あなたはこの作品をご存知ですか?
僕は最近まで知りませんでした。
ちなみに「超ドラゴンボール」で検索してもアニメ「ドラゴンボール超」の情報ばかり出てきます。
本作はそれほど知名度が低い。かつアニメのせいでタイトルが紛らわしい。
遊んでみると、意欲的なシステムを多数搭載した見どころある作品でした。
特に対人戦を遊べる環境がある方はハマるかと思います。
そこで、本作がどういうゲームなのか、遊んだ感想を踏まえてサクッと紹介します。
もくじ
超ドラゴンボールZとは、アーケード移植の格ゲー
超ドラゴンボールZは、家庭用に先行してアーケード版が稼働しています。つまりゲーセン移植のガチ格ゲー。
開発スタッフはストリートファイターシリーズでおなじみの船水紀孝・西谷亮氏ということで、見た目は完全3Dだけど2D格ゲーっぽいフィーリングです。
Z1~3・スパーキングのはっちゃけた作風とは違う、PS2ドラゴンボールゲームの中でも異色な100円を入れて真面目に戦う感じの作品に仕上がっています。
超ドラゴンボールZの特徴
システム・ゲーム性
攻撃は弱・強の2ボタン。組み合わせでコンボが出ます。
気弾などの固有技は昔ながらのコマンド入力。
例えば、かめはめ波=波動拳。
一方でガード・ジャンプがボタン操作なのは少々とっつきにくいです。
・舞空術
舞空術の仕様が独特。高度により「縦」の駆け引きを生む仕様です。
操作は、ジャンプ中にもう一度ジャンプを押すと浮く。
このホバーみたいな動きは、舞空術の自由に空を飛び回るイメージとかけ離れています。不自然だし、なんだか地味。
タイトルに「Z」を冠してセル編までカバーしているからギャップで余計に地味に感じます。
例えばピッコロ編までならこの地味な舞空術でも違和感は無かったでしょう。
でもPセルや魔人ベジータ達がこの小さなスケールで飛んだり降りたりすると違和感があります。
ホバー移動と通常ジャンプを使い分ける操作が慣れるまでややこしいのも引っかかるところ。
結局、僕は慣れることができなくてもう地上だけで戦いたくなりました。
・気弾
ホバー舞空術の「縦」と、軸移動の「横」を組み合わせた立体的な動きが可能です。
立体的な動きで避けられる分、気弾の速度・連射力がやたら強い。
気を抜くと遠距離でも気弾でボコボコにされます。
僕には対戦相手がいないので、ガチ対戦した場合にどんな感じになるのかわかりません。
ネット上の対戦動画を見ると、上級者はスパーキングシリーズ並のハイスピードバトルを繰り広げています。上達による伸びしろはありそう。
ただガチ対戦だと気弾や舞空術の読みあいなどの共通システムが戦いの主役になっており、キャラの個性が出ていないように見えました。
カスタム要素
アーケード版は「バーチャ4」「鉄拳5」で既に定着していたカードシステムを搭載。
家庭用はさらにキャラ性能までカスタムできるようになりました。
対戦を重ねて経験値を貯めるかドラゴンボールを集めると、スキル・技の追加、攻撃力アップなどのカスタムができます。
カスタムは分岐で枝分かれするツリー状。
分岐の取捨選択により同キャラでも差が出るし、「強力なスキル全部乗せ万能キャラ」にならないのが面白いところ。
カスタムした自キャラの戦闘力に応じて相手も強くなります。
たまにスカウターがぶっ壊れるボスっぽい敵が出てきてビビる。
ちなみに戦闘力=ステータスで、CPUの強さは固定です。
グラフィックの原作再現度
グラフィックの原作再現度はPS2・DBゲーの中で一番。
キャラは「Z3」に比べるとテカり控えめ。
マットな質感と落ち着いた色味でコピックイラストの味が出ています。
背景にはハッチング(線を重ねて質感を出す表現)のディティールが入り、遠景まで緻密に描画。
地形に攻撃が当たると木は倒れ、建物は崩れる。
その崩れた断面もしっかりハッチング処理されているこだわりよう。
意外とステージが広いのも面白いところ。
天下一武道会の会場は、外壁が次々と壊れて戦いの舞台がどんどん外へ広がっていきます。
このようにグラフィックの出来は良い。でも当時は受けがイマイチだったようです。
思うに、当時はテカテカに立体感を出すほど「ゴージャスになった」と受け取られる風潮なのでアナログ画を再現したマットな画作りは地味に見えたのではないかと。
本作発売から14年経ち、最近のアニメやゲームではマットな質感が主流になりました。
テカテカで立体感を強調した画は「ゼノバース2」がピーク。
映画では「超ブロリー」、ゲームなら「ファイターズ」「カカロット」は衣服にハイライトが無い、テカテカを抑えたマットな画作りです。
そんな今だからこそ、本作のグラフィックは再評価されるべきだと思います。
もったいない点
なんだか地味
2D格ゲーに近いので普通に遊べる。面白い。
とはいえ、DBゲーとしては「地味」な印象を受けます。
やはりPセルや魔人ベジータ達が普通に2D格ゲーすると「なんだかなぁ~」って感じ。
当時のゲーマーは「Z1」~「Z3」ではっちゃけたゲームに慣れたため、真面目な作りの本作は賛否両論。
というか主に否が多くて中古の値段はすぐガタ落ち、アーケード版でも受けは悪かったらしい。
2006年6月29日、「スパーキング」~「スパーキングネオ」の間という発売時期もマイナスに働きました。
スパーキングシリーズの合間に真面目な格ゲーを出されたら、そりゃ戸惑います。
僕も最近遊んだスパーキングシリーズに慣れてしまったので、本作は地味に感じました。
対戦ツールとして割り切った作りなので、キャラゲーとして物足りないのも地味な要因。
キャラはアーケード版から3人増えて18人。
格ゲーとしては十分な数だけど「Z3」の38体から半減なのでキャラゲーとして見ると寂しい気がします。
ストーリーモードが無いのもツラいところ。
一応セルゲームを目指しているようですが、あらすじ的な演出は何もありません。
ラスボス・セルを倒すと、セルが負け惜しみ台詞を吐いて自爆する後味の悪いエンディングになります。なんだこれ。
グラフィック
「グラフィックが良い。再評価すべき」と言いました。
しかしグラフィックにも気になる点があります。
キャラ・背景は原作再現のこだわりを感じるのに、気弾エフェクトがテキトー。
かめはめ波やギャリック砲のこれじゃない感。
半透明の何かが飛ぶだけです。気弾エフェクトにこだわりの原作再現は一切無し。
また本作は全体的にヒット感がショボく、中でも気弾は異様に手応えがありません。まるで水鉄砲。
立ち回りの上でも気弾は重要なので、気弾表現の見た目・手応えが物足りないのはもったいないです。
補足すると、エフェクトに見応えがなく使い回しが目立つのは本作に限ったことではありません。PS2ドラゴンボールゲーム共通の難点です。
本作は爆発や煙エフェクトがアニメ調で凝っているだけマシといえます。
まとめ:クソゲーではない!対人戦を楽しむ地味ゲー
キャラゲーとしてボリュームが薄く、他PS2・DBゲーと比べて全体的に地味。
1人で遊ぶと「Z3やスパーキングシリーズの方が派手で楽しい」って感想になりがちです。
でも決してクソゲーではありません。
本作ならではの戦闘システムやグラフィックには堅実な作り込みを感じます。
対戦相手がいる方はその作り込みを存分に楽しめるはず。対人戦を楽しむ地味ゲー、いや「するめゲー」。
原作を忠実再現したグラフィックの素晴らしさは1人で遊んでも味わえます。
僕としてはこの画作りを体験できただけで満足。199円で買ったかいがありました。