「メタルギアでゾンビ?なんだこのけしからんゲームは!」
と言いたい気持ちわかりますが、少々お待ちを。
先入観なしで遊んでください。なかなか遊べる、5点満点でいえば2.5点のゲームじゃないですか。
というわけで、いきなり結論から入りました。
「メタルギアソリッドV ファントムペイン」(以下、TPP)を100時間プレイした私ヤギが、賛否両論な話題作をプレイ。
「色んな意見があるけど実際、面白いのかどうなのか」
をしっかり検証します。
COOPは未プレイなので割愛。過疎ってます。
もくじ
メタルギア サヴァイヴってどんなゲーム?
「メタルギアソリッド」シリーズとは全くの別ゲー
見よ!この地獄のような光景!
まず最初に、ご覧の通り「メタルギアソリッド」シリーズとは別ゲーです。
サバイバル要素をメインにしたゾンビゲー。
異世界からの脱出を目指す、SFファンタジーな設定です。
こんなぶっとんだ設定で一体どんなストーリーになっているのか、とっても気になりますよね。
なので、あらすじをご覧ください。
あらすじ(ネタバレ解説つき)
1975年。伝説の傭兵「BIGBOSS」率いる軍隊が「XOF」の急襲を受け、彼らのマザーベースは壊滅。
脱出するBIGBOSSが乗るヘリがマザーベースを離れた瞬間、上空にワームホールが開いた。
ワームホールはマザーベースを異次元へと連れ去る。
その中で1人の兵士が危機を脱していた。
半年後、その兵士は米国の研究組織「ウォーデンクリフ・セクション」の施設内で目覚めた。
組織の男は兵士にある任務を依頼し「断ることはできない。君はすでに、未知の生命体に寄生されている」と告げる。
ワームホールにのみ込まれた仲間達を救い出し、元の世界に帰る方法を探るため兵士は1人で探索に出る。遭遇したのは異形の怪物「ワンダラー」と化した人間達だった。
地獄(ディーテ)と化した世界で、凄絶なサヴァイブがはじまる…
物語の始まりは「メタルギアソリッドV グラウンド・ゼロズ」(GZ)の裏側。
ビッグボス達が奮戦する一方で、とんでもない超常現象が起きていた!
こんなノリなのでメタルギア本編との整合性を求めてはいけません。
本作は本作として存分に楽しんでいきましょう。
とはいえ、
わりとどうでもいいストーリーなので、以下ネタバレします。
ストーリーをサクッと知りたい方はどうぞ見ちゃってください。
異世界は、実は22世紀の地球。
荒廃した元凶は、世界を包む塵「レッドダスト」。
塵の正体はAIを持つナノマシン。
元は医療用ナノマシンで、体内に入って活動する。それが暴走したか何かで、文明を滅ぼす脅威になった。
ナノマシンが寄り集まるとエネルギーを生み出し、ワームホールを出現させる。
塵はこの世界だけでは飽き足らず、さらに繁殖するためにワームホールで別の世界への侵攻を企む。
塵が生み出した「塵の王(ロードオブダスト)」は、時間遡行を繰り返して過去に侵攻している。
最後は主人公達の活躍でワームホールの発生を防ぐことに成功し、TPPの歴史につながる。
うーん、別の世界を目指して過去に行くのが謎です。平行世界を侵略するってこと?
ワームホールの時点でぶっとんでるので、細かいことを考えたら負けですね。
一応、TPPでもワームホールフルトンみたいな超技術はありました。でもアレはお遊びのようなもので、基本は時代に合った技術・メカを出しています。
明らかに当時の(現代でも)技術水準を超えた「メタルギア・サヘラントロプス」も、時代考証とそれっぽいデザインによりギリギリ違和感ない範囲に収まってる。
対して本作は、巨大ワームホールで22世紀に飛ばされ、ワームホールでファストトラベルするなどぶっとんでいます。
メタルギアに思い入れがある人ほど、違和感を覚えるでしょう。
発売当時の個人的な印象
発売前、プロモーション動画を見たときは「なんじゃこりゃ!?」と思いましたよ、ええ。
メタルギア最大の魅力であるポリティカルフィクション要素が皆無。
敵(ワンダラー)のデザインも安直で、何かの冗談かと思いました。
首から結晶らしきものが生えたシルエットは間抜けです。
本作からは「バイオハザード:アンブレコア」の臭いがしました。そうです、あの伝説のクソゲー、アンブレコアです。
これまでメタルギアシリーズを開発してきた小島秀夫さんはノータッチ。
メタルギアといえば小島さんありきの作品で、TPPではミッションが始まる前に毎回「created and directed by Hideo Kojima」とクレジットを挿入していたほどです。
小島さんがおそらく一悶着あってコナミを退社した後に出た作品なので、メタルギアブランドを使ったコナミと本作に対するファンの反感は強烈。
プロモーション動画への低評価は10万を超え、コメント欄は否定的な意見であふれかえりました。
しかし、時間を経て冷静に考えると、仮に自分が会社側の人間なら「メタルギア」の名前を使いたい。
自社のリソースを割いて作った資産だし、メタルギアの名前を乗せれば良くも悪くも話題になるのは確実。
コンテンツって、話題にならず誰の目にも触れないのが一番ヤバいですから。
それに、システムやマップを流用してタイトルがメタルギアじゃなかったら違うバッシングを受けるでしょう。
ときが経ち、メーカーに対する反感が収まった今ならフラットな気持ちで遊べます。
本作は今がやり時、遊び時です。
システム解説:厳しい制約の中でサヴァイヴせよ!
異世界で槍を持ち、羊を追い回す!
タイトルの通りサバイバル要素に重点を置いた作品です。
特筆すべきは、戦闘より物資のやりくりが大変なこと。
というのも、
・水が無い→乾き
・食料が無い→飢え
常にこの2つのリソース不足に悩まされます。
どちらかが0になると問答無用でゲームオーバー。
それだけではなく、
・乾く→スタミナの最大値が減少
・飢え→体力の〃
というように、スタミナ・体力の最大値が減っていき弱体化してしまう。
スタミナは近年のゲームによくあるシステムですが、本作は特に制限が厳しいです。
少しダッシュしただけですぐ息切れして立ち止まってしまう。最大値が減少しているとなおさら走れません。
体力は紙。体力満タンでも3発殴られると死にます。
そのため、スタミナが足りなくて立ち止まり、飢えで体力が減っているところに敵のワンパン食らって終了とかありがち。
他にも面倒な仕様が多々あります。
「きれいな水」が無い場合、空きビンに入れた泥水を飲みます。
すると、2割の確率で腹痛になり一定時間でおう吐します。ウザいです。
しかもゲーム序盤は治す手段がありません。
「塵」の中ではボンベの酸素を消費するため、酸素量の管理も必要です。
・いざ目的地に行くと、塵で視界が悪くて右往左往
・空気が無くなって終了
なので、探索には「飢え・渇き・酸素」の3リソースの管理が必須。
3つのうちどれかが不足して力尽きると、
・ローグライクのように探索結果を無にしてベースキャンプからやり直し
・入手した物資をその場に残してベースキャンプからやり直し
このどちらかを選びます。
どちらにしろ、目的地までまたスタミナ制限が厳しい徒歩移動を繰り返すことになり非常にダルいです。
厳しいリソース管理に比べれば、戦闘なんてオマケ。
装備品を駆使すれば敵を一方的に手玉に取ることが可能。
水と食料に対して、装備品の素材になる鉄や木材は山ほど落ちてます。
とりあえず「ノーマルフェンス」を作って槍を装備してください。
敵は頭が結晶になってるだけありバカすぎるため回り込もうとしません。フェンス1枚で足止めできます。
槍はフェンスごしに攻撃できるので、フェンスの後ろに溜まった敵をガシガシと突くだけ。
弓も強力。倒した敵から矢を回収できるので継戦能力が高い。
ただ、槍・弓を両方持つことはできません。
近・遠距離武器をそれぞれ持つのが普通だと思うのですが…変な仕様です。
メタルギアの代名詞であるステルス要素は、戦闘よりどうでもいい状態。
というのも、3リソースが減り続けるのでステルスなんてやってるヒマはありません。
スルーして突っ切るか、強力なガジェットで倒したほうが早い。
敵の動きが異様にトロいので突っ切るのは簡単。大群の真ん中を堂々と走れます。
背後キルしようにも、視界が悪い上に敵に顔がないためどっちを向いてるのかわかりません。
ようするに、敵はリソース不足で弱ったプレイヤーにトドメを刺すだけの存在です。
メインはあくまでもリソース管理。
なので、持ち物や施設などメニュー操作する時間がやたら長い。
面倒くさいのが苦手な方には合わないゲームです。
ところで、四次元ポケットのようにフェンスを取り出せるのに真水を作れないのは謎です。
どこまでもご都合主義な世界なので割り切って遊ぶしかない。
結論:あえて遊ぶほどの価値はない
酷評はコナミに対する反感のバイアスがかかっています。
一方、好評には「いわれてるほど悪くない」「意外と遊べた」バイアスがかかっています。
TPPの大型DLCだと思えば「新作ゲームにしても良いぐらい遊べるな」と思うけど、新作として遊ぶと粗い。そんな感じ。
点数をつければ5点満点中2.5。
期待値を下げれば遊べる。しかしあえて遊ぶほどでもない。
まず、グラフィックがPS4水準とは思えません。TPPから劣化。
広くないオープンワールドで砂漠が続く手抜きマップ。
遠景を映す気が無い、映るとガビガビ。
常にモヤがかかっており見づらい上、バッドステータスのエフェクトでさらに見づらい。
好評価を見ると、
「サバイバルするためにその場その場の状況判断が求められ、攻略の自由度が高い」
と書いてある。
しかし、実際やることはメインのおつかいミッションの繰り返しと物資集め。それだけです。
・スタミナが厳しいので、ちょっと走っては止まり、また少し走っては止まり
これを永遠と繰り返すだけの作業。
また、頑張って拠点となるキャンプを拡張してもできることはたいして増えません。リソース管理が楽になるだけです。
オープンワールドは代わり映えしない砂漠が続き、探索して得る素材も代わり映えしない。探索する楽しみがありません。
3リソースが減り続けるので、オープンワールドなのに余計な行動をせず最速攻略で進める必要があります。
決まった場所で作業的に食料を調達し、準備が整ったらムダを省いて目的地へ直行。
酸素が無くなるから一刻も早く目的地へ。ステルスとかやってる場合じゃない。ザコにかまわず突っ切るのみ。
その道中で、
「決められたルートが無いし、水飲むか飲まないか、寄り道するかしないかなど判断の余地があるから自由度が高い」
というのは近視眼的な見方で、やってること自体に自由度が無いじゃないかと。
しかもゲームが進むほど作業的になります。
ストーリー後半はリソースが余るので、物資無視して目的地へ最短距離を駆け抜けるだけ。
つまり、ルートを覚えてムダなリソース消費を減らすだけのゲームです。
ローグライクのような、毎回ランダムに楽しめる冒険は無い。
自由度が高いどころか、むしろ史上最も自由度が低いオープンワールドじゃないか?
序盤が一番難しいレベルデザインなのもツラい。
中盤から水・食料が安定供給できるようになるので、サヴァイヴを頑張るのは前半だけです。
序盤は食料が足りなくてミッションを進めるのが困難。
水は腹を下しながら泥水をすするとして、とにかく食料が無い。
周りの動物・植物を狩り尽くすと、時間経過で復活するまで為す術がありません。
一応、ベースキャンプ近くの池に羊がいます。でもチャプター8から消滅。
ある攻略サイトでは「セーブ&ロードの繰り返しによる無限入手」でチャプター8までに食料大量ストックが推奨されています。それほど厳しいバランス。
最速でチャプター5からジャガイモ畑が作れます。
しかし、作っても安定供給にはほど遠い。TPPで酷評されたリアル時間経過を引き継いでいるため、収穫にリアル3時間かかります。
クリア後のお楽しみ、やり込み要素はベースキャンプ採掘(タワーディフェンス) 。
これもリアル時間経過で、1WAVEのインターバルが22時間。1日1WAVEしか遊べません。
その他、出来の悪い、粗い部分が多々。
装備スロットを筆頭に、あらゆるUIがゴチャゴチャ。わかりづらい。
元々、ゴチャゴチャして見ずらいメタルギアUIをさらに劣化させてどうするんだと。
ストーリークリアでサブクラスや新クラフトが開放されますが、その自由度はクリアするまでに欲しかった。
話をまとめると、
「1点だと思って遊んだら2.5点で得した気分」
あえて遊ぶほどの価値は無いです。
まとめ
「いわれてるほど悪くない」
「意外と遊べた」
そんな感じ。
マゾいリソース管理が好みに合うなら楽しめるはず。
でもスルーしても全然OKな作品です。