ブルースティンガーってどんなゲーム?
洋ゲー風バイオハザード
「ブルースティンガー」とは、ドリームキャスト(DC)で発売されたバイオハザード(バイオ)っぽいゲーム。
発売当時に買った思い入れのある作品です。
12月24日、クリスマスイブ。
謎の異変に巻き込まれた3人が、真相を探るためにモンスターと闘いながら困難に立ち向かいます。
ゲームの流れはバイオと同じ。
敵を倒しながらマップを探索して謎を解き、色々とイベントがありつつ先に進みます。
最大の特徴はB級※SFパニックホラー風味。バイオのゴシックホラーとは違います。
(※語源は30~50年代の「低予算・短期間・限定的上映時間」アメリカ映画。語源からいうとバイオの方がB級かもしれない)
カップルでポップコーン食いながら観る。あるいは深夜の洋画劇場で観るような、ちょっとバカで大味なノリ。
実際、ハリウッドのスタッフが関わっているらしいです。
街や研究施設、キャラやクリーチャーなどの何から何までバタ臭い(洋画、洋ゲーっぽい)。
ネオンきらめく街のビジュアルは、アメリカンなド派手さで印象に残ります。
キャラも青・黄・赤の信号カラーでやたらと派手。日本人のセンスではこうはならないでしょう。
主人公は休暇中に事件に遭遇したレスキュー隊員、エリオット・G・バラード。「そういう女…大好き」なノリが洋画っぽい。
もう1人の操作キャラはたまたま現場に居合わせたパワー系おっさん船長、ドッグス・バウアー。
武器はどれも高威力で近接攻撃も強い。移動速度は遅い。風呂に入りたい。
武器もB級パニックホラー風味でちょっとバカです。
着るとなぜか空手や相撲攻撃が可能になるTシャツ、スタンロッドやライトセーバーがあります。
モンスターを倒すと金をチャリンチャリンと広範囲にばら撒くのもなんかバカ。
このようにバタ臭くB級ノリなので好みが分かれそう。売れなさそうな気がします。
でも発売時期がDC本体発売の4ヶ月後(1999/3/25)と ソフト不足な時期なので、当時のDCゲーム誌では大作扱いされていました。
そのゲーム誌、今も実家にあります。「本場ハリウッドのカメラワーク演出!」とか書いてて面白い。
■発売当時の思い出
発売当時、ラスボスが異様に強くて倒せないので積んでいました。
ある日、うちに遊びに来た友達に「DCはこんなに凄いんだぜ!PSとは格が違うんだぜ!」と見せびらかすためにラスボスと戦ったらあっさり倒せたのです。
僕は大興奮して大喜び。しかし友達は「あはは…よかったやん。俺は帰るからヤギ君はせっかくだしエンディング見ときーや」と冷めたリアクションで帰りました。
僕は1人でエンディングを観ながら「サターンに続き、またセガハードを選んで失敗したんだぜ」と悲しい気分になりました。
当然、友達がDCを買うことは無かったとさ。
システム
バイオとは違う、本作ならではの仕様を紹介します。
・2人のプレイヤーキャラ、エリオット・ドッグスを任意のタイミングで切り替え可能。
つまり2人分の体力、武器弾薬を使えます。
・自販機でアイテムを買える。ザコ敵はお金を落とす
ザコは画面切り替えで復活するので「稼ぎ」が可能です。
・回復アイテムよって使用モーションが異なる
ドリンク系は時間がかかるので戦闘中は食べ物系を使います。
近・遠距離武器と回復アイテムの使い分けは重要です。
攻撃や回復モーションが遅く、敵に邪魔されるとモーションキャンセルされて延々とハマることが多いので。
僕はツタ攻撃で角ハメされて何度もやられました。
・背景までフルポリゴン
「バイオハザード コード:ベロニカ」より先にフルポリゴン化を実現しました。
ポリゴン背景を活かした、グルングルン動き続ける攻めのカメラワークも特徴。
中身もB級
前述の通り、外見はB級です。
では中身はどうかというと、B級です。
作りは粗く、ホラー・サバイバルの面白味はありません。
ホラー・サバイバルの面白味が無い
ホラーの面白味が無いです。
主人公が強制的にモンスター化するなど、B級ノリの気持ち悪さはあります。でもバイオのような怖さは無い。
画面外から襲われるだけの雑な敵配置と間延びしたマップで、緊張感もなくダラダラと進行します。
まず自キャラの移動速度が遅くてダルい。
横断歩道をちょっと駆け足で渡るぐらいのスピード、かつもっさりモーション。
移動距離が長いので、実際以上に遅く感じます。
ほぼ直線の通路が多く、無限ループかと思うほど長い。
いざ目的地に着いたら面倒なフラグ立てで何度も右往左往させられたり、行きはジープなのに帰りは徒歩だったり。
時間稼ぎが見え見えです。
サバイバル要素もありません。
2人分の体力を使えるし、ザコで稼ぎ可能なので武器弾薬は尽きない。ボスは火力でゴリ押し。
本作をプレイすると、バイオがいかに良いゲームなのかがわかります。
全体的に作りの粗さが目立ちます。
詳しく紹介するとキリが無いので、以下ざっくり列挙。
・タイトル画面のカーソルがロードではなくニューゲームに合う
・テキスト送り不可でテンポが悪い
・合わせた選択肢はゆっくり点滅。どちらを選択している状態なのかわかりにくい
・チェックできる場所が分かりづらい。接触判定が妙にシビアでイライラ
・いったん離れないと扉が反応しない。扉前で詰められるとハマる
・水中の変な挙動。重しをつけたように勝手に沈む。上昇(レバーニュートラル+B)に気づくまで何度も溺死した
・体力7割以下で移動速度が大幅に落ちる。追撃を食らうためいくら回復してもキリがない
・レーダ地帯のビットのような、避けようがない理不尽攻撃
などなど。
極悪カメラワーク
ホラー・サバイバルの面白味が無い、という致命的難点すら吹っ飛ぶほどカメラワークが不快です。
最大の敵はカメラ。常に極悪カメラワークとの戦い。
カメラが異様に引いたり寄ったりしながら90~180度グルングルン。少し走ればグルン、戻ればグルン。
遊園地のコーヒーカップに乗ってるような感じ。3D酔いで頭痛になりました。
この嫌がらせカメラワークで、狭い足場を移動させられます。
足場が暗くて見えない中、カメラがグルンと動く。
唐突にラジコン操作へ切り替わる区間もあり操作が混乱。
細い足場をまっすぐ渡る途中、急にカメラが動いて進行方向も変わるので「まだ渡ってる途中でしょうが!」と言いたくなります。
終盤の鉄骨渡りはまさに鬼畜。
足場が崩れ落ちるので急ぐ必要があるのに、一歩ごとにカメラが動きます。ここまでくると嫌がらせ以外の何者でもない。
落下死綱渡り前のセーブポイントが遠い上、途中にカット不可デモが入るのもストレス。リトライがダルいです。
足場渡りの近くには、ご丁寧に落下死を防ぐアイテム「ライフッカー」が売っています。
回復アイテムの10倍近い値段なので笑えるけど、プレイ中は笑えない。
つまり、作りが粗くホラー・サバイバル要素は無い。
その物足りなさを埋めるのが、極悪カメラワークと落下死。
見た目以上に、中身がB級で大味なゲームです。
謎の発光体がウザすぎる。
終始、自キャラの周りを青い発光体「ネフィリム」がせわしなく飛び回ります。
ちらちら映り込むので非常にウザい。
1時間プレイすると目がシバシバします。極悪カメラワークと同じぐらい不快。
ブルーライトカットの液晶フィルタか、眼鏡が必須。
たまにコイツが出ない部屋あり、その部屋が凄く快適に感じる。それほど不快。
先ほど列挙した作りの粗さといい、テストプレイしたのか怪しい難点が目立ちます。
まとめ:
バイオの素晴らしさを痛感できる作品。
ノリが大味なのは良いけど、中身まで大味なのはダメです。
いかにもなキャラとストーリー、ネオンきらめく印象的なビジュアル、豊富な武器など、本作ならではの良い部分はあります。
でも間延びしたマップ、カメラワーク、ウザい発光体などテストプレイしたか怪しい致命的な欠陥が多すぎます。正直、二度とやりたくない。
本作を攻略情報なしでクリアした、当時中学生の自分を褒めたい。