レースをガチでやり込むより、気ままに流して走りたい。
とはいえオープンワールドのレースゲーは色々やって飽き気味。
そんな中、目に止まった作品です。
地・海・空のマシンに乗れる上、シームレスに乗り替えるかつてないシステムを搭載。
話を聞くだけでは、遊び方が想像もつかない。
はたして、実際にプレイするとどんな体験になるのか。
結論をいうと、
「カジュアルに遊べば楽しい、ガチで遊べば苦行」でした。
もくじ
the crew2の特徴
地・海・空を制覇
the crew2とは、地・海・空のモータースポーツを統合したオープンワールドレースゲームです。
前作はバイクやバギーなど、様々なカテゴリーの乗り物で地上を制覇!
続編の本作では、なんと飛行機とボートを追加。
地上に加え、海・空を自由に走り回れるゲームになりました。
さらに画期的なシステムが、ワンボタンでシームレスにマシンが切り替わる「Fast Fav」。
例えば、
スーパーカーでドライブ中に飛行機に乗り換えて離陸、
山道のオフロードに着いたらバギーに替えて爆走、
海に着いたらボートに乗り換える。
そんな、ハチャメチャな遊び方ができます。
まるでモータースポーツ版トライアスロン。
乗り物は、
スーパーカー、F1、ジェットボート、バイク、モンスタートラック、ヘリ、プロペラ機など。
思いつく限りの原動機つき乗り物を詰め込んだ贅沢さ。
イベントの種類も豊富。色々ありすぎて、本作でやっていないモータースポーツが思いつきません。
レースゲームって、
「一般車で始まり、レースを繰り返してステップアップ、最後はスーパーカーのランボルギーニアヴェンタドールとか乗ってクリアして終わり」
みたいな、お決まりの流れで飽きがちです。
でも本作はそういう直線的な遊び方にはなりません。
「ストリートは疲れたから、バギーに乗ろう」「車は疲れたし、空飛ぼう」
って感じで好きなときに好きな乗り物に乗る。幅広い遊び方ができます。
イベントの種類は様々。
レース、スプリントはもちろん、
・道なき道を走破するラリー
・ポイントを競うアクロバット
・ライバルを全て破壊するデモリッションダービー
・点数を競うアスレチックコース
などなど。
地・海・空だけでなく、イベントの種類でも全モータースポーツを制覇しました。
ラリーの自由度が高すぎ!
特にバギーがハチャメチャ。
眼の前に信じられないような光景が広がります。
曲がりくねった道を無視して、ありえないルートでショートカット可能。
垂直にそそり立つ壁&崖、うっそうと生い茂る木、一面に広がる池、岩場。
何でもアリのコースを、何でもアリのルートで突っ切る。
狭いコースをギリギリのラインで走るラリーゲームとはまるで違う。
かつてない自由度でオフロードを走る体験ができます。
本作とは対極のラリー↓
水上にもラリーがあります。それがジェットスプリントボート。
沼地や洞窟、ラスベガスの水路といった狭い水辺もなんのその。陸地をショートカットして跳ね回ります。
オープンワールドはアメリカ全土
舞台はアメリカ全土。
西海岸から東海岸まで制覇しました。
ラスベガス、マンハッタン、グランドキャニオン、大規模農場など、アメリカを象徴する地域が登場します。
リアルサイズのアメリカ全土なので、とんでもないスケール。
飛行機で飛んでも端から端まで1時間近くかかります。
車で道なりに走るとリアルに丸1日。
広いだけでスカスカではなく、街は豪華で自然は綺麗です。
レースゲームにしては珍しく一般人がいるのも凄い。
量・質ともに最先端グラフィックを楽しめます。
ロードの早さも凄い。
この広大なマップをどうやって描き出しているのか謎なほど早い。
頻繁にファストトラベルを使うので、これは嬉しいです。
同じubisoftでも「ファークライ5」は遅かった。なぜこんなに差が出るんだろう↓
あえての簡単操作
ヒャッホー!
操作は簡単。
どの乗り物も、初見で直感的に動かせます。
1つ1つのカテゴリーが簡略化されているので、カテゴリー単体で見ると少し物足りない感はあります。
でも、これだけの要素を盛り込んでるので仕方ない。
というのも、全カテゴリーがガチだとプレイヤーもその数だけガチのプレイを求められてしまうから。
全部がガチ操作では、一部のコアゲーマーしか遊べないようなゲームになります。
また、序盤は広いコース&不自然なほど緩い難易度です。(ストリート以外)
プレイヤーが多数の要素に慣れる前につまずかないよう、配慮した調整だと思います。
ストリートだけは序盤から難易度高め。
後述する、コースの見づらさによる事故&ライバル車のインチキ補正が目立ちます。
AIが好戦的で、追突や横っ腹にミサイルアタックを食らってそのままコースアウトすることもあり理不尽。
しかもライバル車は壁に当たってもほとんど減速しない特別仕様。
強烈なスリップストリームで追いつきやすく、追いつかれやすい。
走りで勝負している気がしません。
走りのフィーリングもいまいち。
挙動が硬く、オフロードと差別化するためかグリップが不自然です。
車だけ楽しみたいならNFSシリーズの方がおすすめ↓
ストーリー進行の流れ
アバターは「見くびる者には実力でわからせる」人を選択しました。
最初にさらっとアバター(主人公)を選択します。
レース前やゲーム中によく映るのでアバターの容姿は意外と重要。でも途中変更不可。テキトーに選ぶと後悔します。
小難しいストーリーはありません。
アメリカ全土のレーサーがあらゆる分野で火花を散らす中、無名のアバターが活躍してフォロワーを増やすサクセスストーリー。
アバターだけ怪我上等のカジュアルな服装で笑う。
4種類のイベントに対応した、4つの拠点「ファミリー」があります。
ファミリーは、
・ストリートレーサー
・プロレーサー
・エキスパート
・フリースタイラー
の4つ。
ファミリーには趣味嗜好が同じメンバーが集まっており、それぞれ目的があります。
例えばストリートの目的は、無法地帯と化す公道レースを整備し合法レース化すること。
対応イベントをクリアするとファミリーの信頼度が上がり、より大きなイベントに挑めます。
主人公は全ファミリーに所属しています。
どのイベントから始めるか、どのファミリーと仲良くなるか、など進め方は自由。
1つのファミリーと仲良くなると他と険悪になる、みたいなことはありません。
これは一刻も早く合法レースにせねば!
ゴミ箱や電話ボックスの破壊はともかく、人をはねまくり。無法すぎます。
ちなみに、本作にパトカーは無し。カーチェイスも無し。
難点:ガチで遊べば苦行
オープンワールドが宝の持ち腐れ
せっかくの広大なオープンワールドだけど、実際はあまり楽しめません。
マップの探索要素は申し訳程度。
結局はファストトラベルでイベントまで移動し、同じようなレースの繰り返しです。
広大なマップを活かしたイベントが無いため、本作最大の売り「Fast Fav」を使う機会が少ないのも残念。
結果、アメリカ全土を再現したマップは宝の持ち腐れ状態です。
スポーツ感あふれるカラフルでオシャレなUIは見づらく、使い勝手がイマイチ。
BGMはダサい、ウザい。
かといってBGMを切るとさみしいし、困ります。
見通しの悪さが理不尽
初戦からどこを走ればいいのかわからない!
チュートリアルがわりのストリート初戦で、順路がわからず苦戦しました。
ストリートは分岐の連続、オフロードは道なき道をいきます。
対してプレイヤーに順路を伝えるシステムが以下のように心細すぎ。
・NFSシリーズのような、レース中の臨時ガードレールが無い。道路上のガイドラインすら無い
看板のようなガイドはあるけど、さり気なさすぎてレース中に反応できません。
・ミニマップのナビが薄ブルー色で見づらい
唯一の頼りがこんな薄ブルーでは、レース中の視認性を無視したオープンワールドを走るのはムリです。事故多発。
・救済機能の「コース復帰(LR同時押し)」が不安定
コース復帰のタイミングによっては勝手にショートカットしてくれたり、逆にとんでもなく前の地点に戻されたり、変な姿勢でスタートして全く復帰できなかったり。
つまり、ガイドする気がない。初見殺す気満々です。
特にストリートが厳しい。1ミスでそれまでの頑張りが一瞬で無に帰し、即リタイアにつながります。
10分以上かかる長いレースで、自分のせいと思えないような理不尽事故でトップから最下位に落ちるともうやってられません。
とにかく見通しが悪い。
初見でスムーズに走り切るのは至難の業です。
過剰な光源演出で先が見えなかったり、厄介なコーナーがたいていビルの日陰だったり。
ショートカットも見づらい。一方、ライバル車はショートカットを存分に利用します。
頑張ってコツコツ引き離しても、ショートカットで一気に差が詰まってしまう。
天候固定イベント以外はリトライするたび時間帯・天候が変わります。
夜、西日、霧、雨天など、何がどう変わってもプレイヤーに不利。
ヘッドライトが暗すぎ!
夜はブラインドアタックで頭文字D状態。
「そこにそれ置くか!?」と頭にくる、嫌がらせのように配置された障害物で気持ちよく走れません。
ラインを阻むように、いやらしい配置で立木やコンクリブロック、トラクターなどのオブジェクトが目の前に現れます。
わかっていても地形・マシンの判定がデカいので妙に引っかかる。
破壊不可オブジェクトは、全速力でぶつかっても微動だにしない驚異の耐久力。
ぶつかると瞬時に速度が0になります。
しかも、破壊可能・不可が判別できません。
道路上の支柱はなぎ倒せるけど、押せば折れそうな細木は不動。この納得感の無さ。
何度もリトライして、分岐から障害物までコースの端々を覚える。
死にゲーのような作業を強いられます。
難度アップで全カテゴリーが苦行化
沢山のカテゴリーを楽しめる反面、どのカテゴリー1つとっても「めちゃくちゃ面白い」と言えるものが無いです。
序盤こそ次から次に新要素が登場して楽しい。
でも「それなりに面白い」の連続で、次第にミニゲーム集をプレイしているような気分になります。
中盤以降は難易度がグングン上昇。
・広大なオープンワールドと豊富な乗り物カテゴリーの反面、イベント1つ1つの作りが粗い
・豊富なカテゴリーそれぞれ別の難しさなので、毎回しんどい
よって、難易度が上がるほど理不尽さを感じてストレスが溜まります。
オフロードは、コース上の木や岩の密度が尋常ではない。
茂みに隠れた木や、あらゆるラインを塞ぐ岩には泣かされます。繰り返し衝突してもうウンザリ。
「ちゃんとした道があるのにそんなルートを選ぶ方が悪い」と思われるかもしれません。
でも好きでこんな場所を走っているわけではないのです。
見通しが悪く、曲がりくねった道に合わせて走るのは非常に難しい。
道を走っていたはずが、気がつくと密林や岩石地帯に突入しています。その先どう転ぶかは運ゲー。
一言でいうと、グニャグニャ挙動の障害物競走。
クリアした後は二度とやりたくないです。
すぐスコアが切れて「まだ滑ってる途中でしょうが!」と頭にくるドリフトイベント。
・コンボの時間猶予がシビア
・挙動が不自然
ホバークラフトの摩擦係数イジっただけじゃね?
・接触判定が厳しすぎる
壁や支柱に当たった実感は無いのにコンボが途切れます。
総じて、ドリフト関係の仕様がユルいNFSシリーズの方が爽快です。
モンスターカーやホバーの挙動を楽しめる人は少ないと思います。
楽しめる人は正直、変態だと思います。
飛行機を使うエアレースは、機体の角度を合わせてゲートを通過する形式。
運転免許試験を思い出しました。
ヨー、ロール、ピッチなど本格的な操作を駆使する操作自体が難しいのに、ゲート判定は地上より厳しいのでツラい。
こんな堅苦しい苦行ではなく、レースがしたいです。
実はスーパーカーより遅いのでスピード感がありません。
ボートはコースレイアウトが単調。マシンパワーだけがものを言います。
トリム操作でレバーをずっと下に入れるだけ。指が疲れるだけ。
せっかく配置されているジャンプ台は、使うほどタイムロス。
バイクはしなやかで不自然な動き。まるでコンニャク。
コーナリング中、なぜか視点が正面から動きません。
壁を見ながら真横に走る、悪い意味で未体験のフィーリング。
ドラッグレースは操作説明が皆無。いきなり謎ゲームが始まります。
エンジンの「吹かし」を失敗したら走る前に勝負あり。
レースによっては推奨スペックを大きく上回るマシンでほぼベストを出しても勝てません。
ハイパーカーレースは、まずマシンの値段が高すぎて買えないのがツラい。
スピード域が高いハイスペック車ほど見通しの悪さが致命的です。
しかも、ハイパーカーレースはなぜか路上ガイドが撤去されるので頼りはミニマップだけ。
こんなの初見で走るのはムリ。
しかも長期戦。30分以上かかるイベントもあります。
これが終盤の1ミスで即リトライ。それまでの苦労が水の泡。
一回30分かかるのに運ゲーで何度もリトライを強いられます。
ここまでくるとアメリカ全土とかFast Favなんてどーでも良くなります。
そんな要素は微塵も楽しめません。昔の洋ゲーを彷彿とさせる、ただの鬼畜レースゲーです。
貧乏生活→課金・DLCに誘導
まさか無料で貰った初期マシンを最後まで使うことになるとは…
派手でカジュアルなイメージとかけ離れた貧乏生活。各カテゴリー1台買うだけで精一杯です。
「NFSペイバック」も複数カテゴリーごとにマシンが必要なのが金欠要因でした。
ペイバックよりカテゴリー数が多い本作はさらに厳しい金欠。
自分の場合、カテゴリー別のマシンを買い足すだけの日々で、イベント150勝しても好きなマシンを1台も買えませんでした。
「金が無い→車が買えない→イベントが出ない→達成率が増えない」でゲームが進行できないのもツラい。
イベントで金を稼ごうにも、
・後半コースの方が難しく、かかる時間も2倍近いにも関わらず報酬は前半コースと同じ
・難易度を上げるとケタ違いに難しいのに報酬はたったの2~3割増
・初クリアと二度目以降の報酬は同じ
上記の仕様により、コースが短い&安定して勝てる序盤イベントや、短時間で終わるドリフトやドラッグレースを回すのが効率的です。
まるでRPGのザコ狩りのような作業でダルい。
やはりアメリカ全土とかFast Favなんてどーでも良くなります。
唯一の近道は課金・DLC。
課金へ誘導している感があります。
チューニングが進まない
チューニングはガチャ仕様。
レース後、チューニングパーツがランダムドロップします。
資金でパーツを買えません。
「NFSペイバック」といい、最近はこういうのが主流なの?※
※
MMORPGの車版、通称「MMO Car-PG」と言うらしい。
「20時間そこらで好きな車が使えると思うなよ!」仕様。
イベントで乗ったカテゴリーのパーツがドロップするので、カテゴリーごとに勝つ必要があります。
「勝てない→パーツが入手できない→勝てない」のループを抜け出すために、資金稼ぎと同じく短時間で安定するイベントを回すことになります。
チューニング画面は色々弄れるように見えるけど、各パーツの一番優秀なものを選ぶだけ。
自分好みにチューンする楽しさが無いです。
にも関わらず、パーツを入手するたびチューン画面を出して選ぶ必要があり面倒。もう自動でやってほしい。
不要パーツは売却不可。削除するのみ。
せっかくイベントをクリアしても、良いパーツが出ないと無意味です。
苦労してチューンしても、性能が活きないイベントが多くて萎えます。アスレチックとか。
チューン必須なレース系イベントでも、結局はスピード補正つきライバル車と接戦になりミサイルアタック&障害物で1ミス即リタイア。
この理不尽の前ではマシン性能など吹っ飛ぶのでチューン効果を実感しづらい。
ただ総合性能を合格ラインに合せるのが目的で、ガチャは面倒、パーツ選択も面倒。
チューニングの楽しみが薄いです。
まとめ:マップと乗り物は用意した。あとは勝手にやれ
陸・海・空のモータースポーツ全部盛りとオープンワールドの融合は新鮮。
アメリカ全土を舞台に、20カテゴリーの乗り物で走りまくる。かつてないほど豪華なレースゲーム。
簡単操作のオモチャ感覚でカジュアルに遊べます。
しかし、全イベントや全難易度クリアを目指してガチで遊ぶと苦行。
・進行するだけならオープンワールドの意味がない
ファストトラベル→イベントの繰り返し。
・「Fast Fav」を活かしたイベントが無い
・イベントごとの作りが粗い
特にレース系が理不尽で、極めつけがハイパーカーレース。
・課金に誘導する金欠&ガチャ仕様で「車を買う・強化する」楽しみが無い
よってカジュアルに遊べば楽しい、ガチで遊べば苦行です。
遊び始めた頃は凄いゲームを手に入れた喜びがあるけど、プレイするほどテンションが下がる。
ようするに「マップと乗り物は用意した。あとは勝手にやれ」と、ガワを作って中身を放り投げた作品です。
とりあえず最新のゲームを体験したい。
または、レースを早々に切り上げて広大なアメリカ大陸をのんびりドライブできる方におすすめ。
ちゃんとレースを楽しみたい場合はこちら↓