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グランディア【感想/評価】ド直球の冒険活劇!

投稿日:2018-08-23 更新日:

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サターンを買ってから苦節2年、
「初めてPS勢に自慢できるRPGが出た!」
と嬉しかった作品です。

そんな初代グランディアがいかに凄い作品なのか、当時サターン派だった自分の思い出補正込みで解説します。

当記事を読めばあなたも冒険の旅に出かけたくなる、かも。



グランディアの特徴

セガサターン待望の大作RPG

グランディアとは、
「歴史に残る映画があるように、歴史に残るRPGがある」
という大風呂敷広げすぎなキャッチコピーで現れた、セガサターン待望の大作RPGです。

PSに行ってしまったFF・DQシリーズに匹敵する作品にするため、4年の開発期間をかけ満を持して発売されました。

 

大風呂敷広げたRPGは期待ハズレな作品が多いです。

例えば、

・エルファリア
「ドラクエ、FFを追い越せ!!」

・ファンタシースターユニバース
「全てのRPGを過去にする」

・ローグギャラクシー
「さあ、ふるえるがいい」

いずれの作品も苦い記憶とともに消えていきました。

 

グランディアの大風呂敷も、発売前は不安と疑いの目で見られました。
しかもポリゴン苦手(特殊)なサターン。失敗作フラグが立ちまくりです。

しかし本作は、RPG最高傑作の一つとしてゲーム史に名を残します。

 

オープニングでさっそく作曲・岩垂徳行氏のメインテーマ曲で心をわしづかみにされます。なにか素敵なことが始まりそうな予感!

いざプレイ開始すれば、ポリゴンが粗くても半透明エフェクトが苦手でもここまでやれる!とひと目でわかる圧倒的な作り込み。

発売後、不安と疑いの目は跡形もなく吹き飛びました。

 

ド直球の冒険活劇!

グランディアはド直球の冒険活劇を描きます。
まずはあらすじからどうぞ。

■ あらすじ

かつて冒険者によって多くの大発見がなされてきた。

しかし世界に「果て」が発見されてから人々から冒険の心は消え、産業革命が起こると関心は蒸気と機械へ移った。
現在は冒険がレジャー感覚のツアーになっている。

冒険への情熱を持つ数少ない少年・ジャスティンは、遺跡へ見学に行った先で謎の女性・リエーテに出会う。

リエーテは失われた古代文明「エンジュール」とジャスティンの父親の形見「精霊石」について語り、「東へ向かいなさい」と告げて姿を消す。

その言葉を受けたジャスティンは、好奇心と希望を胸に新大陸へと旅立つ。

 

ストーリーを一言でいうとラピュタ。

冒険に憧れる少年が少女と出会い、様々な出来事を通して成長。
やがて世界の命運を左右する戦いに挑み、最後はもちろんハッピーエンド。

ベタすぎるボーイミーツガール、どこかで見たような演出が多いです。

勧善懲悪で悪人は1人だけ。
ムスカ的な悪人1人が、かわいそうなぐらいの孤立無援で悪事に勤しみます。

そんなベタでも、ここまでド直球でやられたら感動するしかない!

 

冒険に旅立つ朝のシーンなど、王道だからこそ端々まで丁寧に描きます。
丁寧な演出に対して、展開は割り切ったご都合主義が目立ちます。

特に後半の展開がムリヤリすぎて笑う。

例えば、

ジャスティン
「もうダメだ~どうすればいいんだ~そうだ、ギドに聞きにいこう!」

ギド
「みんなの力を合わせるんだ」

ジャスティン
「そうか!それでよかったんだ!」

フィーナが連れていかれる。

ジャスティン
「どうすればいいんだ~そうだ、ギドに〃」

最強武器のある場所へ続く門が眼の前に現れる。

なぜこうなるのかさっぱりわかりません(笑

 

主人公ジャスティンも直球勝負。

毎日が楽しくてしょうがない、見ているこっちが恥ずかしくなるぐらい眩しい情熱を持つ少年です。
冒険のことしか頭にないので、15歳にしては痛いほど女性の好意に鈍感。

 

あからさまな主人公補正持ちです。

例えば、

・異常なまでのポジティブシンキングが結果的に全て上手くいく

・特に修行した描写も無いのに強い
軍隊の偉い人が15歳のガキに出し抜かれて「たいしたヤツめ!!」とか言ってるのが謎です。

・冒険の経験も少ないのに、誰も越えられない「世界の果て」をわりとあっさり突破
どう見ても冒険に不向きな幼馴染スーも一緒なのが納得できません。

 

そんな主人公補正効きまくっているジャスティンを見たヒロインのフィーナは、最初は格上の冒険者として登場するけど次第に「ジャスティンの方が冒険者として純粋」みたいな感じで憧れ始めます。

てか最初からけっこうデレデレ。
「もうジャスティンのエッチ!(照)」と言って自分からアピールしているように見えます。

船上で2人きりなった途端、「ねぇジャスティン…私のこと好き?」。
ここまで言われたのに、持ち前の鈍感でかわしながらロマンチックな台詞を連発するジャスティンは只者ではない。

さらに敵将の女(フィーナの姉)まで絶えず赤面させ、旅のきっかけになったリエーテまで口説き落としてパーティメンバーに加えます。

ジャスティンにはある種の才能を感じざるを得ません。

 

圧倒的な作り込みと大ボリューム

大作RPGというだけありボリューム十分。

普通にやると50時間、
のんびりやると100時間、

せっかちにプレイしても25時間はかかります。

前半・中盤・後半にしっかり山場があり、シナリオにメリハリがあるので大ボリュームでも飽きずに遊べます。

 

グラフィックは2Dキャラ&3Dフィールド。

キャラを2Dドット絵にしたことで、3Dが苦手なセガサターンで見応えのあるグラフィックを実現しました。

特筆すべきは「視点を自由に回転可能」。
当時、視点固定が当たり前だったので画期的です。
実装したのはゼノギアスより本作が先。(発売が2ヶ月早い)

 

3Dフィールドは民家の一つ一つまで作り込みがエグい。
服装、建物、家具などを丹念に描写されているので土地ごとの風土を感じます。

丹念な作り込みにより、メインキャラはもちろんモブキャラやオブジェクトやまで生き生きしており臨場感があります。

 

■丹念な作り込み

・タルにぶつかると揺れる、机の上に乗った本が落ちるなど、オブジェクトが細かくリアクション

・ガーガー、カチャカチャ、キーキーとSEもいちいち細かく鳴る

・モブキャラは話しかけた回数で台詞が変化
2~4回目まで用意されており、さらに主人公たちが反応を返すこともあります。

・戦闘時の台詞演出
技発動時はもちろん、共通魔法でもキャラごとに個性的な台詞を喋ります。
トドメを刺したキャラクターが喋る勝利台詞は、被害状況に応じて内容が変わるこだわりよう。

・一等、二等客室、船室の格差をこれでもかと描く
RPGにありがちな船旅も新鮮に感じます。

 

イベントシーンでたびたび挿入される引きの絵も圧巻。
セガサターンがPS2並の高性能ハードに見える。

サターンならではの「粗さ」を上手く活かしており、手描きイラストのようなアナログの味があります。

 

忍耐力を試すダンジョン

上記のようにストーリーやキャラはわかりやすく、すんなり馴染めます。

一方、フィールド探索と戦闘システムは「冒険」をテーマにしているだけあり忍耐力が試されます。

 

■迷いやすい

フィールドやダンジョンは、冒険RPGなのであえて迷いやすく作ったらしい。

基本的に、
・視点が見下ろしすぎで見づらい。
・似たような背景が続くので迷いやすい

こんな作りなので「進んでいるつもりが戻ってた」みたいなことが多いです。
むしろ入口まで戻っちゃってからがスタートみたいな感じ。

また、見えないから視点をグルグル回転させるので酔いやすいです。

一応、目的地の方向を指すコンパスと、フィールド上に真上から俯瞰できるマップがあります。
しかし、どちらも参考にするほど迷う作りなので頼りになりません。
たいてい、アイテムが落ちてる方が行き止まりです。

 

■敵を避けるだけムダ

敵と接触すると戦闘画面へ移る、シンボルエンカウントです。

シンボルエンカウントの中では敵避けは簡単な方。
でも道が狭い上に敵の密度が高すぎるので避けるだけ無駄な気がします。

頑張って避けても、迷路ダンジョンなので結局同じ場所を行ったり来たり。
何度も同じ敵に当たるので「最初にさっさと倒せば良かった」感が。

迷いやすい地形と戦闘回数が相まって、プレイヤーの忍耐力が試されます。

 

■帰り道

ボス撃破後、たいてい来た道を自力で戻ります。

行きも迷路で帰りも迷路。迷路ダンジョンを2周させます。
せっかく苦労して踏破した道のりを逆方向から攻めるのはツラい。

「リレミトがあればプレイ時間半分になるのでは」と思うほど面倒くさいです。

 

戦闘システム

RPG史上屈指

戦闘システム自体はRPG史上屈指の出来だと思います。

システムを上手く使えば一方的に勝てる。
逆にリズムを崩すと負のスパイラルに陥る。

位置取りとリアルタイム性がバランス良く組み込まれており、手に汗握る戦いが楽しめます。

 

具体的な仕様は、

・リアルタイムで敵味方同時に動く
・位置取りが自由
・行動ゲージが満タンになると行動開始
・呪文や必殺技は発動までに準備時間がある

敵味方の行動タイミングを調節し、有利を取るのが重要です。

・行動中の相手に「クリティカル」を当てると「キャンセル」となり、相手の行動ゲージを大きく戻す

・攻撃モーション中は無防備。その時に攻撃を受けると「カウンター」で被ダメージが増える。

 

これらを加味すれば様々な行動・技に出番があります。
大技が強いとは限らなかったり、意外な技が敵をハメるのに有効だったり。

 

接敵までの移動時間も絡むので、位置取りも重要です。

敵・味方キャラが干渉するのも大きな特徴。

邪魔なキャラを迂回すると時間をロス。
敵に引っかかると挙動不審な動きで迂回したあげく移動力不足で行動終了。

このあえてのバカAIが「無理な位置を狙わない」戦略性を生んでいます。

 

■魔法について

魔法は「火水風土」の4属性。

さらに、2つの属性を組み合わせた
「稲妻(火+風)」
「吹雪(風+水)」
「森林(水+土)」
「爆裂(土+火)」
の複合属性があります。

3段階のレベルがあり、MPはレベルごとに個別。

ダンジョンで拾う「マナエッグ」で購入・習得します。

買えるのは低レベル魔法だけ。
繰り返し使ってスキルレベルを上げて、高レベル魔法を覚えます。

 

宝の持ち腐れ

ここまで、戦闘システムの秀逸さを紹介してきました。

しかし実際のところ、秀逸な戦闘システムが宝の持ち腐れ状態です。

というのも、ヌルゲーすぎて一部のボス以外は戦闘システム無視でゴリ押し可能だから。

セーブポイントも便利すぎます。
無償で全回復、戦闘不能も復活。しかも入口やボス前に必ずある。

結局、手に汗握るキワキワの勝負が少ないので戦闘の醍醐味を味わえません。

 

戦闘システムをフル活用して存分に戦える、高難度の隠しダンジョンが無いのも物足りない。

一応、本編に関係ないおまけダンジョンが3種類あるけど、高難度といえるのは「魔導の塔」だけ。
しかもストーリー進行で入れなくなります。

 

敵に歯ごたえがないヌルゲーなので、ゲージを待つ時間の無駄。高いエンカ率と相まってかったるいです。
ボス戦は楽しいけどザコ戦でこのテンポは遅い。

ザコ戦がダルいのはRPGの凝った戦闘システムでありがちな傾向です。

 

まとめ:忘れられない冒険になる

20年ぶりにプレイしたら、やっぱり名作でした。

気になることはあります。

・クリアに必要な時間が長すぎる
・難易度が低い
・育成がシンプル&固定メンバーなので攻略について考えることがあまり無い

この辺は万人向け大作ゆえの難点といえます。

ザコ戦のテンポ、景色が変わらない迷路ダンジョンは忍耐力が試されます。

今プレイするなら時間と心に余裕が必要かもしれません。

 

でもそんな難点を補って余りある圧倒的な魅力があります。

・ド直球の冒険活劇なストーリーは、他に対抗する作品がない
キャッチコピーの、「忘れられない冒険になる…」は本当。

・今見ても作り込みが凄まじい
街中を見て回るだけで楽しめるゲームは珍しい。

 

総じて、DQ・FFシリーズに並び、超えようとした本気が感じられます。
ゲーム史上に燦然と輝くド直球の冒険活劇を体験できるので、未プレイの方はぜひ。

 

実際、DQ・FFに負けない作品です。

でも売上はサターンソフト累計15位の40万本止まり。
DQ・FFの1割の売上では「サターンにも大作RPGがある」イメージを浸透させるには至らず。

シリーズ化して後に3作出たけど、圧倒的ワクワク感がある本作がシリーズ最高傑作という評価は揺るぎません。
シリーズとしてもDQ・FFのように定着させることはできませんでした。







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