前作のたった半年後に発売された続編。前作でぶん投げられた謎が明らかになります。
なるべくネタバレ無しの方向で本作の魅力を紹介します。
アバタール・チューナー2ってどんなゲーム?
まずはあらすじからご覧ください。
■あらすじ
(前作ラスト)
ジャンクヤードの覇者となり抗争に終止符を打ったサーフ達。
ニルヴァーナを目指して塔を登りエンジェルと対決した結果、ジャンクヤードは消滅。メンバーは散り散りとなる。
待っていたのはニルヴァーナ(楽園)ではなく、石化した人間の彫像と廃墟、そして黒い太陽。
仲間を探して荒野をさまようサーフは、謎の兵士達に「所属不明のアバタール・チューナー」と呼ばれて襲われる。
悪魔に変身して兵士を切り刻むサーフ。
悪魔とは「チューナー」とはいったい何なのか。
エンブリオン最後の戦いが幕を開ける。
前作からたった半日程度の話。
世界破滅まで数時間。一刻を争う緊迫した状況の中、怒涛の展開でラストに突き進みます。
まず前作で天国に行ったはずなのにジャンクヤードと大差ない廃墟で凹む。
太陽光にヤバい物が混じっていて、人間は地下とドームに押し込められているらしい。
太陽を神格化する「太陽崇拝」と近未来SFを融合させたストーリーが、3時間の大作映画を一気に消化するような密度で展開します。
密度高すぎて、ストーリーが本当に収束するのか不安になる。
でもご安心下さい。収束しますよ。
この地獄のような場所で、前作で張った大量の伏線を次々と回収します。
プレイ開始1時間で前作の重大な真実が明かされるハイペース。
そんなハイペースでパーティメンバーが非業の最期を遂げます。前作以上の鬱展開。
散々酷いことがあり、最後にカタルシスを味わえます。
オープニング曲「ALIVE」で早くもテンションMAX。
戦闘BGMも作業用BGMとしてもオススメ。前作よりノリが良いです。
「Battle For Survival」:飽きがこない通常戦闘曲
「Epic Battle」
「Heroic Battle」
「Hunting Betrayal」
「Enemies Reborn」
「Divine Identity」:ラスボス戦に相応しい名曲
前作は中盤まで強制離脱・復帰が多くて苦労しました。
一方本作は自由度が高い、と思わせて結局は中盤から入れ替わりが激しいです。
主力メンバーがいきなり抜けて、役割分担も決まってないようなLVの低いキャラで戦うハメになりがち。
頻繁な入れ替えの影響もあり、リーダーであるサーフがより空気になりました。
終盤、空気ヒロインと共に本当に空気になります。
まあ、モデルになったのが最低な奴だから仕方ないか。
「…ああそうだな、お前の言うとおりだ。だから~しよう」
とサーフの意思を汲み取り、ゲイルがいちいち代弁してくれます。
過保護の子供みたいで情けない。
名シーンで啖呵を切るのはいつもゲイル。隣の白髪の人が空気。
戦闘でもゲイルが大活躍。
・なぜか衝撃弱点かつ衝撃攻撃を使う敵が多い
・最後まで離脱しないのはゲイルのみ
・前作データ引き継ぎで炎属性の最強技「ピュリプレゲトン」を覚える
ゲーム中最強威力で最後まで大活躍。ゲイルがピュリプレゲトンを覚えるので、前作からフラグを立てて加入させたヒートの面目丸つぶれ。
どう見てもゲイルが主人公だわ。
新システム
前作のシステムを引き継ぎつつ、多数の新要素があります。
■カルマリング
様々な効果がつく装備品。1人につき1つ装備可能。
宝石を使って効果をカスタマイズできる。
育成の自由度が大幅アップ。
■羅刹モード
人間でも悪魔でもない、力が制御できない半悪魔状態。
特定状況下のザコ戦で変身します。
通常攻撃1発で倒せるほど攻撃力が大幅に上がる反面、防御・命中が低下。魔法が使えない。
リスクが大きい分、経験値とAPが大幅アップします。
■得意攻撃属性
攻撃スキルに得意属性が反映されるようになりました。
前作は弱点属性をカバーするために反対属性のマガタマ装備で育成を進めた結果、攻撃スキルまで反対属性ばかり覚えて「水神なのに火炎属性が得意」みたいなことになりがち。
本作は攻撃にも補正が乗るので元属性で育成しやすいです。
■新マントラシステム
前作「マントラ・フロー」から「マントラ・ヘキサ・ドライブ」に発展しました。
前作より、ぱっと見で全体の関係が見やすいです。
複数のキャラで黒いマスを囲むと能力が開放されるのでマス埋めが楽しい。
ただ、相変わらず取得Gが膨大で金欠です。
本作は混乱状態で所持金をばら撒くことがあり、このばら撒きの頻度と金額が半端じゃないのもツラい。
■HARDモード
2周目以降に「HARDモード」が選択可能。
(前作のセーブデータを引き継ぐと1周目で可)
HARDモードは、
・被ダメージ増加、逃走成功率低下
・HARDモード限定隠しボス登場
シリーズおなじみの大ボス。本作では完全に場違いな奴です。
理不尽さは前作のあの人に匹敵。一番酷いのが、HP1500切るとディアラハンで全快するやつ。
とはいえ「電卓、ペン、メモ帳」の3点セットでダメージ計算を頑張れば安定するだけ前作の人よりマシです。
■その他
・「威圧の魔石」が登場
使うとアイコン4個増加。所持できるのは1個のみ。
使えば戦況を大幅に立て直せるのでボス戦で重宝します。
・カジャ・ンダ重ね掛けは3回まで
しかも3回目の効果が低い。1回:1.2倍→2回:1.3倍→3回:1.35倍。
上がり幅0.05ではほぼ無意味だし、3回重ねで発狂状態になるボスもいるので2回止めが無難です。
・新規悪魔
新規悪魔は数こそ少ないものの、ほとんど画面からはみ出ちゃってる攻めのデザインで印象に残ります。
ザックリとした感想
シナリオは前作以上に短いけど、クリアには相当な時間がかかります。
ダンジョンが前作より長く、一歩進むと戦闘になるほどエンカウント率が高い。イベントシーンも長い。
本作最大のトラウマは、収容所の所長(クヴァンダ)との追いかけっこ。
「ドスドスドス」と大迫力で迫ってくる変な格好の馬面が怖すぎます。
この馬面、完全に狩りの本能に支配され、もはや人間に戻ることもない。
3階にわたって異様な執念で追ってきます。
フェンスや足止めトラップで行く手を阻まれ、何度も絕望を味わうことに。
ボスの強さは前作以上。
前作に引き続きリセット前提のパズルゲーです。
メーガナーダとかマジでどうすんだコレ。
腹背にそれぞれ五つずつ口がついてて殺る気まんまんやで。
「ヴィラージュの剣」はカジャ&ンダでダメージを抑える以外に対策が無い。
「メールの雷火」を電撃耐性で対策しても、体力半分切ってからの「バイオレンス」→「絶世の肉体」「テンタラフー」でパーティー壊滅。
ちなみに悪魔化ウイルスはコイツの情報から作ったらしい。悪魔の始祖というのもうなずける強さ。
前作の鬱憤を晴らすようなラスダンのややこしい構造は圧巻です。
エンカ率の高さも相まってなかなか先に進めない。
ストーリーについて突っ込むと、
・エンジェルとヒートは結局何がしたいのかわからない
何か企んでいるようで何も企んでない。自暴自棄に陥り思いつきで行動してるように見えます。
「神と話をさせて」と叫ぶセラに「神は俺だ」って、ヒートは本作のシナリオが理解できていないのか?
・老婆は存在自体が浮いてる
ラスダンに乗り込むとき、ちゃっかり他の重要キャラに混じって飛んでるのは笑う。
・事あるごとに「仲間の大切さ」を強調するけど、前作から仲間を大事にするようなシーンがあまり無いので説得力がない
そもそも人間らしい感情を持つようになったのは悪魔に覚醒してからの僅かな間だけ。
肝心のボス(サーフ)にいたっては台詞が無いから内面が変わったかどうかすらわからない。
ズタボロにされたシエロにヒートが「女1人守れねぇのか!」と怒鳴りつけ、ゲイルも全然心配しない前作と大差ありません。
まとめ
前作と同様、パズル要素が強い戦闘は好みが分かれるところ。
短いシナリオを間延びさせるような高いエンカ率もだんだんダルくなります。
とはいえ前作とセットなら間違いなくオススメ。
PS2後期の熟成された表現力と、他にはないほどのカタルシスが味わえます。