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シャドウオブザトゥームレイダー【感想/評価】ガッカリな最終章

投稿日:2018-12-15 更新日:






中古で1800円!
「あれ?発売は三ヶ月前なのにオカシイな」と思いつつ、あえて評判を見ないで購入しました。

プレイすると値崩れの理由がわかったので、賛否が分かれそうなポイントを紹介します。





リブート三部作の完結編

トゥームレイダーシリーズは、冒険家にして考古学者のララ・クロフトが広大なフィールドと遺跡を探索するアクションゲーム。

本作は『2013』『ライズ』」に続くリブート三部作の完結編にあたります。

父の命を奪ったララの宿敵、秘密結社・トリニティとの決着を描きます。

 

今回のモチーフは古代マヤ遺跡。わけあって舞台はペルー。
マヤ暦に記された終末から世界を救うため、ペルーのジャングルを跳び回ります。

 

本作におけるララのイメージはジャガー。
姿を見せずしなやかな動きで獲物を捉えるジャングルのアサシンです。

身体に泥を塗りたくり、茂みや壁のシダに張りついてステルスキルを決める!

敵対組織の他、ジャガー、ピラニア、ウツボ、寄生虫などの大自然、謎の化物とも戦います。
気分は映画『プレデター』のシュワちゃん。

 

表現規制で血が黒いです。
黒い泥と血が混ざってララだけ常に真っ黒。そりゃ敵も見失うわ。

 

ララの顔は良く言えば前作より勇ましく、悪く言えば老けました。

シーンよって顔の印象がコロコロ変わるし、肌の質感が厚化粧みたいで劣化したような。

とはいえ、まるで別物だった[2013→ライズ]に比べれば[ライズ→本作]の顔は安定しており前作とのつながりを感じます。

 

仮面つけたら急激に可愛くなった!不思議!

 

相方のジョナは、外見・内面ともに前作と完全な別人になりました。

「親に弟を殺された」濃い設定を乗せ、冒険中に可愛い彼女をゲットします。

たしかに本作のジョナも良い。ただ、前作の癒し系ジョナが恋しくなります。
あのガタイで優男なギャップが良い味だったので、一作で別キャラになったのは寂しい。

 

気になる点

三部作を締めくくる集大成的な作品。しかしオススメ度は三部作中でぶっちぎり最下位です。
以下、その理由を解説します。

ダルいシナリオ

10時間程度でクリアできます。

私はストーリークリアまでのボリュームは10時間程度で十分だと思うタイプ。むしろコンパクトな方が嬉しいぐらい。

でも本作はシナリオが薄いから物足りない。

起承転結が曖昧で、メリハリが無いので進行がダルいです。
誰が何のために何をやってるのか、途中でどーでもよくなります。
どいつもこいつもパイティティ、パイティティとうるさいので「もう勝手にしてくれ!」って気分になりました。

しかも“やらされてる感”が強い。
リブート初作の『2013』は自分で道を開く楽しさがありました。
対して本作は「あっち行け」「あれを取り戻せ」とお使いの連続。

 

ちなみに、探索を完全にすっ飛ばしてもマップを56%踏破しました。全体のボリュームも少なめ。
ファストトラベルのロードが長すぎる(70秒)ので56%以上探索する気が起きません。

 

散々お使いで駆け回ったあげく、見つけたキーアイテムをまんまと敵に奪われます。
これ最悪のパターンじゃね?敵を手助けしてるだけやん。

強いられるでもなく自ら前作以上の危機に飛び込んで無茶を繰り返すララは、死に場所を探している人に見えてきます。
ジョナは敵に捕まりすぎ。

 

さんざんマヤ文明で引っ張り、後半は唐突にキリスト教へテーマが切り替わります。
終盤ようやく盛り上がってきたと思ったら、後戻り不可のラストステージ突入であっさり終了。

「悪い人は誰もいない」的なオチで消化不良です。
トリニティとの決着がこれでは前2作も報われません。

クリアしても何が「シャドウオブトゥームレイダー」なのか一切わからない。
暗い画面、日食。あるいはララの心の闇か。

調べたところ本作は「アステカ、インカ、マヤ、キリスト教といった世界各地のバラバラな文明が実は繋がっている」ことを表現しているとのこと。
その壮大なテーマをゲーム中で表現できておらず、とっ散らかった印象が残ります。

 

リーダーになった途端、急にイキりだす少年。
お前そんな奴だったか?

 

ずっとジャングル

たしかに見える景色はすべてがシリーズ最大スケール。
押し寄せてくるような物量でジャングルを描きます。

しかし本作はジャングルだけで完結します
ジャングルは見応えがあるけど、ずっとジャングルだとさすがに飽きます。

構成にもメリハリが無い。
ジャングルがただどーんと置いてあるだけで、同じ構図・色味・明度の繰り返し。
いくらマップを作り込んでも、見せ方を工夫しないとダメだと痛感しました。

一方、遺跡はテーマパークみたいでウソ臭い。USJのアトラクションみたい。
前2作の、歴史的な時間経過を感じる遺跡と大違いです。

 

タイトルで「シャドウ」と言うだけあり、とにかく暗い。

暗いだけではなく、光と影の強いコントラストやグレー調の色味で演出したような場面も見づらい。

見づらいからインスティンクト(ステルスモード)を多用するためテンポが悪化します。

設定で明度を上げれば改善するけど、そもそも導線がわかりにくいのが問題。
探索して道を発見する楽しさが無く「はぁ?なんだよこの導線デザインは。ふざけんな!」の連続で進行します。

 

アクションがマンネリ

息をもつかせぬ怒涛の展開と遊びやすいシステムでシリーズのリブートに成功した『2013』、遊びの幅が広がった『ライズ』。

前2作を受けて本作の進化点を問われたら…… 水中の演出、町の広がり、会話だけぐらい。

新アクションもあるけど、アクションの全体的な流れがマンネリなので新鮮味はありません。
走り回って跳んで掴んで、ピッケル刺してまた跳ぶのみ。

しかもロケーションやギミックが代わり映えしないのでずっと同じことをやっている印象です。

 

水中の演出が見所。そのため水に飛び込む場面が多い。わざとらしいほど多い。
特に面白味は無く、ピラニアに捕まったら即死のストレスがあるだけ。

 

トゥームというよりアンチャ

探索、謎解き、ステルス、銃撃戦。
これらの要素が絶妙なバランスで噛み合い、テンポよく展開するのが前2作の楽しさにつながっていました。

本作はこのバランスが崩壊。前2作の原型がないほど崩れました。
そのため本作にはトゥームらしさがありません。

(作風が変わったのは、メイン開発の一社が抜けたのが原因と噂されています。)

 

探索重視で戦闘少なめ。
トゥームというより『アンチャーテッド』(アンチャ)に近いバランスです。

謎解きとパルクールの遊びごたえは前2作に匹敵します。

しかしメリハリのない構成や導線に問題があり、[起伏のないストーリーで謎解き→パルクール→謎解き→パルクール]を単調に繰り返すのでしんどいです。

 

『アンチャ4』で見たような光景が…… 地形や色味に既視感があります。

 

フィールドはジャングルや段差、壁に囲まれており開放感がありません。

そのためオープンワールドというより1本道+α。アンチャのような“リニア型”に近くなった感じ。

その分限られた範囲を作り込んでおり、町の端々や回想の滑り台のように順路と関係ない部分まで手が込んでいます。

ただ、本作でやっていることはもっと高いレベルでアンチャ4が全部やっているのがツラいところ。

 

戦闘が物足りない

前述の通り、探索がメインなので戦闘回数が少ない。


前半:化物とドンパチ。
中盤:敵組織が申し訳程度にやる気無く出てくる
後半:辻褄を合わせるように雑に敵兵を詰め込んで終了

敵のバリエーションも少なく、人間はTシャツ、アーマー(+サーマルゴーグル)の2種類だけ。

 

しかも、敵にやる気が無い。

少ない人数で死角もカバーせずウロウロ。茂みに引きずり込むか物を投げて注意を引き、片方倒したら終わり。配置が雑すぎます。

化物は動きが単調で、一直線にこちらに向かってくる。それをショットガンか何かで撃ちまくるだけ。

配置に応じて戦略を立て、多数を相手に制圧する楽しさがありません。

 

戦闘がこの有様なので、多種多様なスキル・武器・アップグレードが無意味。

豊富なスキルに対して戦闘機会が少なすぎ、マップデザイン・敵AIが雑すぎ。

また、移動速度アップなど地味な低ランクスキルが有用で、極端に特化された高ランクスキルほど使い所がありません。
そのため、経験値でスキル強化する楽しみが皆無です。

しかも、せっかく強化した武器を途中でいったん全部手放します。その後、上位互換武器を入手。
散々クラフト素材のゴミを拾わせてこの仕打ちかよ。

戦闘が少ないので2週目「ニューゲーム+」に行く気も起きません。

 

後半ようやく「死体にトラップを仕掛ける」高ランクスキルを取ったけど、その後一度も使う機会がありませんでした。
茂みの近くで一体倒す、近寄ってきた敵を倒す、の繰り返しで終わってしまう。

アーマー兵の処理だけが問題なので弓もほとんど使いませんでした。

被ダメージは大きいけど高性能な回復アクションで粘りが効くため、逃げながらショットガンやアサルトで各個撃破のゴリ押し作戦で突破できます。

 

超人化したララに感情移入できない

本作のララは共感性に欠ける電波です。

『2013』のララは大学を出たばかり。
致命傷が次のシーンで回復するなど身体能力は超人です。でも優しさと強さと色気があり、地獄のような状況で成長していく姿に感情移入できました。

次作『ライズ』で、目的のためなら多少の犠牲も厭わないヤンチャな性格が全面に出始めたけどまだギリギリついていける範囲。

『シャドウ』のララは何度も死線を越えて経験を積み、感情移入できない超人になりました。

 

メンタルの図太さが異常です。

自分せいで洪水になり多くの命が失われると「誰でもこうしたはず!」の一言。
敵のボス・ドミンゲスならもっと上手くやった可能性もあるわけで、責任を感じないのはオカシイ気がします。

洪水の犠牲者にとって終末の元凶はララです。私が犠牲者側ならララを恨みます。

ララを駆り立ててるのは父親のトラウマ。
もはや純粋な探究心の欠片も感じません。終末すらどうでも良さそう。
こんな冒険に巻き込まれた人達はたまったもんじゃないです。

ララの周りは敵味方問わず死が溢れます。どんな敵よりも関わりたくない女、それがララ。

 

作業的に敵を始末する様はプロ暗殺者。
もはや人殺しなんて何とも思っていません。これのどこが考古学者?

 

敵に「お前が一番殺してるだろ」ともっともなことを言われたり、大暴れを反省したり。一応、自分の行いを省みる場面はあります。

しかし後のシナリオがぶん投げ状態。
「いったん挫折して、色々あった後、自分なりの答えを見つけて立ち直る」
みたいな描写が無い。ララは最後まで止まりません。

 

回想で幼少期のララが登場します。

幼少期のネイト以上のハチャメチャ。この段階で引く。
体つきや動きは普通の女の子なのに高所パフォーマーばりの壁登りを披露します。

リブート初作「2013」以前に命がけの冒険をしてるじゃないか…

 

まとめ

ガッカリ感が残ります。
決して手抜きゲーではないけど、前2作が良かっただけに落胆が大きい。

結局、リブート三部作は初作『2013』のインパクトを超えられませんでした。

パッケージ絵の、アマゾンに浮かぶ日食&マヤ遺跡のイメージは魅力的。
傑作になる要素はあるのに活かせてないのが残念です。

 

とはいえ、単体で見れば普通に遊べる作品です。
『プレデター』みたいな密林プレイが好きな方は楽しめるかも。

 

B07D4GX6DW






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