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前作:ゴジラvsキングギドラ
次作:ゴジラvsメカゴジラ
もくじ
平成シリーズ最大のヒット作!しかしその出来は…
■あらすじ
小笠原沖に隕石が落下し、海底に眠るゴジラが目覚めた。
一方、南洋のインファント島では大きな嵐が起き、巨大な物体が姿を現す。
インファント島を所有・開発していた「丸友観光」は巨大な物体の調査のため、 社長秘書の安東、役人の手塚雅子、手塚の元夫でトレジャーハンター藤戸拓也の3名を派遣。
現地で彼らはモスラの卵と、コスモス(小美人)と遭遇する。
3人はコスモスから「モスラとバトラ」の話を聞くが、社長の指示でモスラの卵を日本に運ぶことになった。
しかし、モスラの輸送船にゴジラが襲いかかる。その時、卵からモスラが誕生。
北極で目覚めたバトラもゴジラの元に向かっていた。
公開:1992/12/12
「ゴジラvsモスラ」は平成シリーズ最大のヒット作です。
観客動員数420万人。これは「シン・ゴジラ」(550万人)が更新するまで平成ゴジラ作品でずっと1位でした。
しかしその出来は…
結論からいうとあまり好きではない作品です。
家族&怪獣の仲直り、環境問題など家族向けの内容。
僕のような30代独身男性が観てもあまり楽しめません。
新怪獣バトラが登場します。
バトラは戦闘に特化したモスラ=バトルモスラ。
地球は生命体であり、その生命を脅かす人間を倒すため地球が生み出されました。
つまりバトラは地球の意思。
地球の先住民(コスモス)は、気象コントロール装置を開発し気象を操ろうとしたことで地球生命の怒りを買いバトラに滅ぼされました。
環境破壊を繰り返す人類は今、それと同じ道をたどっているというのです。
小美人のクオリティは平成シリーズの2人がダントツですね。
ゴジラシリーズの小美人は以下の三代。
・昭和:伊藤エミ、伊藤ユミ(ザ・ピーナッツ)
・平成シリーズ:大沢さやか、今村恵子
・ミレニアム:大塚ちひろ、長澤まさみ
この中でも平成シリーズの大沢さやか&今村恵子コンビが、一番神秘的な雰囲気が出てると思います。歌声も綺麗。
押し付けがましい環境問題メッセージ
押し付けがましい環境問題メッセージがとにかく鼻につきます。
「たしかに隕石は引き金になった。しかし危険な弾をこめていたのはむしろ私達人間なんだ」
「森林が守っていた島を人間がこうしてしまったのよ。今に私達が住んでるとこだって…」
など台詞がいちいちクドい。
環境問題を描くなら「対ヘドラ」ぐらい振り切ってほしいです。
さらに、ラストシーンによってバトラが目覚めたきっかけが、
・人類の環境破壊
・隕石(スペースゴジラ?)の危機
のどちらなのかわからなくなってしまいました。
ハムの人達のやってることがめちゃくちゃ
主人公達のやってることがめちゃくちゃ。
主人公の藤戸(別所哲也)には
「お前のせいで大損害、たぶん多数の死者が出てるのに平気なのか?」
と疑問を感じます。
ハムの人が盗んだ小美人を追ってモスラが都市を破壊!
モスラ幼虫がすぐそこまで迫ってるのに普通に車走ってるし全然避難が間に合っていません。この破壊規模は数万人クラスで死傷者が出ているはず。
金目当てでこの破壊を引き起こした主人公はゴジラ映画史上でも屈指の最低野郎じゃないですか。
なのに、ハムの人はお咎めなしでその後夫婦は仲直りってそんなバカな。
「パパ、ママにコスモスさんを返してあげて」
「見損なったわ」
「パパ、私泥棒さんの子供なんて嫌よ」
こんなやりとりで済む話か?
これだけのことをやっておいて、コスモスさんを返したら無罪?
しかもその後、帰る幼虫モスラを自衛隊が攻撃し、
「やめろー!まだ中に人がいるんだぞ!」と攻撃する自衛隊の方が悪い感じになってるのがこれまた。
社畜の安東(村田雄浩)も小美人を盗むクズだし、もうどうしようもない。
ちなみに村田雄浩さんは本作で、第16回日本アカデミー賞をはじめ多数の助演男優賞を受賞されています。
そんなに活躍してたかな…
助けてもらうためにモスラ幼虫を呼んで結果的に街を破壊するコスモスもたいがいです。理由はどうあれ、犠牲になった人は浮かばれない。
バトラ&モスラとゴジラが激闘を繰り広げる中、ゴジラの心配をしている三枝未希も謎。
この人達に比べると「壊せ!もっと壊せ!この街は俺が作り直す!」と言動が狂気じみている丸友社長(大竹まこと)の方が人間としてリアリティがあります。最も感情移入できるのはこの人。
バトラは成虫になって弱体化?
怪獣バトルでは幼虫バトラの強さが目立ちます。
幼虫モスラと比べ物にならない体格。幼虫の時点でゴジラよりデカい!
幼虫モスラを一撃で吹っ飛ばし、ゴジラと戦っても互角。
(光線が減衰する海底だから互角に戦えたらしい)
海底プレートに飲み込まれるのですが、マントルの中を進めるゴジラはともかく幼虫バトラも平気でした。
「コイツが成虫になったらどんだけ強いんだよ」と期待が膨らみます。
しかし成虫の強さはモスラ並でガッカリ。
成虫モスラもバトラのようなビームを出すから余計に強さが薄れます。せめて違うタイプのエフェクトにしてほしかった。
「ゴジラを倒すために今は力を合わせよう」的な感じでコミュニケーション。
すぐ和解してモスラを助け、最期にはモスラに使命を託すバトラ。
「モスラとバトラはわかりあえたから、人間同士もわかりあえる」
みたいなメッセージを入れたいのでバトラ無双するわけにはいかないのですが、これではバトル特化モスラに見えません。
観覧車(コスモクロック21)をゴジラにぶつけるのがバトラ最大の見せ場。
しかしいくらデカくても観覧車は鉄骨ですから、ぶつけられてそんなにダメージ食らうかなと疑問ではあります。
相手は崩れた横浜ランドマークタワーを背中に食らっても平気だったゴジラですよ。
バトラは仰向け状態で持っているゴジラの熱線が直撃し力尽きます。
うつ伏せにして持つべきだった!
ところで、地球生命を脅かす人間を倒す存在がバトラなら、ゴジラはどういう立ち位置なんでしょうね。2体の目的被ってるから戦う意味なくね?
地球生命にとってもゴジラはイレギュラーでヤバい奴ってことなのでしょうか。
オマケ:細かすぎて伝わらない見どころ
・ゴジラ登場時のシリーズ屈指のゴリ押し説明。
「(前略)マントルの流れを通って再び富士山の真ん前へ」
「そんなバカな!1500℃もあるマントルの中を進むなんてどうやって!」
「奴は我々の常識を超えた生物だ」
マントルの中を進んで、なおかつ富士山へピンポイントに出現するというぶっとんだ方法で登場するゴジラ。
深沢博士の相方が「そんなバカな!」と言うのもわかります。
ちなみに深沢博士を演じているのは篠田三郎さん。
ウルトラマンタロウの主人公、東光太郎です。
やっぱりイケメンは何歳になってもイケメンですね。
「vsデストロイア」の国連G対策センター2代目長官、国友満役でも登場します。
・戦車隊隊長(渡辺哲)
「隊長!ゴジラが出現しました!」
「なにぃー!」
まとめ
総じて、
・押し付けがましいメッセージ
・都合よすぎる展開
が気になるのであまり好きではない作品です。