ヒヒーン」と怯んだり。

終盤、馬(アグロちゃん)があんなことになるけど、僕は「ざまあみろ」と思ってしまったことをここに告白します。

 

独特の操作性に耐えた上で、「戻し作業」の面倒くささが心を折りにくる。

フィールドのリスタート地点が少ないため、道中で死んでしまうと下手すると拠点に戻されます。
先が見えない罠のような地形と不親切なカメラワークのせいで落下死した後、拠点に戻されて10分の戻し作業を強いられるとマジで頭にきます。

巨像戦のリトライは直前からなのでその点は安心ですが、巨像戦ではフィールドとは違う形の戻し作業を強いられます。

巨像に攻撃するチャンスを得るには、足場に登るとか、巨像をじっくり誘導して足場にぶつけるみたいなセットアップが必要。
そのため一度チャンスを逃すとまた時間のかかるセットアップのやり直しになるので、チャンスを逃した後がツラいです。

特に移動速度が遅い水中が絡むともうやってらんない。

目的地までに大きな川や池があったり、水場で巨像と戦う場面もあるので泳ぐ機会は多いです。

なのに、泳ぐの遅っ!

地上の移動速度も遅いけど、泳ぎはそれどころじゃない。
泳ぐというより溺れてる。前に進まない。

たしかにこんな鉄の塊みたいな剣を持たされたら泳げません。ゲーム中のスピードはリアルよりむしろ速いぐらいでしょう。
とはいえ、広大なフィールドに対して信じられないぐらい遅いです。

潜って泳げばまあまあ速いけど、潜っている間は視界が悪くて背景の流れが見えないからスピードが出ている気がしません。

水面では溺れているのに、水面からジャンプできるのが不自然。

 

初見プレイでは、第三の巨像がいる遺跡でさっそく水場の洗礼を受けました。

カメラワークと操作性の悪さにより自分のせいと思えないミスをして地形から落ちると、下の水場に落ちて遅っそい泳ぎからやり直し。

あまりの不親切さと面倒くささに「このゲーム、マジか…」と引きました。

よって新しい場所にたどり着いても水場がある時点でウンザリ。

その後もなんとか頑張って進めたものの、泳ぎの遅さが決定打になってプレイを投げた覚えがあります。

プレイしないとわからない

上記のようにクソゲー要素の詰め合わせですが、プレイしてみるとそれも制作者の意図通りであることがわかります。

なので、僕は本作を「クソゲー要素を詰め合わせて神ゲーが作れるか」という一種の実験のように感じました。
一歩見違えたら本当にクソゲーになるギリギリのラインで作ってる。

本作は世界中で高評価を受けて名作として名を残しているので、実験は成功といえるでしょう。

 

肝心の「なぜ高評価なのか」を語ることは、僕にとっては難しいです。
なぜなら、僕は本作が好みじゃないから。「ここが魅力的!」とか言い過ぎると嘘くさくなってしまう。

でも本作は観るだけではわからない、プレイしてはじめてわかるフィーリングがあるのは確かです。

まあゲームなんて何でもそうですが、本作の場合は特に「観る・やる」のギャップ部分を攻めているような気がしました。

 

例えばフィールド。

ボーっと観ているだけでは、前述のようにただっ広い場所に岩場やら何やらを置いただけの代わり映えしない景色が続いてるように感じます。

でもプレイすると、本当に計算され尽くした地形になっているのがわかるんです。
だって、テキトーに置くだけではこんなに良いタイミングで美しい景色が次々と現れるわけがない。

自分で自由に操作しているはずなのに、映画のワンシーンのように景色が展開していく。

計算され尽くした展開をムービーやデモではなく、プレイの中で自然に見せつけるのが凄いです。
この点はかつて「スカイリム」のレビューでも同じことを言いました。

この体験は自分の操作とシンクロしているので、プレイ動画を観るだけでは伝わりにくいと思います。

ボスの居場所が絶妙に分かりにくいので、こんなに広くて見晴らしの良い地形なのに同じ場所をグルグルして30分ぐらい迷うこともあります。

この「見晴らしが良いのに迷う」という体験もプレイしてはじめてわかること。

迷う体験も巧妙にデザインされており、プレイヤーを迷わせる中で場所によって微妙に違う岩肌の色味やディティールを見せつけてきます。
だから迷う中でも景色に飽きない。

「どうやったらプレイヤーの体験をここまで緻密にデザインできるんだ?」
と考えてしまいます。

 

巨像との戦いでも「観る・やる」で大違いのフィーリングがあります。

倒し方の解法がわからない中でズンズンと巨大な巨像に追い詰められる感覚はプレイヤーならではのもの。

その上でフィールドと同じく、常に「良い画」が画面に映し出されます。

良い画になるのは、開発者が推奨するカメラワークを強制しているから。

見ているだけなら「良い画だなー」と思うだけですが、プレイヤーは意図しないカメラワークに苦心しています。

カッコいい画が展開されている最中も、「プレイヤーは何でカメラそっちに動くんだよ」「こっちにスムーズに動けよ!」とイラついている。

この「映像美と、操作性の悪さの葛藤」も動画を見るだけではわからない部分です。

 

前述した難点「セットアップのやり直し」を凝縮したのがラスボス、16体目の巨像でした。

・宙づり状態から動けない
・あらぬ方向に飛び移って大惨事
・下手すると1ミスで最下層へ落下。ウンザリする工程をやり直し

本作の難点を詰め合わせたような相手なので本当にウンザリ。

ラスボスをこのような仕様にしていることからも、本作の難点は制作者の意図通りであることがわかります。

 

ようするに何が言いたいかというと、
プレイ動画や画像を見るだけでは本作について何もわかりません。
だからプレイしよう。

僕が本作をプレイしてわかったのは、こんなトンガッたゲームを全力で創り上げて世に送り出すことの凄さ

この規模のゲーム制作って大プロジェクトじゃないですか。
なのにこんな賛否両論呼びそうな尖ったコンセプトで完成させて、しかもヒットさせたのが凄い。

例えばクソゲーと言われることにビビって、道中にザコ敵を配置したり成長要素を取り入れたりしたら「エルダースクロール」シリーズの二番煎じみたいな、中途半端なゲームになってしまうでしょう。

何かを得ることは何かを捨てることなのだと教わった気がします。

 

まとめ:PS4版は最後まで遊べた

やっぱり僕の好みではないゲームであることを、PS2版で投げて以来の再プレイで実感しました。

しかしPS2版は途中で投げ出した僕も、PS4版は文句を言いながらもグラフィックの魅力で最後まで遊んでしまいました。ちょっと悔しい。
それほど凄いリマスター、というかリメイクです。

トンガッたゲームを体験したい方はぜひ遊んでみてください。
PS2、PS3版をクリア済の方も、PS4はグラフィックが別物になっているのでぜひ。
PS2版を途中で投げた僕のような方も、不思議と最後まで遊べてしまうのでぜひ。







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