もくじ
バットマンアーカムナイトってどんなゲーム?
アーカムシリーズ最終作
バットマンアーカムナイトは『アーカムアサイラム』(2009)から続くバットマンアーカムシリーズ最終作。
高すぎるクオリティでキャラゲーのイメージを覆した偉大なシリーズです。
移動ギミックや戦闘システムは『Marvel’s Spider-Man』など色んなゲームの基礎になっています。
シリーズ特有の美しいグラフィックが、新世代ハード専用(PS4/Xbox One/steam)でさらにパワーアップ。
過去作から進化したマップを、進化した移動ギミックで自由に動けます。
レトロでゴシックなデザイン、
ネオンに照らされた高層ビル、
近未来的なメカ。
これらが生み出すコントラスト&密度感は圧倒的。他のオープンワールドゲームと一線を画します。
マップの広さは前々作『アーカムシティー』の5倍とのこと。
道路に車や一般人(犯罪者)が行き交うようになり、リアリティも格段にアップしました。
新世代ハードならではの体験がここにあります。
贅沢な作品
一言でいうと、贅沢な作品。
トッピング全部乗せメガ盛り状態。
色々詰め込みすぎなマップ。
新登場のバットモービル。
ギミック追加のコンバット&プレデター。
これ以上盛りたい要素が思いつきません。
ボリュームも豪華。
メインだけで15時間以上。
さらにサイドミッションが沢山。
サイドはリドラー、ペンギン、トゥーフェイス、ファイアフライなど有名ヴィランが絡みます。
コンプを目指すと50時間はかかります。
サイドを並行して進めた方が楽しめます。
というのもメインは、
・ボス戦らしいボス戦が無い
・経験値が全く足りない。バットマンをほとんど強化できない
2人のキャラを切り替えるパートが新登場。
戦闘はテイクダウンを多く使えて楽しい。
特殊イベントは1ミス即死でツラい。
捜査パートはさらに凝った内容に。
カメラ映像を巻き戻したり拡大したりで名探偵気分になれます。
進化したアクション
アクションも進化しました。
モービルから飛び出す!
→グライド中に次のグラップを予約
→グラップブースト
→高所から落下しつつモービルを呼んでそのまま搭乗
→流れるように逃走車に爆弾を仕込んで華麗に任務完了。
このようにアクションを自由に連携して泳ぐように街を飛び回る。
「どこまで凝ってんだよこれ……」
と引くほど凝ったアクションが楽しめます。
ゲーム開始時のバットマンは動きにキレがありません。
「次世代機でよくある、モーションがリアルになってモサくなるやつか」
と思いきや、直後に投入される新スーツ装備で全性能がパワーアップ!
アクション追加&動きがキレキレに。
新スーツを引き立てる演出が効いています。
戦闘も自由度が高い。
ガジェットを使うアクションが多すぎ。
全てのアクションを使う必要は無く、
[ローリング・攻撃を繰り返す→ゲージ溜まったらテイクダウン]
の繰り返しでクリアは可能です。
でもローリング連発でフルコンボできるほど甘くはない。
アーマー持ちや忍者に割り込まれ、カウンターが難しい攻撃や問答無用の銃撃にさらされます。
ゴリ押しでもクリアは可能。
フルコンボや魅せプレイを狙うと沼。
そんな絶妙なバランスです。
バットモービル
新登場の「バットモービル」が本作の目玉要素。
リモート操作で使う場面も多く、パートナーキャラのように活躍します。
メカメカしい見た目と超性能を持つモンスターマシン。
やりたいことは何でもできます。
ドリフトでやたらと小回りが効く上に天井まで張りつく機動力、
地形をぶっ壊しながら進む耐久力、
砲撃し放題の攻撃力。
全てをあわせ持つ、まさに男のロマンを詰め込んだ乗り物。
バットマンが空中をスイスイ移動する一方、モービルは目の前全てを蹂躙して突き進むのが醍醐味です。
ホバーのように接地感がない動きで滑らかに走り、柱や角にぶつかると地形をえぐる。コンクリートがまるで豆腐のよう。
エンジンの重低音や発砲音も気持ちいい。
触ってすぐ「よくこんなの作ったなー」と感動します。
通常モードだけでお腹いっぱいなのに、戦闘モードに切り替え可能。
戦闘モードは挙動が別物、操作体系も一変。
左スティックで平行移動、右スティックで旋回で滑るようにスライドします。
とにかく“盛りすぎ”なゲームです。
気になる点
モービルやらされてる感
本作の目玉、バットモービルが大活躍。
活躍しすぎて不評です。
謎解きにモービルの遠隔操作が必須。
トンネルのような場所はグラップできないのでモービル必須。
モービルで戦闘する場面も多い。
次第に主役はバットマンなのかモービルなのか曖昧になります。
戦闘中のモービルは、射線が見えるシステムと敵のオモチャ感が相まってチープに見えるのが残念。
後半はタンクや削岩機から逃げる場面が多く、“やらされてる感”が増します。
タンク戦はモービル版のプレデター。
モービルでステルスプレイを強いられます。
削岩機戦は初見殺しの1ミス即死。
中間リスタートでなければ投げてたかも。
操作がややこしい
上画像をご覧ください。無理でしょこれ。
全ボタンフル活用。
しかも操作体系は1種類ではなく、
・バットマン
・モービル (通常、戦闘モード)
上記の3つに対応する必要があります。
要素増えすぎて、選択肢が広がったというより雑多な印象です。
バットマンはガジェットの種類が多すぎて1つ1つの掘り下げが浅い。
『アーカムシティ』は1つのガジェットを「導入→応用」と使いこなす流れでした。
本作は、山盛りの新要素を消化するため最後まで導入レベルが続きます。
新ガジェット「ボイスチェンジャー」をしつこく使わされる一方、シリーズおなじみのリモートバットラングやラインランチャーの出番はほぼ1回。
ガジェット1つ1つの扱いが雑で、自分で打開策を考える面白味が薄いです。
肉弾戦「コンバット」はガジェットを使うアクションが多すぎ。
同時押しを多用する操作体系がごちゃごちゃすぎ。
色々使う気が失せ、もう「シンプルに強い銃1本でいいのに」って気分になります。
てか普通にバットモービルの大砲で撃ってるし。それでええやん。
ステルス戦「プレデター」は、状況を把握してパズルのように攻略を組み立てるのが醍醐味。
過去作と比べてデザインの洗練が甘い気がします。
地形がやたらと入り組んでおり高低差がわかりにくい。
まず状況把握が面倒なのでマジメに攻略する気になれずさっさとゴリ押したくなります。
ゴリ押すと案外イケてしまう。
面倒なわりにひねりの無い作りで終盤すら雑にいけます。
「ダイブキック→テイクダウン→上空逃げ」の繰り返しで終わりがち。
最強の敵はセントリーガン。
いまいち入り込めないストーリー
話にいまいち入り込めません。
状況がよくわからないままバットマンのアイデアとガジェットの力で進行するため、プレイヤーはおつかいを担当する傍観者になってしまう。
「あれ、今何が目的で飛行船を傾けてるんだっけ?」と、何のために何をやってるのかすぐ忘れます。シナリオとプレイ内容がシンクロしない。
幻覚や他キャラ視点になる演出でさらに傍観者化が進み、話が進むほどプレイヤーは外野に追いやられます。
バットマンの使命も見失います。
守るべき街はご覧の有様。
戦車が巡回し、ガスに包まれ、巨大植物が生えてめちゃくちゃです。
全然守れてないやん。
新ヴィラン「アーカムナイト」は喋ると小物っぽくて少々ガッカリ。正体も……
真エンディング条件
真エンディングの条件は全ミッションクリア。
リドル全収集を含む鬼仕様です。
私の場合、初クリア時の取得リドルは243個中5個でした。
バットマンが最後にとる行動とは?
ナイトフォール作戦とは?
通常エンドでは謎のままです。
リドラーのミッションは、シビアなミニゲームを強いられてストレスが溜まります。
失敗すると「猿でもクリアできるぞ!」とめっちゃ煽られる。
おまけ要素なら無視すりゃ良いけど、真エンディングを目指すなら全クリア必須なのが問題です。
その他
・ロードが長い
シリーズ最長。
1ミスでゲームオーバーになる場面が多いのでなおさらツラい。
・ローカライズが雑
会話がたまに意味不明かつ字幕を一気に出しすぎ。
・女性キャラの顔面
女性キャラの顔は相変わらず。
映画『スーサイド・スクワッド』のハーレーは可愛いのに……
バーバラも可愛くねぇー助ける気にならねぇ~
まとめ
最終作にふさわしい豪華な一品です。
盛りすぎて、
・バッドモービル大活躍
・1ミス即死の特殊イベント
・真エンディング条件
この3点は酷評されがち。
とはいえ、通常エンドで満足できます。
ラストはプレイヤーを突き放すような展開が続いてもうウンザリ、じゃなくて満腹です。真エンドは「まだ興味ある方はどうぞ」って感じ。
モービルは、過去作プレイ済なら必要性がわかります。
『シティ』の完成度が高すぎて、次を作るなら大胆な何かを足すしかない。
一度は体験する価値のある超大作。おすすめです。
こんな超大作が年内国内売上たったの8万本。
同時期発売の「戦国BASARA4皇」(PS3)といい勝負です。
そりゃローカライズも雑になるわ。