新機動戦記ガンダムW ENDLESS DUELってどんなゲーム?
ガンダムWの傑作2D格ゲー
新機動戦記ガンダムW ENDLESS DUELとは、当時放送中のアニメ「新機動戦記ガンダムW」をモチーフにした2D格闘ゲームです。1996/3/29発売。
放送中のアニメを題材にしたキャラゲーという時点で、出来が怪しい。ハズれの臭いがします。
でも本作は、キャラゲーの域を超えた傑作です。
そもそもSFCの格ゲーでスト2以外の良作が思い浮びません。
スト2のおこぼれをもらったキャラゲーが多いイメージです。
・SFC時代は格ゲー全盛期より少し古い
・SFCのグラフィック性能では当時のアーケードゲームが移植できない
よってストZERO(ムリヤリ劣化移植はアリ)、ヴァンパイア、VSシリーズ、kofなど、2D格ゲーが一番おいしい時代のラインナップが抜けています。
開発はナツメ。
「ガンダムバトルマスター」でキャラゲーの域を超えた、もはやガンダムとか関係ない圧倒的な表現を見せつけたあのナツメです。
その片鱗はSFC時代から現れており、本作も「キャラゲーだから」という甘えを一切許しません。
丹念に描かれたガンダム達がスーファミの限界まで大暴れします。
SFC最高峰のグラフィック
グラフィックは、スーファミ末期ということもありSFC最高峰。
豪華なドット絵が、機体のギミックを活かしてガシガシと動きます。
ビームサーベルで斬るだけでなくガトリングガンの砲身やシールドで殴るなど、どの機体も特徴的な格闘モーションを持ちます。
プレイする前は、
格闘メインの「Gガン」ならともかく、美形キャラがバスター
と思っていました。
でもこの人(ガンダム)達は原作でもみんな敵陣に突撃するタイプなので意外と格ゲーと相性が良い。
当時のアーケードゲームにも引けを取らないグラフィックに、SFCの潜在能力を感じられます。
良質なフィーリング
私は2D格ゲーが好きで、下手ながら今まで色々やってきました。
一番好きなのは「ヴァンパイアハンター」。
そんな私が触ってすぐわかる良質なフィーリング。
格ゲーでフィーリングは重要です。
出来の悪い格ゲーは触った時点でなんかしっくりこないもの。
違和感なく軽快に動かせる時点で良作といえます。
超必真空(コマンド)もスムーズに出ます。
この時代の格ゲーってヤワな入力では真空コマンドはおろか波動コマンドすら入らないことが多いんですよ。
だから技が出るだけで「おおっ、これは遊べる!」と嬉しくなります。
簡単操作で色んな攻撃を出せるのも嬉しい。
空中ガード、空中投げ、投げ抜け、通常技をつなぐチェーンコンボ、キャンセル必殺技といった、「ヴァンパイア」「X-men cota」で一般的になったシステムを取り入れています。
ボタン連打でも攻撃がつながり、それっぽい戦いができるので楽しいです。
通常技は4種類。
・格闘攻撃の弱・強
・武器攻撃の弱・強
それぞれコントローラーの4ボタンに対応。
テキトーに押してもチェーンコンボになります。
必殺技はほぼ共通コマンド。
スト2でおなじみの、波動拳、昇龍拳、竜巻の3パターンで出せます。
ド派手な超必殺技も搭載。
豊富な移動システムも特徴的。
地上ダッシュ、空中ダッシュ、ブーストジャンプ、2段ジャンプ、ホバリング。
格ゲーとしては斬新な、ガードしながら接近&離脱できる「ガードダッシュ」も装備。
これら豊富な移動手段を使いこなせば、プレイヤーの操作テクを反映した多彩な動きができます。
空中での方向転換や、落下速度を遅くするのは人間キャラでは不可能な動き。(ダルシムのような例外あり)
メカならではの機動が面白いです。
アーケードゲームの最先端システムを盛り込み、良質なフィーリングでメカらしい動きが楽しめる。
こんな2Dガンダム格ゲーは本作と「ガンダムバトルマスター」だけ!
その他
ウイングゼロがぁ! 画面端ぃっ! スライディング!まだ入るぅ!!
困ったらとにかく足元狙ってスライディング連打!
やってる側は爽快です。やられる側はたまったもんじゃない。
見た目はかっこ悪いけど気にしない。
大足→ダッシュ大足が間に合うぐらいダウン追い打ちの猶予が長く、受け身がないから回避不能。
よってダウン追い討ちがしつこいぐらい入ります。
しかもダメージ補正がほとんど無いのでめっちゃ減る。
ダウン中だからとガードを忘れると、延々と追撃を食らってそのままKOされることも。
ダウン追撃がしつこく入るのは「ガンダム・ザ・バトルマスター」も同様です。
ハイゴックの大足でゴリゴリ削る爽快感は今も忘れられません。
必殺技ゲージにあたる、エネルギーゲージがあります。(体力バーの下)
試合開始時、最大値(300)溜まった状態。
強必殺技で100、超必殺技で200消費。
攻撃をガードするとゴリゴリ溜まります。超必をガードすると超必分溜まることも。
ラウンドをまたいでもゲージは回復しないので使い所が重要です。
登場機体はガンダム5機(前期)、トールギス、ヴァイエイト、メリクリウス、ウイングゼロ、エピオンの計10機。
後継機が出ないのは少々寂しいけど、1機がこの作り込みだから仕方ない。
ストーリー演出は潔くカット。
対戦に特化した男前すぎる仕様です。
キャラのセリフは勝利時とエンディングのみ。対戦前、敗北時セリフすらありません。
それだけ割り切って格ゲー部分を作り込んでいます。
原作を彷彿とさせるのはオープニングデモのみ。
オープニングとタイトル画面のBGMは、アニメ後期主題歌「RHYTHM EMOTION」アレンジ。
SFC音源で聞くと新鮮に感じます。
本作とは関係ないけど、前期の「JUST COMMUNICATION」も名曲ですよね。
イントロの「テテテテッ・テッテテッテテッ」が印象的。
スパロボの曲もだいたいこっち。スパロボFでガンダムを知った自分としては、ガンダムWといえばこのイントロが思い浮かびます。
対戦相手がいないので、詳しいゲームバランスとか強キャラについてはわかりません。
1人で遊ぶと20分かからずクリア可能。
10機で遊べば3時間は遊べる計算。
とはいえ、1人プレイだと3機ぐらいでお腹いっぱいになります。
やっぱり格ゲーは人と対戦してナンボですな。
後半のCPUはお手本のような格好いいキャンセルコンボを決めてくるので、歯ごたえがある熱い対戦を楽しめます。
ただ、ストーリーモード最後のエピオンが強すぎる。
接近戦特化で遠距離武器を装備しない機体コンセプトが、格ゲーの本作ではメリットしか無い。
弾を撃ったら空中に飛んで変形直角ターンの変態機動からカウンター食らったり、接近戦からおもむろにキャンセル超必で半分減らされたり。
ダウン中はひたすらヒートロッド乱舞で追いうちされます。
「Xmen-cota」マグニート様を彷彿とさせる超性能です。
機体が強い上にCPUが容赦ない反応なのでどうしようもない。
ガンダムシリーズのラスボスの中でもエピオンってあんまり強いイメージないけどなぁー。
スパロボとか他ガンダムゲーでも使いづらい印象。敵側でも存在感が薄い。
本作はエピオンが最も輝くゲームです。
スタッフロールの背景はなぜか壊れたエピオン。最後まで謎のエピオン押し。
まとめ
グラフィック、操作性ともにSFC最高峰。
ガンダムゲーの域を超えた2D格ゲーの傑作です。
軽快に動けて簡単に技やコンボが出せるので今遊んでも楽しい。
豪華なドット絵は、「ガンダム・ザ・バトルマスター」のパーツ分けされたグラフィックとも違う見応えがあります。
こんな傑作なのにスーファミ末期なので知名度は低い。
格ゲー好きの私も、最近まで存在を知りませんでした。
発売当時に本作を持っていたら地元の友達と熱い対戦を楽しめただろうな…無念です。
とりあえずガシガシ動かしてるだけも楽しいので、ガンダム好きや2D格ゲー好きの方にオススメ。