ゴジラ

ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘【感想/評価】どうりでゴジラ色が薄いわけだ

投稿日:2019-07-28 更新日:







どうりでゴジラ色が薄いわけだ

■あらすじ

兄が南洋で行方不明になった青年、大学生2人、金庫破りの犯人の4人は色々あって盗んだヨットで南太平洋に出るが巨大なハサミに襲われて遭難してしまう。

命からがら南海の孤島レッチ島に流れ着いた4人だが、この島は秘密結社「赤イ竹」の工場となっていた。

島から脱出しようと作戦を考える4人は、脱走して来たインファント島の娘と出会う。

娘から話を聞いた4人は、赤イ竹の悪事を阻止し島民を救出するため行動を開始。落雷でゴジラを復活させる。

ゴジラとエビラは海を舞台に壮絶な戦いを始める。一方モスラは…

公開:1966年/12/17

 

「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」はタイトル通り、南国を舞台にしており明るい作風です。

コメディ色が強め。遭難した男が南国のテロリスト基地に潜入するという、もはやゴジラ関係ない内容。
ゴジラはたまたま島の近くにいるだけ。話題にも出ず、やっと姿を見せるのは中盤です。

 

この殺し方を見てください!左手のハサミで2人串刺しですよ!

海の怪獣エビラが登場。茹でる前から既に赤いです。
相手が人間だろうが怪獣だろうが容赦ない残忍な奴。

主人公が小美人に「エビラって何だ?」と尋ねたときの返答「エビです、私達の敵です」は笑う。

 

元々はキングコングが主役の脚本だったらしい。
その話を聞いて「どうりでゴジラ色が薄いわけだ」と納得しました。

ゴジラの性格がいつもと違います。完全にキングコング。

・三角座りで美女に見惚れる女好き
・落雷で復活
・エビラの腕をもぎ取ってドヤ顔

など陽気なキャラになっています。
娘を取って食ったといわれる初代ゴジラとは大違い。

そのうち、ゴジラがキングコングに見えてきます。

 

ゴジラ感が薄くほとんど海で戦うので、怪獣バトルはいつものゴジラを期待すると拍子抜けです。

その分、人間ドラマ部分の特撮が濃厚。
ロケとセットの使い分けが面白いです。

ロケで撮るのは難しいカットはスタジオ内のセットで撮る。

難しいカットも省かずわざわざセットを用意するあたり、画に対するこだわりを感じられます。
シーンのつながりやカット割りはどうやって計算してるのか気になりますね。

 

謎組織の陰謀うずまく南国の島

楽しげな人間ドラマ

謎組織の陰謀うずまく南国の島を、コメディをまじえた楽しげな雰囲気で探索します。

登場人物は命がけなので真剣ですがシリアスさは薄め。

島と無関係な3人が何の見返りもないのに青年の目的に協力するのが謎。
しかも、ヒロイン「ダヨ」に出会って事情を聞いてからは使命感で武装組織に挑みます。

 

島に乗り込むのは以下の4人。

・遭難した兄を探す純朴な青年
・気が弱めな二人組の大学生
・金庫破りが得意な銀行強盗、吉村

この4人がヨットを泥棒し南国まで行きます。当然、犯罪です。
そもそも1人、筋金入りの銀行強盗がいる。

その銀行強盗の吉村がめちゃ有能なんです!

・銀行だろうがテロリストの基地だろうが、ピッキングでなんでも開けちゃう金庫破りの腕

・訓練された兵隊を出し抜く機転、戦闘力。

「ほっとくわけにはいかないだろ。俺は浪花節に弱いんだ」と頑張ってくれます。
「鍵穴を見るとムズムズする」というのは建前で、結局いい人なんですよね。

島から脱出した後、
「これから俺も足を洗って出直すさ」
という吉村。
いや、お前はまず罪を償え(笑

吉村以外もヨット泥棒&逃走幇助なので、けっこう重罪なのでは。

 

「なにぃ、一大事?革命か!?」

敵である秘密組織「赤イ竹」の警備隊長を、あの平田昭彦さんが演じています。

いつものマジメ、クールキャラじゃなくてちょっと抜けてる感じ。平田さんのコミカルな演技が観れるのも楽しいです。

 

赤イ竹は、M1919といった重火器から、基地防衛用のジェット戦闘機、水爆まで所持。

ただし「機関砲・戦闘機・核兵器」の中間が無い偏った装備。そして人手不足なので強いのか弱いのかよくわからない(笑

水爆の原料である重水を製造しています。
大学生の市野が隔離施設の中を見るなり「うわっダメだ、入るな、核融合室だ!」と言うのは笑う。

水爆が無くても、汁の使い分けでエビラをコントロールできる時点で相当ヤバいですよね。汁で誘導して日本本土を襲わせることもできそう。

野望を食い止めなければとんでもないことになっていたかもしれません!

 

南国の海でエビラとバレー!

南国の海を舞台にした怪獣バトルが見どころ。

エビラとゴジラが岩バレーしたり、水かけたりして楽しそう。
最後はエビラがゴジラを海中に引きずり込んで水中でも戦います。

水中戦が描かれるのはゴジラ映画では初で、ゴジラ映画史上でも珍しいかと。他にはバトラ幼虫戦ぐらいしか思い浮かびません。

それでも勝つゴジラはさすがですね。

 

ラスト5分前まで起きないモスラ

モスラが動き出すのはラスト5分前。
囚われた人を救助するだけで戦闘も無し。ちょい役の「怪鳥 大コンドル」の方が出番多いぐらい。

宣伝のために無理やりタイトルにモスラを入れ込んだ感があります。

 

ひたすら歌い、踊り、祈り続けるインファント島の住民。
しかしモスラは最後まで一切動きません。

前半からずっとモスラ復活の儀式をやってるので、本作専用の「モスラの唄」(作詞:岩谷時子、作曲:佐藤勝)が耳に残り、踊りを見てるこちらが疲れます。

本作はゴジラだけでなく、モスラにも期待しない方が良いです。

 

ラストの島崩壊シーンは大迫力ですが、これは「大冒険」(1965年)の流用なんだとか。

 

まとめ:ゴジラをキングコングだと思って観ればOK

ゴジラ映画を観ている気がしませんが、それを気にしなければ楽しい作品です。

ゴジラをキングコングだと思って観ればOK。ゴジラだと思ってはいけません。







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