ゴジラ

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃【感想/評価】最凶!白目GMKゴジラ

投稿日:2019-08-06 更新日:







平成ガメラの金子修介監督が撮ったゴジラ

■あらすじ

1954年のゴジラ襲撃から半世紀。

グアム島沖で消息を絶った原潜を救助するため派遣された特殊潜航艇「さつま」の乗組員は、青白く光りながら移動する背びれを目撃する。

一方、新潟の妙高山、鹿児島の池田湖で若者が怪死する事件が起こっていた。

テレビ番組のリポーターである立花由里は、その場所が「護国聖獣」伝説と一致していることに気づき、研究者の伊佐山教授に会いにいく。

伊佐山教授は「ゴジラは太平洋戦争で死んだ人々の怨念の集合体であり、それが今再び復活して日本に襲い掛かろうとしている」と話す。
そして「ゴジラから国を守るために護国聖獣が復活しようとしている」と言う。

小笠原諸島・孫の手島を壊滅状態にしたゴジラは、静岡県・焼津港へ上陸し東京を目指していた。
そこへ護国聖獣の1体・バラゴンが現れ箱根でゴジラに挑む。

 

監督は平成ガメラ3部作の金子修介。

以前からゴジラ映画の監督への登用を打診していた金子監督の念願叶った作品。
従来シリーズと違い、金子監督は企画段階から参加しているとのこと。

結果、他のミレニアムシリーズとは全くの別物に仕上がっています。

オープニングのスタッフロールが「三大怪獣 地球最大の決戦」風で懐かしい。
監督はやっぱりゴジラが好きなんだなーと。

 

ガメラ版小美人といえそうな2人も登場。

スタッフの人選や配役も金子監督に委ねられているので、平成ガメラ3部作やその他の金子作品に携わっていた人物が多い。
そのためゴジラシリーズでおなじみの役者がメインからハブられています(笑

音楽は平成ガメラを担当した大谷幸。
バリバリと大迫力な曲は伊福部音楽に負けず劣らず並に耳に残ります。

 

とにかく最凶のゴジラが最後まで無双するのが本作の特徴。
さらに

・DQN殺される
・自衛隊員が為す術なく殺される
・怪獣3体も手も足も出ず殺される

こういった描写により、スプラッターホラーのような不謹慎とも思える爽快さがあります。
好き嫌いが分かれる部分でもありますが、僕は「どんどんやれー!」と思う方なので好き。

・村長の車を取り囲む暴走族
・強盗したあげく「目撃者を消すんだよ」と犬を湖に沈めるヤンキー

コイツらがやられてく様は「ざまぁ」と言うしかありません。
特に犬を沈めようとした奴らは許せない!

 

観客動員数は240万人を記録。ミレニアムシリーズ中で最高の動員数となりました。
やっぱり面白い作品を作れば人が入るんですね。

「とっとこハム太郎」のことはあえて省略します。

 

最凶!白目GMKゴジラ

 

何を隠そう、わたくし実はGMKゴジラが大好きなんです。

・デカくてふてぶてしい顔に白目
・アンバランスなほど強靭な足腰
・狡猾な頭脳と凶悪な強さ

が最高にカッコイイ!

ただ強いだけならバーニングゴジラやFWゴジラでも良いですよ。
しかしGMKゴジラの強さ、劇中の演出はそれらとは全く異なるものです。

GMKゴジラは最強というより「最凶」のゴジラ。そこにシビれます。

 

造形が唯一無二。

本作のゴジラは徹底して感情移入を拒む恐怖の対象として描かれているため、生物的な親しみやすさは皆無。

横綱のようなどっしり感。アゴ周りの肉付きなど他には無いボリューム。
肉厚が半端じゃないのがひと目でわかります。着ぐるみの大きさは歴代最大なんだとか。

白目で不気味な顔と、アンバランスでどこかブサイクなシルエット。
ガニ股でノシノシと歩くブサイクなモーションなのに異様に速いのが恐い。

進撃の巨人みたいな何を考えてるかわからないキチガイ感があります。

こんなゴジラはかつて観たことがありません。

 

演出のインパクトも強烈。

熱線の使い方次第では原爆クラスの爆発を引き起こします。
そんな熱線を、スーパーから逃げてくる人だかりを見て「なんだこのババアうるせぇなぁ」みたいな顔で撃ちます。ヤバいですこのゴジラ。

一撃目でこのバースト熱線を見せるから印象に残るんですよね。
シン・ゴジラも最初の一撃で「内閣総辞職ビーム」を見せるからインパクトがあります。

 

バラゴンを見て「恐いけどなんか可愛い」とか言っちゃってる観光客の後ろにぬっと現れたゴジラ。土石流で皆殺し。

民宿で「殺しちゃかわいそうだよね。罪のない動物なのに」「保護して飼ってみたらどうかな?」
とワイワイ楽しそうに話す若者を踏みつけ、助かった(篠原ともえ)をまるでつけ回すようにトドメを刺しにいく。しかもそのやり方といったら…

 

今までは漠然と都市を破壊する神のような存在だったゴジラが、人間一人一人を執拗に憎悪する悪の化身となっています。
その雰囲気を一言で表現するなら「ブロリーゴジラ」。白目だし。

 

そんなGMKゴジラの強さを具体的に紹介すると、

まず、
・見るからに強靭なアゴと犬歯を活かした噛みつき
・アンバランスなほど強靭な足腰の蹴り・踏みつけ
・怪獣とは思えない体術を活かした投げ
は格闘戦で圧倒的な強さを誇ります。
さらに

・後ろに眼があるかのような尻尾攻撃でバラゴンを吹っ飛ばす
・モスラの不意打ちへカウンター熱線食らわす
・水中で発射されたミサイルに対してキングギドラを盾にする

という怪獣の域を超えた凄まじい戦闘センス。同じ手は二度と食らいません。

 

さらにさらに、GMKゴジラの熱線が超強力!

・作中の描写では射程の計測不能
・一瞬で防衛軍の90%を吹き飛ばす威力
・海上に展開する巡洋艦を街の中心部から撃ち抜く精度
・飛び回るモスラを追い回すためにしつこく熱線を吐き続けておりスタミナも底なし

 

防御面では「通常兵器による攻撃無効」という強力な特性つき。

では通常ではない攻撃に対してはどうかというと、
キングギドラの光線エネルギーを吸収して放射熱線のエネルギーに変換可能。
GMKゴジラに光線を使うと倍返しの熱線を食らって爆散するハメになります。

 

予算の限界があるのか特撮に平成シリーズほどの豪華さはありません。

大規模なセット破壊シーンはほぼ無し。最後は海で決着させるし。
しかし「見せ方を工夫すればこんなに面白くなるのか!」と感動するほど見ごたえがあります。

特にバラゴン戦は歴代屈指の熱さは必見。
時間が無い方は、もうここだけでも観てほしい。

「勝ち目ないよあれじゃあ…」と100人いれば99人がバラゴンを応援する内容。
バラゴンは地中から不意打ちを仕掛けたり崖上からジャンプしたりと工夫して頑張るのですがまるで通じない姿が泣けます。

その戦いの様子は、マスコミが乗ったヘリのカメラマンが「もう俺撮るのツラいっすよ」と言い出すほど。

 

ただ、キングギドラの描写は不満です。なんか首短くね?羽小さくね?
歴代で最もかっこ悪いキングギドラだと思います。もはやキングギドラに見えません。

登場時は首ふにゃふにゃで弱い、千年竜王になるとCG臭くてかっこ悪い。
「三大怪獣 地球最大の決戦」の伝統芸能みたいにクネクネ動きまくる首が懐かしいですよ。

そもそも、バラゴン、モスラまではわかるけどキングギドラが守り神といわれると「?」という気がします。
てかゴジラが引力光線を吸収できるって、相性最悪やないか。

 

オカルト要素強めなゴジラ=亡霊設定

オカルト風味が強め。
そういう味付けもガメラでは自然に観れましたが、ゴジラだとなんだか引っかかります。

 

立花泰三の台詞、
「太平洋に眠る英霊たちは日本を守るために戦って散った。それがなぜゴジラになって日本を攻める?」

はもっともな意見です。対する立花由里は

「犠牲になったアジアの人々とアメリカ人と原爆で死んだ日本人とそれがこう1つになったんじゃない?」

とテキトーすぎ(笑

 

太平洋戦争の怨念なら大半は日本人だし不敬な設定に感じます。

「太平洋戦争の怨念」というから話がおかしい。
世界には太平洋戦争を超える死者を出した戦い・虐殺が沢山あるわけで。
ゴジラが「怪獣」ではなく怨霊といわれると、この辺のご都合主義が気になってしまいます。

 

まあオカルトなのであまり考えすぎない方が良いのかもしれません。

 

ゴジラ映画史上最もスキップしたい人間ドラマ

怪獣バトルが面白いこともあり、人間ドラマパートがこれほど邪魔に感じるゴジラ映画も珍しい

「とにかく強いゴジラ撮りたいだけ」
「人間ドラマなんぞどうでもいい、どうぞスキップしてくれ」
と言わんばかり。

 

まず主役の親子2人が大根すぎ。
この2人は完全にビジュアルのみで選んでいますね。

立花由里(新山千春)が美しい。
このルックスにより、村長がウットリしたり同僚に「放送界のゴミ溜め、BSデジタルQに咲く清らかな一輪のユリ」といわれるのも説得力があります。

立花泰三(宇崎竜童)も完全に顔。顔だけです。

 

由里には終始イライラ。
死にに行ってるとしか思えないです。お父さんは仕事かもしれないけど、あんたは仕事の範囲超えてるでしょ。

しかも報道が人々に希望を与えたということもないため、いったい何のために命がけでリポートしていたのかわかりません。

 

最後は、映画を終わらせるためにゴジラを無理やり倒した感があります。

謎パワーで海に沈められるゴジラ。
これまで無双してきたゴジラにとっては納得いかない結末です。

潜水艇に由里の幻が現れるのは「ゼロ・グラビティ」の元ネタ…んなわけないか。

 

ゴジラ体内から生還はさすがにやりすぎ。超展開。

最後の「そこで止まれ。残留放射能を確認したい」は意味不明。
まず残留放射性物質の間違いだし、「近づいたら放射能が移る」的な誤解を与えます。

放射性物質なら潜水艇内にいた立花泰三より外にいた由里たちの方が多く被ってるはず。

 

ところで本作は、
「平和ボケする日本人を滑稽に描き、自衛隊を賛美している」
といわれがちですが、そうでもないです。

冒頭、立花泰三の講義で「平和憲法」と言ってるけど、軍人なら正しく「日本国憲法(9条)」と言ってほしい。

自衛隊は格好いいことを言うばかりで、全く活躍しません。
50年前のゴジラに対しても防衛軍は全くの無力でした。しかもその事実を隠しています。

怪獣との共闘はタイミングを逃して失敗し、凶悪な熱線で薙ぎ払われ一瞬で90%壊滅。
こんな戦力運用では防衛予算がいくらあっても足りない!

ゴジラ攻撃の指揮を執る三雲中将の無能っぷりも目立ちます。
ゴジラを「3分間で灰にしてやる!」と意気込むのですが、逆に3分かからず灰にされます。

「着弾角度を深く取り、第二波攻撃を続行!」「角度の問題じゃない!」

のくだりがバカすぎて好き。

 

まとめ

正直なところ、平成ガメラシリーズの金子監督ということで上がった期待値を超えることはありません。

ちょっと変化球な作風で拍子抜け。
バラゴン戦は面白いけど特撮はガメラ3を超えていないし、人間ドラマは全スキップしたい。

とはいえ、

「これこれ、こういうのが観たかった」
を久しぶりに観せてくれたゴジラ映画。

ミレニアム2作で溜まったうっぷんを晴らすには十分すぎる傑作です。

 

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