もくじ
ベヨネッタってどんなゲーム?
大人のお姉さんが魅せるクライマックスアクション
「ベヨネッタ」は大人の魔女お姉さん、ベヨネッタが活躍する3Dアクションです。
開発は「メタルギアライジング」 「ニーアオートマタ」のプラチナゲームズ。
プラチナゲームズは「バイオハザード2」 「デビルメイクライ」などを手掛けた神谷英樹氏が独立して作ったスタジオです。
そのスタジオ初リリースとなるのが本作。
DMCシリーズの「スタイリッシュ」に対して本作は「クライマックス」がキーワード。
簡単にいうとデビルメイクライをバカゲーに振り切ったノリです。
最初から最後までクライマックスで、プレイヤーもついていけないテンションでぶっ飛ばします。
DMCのクール&スタイリッシュを期待するとバカゲー要素が強すぎて引くかも。
女性主人公が美少女キャラでない点が画期的です。
ベヨネッタは萌えとは無縁の30代(?)。
「Fly me to the moon」アレンジ曲がよく似合う大人の女性です。
現実離れしたプロポーション。肩幅が広いのか顔が小さいのか、12等身ぐらいありそう。
ポールダンスのようなセクシーな動きで敵を蹴散らします。
髪の毛が化物になるのが女性らしくて美しく、恐ろしい。
steam、PS4版がオススメ
実は数年前、PS3版をプレイして途中で投げました。
今回はsteam版でプレイ。
steam版は、
・日本語音声収録
・4k解像度対応
・処理落ちほぼ無し
・ロードが早い
よって劣化移植のPS3版※と比較にならないほど快適です。
特にロード時間短縮が嬉しい。1秒で終わります。
即死QTEを筆頭に初見殺しが多いためロードの早さは重要。
ロードが一瞬終わるため、ロード中に遊べるトレーニングモードで何も練習できないほど。
SSDならもっと早いのかも。
おそらくPS4版はsteam版と同等の仕様です。
今プレイするならPS4、steam版で決まり。
※PS3版の劣化移植について
プラチナゲームズはPS3開発ノウハウが不足していたので、360版のみを開発しPS3版への移植は外注にした。
しかし外注先には360のノウハウがなかった。
このチグハグ移植の結果、
・グラフィック劣化 (FPS低下、処理落ち、テクスチャのボケ)
・ロード時間が長い (30秒。インストール対応のアップデートで改善)
など、PS3版は360版から劣化。そのためPS3版は評価が低いです。
PS3版が360版の2倍売れたのを期に、プラチナゲームズはPSベースで開発するようになったのだとか。
プレイ中の感想
ハードと開発力の限界に挑戦している
良くも悪くも、ハード性能と開発力の限界に挑戦する意気込みが伝わってきます。
最初からクライマックスな展開で、自キャラが何やってるのか全然わかりません。
元がPS3水準のグラフィックに限界を感じます。
・プレイヤーに対する配慮が欠けたカメラワーク
・エフェクトをバリバリに効かせてるので光で常にまぶしい
・攻撃してくる敵も自キャラも隠れて見えない
こんな中で敵の攻撃モーションなんて見えません。
対策はあります。
・敵の攻撃には効果音があるので音を頼りに反応
・死角を取られないように、敵全員が視界に入るポジションへ移動
このように見た目で判断できないことが前提のゲームデザイン。
作り手が見せたいものを見せている感があります。
チャプター1からハチャメチャなボス戦が始まって早くも投げそう。
過去にPS3でプレイしたときはここで投げました。
プレイヤーを気づきを与える配慮が足りないため理不尽に感じます。
「あの攻撃、ギリギリで避ければチャンスだわ」
「この攻撃が避けられるかぁ~!」
とか言ってほしい。
巨大な敵からいきなりドーン!と攻撃が来て終了です。
そもそも、ボスのデザインが奇抜すぎて何がなんだかわかりません。
どこからどんなタイミングで攻撃が来るのか、どこが弱点でどうやったら勝てるのか。
何も予想できません。やられて覚えるしかない。
おそらく作り手はゲーマーの力、自力で攻略する気力を信じているのだと思います。
しかし私のような粘り強くないし若くもないプレイヤーは「こんなもんやってられっか!」と投げてすぐ攻略サイト見ちゃう。
常にクライマックスな展開がクドい
雑魚ラッシュの後、デカいボスが出てきてQTE・QTE!
常にクライマックスな展開がクドい。緩急がなくてダレます。
細切れに見せ場が詰め込まれており、クリアまでの道のりがやたらと長く感じます。
「長くてボリューム満点」ではなく、1チャプターが8つほどに細切れなので長く感じて疲れてしまう。
一定区間進むと危機一髪な展開とラッシュが来て、クリアするとリザルト画面。
これを1チャプターで8回ほど繰り返します。だんだん「いつになったら終わるんだ?」とウンザリ。
さらにチャプター終わりに毎回、特に面白くもない強制ミニゲーム。
スキップできるけど、こういうワンクッションが重なりクドく感じます。
最後の最後までクドい!
エピローグが真のラスボス戦。そいつを倒してもまだ終わりません。
達成感は消し飛び、ただ疲れました。
1日1チャプターのペースでちょうどいいノリ。
僕は2日間でクリアしたのでもうヘトヘトです。
ウィッチタイムを使わされている感
意外と戦闘の爽快感が薄いです。
というのも、戦闘の要は目押しのギリ避け「ウィッチタイム」だから。
こちらから攻撃をぶん回す気持ち良さに欠けます。
攻撃モーション中の敵はスーパーアーマー状態。先制攻撃は通用しません。
また、炎を纏っているような敵に攻撃すると弾かれてしまう。
よって「ウィッチタイム」を使うのが基本です。
ウィッチタイムは敵の攻撃をギリで避けると発動し、敵がスローモーションになり攻撃を無効化。やりたい放題です。
ウィッチタイム中だけが攻撃チャンスなので、まず敵の攻撃を目押しで避ける必要があります。
「はい次はこれ、次はこのモーション覚えてね」
新しい敵が出るたび、目押しの宿題を出されているかのよう。
目押しが全てで、立ち回りの自由度が無い。
ウィッチタイム中に攻撃を叩き込むだけなので、山ほどあるコンボの意味も薄いです。
クリアするだけなら△連打とか△△◯◯◯だけ使えば十分。
肝心の避けが微妙にレスポンスが悪いのもイラ立つところ。体感では避けたのに食らいます。
以上のように「クライマックスアクション」の実態は目押しアクション。
ウィッチタイムを使わされている感が強く、爽快感が薄いです。
爽快感が薄い要因はウィッチタイム以外にもあります。
1発3割減るほど被ダメージが大きいのに回復アイテムが出ません。
そのためラッシュの序盤でミスるとやる気がなくなります。
爽快感といえば、派手な演出の必殺技「トーチャーアタック」(拷問攻撃)。
ウィッチタイムを無効化する敵にはトーチャーアタックが必須。
トーチャーアタックを使うためのゲージはギリ避けか攻撃で溜まり、被弾すると減ります。
被弾すると必殺技が使えず、戦いが長引いてまた被弾しがち。
ミスるとより不利になる仕様で、必殺技がピンチ時の逆転要素として機能しません。
やはり1発被弾するとやる気なくなります。
このように、ミスると粘りが効かず形勢逆転しにくいのも爽快感に欠ける要因。
QTE大盛り
戦闘はウィッチタイムの目押しを、戦闘中・戦闘後デモではQTEの目押しを強いられます。
QTEの多さ、ダルさ、理不尽さはあのトラウマゲー「バイオハザード6」に匹敵します。
ボス倒したぞ!と達成感にひたりながらコントローラーを手放してムービーを観ているとQTEが始まって即死、みたいなことが何度かありました。
特にラスボスのアレは誰が楽しめるんだ?と疑問です。
失敗したらラスボスの残り体力ゲージ1本からやり直し。
初見はわけがわからず失敗。その後3回やり直してようやく成功したけど達成感が台無しです。
即死QTE直前がチェックボイントになってるのが救い。
リトライのロードが早くて良かったと心底思えます。PS3版の30秒だったら絶対ムリ。
あと、どいつもこいつもデモ終わりに即攻撃してくるのはダメでしょ。
いきなり猛攻食らって7割減ります。
知らなきゃ絶対食らう。知ってても食らう。
連打はともかくスティック操作のQTEはしんどい。
デモだけでなく、トーチャーアタックや敵の拘束攻撃でもやらされます。
左スティックを左右にカチカチカチ…PS4コントローラー壊れるわ。
「メタルギアライジング」も連打とスティック左右カチカチ大盛りで不評です。
このように、QTEはプレイヤーの自由を奪いストレスを溜めます。大盛りされて楽しいわけがない。
でも当時は妙にQTEが流行っていましたよね。
ゴッドオブウォーの影響かな?
「アスラズラース」「バイオハザード6」が出た2012年をピークにQTEの流行が終わった印象です。
ベヨネッタから3年で、作り手もようやく「プレイヤーはQTEを望んでいない」ことに気づいてくれました。
QTE以外でも、デモを見せたい作り手のエゴが目立ちます。
デモスキップは可能。
しかし、いちいちオプション画面を開く必要があり「スキップしますか?」のカーソルがオフに合っている二段構え。
「初見スキップ不可で2回目以降ワンボタン」の方がまだ良心的です。
ショップに入る・出るたびに毎回デモが入るのには閉口しました。
ショップに入るのが嫌になるほどテンポを損ねています。
実際に入るのが億劫になりショップを無視して進めた結果、終盤まで消費アイテムの有効性に気づかず苦戦するハメになりました。
ちなみに、アイテムはデビルメイクライのように値上がりしないので消費アイテムを買い込めば楽です。終盤はアイテムでゴリ押しました。
シューティング・バイク面が長すぎる!
全く面白くないシューティング・バイク面が苦痛です。
これもゴッドオブウォーの影響かも。
シューティング・バイクのどちらも長いのなんのって。
プレイしながらあ然とする長さです。適当な長さの3倍以上に感じます。
しかもずっと同じことの繰り返し。
永久ループで、分岐を選ぶとか謎を解く必要があるのかと思ったほど。
この長さ、記事をご覧のあなたもぜひプレイして確認して頂きたい。
想像以上に長くて驚くはず。
シューティング面では、神谷英樹氏はスペースハリアーやアフターバーナーが好きなんだろうってことは伝わってきます。
でもスペースハリアーやアフターバーナーの面白さは一切伝わりません。
とにかく、それっぽいのを入れたかったから入れた感。
プレイ後の感想:並を頼んだら大盛り食わされた
バカゲー×異様な熱量で、並を頼んだら大盛り食わされた気分です。
新スタジオ1発目でこれは凄い。
常にクライマックスの濃さで1周10時間かかります。
街、溶岩、自然、飛行機、超高層ビル、はては宇宙まで、考えうる限りのあらゆるシチュエーションを盛り込んでもうお腹いっぱい。
「キャラの掘り下げは浅いし、このストーリーをどうやって着地させるんだろう」
と思っていたら、とことんハチャメチャに振り切って説得力を出してきました。
もう何も言うことはありません。
気合が少々空回りしてクドさが気になるけど「魔女お姉さんが活躍する前代未聞のバカゲー」としてゲームの歴史にその名を刻んだのは間違いない。
プレイすると、
「当時は色んな国産タイトルがPS2以後のゲームを模索して世界にガチンコ勝負を挑んでいたなー」
と懐かしい気分にひたれます。
QTEやミニゲームも、こういうのが多用された時代もあったなーと思えば楽しめるかも。
まとめ:気合が乗った豪華なバカゲー
なんだかんだ文句を言いながら、久しぶりに寝食を忘れてゲームを遊びました。
プレイ中は「このクソゲーがぁ!」と投げそうになるけど、1周クリア後は「ふぅ、いい経験したなー」と気持ち良さが残ります。
ただ、2周はやりたくない。
クドい演出、見づらいグラフィック、初見殺し、目押しメインの戦闘システム、QTEは1周で十分です。
ハード性能と開発力の限界に挑戦する気合が乗っており、色々粗いけど当時のゲーム業界の勢いを知る上で遊ぶ価値のある作品です。
ギリ回避が攻撃チャンスになる戦闘システムは、同じプラチナ開発の「ニーアオートマタ」に受け継がれています。ニーアの戦闘が好きな方は本作も楽しめるはず。
本作を楽しむにはロードの早さが重要です。
steamやPS4で遊べる今こそ遊び時なのでぜひ。