大学時代、知り合い(彼女)にオススメされて買った作品です。最近ようやくプレイしました。
「神ゲーらしいけど実際どうなの?」
と気になる方に向けて、プレイした感想を書きました。
本作未プレイかつリマスター版購入を検討中な方の参考になるかと思います。
豪華な画と曲+斬新なシステム
『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』(LOM)は、PS唯一の聖剣伝説シリーズ。
1999/7/15発売。
ナンバリングの3~4の間に発売された外伝的作品です。
緻密に描かれた美しいドット絵の2Dグラフィックは『サガフロンティア2』と並びRPG史上最高レベル。
下村陽子さん作曲のBGMもRPG史上最高と評判です。
豪華な画と曲に、多数の意欲的システムが乗っかります。
最も特徴的なのが「ランドメイクシステム」。
プレイヤーがワールドマップ上にオブジェクト(街、ダンジョン)を自由に配置し、箱庭のように世界を作ります。
置き方だけでなく進め方も自由。
イベントを発生させた後、他のイベントに移っても良い。
ロマサガのフリーシナリオに近い感じ。
配置がイベントフラグや戦闘バランスに影響します。
大シナリオ3つのどれかを最後まで進めるとラスボスへ。
戦闘はシリーズおなじみ、位置取りや攻撃をリアルタイムで行う仕様。
今回はRPG戦闘というよりベルトスクロールアクション色が強めです。
システムは簡易的(詳しくは後述)。仲間も魔法も頼れません。
つまり本作は、豪華な画と曲に斬新なシステムを詰め込んだ作品です。
率直な感想
結論をいうと、自分にはハマらない作品でした。
以下、率直な感想を述べます。
こんな感想を見たら、私に本作を勧めた知り合いが悲しむでしょう。
しかし人間関係を崩してでも本音を伝えたいのです。
シナリオ
曖昧で多くを語らないシナリオは好みが分かれます。
個人的には、雰囲気メインな詩集のようで退屈でした。
独立した短編で、無個性主人公がお使いするだけ。
ストーリーの良し悪し以前に興味が出ず、話が頭に入りません。
ロクな説明も導入も無し。
オープニング後すぐ謎世界に放り出され、
唐突にイベントが始まり、
街で出会うキャラ達がみな詩的な台詞を連発し、
受ける主人公は無個性で空気。
イベントは不親切なフラグ立ての連続。
ドラクエのような「悪の帝王を倒す」「世界を救う」「世界の秘密を解き明かす」的な主目的が無いまま、関係無い話が混在します。
そのため3筋のメインシナリオの流れを追えません。
なんだか頭がボーっとして眠くなります。
気がつくと台詞スキップ連打する自分がいる。
フリーシナリオや曖昧な語り口が悪いとは言いません。
ロマサガ3やサガフロも似た傾向があります。
でも本作はそれらの作品と違い、以下のようにイベント進行(フラグ立て)や戦闘も楽しめません。
フラグ立て
ラウンドメイキングは、進行の自由度や世界と触れ合う実感を狙ったシステムだと思います。
しかし結果は逆に不自由です。
・やり方が悪いとイベントフラグが消滅
・フラグがわかりにくい。
脈絡もフラグが立った合図もない。
よって常に攻略情報に頼り、フラグ立て作業に追われます。
「ランプ売りとか何これ。攻略情報無しで誰がやんねん。「ぐま!」じゃねーよ」
と投げそうになる。
面倒なフラグを立てて、イベントを進めるとようやくダンジョンに行って戦闘開始。
すると、ダンジョン内でも脈絡が無く不親切なフラグ立てを強いられます。
フラグ立てで延々と右往左往し、フロア切り替えのたびに敵が無限復活。しんどいです。
さらに、無限復活により延々やらされる戦闘が以下のようにつまらないので尚更しんどい。
戦闘
戦闘は“単調なミニゲーム”と化しています。
・パーティーが実質一人
・回復手段無し。時間経過で自動回復
・負けても直前からコンティニュー可能
・魔法が使いづらくて不要
この簡易仕様。
RPGの戦闘としてはあまりにもやりがいが無いです。
やることは、すり足接敵して通常攻撃で殴るだけ。
すり足は遅い上に『3』と同じくズリズリと変なリズムで動くのが苛立つ。
バランス調整もテキトーな気が。槍の斜め強とか強すぎ。
攻撃できるのは横方向のみ。
よって敵と横ラインを合わせる必要があります。
しかし横ラインが判別しにくく、すぐ隣の敵を攻撃してもスカッと空振り。
無敵時間が多く、空振りの原因がラインなのか無敵なのかもわかりにくい。
攻撃してもされても納得感と爽快感が薄いです。
戦闘は敵を倒すとばら撒かれるクリスタル(経験値)をすり足で全部拾うか時間経過で消えるまで終わらず、先に進めません。敵を倒した後も苛立ちます。
ダンジョンに行けば無限復活に引っかかりながら不親切なフラグ立てを強いられ、
戦闘ですり足移動で苛立ち、
敵を倒したらゴミ回収。
この流れにウンザリします。
さらに、
・逃走不可
・フロア切り替えで耐え難い長さのロードが入る
これらも地味に効く。
シナリオ・ダンジョン・戦闘にウンザリすると、最大の売りであるBGMにも不満を感じ始めます。
BGM
一般的に本作のBGMは非常に評価が高い。
たしかに、作業用BGMとしてはゲーム音楽で屈指といえるほど最高です。サントラ必須。
でもゲーム中はうるさい。
聴き応えがありすぎです。
数十分、下手すると数時間迷うダンジョンでずっと同じ大迫力BGMを聞き続けたらもうクタクタ。
場面との関連性も低い。
普通の森なのにラスボス戦みたいなド迫力で勇壮なBGM。しかも森だろうが岩場だろうが同じ曲、同じノリ。
今この曲じゃなくね?
なんならBGM無しの方が良いような、しっとり落ち着いた場所です。
ボス戦は輪をかけてうるさい。ヘビメタみたいな騒がしさ。
上品な2Dグラフィックと合いません。
例えば『クロノトリガー』なら、森はしっとり系BGM かBGM無しの環境音で雰囲気を出しています。だからこそ勇壮なボス戦BGMが引き立つ。
場面を引き立て、長時間聴いても疲れず、ふと「あの曲良かったなぁ~」と思い返してまた聴きたくなる。
それぐらいがゲーム音楽として良い塩梅だと思います。
本作はBGMが前に出過ぎ。
ゲーム内容は記憶からすっ飛び、BGMだけ耳に残ります。
まとめ
サントラを買えば十分。
が率直な感想。
グラフィックと音楽が独り歩きして過大評価されている感があります。
聖剣シリーズは次作『4』がシリーズ失墜の戦犯にされがち。
でも実際は本作で終わりが始まっています。
というか、聖剣伝説じゃないでしょこれ。
何もかも別物すぎて、『3』までのシリーズ作品と共通点が見当たりません。
まずPS世代水準に進化した普通の聖剣が遊びたいです。
未完成さを感じる『3』をブラッシュアップした普通の良作で良い。
派生を考えるのは王道をバシッと作ってからでしょう。
普通の良作が出たのは2020年でした↓