傑作ウルトラマンゲーと名高い「FE3」が売っていないので、かわりに手を出した作品。
FEシリーズとは違う魅力を持つ良作でした。
(プレミア化したFE3ほどではないけど、本作もAmazon最安値1,650円とお高いです)
FEとは違う「ウルトラマン」
「ウルトラマン」は初代の原作再現が特徴。
「帰ってきたウルトラマン」要素もあります。
平成ウルトラマンまで全員集合で盛り沢山な「Fighting Evolution」(FE)シリーズとは違う趣向です。
アクションもFEシリーズとは違う味付け。
例えば、
・動きが重い、遅い
・アクションが少ない
技のバリエーションが少ない。ジャンプが無い。
・必殺技が選べない
ゲージ量によって技固定。
以上により、FEシリーズの感じを期待して遊ぶと「おいおい、全然動けないよ、遊べないよ」となりがち。
特撮の雰囲気抜群なカメラワークにより、方向入力がわかりにくいのも困ります。
前進入れたつもりが横転になり、軸ズレで攻撃が当たらない。
格ゲー、アクションゲーとして見ると難点が多いです。
しかし、本作には確かにFEシリーズと違う魅力があります。
特撮の再現
FEシリーズと違う魅力、それは原作(特撮)の雰囲気。
アクション性、ゲーム性を犠牲にして表現したフィーリングが確かにあります。
ますステージ開始前、原作の映像とともにストーリー紹介を挿入。
毎回毎回、やたらと濃厚です。
そして、見たこともない怪獣が出てくる。
僕はウルトラマンに詳しくないので、ゼットン、ゴモラ、バルタン星人、レッドキングぐらいは知っているけど、ベムラー、アボラス&バニラ、ペスターとかは知りませんでした。
「ゲーム化するとまず削られる怪獣」が出てくるので新鮮です。
対戦が始まると、グラフィックの作り込みに圧倒されます。
ステージが豪華。
大げさな土煙を巻き上げてオブジェクトが壊れまくる様子は、見ているだけで楽しいです。
キャラを動かせば、いかにも着ぐるみなもっさりモーションがたまりません。異様にタメを作る重々しい手応え。
投げも全然スタイリッシュじゃない。柔道家がマジで投げてるような泥臭さ。
まさに特撮の忠実再現。他では味わえない手応えがクセになります。
「受け(投げ)」が重要なのも特徴的。
相手の攻撃を捌いて投げるのが強いです。
連打で攻撃するだけでは見栄えが悪いから受けて捌いて魅せる。自然とそんな特撮っぽい戦い方になります。
ゲームではなく特撮の再現を目指していることがわかります。
ウルトラマンには体力ゲージがありません。
一定時間後に攻撃を受けるとカラータイマーが点滅し、その後時間切れで敗北になります。
また、タイマー点滅前は必殺技ゲージが全然溜まらない。
相手には体力ゲージがあるけど、タイマー点滅後に撃てるスペシウム光線だけゴッソリ減る仕様です。通常技や低レベル必殺技では全然減りません。
つまり、タイマー点滅するまでの行動は勝敗に直結しない。
クリアするだけならさっさとタイマーを点滅させた方が早い。
格ゲーとしては本末転倒だけど、ここまで割り切った仕様だと気持ちいいです。
普通の格ゲーのように強い立ち回りとか考えなくても良い。やりたいようにやればいい。そんな感じ。
ファンがうなる原作再現演出が色々あります。
・角などの部位破壊
・体位、相手にによって投げ技が変化
スカイドンを投げると重すぎて押しつぶされるとか。
・ストーリー進行に合わせてウルトラマンがA,B,Cタイプに切り替わる
知らなきゃ気づかない程度に体型や体つきが違います。
このようにアクション性やゲーム性を削って特撮のフィーリングにとことんこだわった、特撮好きをターゲットにした作品です。
いわばオタクによるオタクのためのゲーム。
まるで、初代ウルトラマンオタクがオタク友達のために作ったゲーム。
仮に僕が経営者なら開発にゴーサインを出しにくい。
一方に万人受けするFEシリーズがあるから作れた作品といえます。
ストーリーモードでは、
・基地から発進して現場に向かう戦闘機(ビートル)
・逃げ惑う人々と逆行して怪獣の元へ向かうハヤタ
などミニチュア劇を再現。
たまに戦闘機や人間を操作するミニゲームが入るけど、失敗もなければ対戦にも無関係。雰囲気を味わうのみ。
とことん割り切ったゲームです。
モードの水増しが目立つ
隠しモードの数が多いので「やり込み要素満載か!?」と思わせて、水増しがエグいです。
実際はストーリーモードとサバイバルモードの2択。
中身にとことんこだわった結果、ボリューム不足です。
それを怪獣の小出しやミニゲームで水増し。
全モードが隠し要素に絡むので、結局全部やることになります。
■全モード解放する方法
・ストーリーモードクリア→「怪獣殿下」モード解放
・怪獣殿下クリア→ストーリーに新ルート追加
・新ルートクリア→「怪獣墓場」モード解放
・怪獣墓場で全怪獣サーチ→「岩投げ」モード解放
・岩投げで5位以内に入ってから再起動→「帰ってきたウルトラマン」モード解放
・帰ってきたウルトラマンをクリア→「ウルトラ総進撃」モード解放
「怪獣天下」「ウルトラ総進撃」はリプレイ性があるけど、「怪獣墓場」「岩投げ」は隠しモード出現条件を満たしたら二度とやらないでしょう。
各モードの詳しい仕様は以下。
・怪獣墓場
主観視点で宇宙船に乗り、点在するポイント(設定資料)へ向かいます。
左右上下に動けるけど上下移動に意味なし。レーダーを見ながら前進するのみ。
設定資料集としては使いづらいし、ゲームとしては遊ぶに耐えない謎モード。
青いポイントが発見済、赤が未発見。
赤ポイントは自機の周りに出現するので、ぐるっと360°見渡して赤が出なければ全発見しています。
・怪獣天下
怪獣を操作して怪獣と連戦します。
最後の相手、ウルトラマンを倒せばクリア。
ウルトラマンの再現を目指したゲームなので、怪獣操作はオマケ程度です。
大半の怪獣は通常攻撃と必殺技1種。投げや受け無し。
通常技を繰り返すだけなので1体1回触るだけで満足しちゃいます。
僕はゴモラが気に入りました。尻尾のリーチで圧倒!
・岩投げ
レッドキングが岩を投げる!
砲丸投げっぽく岩を投げて飛距離を競います。
助走の連打とかは必要ない、投げるタイミングの一点勝負。実際、操作説明を見ると「投げろ!」と書いてあるのみです。
踏切ギリで45°のタイミングがベスト。
特殊エフェクトが出れば980m超えます。
・帰ってきたウルトラマン
ストーリーモードのような凝った演出は無し。
帰ってきたマンを使って連戦するだけ。
ナックル星人&ブラックキングと戦う、最終戦の2対1が厳しいです。
相手を倒すチャンスはタイマー点滅後なので、とにかく時間が足りない。少しでも手間取ると詰み。
・ウルトラ総進撃
ウルトラマン使用でサバイバル。
ウルトラマンは初代ABCと、帰ってきたマンだけ。実質2択です。
タイマーの制限時間を引き継ぐので、勝ち抜き数には限界があります。
まとめ:大人の癒やし
「こんなにターゲットを絞って割り切ったゲームが出せるなんて、当時は会社に余裕があったんだな~」
としみじみ感じました。
FEシリーズのようにはガツガツ遊べないけど、なんか動かしてるだけで楽しい。このフィーリングには「癒やし」があります。
30半ば過ぎた今だから楽しめる。
10代なら、たぶん楽しめなかった。
3時間も遊べばやることなくなります。
でもその3時間には価値があるし、やることなくなった後も触りたくなる。
大人の癒やしがある貴重なゲーム。
いつまでも手元に置いておきたい一本です。